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倒産しかけていたアップル 危機を救うためにジョブズが変えたこととは?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181016-00000066-sasahi-bus_all
AERA dot. 10/23(火) 7:00配信
1997年、ジョブズがアップル復帰後に打ち出した「シンク・ディファレント」キャンペーンの広告(Photo by Gilles Mingasson/Liaison)
初代iPadを発表するスティーブ・ジョブズ。2010年1月27日、サンフランシスコにて(写真:gettyimages)
今年の8月2日、アップルは、アメリカで初めて時価総額1兆ドル突破という偉業を達成した。
現在も躍進を続けるアップルだが、それ以前の歴史を知る人にとっては、驚くべき事態かもしれない。今から20年あまり前、創業者スティーブ・ジョブズが不在だったアップルは、業績の悪化を止めることができず、身売りか倒産かと言われるところまで追い込まれていたからだ。
その後、復帰したジョブズによって、アップルはふたたび急成長を遂げた。2007年に時価総額1000億ドルを突破、2011年にはエクソンモービルを抜いて時価総額ランキング1位となり、以後トップを走り続けている。
アップルはどこで間違い、そして、いかにして復活したのか。『スティーブ・ジョブズ 世界を興奮させる組織のつくり方』の著者で、ジョブズとアップルに詳しい桑原晃弥氏に話を聞いた。
* * *
企業がいつまでもイノベーティブであり続けるというのはとても難しいことです。かつてはイノベーティブだった企業も規模が大きくなるにつれてイノベーションを生み出せなくなり、やがては「あの会社も昔はすごかったのにね」と言われる存在になることがよくあります。
企業としてダメになったわけでありません。かつてに比べてより巨大にはなっているのですが、それ故に輝きを失うことがよくあるということです。スティーブ・ジョブズはその原因を「価値観の変化」にあると考えていました。
価値観が変化すると、企業文化が変わり、製品のつくり方や社員の採用の仕方、評価のあり方などもすべて変わってしまいます。
そのことを端的に示しているのが、ジョブズが去った後のアップルです。1985年にジョブズが去った後、アップルはジョン・スカリーの下で躍進の時代を迎えます。スカリーがCEOとなって約10年が過ぎた頃、売上げは80億ドル近くまで伸び、マッキントッシュの設置台数は1200万台を突破、アップルはパソコンの販売台数で世界一となり、業界で最高の利益を上げるまでになっています。
しかし、この時期を境にアップルの業績は低迷を始め、凋落へと向かいます。1つの見方は、最初は目覚ましい働きをしていたスカリーが途中から政界に関心を示すなど集中を切らして失速したという説ですが、ジョブズはスカリーの経営手法は「途中から」ではなく「最初から」間違っていたと見ています。ジョブズはこう評しています。
「問題は、急速な成長ではなく、価値観の変化だった」
初期のアップルに成功をもたらしたのは「世界を変える」ほどの革新的な製品でした。ジョブズがつくったマッキントッシュの特徴は群を抜いた操作性の良さにあり、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)は長い間、独占状態にあり、高い価格設定にもかかわらず売れ続けていました。
そのためスカリーは売上げの拡大や利益の増大を第一に経営を推し進めたわけですが、もしこの時期に利益をほどほどに抑えて、一方ですぐれた製品の開発に人や資源を投入していれば、アップルの販売台数はもっと伸びていたし、シェアも拡大できたというのがジョブズの見方です。こう振り返っています。
「原動力は製品であって利益じゃない。スカリーはこれをひっくり返して金儲けを目的にしてしまった。ほとんど違わないというくらいの小さな違いだけど、これがすべてを変えてしまうんだ。誰を雇うのか、誰を昇進させるのか、会議で何を話し合うのか、などをね」
ジョブズは利益の大切さを否定しているわけではありません。かといって、利益第一になってしまうと、すぐれた製品をつくりたいと願うAプレーヤー(Aクラスの能力を持つ優秀な働き手)は会社を去り、すぐれた製品をつくり出す力は会社から失われてしまいます。企業にとって目に見えにくい価値観をいかに守り抜くかはとても大切なことなのです。
アップルに復帰したジョブズが行ったのは、アップルを再び製品中心の会社へとつくり変えることでした。どこでもつくっているような平凡な製品ならアップルが手がける必要はありません。アップルがつくるべきは「世界を変える」ほどのすぐれた製品だけなのです。そのことをはっきりと宣言したのが「シンク・ディファレント」という宣言であり、CMでした。
ジョブズはすぐれた製品をつくるために必要なのは、ベンチャースピリットと並んで「愛情」だと考えています。やや抽象的な言い方ですが、最高の製品をつくるためには、心の底からその製品を愛し、最高のものにするために誠心誠意努力する気持ちがなければならないというのがジョブズの考え方です。
1970年代のデトロイトでは、自動車産業が衰退しましたが、それは経営者たちが「すぐれた車をつくる」ことよりも、「車を売ってお金を儲ける」ことを愛していたからでした。同じようにパソコン業界からイノベーションが消え、面白みのない業界になってしまったのも、経営者たちが「最高のコンピュータをつくる」ことよりも、「パソコンでもうける」ことを愛していたからだ、というのがジョブズの見方です。
しかし、アップルは違うと、こう言い切っています。
「でも、ここにいるみんなは違うんだよ」
みんなの「愛の結晶」のような製品をつくることができるのはアップルだけ、というのがジョブズの自負心でした。そしてそこから生み出されたものこそがiPodやiPhoneだったのです。
問題は創業者のこれほど強烈な価値観を後継者たちが受け継いでいけるのかです。ジョブズが病気療養中、現CEOのティム・クックはこんな言葉を口にしています。
「我々は、すごい製品をつくるためにこの地上に存在しているのだと考えており、それは今後も変わることはありません。我々は、常にイノベーションに集中しています。社内のどのグループについても『卓越』未満で満足するつもりはありませんし、誰がどの職位に就こうとも、このような価値はこの会社に深く浸透しており、だからこそ、アップルは今後も素晴らしい業績を上げるものと私は考えています」
「アップルは何のために存在するのか?」という質問への答えは「すごい製品をつくるため」であり続けるかどうか、それがアップルの価値観であり、この価値観を守り続けるかどうかがアップルの将来を左右することになるのです。それはジョブズがつくり上げたものであり、それこそが「アップルがアップルであり続けるための絶対条件」なのです。
企業がいつまでもイノベーティブであるためには「すごいものをつくって世界を変える」といった価値観を守り続けることが不可欠です。それを証明してくれたのがジョブズですが、ジョブズが証明したのはそれだけではなくイノベーティブな組織こそが世界最強企業になることができるという驚くべき事実なのです。
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