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人手不足の日本社会がすがるしかない、手放しで喜べぬ3つの解決策
https://diamond.jp/articles/-/183394
2018.10.26 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
深刻な人手不足の解決策は主に3つあるが、いずれも手離しで喜べるものではない。今の日本社会がすがるしかないその解決策とは、どんなものだろうか Photo:PIXTA
2030年の人手不足は今の5倍以上?
「もう日本が回らない」は本当か
以前から指摘されている「2030年問題」というものがある。2030年には日本人口の3分の1が高齢者になり、同時に大幅に生産年齢人口が減少することで、日本社会全体が回らなくなるのではないか、と懸念されている問題だ。
この問題については、いくつものシンクタンクが様々な試算を行っている。みずほ総研によれば、2016年に6648万人だった日本の労働力人口は、2030年には5880万人になると予測されている。単純計算で768万人の労働力減少が起きることになる。
この問題が厄介なのは、人口問題はかなり高い確率で現実のものになるということだ。いまさら日本人の出生率が急増するわけもなく、仮に今年や来年に増加したとしても、2030年の生産年齢人口には何の影響もない。
一方で、ひょっとすると高齢者の寿命は2030年頃にはもっと伸び、需要は拡大しているかもしれない。悪い方に予想が間違うことはあっても、いい方向に間違うことはないだろう。
10月23日にパーソル総合研究所と中央大学が発表した調査結果によれば、2030年の日本の人手不足は644万人になるという。厚生労働省の発表による昨年7月の人手不足は121万人だったので、2030年には現在の5倍以上の労働力不足がやってくるというわけだ。中央大学の阿部正浩教授によれば、この試算も賃金が上昇した場合であって、想定通りに賃金が上昇しなければ1000万人規模の人手不足に陥るという。
では、この問題はどう解決できるのだろうか。この2030年問題については、実は3つの具体的な解決策が提唱されている。3つとも「必ずしも好ましい対策とは言えない」という欠点を持っているにもかかわらず、おそらくその3つが未来の問題を解決してくれると期待されている。「手放しで喜べない3つの解決策」とは何か。1つずつ紹介していこう。
【解決策1】
労働参加年齢の上昇
労働力の統計には、生産年齢人口と労働力人口がある。生産年齢人口は15歳以上65歳未満の人口のことなので、これはどんな政策を用いても増加することはできない。一方で労働力人口は、一般には15歳以上で働く意思を持っている人口のことを指す。なので、労働参加率が上昇すれば労働人口は増えることになる。
たとえば、日本の従業員数は1984年に3936万人だったものが、2016年には5391万人と1455万人も増えている。なぜ増えたか、その要因としては人口増加よりも労働参加率の上昇の方が圧倒的に重要である。この30年間で女性の労働参加率が飛躍的に増加したのと同時に、1984年当時は55歳だった定年が現在では多くの企業で60歳以上に引き上げられていることが挙げられる。
もう高齢者や外国人に
頼るしかないのか
翻って2030年のことを予測すると、その時代には70歳にならなければ満足な額の年金が支給されなくなるということが予想されている。年金が支給されなければ、ないしは年金が支給されてもその額が十分でなければ、生活が成り立たない高齢者がどうするかというと、働くしかない。
中国から見ると、現在でも日本は高齢者がたくさん働いている国に映るそうだが、それが2030年にははるかに大規模な社会現象となり、労働力不足は200万人規模の高齢者が埋めてくれることになる。
【解決策2】
移民の活用
日本は欧米のような移民政策は絶対にとらない――。我々日本人はそう信じてきた。しかし海外の人から言わせると、現在の日本はすでに移民大国なのだという。
実際、2008年に48万人だった外国人労働者は、2017年には127万人まで増加している。前年比で言えば18%増と急激な増加率だ。どのような外国人が増えているのか、内訳を見ると実に全ての分類で増加しているのだ。技能実習も専門分野の在留資格も着々と増えているし、資格外活動の外国人も増加している。
さらに政府は、こうした実態に合わせるために、今後単純労働に関しても、外国人に対してビザを発行する方針を決定した。仮に外国人労働者の数が、今後(現在よりはペースダウンした)毎年10%の増加率で増えて行ったと仮定すると、どうなるだろうか。試算してみると、2030年の外国人労働者の数は400万人を超える。これは労働力不足を補うには十分なペースである。
【解決策3】
AI・ロボット活用
さて、実はこれが一番現実味が大きいと私が考えているものだが、人工知能の進化によって、2020年代を通じて人間が行う頭脳労働のかなりの部分がAIに置き換わるようになる。
現実に、メガバンクは10年間で1万9000人規模のリストラを計画しているが、これはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるAIによって、事務作業の多くが自動化されることを見込んだ数字である。
AIに仕事を奪われるのは正社員
この国は変質してしまうのか
私もこれまで『仕事消滅』 『「AI失業」前夜』といった著書を通じて、人工知能による仕事消滅論に警鐘を鳴らしてきた。仕事消滅の怖いところは、失業者が増えるのではなく、むしろ給料の高い頭脳労働者の仕事がなくなることだ。言い換えると、人工知能の問題は正社員の仕事を消滅させ、我々の仕事の大半をパートタイム労働だけにしてしまうことにある。
そもそも2030年に644万人の人手不足が発生するという試算の前提は、2030年の日本に7000万人分の労働需要があるという考え方に基づいている。人工知能が1000万人分の仕事を消滅させただけで、この問題はあっという間に解決してしまう。そして2020年代には、実際にAIはそれを上回るペースで人間の業務を効率化していくと予想されている。
以上が2030年問題に関して考えられている主な解決策のリストである。人工知能が頭脳労働を肩代わりしてくれ、外国人労働者がコンビニ・飲食店・宅配便・介護といった若手でないとできない仕事を担当してくれ、生活費の足りない高齢者が警備員・チラシのポスティング・清掃の仕事を請け負ってくれるのが、2030年の未来ではないか。
そのような未来を考えると、2030年問題の核心は、労働力ギャップよりも、日本という国がどこまで変質してしまうのかということだと思う。皆さんはこの問題を、どう考えるだろうか。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
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