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(回答先: 7カ月ぶり1%物価上昇も勢い欠く、元安が足かせとの見方 ガソリン・電気代寄与 低インフレ指摘トランプ口撃FRBの弱点突く 投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 19 日 17:19:36)
サラリーマンを虐待する「老人型社会保障」
「大きくなりすぎた政府」が格差を拡大する
2018.10.19(金) 池田 信夫
世代間格差は富の水準ではなく、分配の不公平の問題である(写真はイメージ)
安倍首相は10月15日の臨時閣議で、来年(2019年)10月に予定されている消費税率の10%への引き上げを予定通り実行すると表明した。増税の最大の目的は「全世代型社会保障」の財源確保だという。これまでマクロ政策偏重だった安倍政権が、3期目に入ってようやく長期的な財政や社会保障の問題に手をつけたのは一歩前進だが、これは政治的には困難だ。
わざわざ「全世代型」と命名したのは、現在の社会保障が「老人型」だと認めたからだろうが、格差が拡大しているのは若者と老人だけではない。「痛税感」の大きい消費税の増税を延期して取りやすい社会保険料を上げたため、日本の社会保障は大きく歪んでしまったのだ。
厚労省の無視する世代間格差
厚生労働省は、今の年金制度が老人優遇だとは認めていない。すべての人が支払った社会保険料より多くの給付を受ける「100年安心」だというのが、その公式見解である。これは数字のトリックで、社会保障の税負担を含めると将来世代は大幅に損し、現在の60歳以上とゼロ歳児では生涯所得で1億円近い差が出る、というのが経済学の世代会計の計算だ。
厚労省もその計算は認めるが、世代間格差は問題ではないという。その公式見解をマンガにした「いっしょに検証!公的年金」というウェブサイトでは、将来世代の年金給付水準が下がるのは「親の世代が日本を発展させ、親を扶養して子供を育ててきたので当然だ」と反論している。子の世代は親の世代から遺産を相続し、社会資本を受け継ぐので、世代全体としては豊かになるというのが厚労省の年金マンガの論理である。
確かに日本の家計金融資産は約1800兆円で、政府債務約1100兆円を引いても700兆円の資産超過になる。将来世代のストックは今より豊かになるので、人口減少で成長が減速しても日本人が絶対的に貧しくなることは考えられない。
しかし遺産を相続できる人とできない人の格差や、社会保険料を負担する世代と年金を支給される世代の格差は拡大する。保有資産が最大なのも所得格差が最大なのも60歳以上の高齢者だから、老人型社会保障は富の逆分配をもたらすのだ。世代間格差は富の水準ではなく、こうした分配の不公平の問題である。
サラリーマンが負担する「見えない税」
日本の社会保障が歪んでいるのは、社会保険料に過度に依存しているためだ。消費税をきらう人が多いが、その増税を延期すると社会保険料が増えるだけだ。2014年以降、消費増税を2度にわたって延期した結果、社会保険料は消費税額の3倍になった。消費者の負担増の代わりに、サラリーマンと企業の負担する保険料が増えたのだ。
厚労省の「社会保障の将来見通し」によると、名目成長率を1%とすると、社会保障給付の総額は今の140兆円から2040年には190兆円に増える。今は46.9兆円の「公費負担」は、2040年には80.3兆円に増える。今後の負担増をすべて消費税でまかなうには、少なくとも18%まで増税する必要がある。
消費税を上げないで社会保険料を上げても、同じことだ。この調子で負担が増えると、今40%の国民負担率(税・社会保障)が、2040年には60%以上になる。社会保障の役割は所得再分配の不公平を是正することだが、このままでは不公平が拡大する。
社会保険料は実質的には税だが、源泉徴収の保険料という「見えない税」として徴収するので、取りやすいところから取るバイアスが生まれ、「痛税感」の大きい消費税の代わりに社会保険料を引き上げるポピュリズムが起こりやすい。
その意味で消費増税を先送りして社会保険料を上げた安倍政権は、政治的には合理的だったが、その負担を財政ファイナンスで消化する日銀に限界が見えたのだろう。しかし世代間格差の存在を認めない厚労省には、公平な負担を求める制度設計は期待できない。
日本にも「納税者の党」が必要だ
戦後の先進国は、社会保障で所得を再分配する「福祉国家」を目指し、政府がケインズ的な財政政策で経済をコントロールする「大きな政府」が進歩的とされたが、ケインズ政策は1970年代に行き詰まった。
失業が増えると同時にインフレになり、財政赤字と高金利で財政が破綻する「スタグフレーション」が起こったため、80年代には、サッチャー首相やレーガン大統領などの「小さな政府」を志向する改革が支持を集めるようになり、保守と左翼の争点は「小さな政府か大きな政府か」という問題になった。これは納税者と税を使う者の対立だった。
日本でも中曽根首相は、レーガンの改革をまねて国鉄や電電公社の民営化を行い、小さな政府に舵を切った。このころは長期金利が8%を超え、歳出を削減しないと財政が破綻するという危機感があったからだ。ところが1990年代以降、低金利・低インフレになるとともに、バブル崩壊後の長期不況で景気対策を求める政治的圧力が強まった。
財政支出で国債の発行が増えると、金利が上がってインフレになるはずだが、奇妙なことに日本では2000年代以降、ゼロ金利とデフレが続いた。これによって財政拡大のブレーキがはずれ、国債が世界に類のない規模で積み上がった。
金利が上がるとかハイパーインフレが起こると警告した経済学者は多いが、今のところ逆にマイナス金利になっている。これは日銀も予想できなかったが、政治的にはケインズ政策に適した環境だった。安倍政権はそれを利用し、増税延期という形で財政赤字による景気刺激を行った。
そのコストは、社会保障のゆがみによる格差の拡大だ。現役世代の負担する税と社会保険料は高齢者が受け取るので、社会全体としてはプラスマイナスゼロだが、労働意欲や消費支出に悪い影響を与える。
いいかえれば市場によって分配されていた所得を政府が分配し、経済が「社会主義化」することによって経済が停滞する。1990年代以降の日本経済の低迷も、大きくなりすぎた政府の副作用だ。しかし日本には、小さな政府をめざす政党がない。安倍政権の経済政策は、野党以上に超リベラルな大きな政府だから、経済政策の争点がないのだ。
とはいえ国債の発行に限界が見えた今、納税者(社会保障の負担者)と受給者の対立は大きくなるだろう。これを世代対立と考えると少数派である若者に勝ち目はないが、働くサラリーマンの問題と考えれば、納税者にも勝機があるかもしれない。負担者の立場に立ち、社会保障の膨張に歯止めをかける政党が出てきてもいいのではないか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54432
ビジネス2018年10月19日 / 16:09 / 1時間前更新
国債の平均償還年限、27年度まで「9年超」=財務省推計で政府筋
1 分で読む
[東京 19日 ロイター] - 財務省は、22日に開催する国の債務管理のあり方懇談会で、2027年度までの国債の平均償還年限が9年超となる推計を新たに示す。投資家の運用原資となる負債のデュレーションが平均6年程度と償還年限より短くなっている現状も併せて示し、安定的な国債発行を続けるには先行きの需要動向の見極めが不可欠との認識を共有する。超長期債の増発抑制要因となりそうだ。
複数の政府筋が明らかにした。日本国債の平均償還年限は18年度に初めて9年を超える見通しで、欧米の主要国に比べて2、3年程度長い。18年度発行計画の年限構成をベースに同省が試算した「将来推計」では、償還年限は今後さらに段階的に伸び、25年度、26年度と9年6カ月に達する。27年度は9年5カ月となる。
一方、主要な投資家である銀行や生命保険、企業年金の平均デュレーションは17年度に6.2年と、米国の8.7年より短い。
こうした現状から、財務省は債務管理のあり方懇で「中長期的な需要動向を見極め、安定的で透明性の高い国債発行を行っていくことが重要」との認識をあらためて示し、19年度発行計画の策定に向け、特別参加者21社や投資家との調整を本格化させる。
山口貴也 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-mof-idJPKCN1MT0TY
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