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東京の高級住宅街の不動産暴落!?「羽田新空路」問題の恐怖
https://diamond.jp/articles/-/182719
2018.10.19 長嶋 修:株式会社さくら事務所創業者・会長 ダイヤモンド・オンライン
羽田空港の発着便を増やすべく、国が新たに設定した空路を巡ってバトルが勃発している。松濤・青山・代官山・白金・御殿山など、都内屈指の高級住宅街が軒並み、飛行機の騒音に悩まされることになるからだ。米国の実例から試算してみると、例えば代官山や白金では最大25%もの価格下落が起きる可能性がある。(さくら事務所会長 長嶋 修)
都内屈指の高級住宅街に迫る難題
飛行機の轟音が住民を悩ませる
住宅地のすぐ上を飛行機が通過すると、とんでもない轟音に悩まされることとなる。特にタワマン高層階は騒音被害が大きいだろう Photo:PIXTA
松濤・青山・代官山・白金・御殿山――東京都心の閑静な高級住宅街やタワーマンションの数百メートル上空を飛行機が通過することになり、地域住民たちは騒然としている。
発端となったのは、羽田空港に新たな空路が設定されたこと。訪日外国人の増加や2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックへの対応、首都圏の国際競争力強化などを目的として、深夜・早朝時間帯を除いてフル稼働している羽田空港の発着便を増やすことになり、これまで空港の東に位置する東京湾側から離着陸させてきた空路に加え、新たな空路が設定された。
これによって、新たに発着便を合計90回程度増やせると国土交通省はもくろんでいるが、問題はその飛行ルートだ。新ルートは、東京都心上空を飛ぶ。天候にもよるが、飛行機は埼玉県上空で左旋回したあと、高度を下げながら新宿・渋谷・港・品川・大田区といった都心上空を抜け、南北に延びる羽田空港滑走路に着陸する。
着陸時間帯は15時から19時のうち3時間程度に限定するとしているが、この時間中は最大90回、2分に1回のハイペースで騒音が発生する。さらに、飛行計画が拡大される可能性もある。需要増加に応じて、早朝・深夜を除いて新ルートを飛行する時間は延長されると考えておいたほうがいいだろう。
このことによって、懸念が2つある。1つは「飛行機からの落下物」だ。人口密集地帯である都心上空から機体の一部などが落下すれば、その影響は計り知れない。国交省は「その可能性はほぼないし、各エアラインには注意喚起を促す」としているが、実際に飛行機から部品が落ちてきた、という事例は日本でもある。
もう1つの問題は「騒音」である。一般に、線路や高速道路・工場など騒音源の近隣に位置する不動産は、その価値が一定程度下がる。新たに設定された空路下の不動産価格は、飛行機騒音の程度によって、価格が下がる可能性があるだろう。しかも、今回のルート下には、閑静な高級住宅街がいくつもあり、タワーマンションも多数立っている。
タワマン高層階は
地上よりさらに被害が大きい
では具体的に、どの程度の影響があり得るだろうか。
新ルート開設によって、国交省が想定する地域ごとの高度と騒音レベルは以下の通りだ。渋谷駅周辺は高度600mで最大74dB(デシベル)、五反田・品川駅周辺は高度450mで76dB、大井町駅周辺に至っては高度300mで80dBとなる。
70dBといえば、「電車の車内」「掃除機の音」「ステレオ」(正面1m、夜間)「騒々しい事務所の中」といったイメージ。80dBともなると「地下鉄の車内」「ボーリング場」「交通量の多い道路」「機械工場の音」などと同等であり、日常会話がかき消されてしまうほどうるさい。
駅前や繁華街などの商業系地域はまだしも、松濤・青山・代官山・白金・御殿山などの代表的な高級住宅街でこうした騒音が毎日発生するのだ。特にタワーマンションの場合は、高層階であるほど騒音被害を受けるだろう。40階建てのタワマンなら、最上階はおよそ地上120mである。例えば品川区で40階にあるタワマンの部屋だと、飛行機との距離が330mしかない。
こうした懸念に対して国交省は「不動産価値については、周辺の騒音等の環境面や立地、周辺施設等の地域要因だけではなく、人口の増減等の社会的要因、財政や金融等の経済的要因、土地利用計画等の行政的要因、あるいはそもそもの需要と供給のバランスなど経済情勢を含めた様々な要素が絡み合い決定される。従って、航空機の飛行と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しい」と、ひとごとのような回答をしている。
代官山や白金では
最大25%の価格下落も!
確かに日本には、騒音が不動産価格に与える影響について明確な基準もないし、目ぼしいデータも存在しない。そこで海外事例を参照してみよう。米国のコンサルティング会社が1994年に連邦航空局に提出した報告書によると、ロサンゼルス国際空港北部の中価格帯地域において、騒音による不動産価格は、1dB上昇するごとに1.33%ずつ下落していた。
このデータを基にシミュレーションをしてみよう。環境省が定める「環境基準」(生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準)の基準値A及びBに基づき、55dBを環境基準として試算すると、現状は環境基準程度の騒音状態である代官山や白金あたりの不動産価格は最大25%、通常60dB程度の大井町駅周辺では最大26%価格下落する可能性がある。
1億円の高級マンションは7500万円、3億円の高級住宅は2億2500万円程度になる計算だ。タワーマンションの高層階で、サッシの防音等級がそれほど高くない場合には、下落率はさらに高くなるかもしれない。
騒音や悪臭、振動などの発生源である、いわゆる「嫌悪施設」が周辺にあれば不動産価格は下落する。例えば閑静な住宅街の真ん中にいきなり工場が建てば、その影響は計り知れない。こうしたことを勘案して、都市計画法では用途地域を主に商業系、工業系、住宅系の3つに分類し、土地利用を制限している。
しかし、今回設定された空路は都市計画には織り込まれておらず、新たな発生源が“空から降ってくる”形だ。
国土交通省は2015年夏から、各地で説明会を開催するなどのアクションを起こしている。筆者はいくつかの説明会に参加したが、会場によっては、担当者に猛然と抗議する地域住民の姿も散見された。またこのことによって悪影響を被る港・目黒など複数区では反対運動を行う会が結成され、HPや街頭活動を通じて見直しを訴えている。
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