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トヨタとホンダに「二股」かけるソフトバンク孫社長のしたたかな戦略
https://diamond.jp/articles/-/182716
2018.10.19 佃 義夫:佃モビリティ総研代表 ダイヤモンド・オンライン
トヨタとソフトバンクの提携は大きな話題を呼んだ Photo:REUTERS/AFLO
大きな話題を呼んだ
トヨタとソフトバンクの提携発表
日本の時価総額1位のトヨタ自動車と2位のソフトバンク(発表時)が手を握るという10月4日の提携発表が大きな話題を呼んでいる。両社による新たなモビリティサービス、MaaS(マース)の構築に向けた提携発表は、豊田章男社長と孫正義社長兼会長の対談で締めるという演出も効果的だった。
それから2日後の6日の土曜日には、日本自動車工業会主催の東京モーターフェス2018が行われ、ここで自工会会長を務める豊田章男氏とタレントのマツコ・デラックスさんとのトークショーが開催された。そのサプライズゲストとして孫氏が登場し、豊田章男・孫正義両氏の蜜月関係を強調するものとなった。
トヨタ・ソフトバンクの提携による合弁新会社「モネ テクノロジーズ」の設立は、100年に一度の大変革期を迎えている自動車産業がCASE(ケース)と呼ばれる、コネクテッドカー・自動運転・シェアリング・電動化の次世代技術への取り組みを広げる中での、異業種連携の一例と言えよう。
両社の提携は、この環境の中で若手技術者同士の交流から芽生えたものを、両トップが即断した形だが、豊田章男社長によれば「モビリティの将来に対するビジョンが一致した」という。
一方でソフトバンクは、かねて情報革命・モビリティ革命・エネルギー革命を「ゴールデントライアングル」と名付け、その中でプラットフォーマー(基盤提供者)になることを経営戦略の核と位置づけている。
その一環として自社で運営するソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じて積極的な投資を展開している。米ウーバーや中国滴滴出行など世界の大手ライドシェア企業に出資、今年6月には米GMの自動運転子会社クルーズにも22億5000万ドル(約2400億円)を出資して約2割の出資比率を持っている。
折しも、トヨタとソフトバンクの提携発表の前日、ホンダがクルーズへの出資と事業資金投入を発表し、ホンダとGMの提携拡大にソフトバンクが絡む構図となった。
ソフトバンクは
既にホンダと提携関係にある
ソフトバンクは、日本の自動車メーカーとの提携に関して、トヨタに先行してホンダと提携関係にある。すでに2年前から両社は人工知能(AI)の共同研究で提携し、昨年には提携第2弾として第5世代移動通信システム(5G)の共同研究提携を開始している。
つまり、ソフトバンクの孫流経営戦略は、トヨタとホンダの日本を代表する自動車メーカー2社との連携という、したたかな展開を示しているのだ。先述した通り、ホンダとGMの協業発表が、トヨタ・ソフトバンク提携発表の前夜だったのも何かの因縁だろうか。
ソフトバンクが自社で運営するファンドを通じてGMのクルーズに約2割出資したのは今年6月だが、それに際してソフトバンクは7年間、出資を維持することで合意している。一方、ホンダは、GMとの自動運転の協業に踏み込んでクルーズに出資するとともに、今後12年間にわたり事業資金を支出することになった。
クルーズのアイル・ヴォグトCEOは、ソフトバンクに加えてホンダの出資を受けたことで「GMとソフトバンクにホンダが加わることで無人ライドシェアサービス専用車両を得て本業の拡大を図っていくことができる」と3社連合による自動運転のライドシェア事業への意欲を示している。
つまり、ホンダがGMと組んでの自動運転の協業には、ソフトバンクも連携してCASEへの取り組みが広がる方向になるわけだ。
一方で、今回のトヨタ・ソフトバンク提携に先んじてのホンダ・ソフトバンクの直接的な提携の動きを追ってみると…。
ホンダ・ソフトバンクの共同研究
AIでクルマと対話
まず、2016年7月にホンダの本田技術研究所とソフトバンクグループは、クルマに人工知能(AI)を生かす共同研究を始めたと発表。クルマを単なる移動の道具ではなく、AIで感情を持って「対話する家族」のような新しい価値づくりを目指すというのが発表内容だった。両社の提携発表とともに、ソフトバンクグループが都内ホテルで開いた法人向けイベントで、孫正義社長が壇上に迎えたのが、松本宣之本田技術研究所社長(ホンダ専務)だった。
ホンダの次世代車構想としてAIが相棒のように運転手の感情を読み取り、話しかけたりする動画を披露した上で、松本社長は「データ活用は、我々の想像を超えて加速している。人の役に立つコトづくりも大事になる」と語っている。
当時、「クルマは走るスーパーコンピューターになる」と自動車産業への関心を強める孫社長の期待に応えたのがホンダだったのだ。
昨秋の東京モーターショーでのホンダのコンセプトカーにはソフトバンクと共同開発したAI技術でドライバーの感情やクセを読み、運転を支援するシステムが搭載されてもいた。
これに続くホンダ・ソフトバンク提携の第2弾は昨年2017年11月に発表された。第5世代移動通信システム(5G)の普及を想定し、モビリティとさまざまなモノがつながるコネクテッドカー技術の共同研究だ。ソフトバンクがホンダの北海道・鷹栖のテストコースに5Gの実験用基地局を設置し、5G環境下での共同研究を進めている。
このように、ホンダは自前で埼玉県・和光にAIを含めた先進技術の研究拠点を持ち、米シリコンバレーや中国、欧州のドイツにも研究拠点を展開している一方で、「お互いにウィン・ウィンなら積極的に協業していきたい」と外部との提携も進める方向転換を図っている。
ホンダはさらに、GMやソフトバンクの他にも東南アジアの配車アプリ最大手、シンガポールのグラブにも出資しているのだ。
今回、トヨタとソフトバンクは、豊田章男氏と孫正義氏という誰もが知る両トップのビジョンの一致で、一気に合弁会社「モネ テクノロジーズ」設立に走った。
もっとも、これでホンダとソフトバンクとの提携がご破算になるかというと、そんなことはなさそうだ。
ホンダは2年前からのソフトバンクとの連携を継続していくだろうし、GMとの提携も燃料電池車関連提携から自動運転も含めて広げていくことになるだろう。
次世代モビリティ企業への投資活用を広げる
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループもまた、今回のトヨタ、先行して提携しているホンダをはじめ、世界を股にかけて次世代モビリティ企業への投資活用を広げていくことになる。
孫社長は先述した豊田章男社長との対談の際にも「“群戦略”でモビリティとAIを重ねることでソフトバンクグループの存在感を示していく」と語っている。
また、トヨタも「仲間づくり戦略」と豊田章男社長が言うように、EV基盤開発会社には当初のマツダ、デンソーに加え、今やダイハツ・日野・スバル・スズキ・いすゞ・ヤマハ発動機も参加し、自動車メーカー日本連合軍となっている。トヨタグループ内での戦略についても「ホーム&アウェー戦略」とし、デンソーをはじめとする有力サプライヤーとの協業と自律化の両面作戦をとっている。
いずれにしてもトヨタとホンダの新たな仲間づくりは、大変革時代を生き抜くための方向であり、IT企業や半導体企業などとの連携は必須であろう。デンソーの有馬社長も「トヨタとは価値観を共有しており、今回のソフトバンクとの提携も我々のやるべきことをしっかりやっていくことを改めて自覚した」と語る。
これに対するソフトバンクグループの総帥、孫社長は「これからのクルマは、半導体の塊になる」との発言に見られるように、今後のモビリティを見据えている。ソフトバンクには、栃原広報室長がマツダ広報出身の他、子会社のソフトバンクモバイルの藤原CFOもマツダ出身と人材面で自動車会社との接点も多い。
孫経営のモビリティ革命への「群戦略」は、トヨタとホンダとの「両面作戦」で、どこまでウィン・ウィンの関係を構築できるかが注目される。
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