日米同盟が直面する深刻なチャレンジ第4次アーミテージ・ナイ報告書(安全保障編) 2018/10/22世界潮流を読む 岡崎研究所論評集 10月3日、アーミテージ元米国務副長官とナイ元国防次官補が中心となり、米国の超党派の外交・安全保障問題の研究者グループが‘More Important than Ever - Renewing the U.S.-Japan Alliance for the 21st Century’と題する、日米同盟強化を求める報告書を発表した。いわゆる「アーミテージ・ナイ報告書」の第4弾に当たる(1回目は2000年、2回目は2007年、3回目は2012年)。 報告書は、日米同盟をNATOと並んで世界で最も重要な同盟であると位置づける一方、トランプ政権の言動により日米同盟の先行きについての不透明感が増していることに警鐘を鳴らしつつ、日米同盟の強化に向けた提言をしている。米国の外交安保政策のエスタブリシュメントの最大公約数的な見方として、価値があると思われる。今回は、報告書の中から、特に安全保障に関連する内容を中心に紹介する。 NUMAX3D/eldadcarin 報告書は、日米同盟が直面する深刻なチャレンジを以下の通り4つ指摘する。
第1:日米が支持してきた国際秩序が危機に瀕している。強権的資本主義が拡散する一方、米国の指導者は同盟の価値や既存の世界秩序に疑問を呈している。 第2:日米の指導者は共有する価値観について、もはや歩調を揃えて語っていない。トランプ政権の同盟国に対する取引的アプローチ、強権的指導者への無条件の関与は、人権、民主主義、自由市場と自由貿易、法の支配を含む共通の価値を米国が支持しているとの見方を弱めている。 第3:保護主義が蔓延、中国は不公正な経済的慣行により米日のイノベーションを出し抜こうとし、トランプはポピュリスト的感情を利用して有害な保護主義政策を進めている。 第4:軍事的競争相手は日米同盟の軍事的優位を縮小させている。特に、中国は、軍の急速な近代化を図り、グレー・ゾーン作戦(軍事か非軍事か明確に分類できないような作戦)を進めている。 報告書は、既存の世界秩序や共通の価値観を積極的に支持しないトランプ政権のやりかたを非難する一方、軍事的ライバル、とりわけ中国を念頭に対抗すべしとする点では、トランプ政権と問題意識と同じくしている。むしろ、台頭する中国への対抗は、歴代アーミテージ・ナイ報告書の中心テーマであったと言うべきであろう。報告書の具体的提言を見てみると、日米同盟を通じて、台頭する中国に対抗するという考えは、より明確になる。報告書は、軍事面では、次のような提言をしている。 ・日米による基地共同運用。 ・日米共同統合任務部隊の創設(これは、台湾、南シナ海、東シナ海をめぐる中国との不測の事態への備えとなり得る)。 ・自衛隊の統合司令部の創設。 ・共同作戦計画の策定。 ・防衛装備品の共同開発。 ・ハイテク分野における協力の拡大(長期的には、日本をファイブ・アイズ(米、英、豪、カナダ、ニュージーランド)の諜報ネットワークに組み込む)。 報告書は、日米同盟の負担の分担についても重要な指摘をしている。日本が、自らの防衛支出に加え、駐留米軍の経費の約75%を負担していること、米軍再編への多額の拠出などを挙げ、日本の貢献を軽視すべきでないとする一方、日本が次期中期防、防衛大綱で防衛支出を増額することが重要である、と言っている。報告書は「中国の軍事的能力の向上、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を受け、日本の防衛費はGDP比1%を超える必要があるだろう」としている。負担の分担を増やすべしというのは、トランプ政権の主張と同じである。そして、これは日本が置かれている安全保障環境を考えれば、理にかなってもいる。 トランプ政権が国際秩序をどう考えているのかは、もとより重要な問題である。トランプ大統領に、そうした面で望ましい言動を期待するのは困難であるかもしれない。ただ、日本および日米同盟を取り巻く安全保障環境、地政学的環境に注目すれば、最近喧伝されるようになった「米中新冷戦」を軸にしたものとなり、その中で日本としても自助努力が一層求められるという構図になることは間違いないと思われる。 http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14241 サウジ記者殺害、日本もモノを言え 2018/10/20 樫山幸夫 (産經新聞元論説委員長) サウジアラビアの著名ジャーナリスト殺害事件は、異様、不気味な展開を見せている。サウジ政府は20日、「事故」で死亡したと説明したが、トルコ国内のサウジ総領事館に本国から暗殺団≠ェ事前に派遣され、生きたまま体を切断されたという恐るべき報道がなさ、衝撃は世界に広がっている。英国、ドイツ、フランス3国はすでに。外相共同声明を発表、強い懸念を表明した。しかしながら、報道、表現の自由、人権に関わる問題であるにもかかわらず、各国の足並みが一致しているとはいいがたい。記者の亡命先=A米国のトランプ大統領は、武器売却や対イラン包囲網などを考慮してか、サウジの説明を支持、擁護するコメントを繰り返している。日本政府はといえば、「われ関せず」の態度を露骨に示している。国連安全保障理事会常任理事国入りをめざすにしては、いささか頼りない。サウジ政府が死亡の事実を認めたことを受けて毅然とした対応を期待したい。 ジャカルタのサウジアラビア大使館前で抗議する人々(ZUMA Press/AFLO) 当初、関与を否定してきたサウジ政府は20日になって「カショギ氏は、総領事館内で、いあわせた人物と口論、殴り合いとなり死亡した」と初めて氏の死亡の事実を明らかにし、隠蔽しようとしたことも認めた。あくまで「事故」との立場をとっており、納得のいく説明とは思えない。
サウジ政府を批判してきたジャマル・カショギ記者がイスタンブールのサウジ領事館で殺害されたのではないかというニュースを聞いたとき、戦前の日本で、プロレタリア作家、小林多喜二が虐殺された事件を連想した。有名な「蟹工船」の作者である多喜二は、1933(昭和8年)、警視庁特高課員に東京市内で逮捕され、築地署内で拷問を受けてその日のうちに死亡した。警視庁は死因を「心臓麻痺」と発表したが、遺体は殴られた跡で真っ黒になっていたという。カショギ氏も総領事館に入って数刻を出ずして殺害された可能性があるという。民間人が官憲によって、役所の中で殺害されるという点では実に似通っている。 米ワシントン・ポスト紙は17日の電子版で、カショギ氏から寄稿された「最後のコラム」を掲載した。「アラブ世界がもっとも必要としているのは表現の自由」というタイトルの記事の中でカショギ氏は、大部分のアラブ諸国には報道の自由がないと指摘。「プロパガンダを通して憎悪を拡大する政府」の影響を受けずに、自由に議論する場所を作る必要があると、鋭い筆鋒を展開した。 同記者は米バージニア州に亡命=Aサウジ政府、その実質的指導者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子らによる言論弾圧やイエメン内戦介入などを鋭く批判してきた。 サウジ当局は、今回のコラムのような氏の政権批判に神経をとがらせてきた。 行方不明になった経緯などは、内外のメディアで繰り返し報じられているので、詳細に触れることは避ける。カショギ氏が総領事館に入った瞬間、その翌日に清掃員とみられる人物らがモップらしいものをもって館内に入る様子などがテレビで放映された。遺体処理の痕跡を消すためではないかという。本国から派遣された法医学者らが音楽を聴きながら、生きたまま切断したなどと報道されるにいたって、「戦慄」という月並みな表現以外に言葉がなかった。 氏が総領事館を訪問したのは10月2日。深夜になっても戻らなかったため、総領事館の外で待ち続けていた婚約者が当局に通報した。領事館内部にトルコ政府に通じた人物がいたか、盗聴器による情報収集かによって、トルコ側も事態を把握していたという。 サウジ側は「氏は裏口から出て行った」などと説明していたが、監視カメラにはそれらしき姿はなく、信憑性を疑われていた。当初から、尋問中に事故で亡くなったという苦し紛れの弁明が用意されていたと伝えられ、20日のサウジ政府の説明は、これに沿った内容だった。 当事者意識に欠けるトランプ大統領 英仏独3国外相による10月14日の共同声明は、「事件を深刻に受け止めている。何が起きたのか真相究明を行い、関与した者の責任を問わなければならない」と強い懸念とサウジへの疑惑を表明。サウジとトルコの共同調を求め、「完全かつ詳細な回答を期待する」とサウジ政府に迫っていた。 欧州各国の反応とは裏腹に、いたって対応が鈍いのがトランプ米大統領だ。カショギ氏は米国の永住権を持ち、バージニア州に居を構えており、米国は当事者≠フはずだ。大統領はサウジがカショギ氏死亡を認めた20日の発表を受けて、遊説先のアリゾナ州で「重要な一歩だ」と述べ、発表は信用できるとの見解を明らかにした。 大統領は10月14日、「サウジ政府の関与が明らかになった場合は厳しく対処する」と言明したものの、翌日、サウジのサルマン国王との電話協議の後は一転して、「国王は何も知らなかったといっていた。皇太子も知らなかったようだ」と子供だましのようにサウジをかばい、「ごろつきの殺人者の仕業ではないか」などと珍妙な見解を披露した。トランプ発言通りだとすると、総領事館内を「ごろつき」が闊歩しているというへんな話になるが、サウジ王室関与の印象を薄める意図であることは明白だった。 身内の共和党からもサウジ批判の火の手があがっているにもかかわらず、大統領が臆面もなく露骨にサウジをかばい立てするのは、サウジが中東における強固な同盟国であり、イランに対抗するうえで、その存在が欠かせないことがひとつ。サウジが米国にとって大量の原油供給国であること、昨年5月、1100億jの巨額の武器売却契約が成立したことなどの理由もある。トランプ大統領は、圧力をかけるとサウジはむしろイランと手を組む可能性があること、武器売却が白紙に戻れば、ロシアや中国が武器を売りつけることも懸念している。 そうした危惧はもっともではあるが、事は、報道、表現の自由、人権に関わる問題だ。これらは、民主主義の根幹であり、米国の朝野が建国以来、重きを置いてきた価値観のはずだ。 米国では、さきにトランプ大統領が指名したカバナー最高裁判事の議会承認が、氏のセクハラ疑惑で難航。かろうじて承認されたものの共和党内部も含めて大統領への批判、不満が強まっている。それだけに、今回、対応の仕方を誤れば反発はいっそう強まり、11月6日に投票を控えている中間選挙に影響を与えかねない。 腰が引ける日本の対応 この問題に対するわが国の対応はどうか。 菅義偉官房長官は10月16日の記者会見で、「トルコにおいて捜査中なので日本政府としてコメントするのは差し控えたい」「早期の真相解明、公正で透明性のある解決を期待している」と簡単に答えた。「引き続き報道の自由、人道的見地から事態の推移を注視していく」と付け加えたのが唯一の救いだったが、素っ気ないことこのうえなく、関わり合いになるのを避けたいという姿勢があからさまににじんでいた。言葉の問題だが、せめて「報道の自由、人道的見地…」のくだりを先に持ってきていたら、わずかではあるが異なった印象を与えていただろう。 河野太郎外相は何のコメントもしていないし、外交ルートでサウジ側に日本の懸念を伝えたという話も聞こえてこない。 この問題に限らず、日本は、報道、表現の自由、人権問題などに対しては、ことさら敏感さを欠くように思える。 ごく最近、10月10日に北海道洞爺湖で開かれた日中与党協議会で中国共産党の宋濤中央対外連絡部長が「与党は民意と世論をリードする役割を持っている」「真実を報道するよう働きかけ、正しくない報道は訂正してもらう」などメディア規制とも受け取れる発言をした。さすがに菅官房長官は記者会見で「報道の自由は国際社会での普遍的価値だ」と反論の姿勢を示したが、与党協議会の場では、宋氏に真っ向から異論を唱え、議論されることはなかった。 今年3月、英国内でロシアの元情報部員父娘が神経剤で襲撃された事件が起きた。この時も、日本はロシアを非難こそしたものの、外交官追放など欧州各国がとった強い手段への同調は見送った。それどころか、日本が行ったことは各国と正反対だった。各国によるロシア外交官追放が盛んに行われている3月20日、あろうことかロシアのラブロフ外相を東京に招いて河野外相との間で外相会談を行った。それだけではない。この日は、ラブロフ氏の誕生日とあって昼食会でバースデーケーキまで振る舞うおまけまでつけた。 各国にどう映ったか。メイ英首相は、その前日、安倍晋三首相に電話で経緯を説明、間接的に協力を求めていただけに失望しただろうことは想像に難くない。 常任理事国の資格あるのか 今回のカショギ氏殺害疑惑は、被害者≠ニ加害者≠ェサウジ国籍、舞台がトルコ、氏が活動していたのは米国―と、構図が複雑であり、サウジは日本にとって最大の原油供給国でもあるため、口を出したくないという思いも頷けないこともない。 しかし、日本は以前から国連安全保障理事会常任理事国入りをめざしてきたのではなかったか。実現は難しい気配とはいえ、その看板をいまだに下ろしていないはずだ。厄介な問題に関与することを避けていては、常任理事国入りなど誰が支持してくれるか。夢はますます遠のくばかりだろう。 カショギ氏の死亡を認めたサウジ政府の発表をうけて、どういう対応を示すか注目されるが、腰の引けた対応は許されまい。 それにしても、カショギ氏の死亡事件は、奇怪という他はない。いくら政府に批判的だからといって、著名なジャーナリストを残忍きわまりない、しかも簡単に当局の関与が露見するような手段で殺害するだろうか。にわかには信じがたい話であり、それだけに、サウジ政府の説明もあながち、うそではないのではないかと思えてくるから恐ろしい。 サウジ政府は事件に関与した18人を拘束したことを明らかにしているが、一刻も早く真相が解明され、実行行為者だけでなく、関与したすべての人物が法による裁きの場に引き出されることを期待したい。 冷酷、残虐な事件は全世界のメディアだけでなく、民主主義への卑劣な挑戦でもある。 http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14291 日本の「準同盟国」、どこの国? (スグ効くニュース解説) 峯岸博編集委員 2018/10/22 6:00日本経済新聞 電子版 日本の安全保障をめぐり「準同盟国」という言葉をよく耳にします。どこの国との関係が重要なのですか。 「ニュースのなぜ?」を日本経済新聞の編集委員が解説します。Twitterで質問を募集中です。
回答者:峯岸博編集委員 日本は日米安全保障条約に基づく日米同盟によって、限られた防衛力でも平和を守ってきました。しかし、日本周辺の安全保障の環境は不確実性を増しています。日米同盟を「補完」する役割として日米同盟に準ずる、いわゆる「準同盟」の概念が生まれました。 日本周辺の安全保障の環境は不確実性が増している(日豪外務・防衛担当閣僚協議)=共同 日本は安全保障の利害が一致する友好国との間で、自衛隊と相手国の軍隊による2国間の共同訓練や、防衛装備品の共同開発などを積極的に進めています。 一般的に「準同盟国」に位置づけられているのは、英国とオーストラリアです。日豪は10日、シドニーで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、自衛隊と豪軍が共同活動する際の法的な扱いを定める「訪問部隊地位協定」(VFA)の早期妥結や、2019年の初の戦闘機訓練の実施で一致しました。 カナダ、フランス両国とも、米英豪に続いて、自衛隊と相手国の軍が弾薬や輸送業務などを融通しあう物品役務相互提供協定(ACSA)に署名しました。 最大の狙いは中国へのけん制です。中国は南シナ海で軍事拠点化を進めつつ、経済協力をテコにアジアやアフリカ諸国への影響力を強める覇権主義的な動きをみせています。資源に乏しい日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)の安全も脅かしかねないとみて、日本政府は警戒心を解いていません。 安倍晋三首相は26日に北京で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談します。首脳同士が頻繁に顔を合わせるのは望ましいことです。一方で、18年版の防衛白書は中国に関して「急速な軍事力近代化や運用能力の向上に伴い、わが国周辺での活動を一方的にエスカレートさせてきている」と記述。日本を含む地域・国際社会の安全保障上の「強い懸念」と指摘しました。 政府は東南アジア諸国との海上警備をめぐる協力のほか、首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」に沿って、海洋における法の支配や市場経済を重視する「日米豪印」の枠組みも強化しています。 準同盟国づくりは、トランプ政権になって米国が国際社会で率先して指導力を発揮しようとしなくなっている情勢の変化が背景にあります。 米大統領選のさなかに在日、在韓米軍の撤退をちらつかせて、日韓に対し米軍の駐留経費負担の大幅増額を迫ったり、日韓の核保有を容認したりするなどトランプ大統領の発言に日韓はひやひやさせられました。就任後はこうした過激な発言を控えています。ただ、17年末に発表した米国の国家安全保障戦略で「米国第一」を前面に出してオバマ前政権の国際協調主義を否定したのは記憶に新しいところです。 日本政府は日米同盟を基軸としながらも、米国への過度な依存を避けるため、仲間を増やすことで危機を未然に防ぎ、不測の事態にも迅速に対応しようというわけです。自衛隊による野放図な海外任務の拡大や防衛装備品の膨張につながらないよう、国内への丁寧な説明が必要なのは言うまでもありません。 結論:「日米安全保障条約は不公平だ」と公言していたトランプ氏は東アジアの安全保障にとって不安定要因です。準同盟国をはじめ友好国との安保協力の枠組み拡大が日本の危機管理になっています。 あすは英国のEU離脱問題を解説します。 峯岸博(みねぎし・ひろし)
1992年日本経済新聞社入社。政治記者として主に首相官邸、自民党、外務省、旧大蔵省を取材。2018年3月までソウル支局長。専門は政治、外交、朝鮮半島情勢。著書に「韓国の憂鬱」 トランプ米政権、トランスジェンダーの排除検討 2018/10/22 9:38日本経済新聞 電子版 【ワシントン=中村亮】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、トランプ米政権が性の定義を生まれつきの性別に限定し、変更を認めない措置を検討していると報じた。心と体の性が異なるトランスジェンダーの存在を行政上否定する内容で、多様性を認める世界の潮流に逆行する。11月の中間選挙を間近に控え、共和党支持層の保守派にアピールするねらいとみられる。 性的少数者(LGBT)らによるニューヨークでの抗議集会(2017年7月)=ロイター ニューヨーク・タイムズによると、米厚生省は性について連邦政府機関が「明確で客観的かつ管理可能な生物学に基づく」定義を採用するよう促す方針を検討している。性の変更を認めず、生まれつきの生殖器で定義すべきだと主張。性別に関して異議がある場合、遺伝子検査に基づいて決着させる考えも示す。 オバマ前政権は教育や社会保障といった分野で性の定義を個人の選択とする考えを打ち出した。米連邦最高裁判所が2015年に同性婚を認めるなど性についてリベラル派の考えが広がったが、トランプ政権下で新しい性の定義が採用されれば大きな転換点となりそうだ。 トランプ政権による新しい定義の検討には、中間選挙で保守的なキリスト教福音派の支持を固める意向がにじむ。オバマ氏の政策を否定し自身の成果を訴えるねらいもありそうだ。オバマ氏はトランスジェンダーの生徒に自らが選んだ性のトイレの利用を認めたものの、トランプ氏は17年2月に撤回する通達を出している。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36750070S8A021C1EAF000/?n_cid=NMAIL007
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