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https://jp.sputniknews.com/opinion/201810105439398/
日米の二国間貿易協定 旨味のある取引か、双方が譲歩か?
© AFP 2018 / Brendan Smialowski
オピニオン
2018年10月10日 12:05
タチヤナ フロニ
日米は貿易問題で共通の立場を見つけようと、さらなる二国間交渉を開始する。国連総会のフィールドで安倍・トランプ両首脳はこうしたトライを行うことで合意した。二国間交渉というフォーマットをせがんだのは米国のほうで、日本は依然として多方向での取引合意を望んでいる。スプートニクは、この交渉で譲歩を行うのはどちらになるかについて、専門家らに見解を伺った。
スプートニク日本
米国のTPP離脱は日米パートナーシップには大きな打撃だった。このことが今後、果たしてTPP合意を実現させる価値があるのか、疑問を投げかけた。なぜならTPPを離脱したのはそれを発案し、アイデアを率いてきたまさにリーダーだったからだ。ところが2017年の春には日本政府の立場はすでに大きく変化し始めた。それはこの時日本がTPP案でリーダー役を取り始め、他の参加国との合意に乗り出した瞬間だった。
© REUTERS / Leah Millis
トランプ大統領 インド、日本が「即時の」貿易交渉の意思を表示
ロシア科学アカデミー極東支部、日本調査センターのヤーナ・ミシェンコ上級学術員(経済学修士)はこれを「日本政府側からのデリカシーのある戦略的方法であった感はぬぐえない」として次のように語っている。
「日本は、次の米大統領は米国をTPPに戻すかもしれないとの期待感から、とにかくホワイトハウスの政権交代(次期米大統領選挙は2020年)まで待とうとしているのではないか。ということは今大事なのはこの巨大プロジェクトを『死なせない』ことになる。というのも日本にとって合意の本質はまさに、米国と自由貿易の合意を締結することの重要性につきる。こうした合意は不思議なことに今まで一度もなかったものだ。」
合意がなかった一因は、今まで日本は国内市場に米国産のより安価な農産品が流入することで、国内の農業セクターの生産者の立場が著しいダメージを受けかねないとして、長年にわたってこれに対する危惧感があった。一方で日本の産業界、工業製品の輸出業者はの立場はこれとは逆で、巨大な米国市場へ自由にアクセスしたいと訴えてきた。
© REUTERS / Kevin Lamarque
トランプ大統領「WTOとTPPの加盟国であることは米にとって不利」
元をただせば国会内の農業ロビー活動があまりに強力なために日本のTPP加盟をなかなか説得できず苦労したのは米国のほうだった。その日本がTPP加盟の意思表示をしたのはようやく2013年。ところがトランプ氏がホワイトハウスに来たとたんにTPPへの立場は逆転してしまったのだ。
日米が互いにどういった譲歩を行うかは現時点では全く不透明だ。ロシア経済高等学校の教授で、ロシア科学アカデミー、世界経済国際関係研究所のアレクセイ・ポルタンスキー上級研究員は、米国は事実上、たったひとりで自国なりの他国との経済パートナーシップのビジョンを主張しているものの、その一方で米国の主たる経済パートナー国はさっさと先に進んでいるとの見方を示し、次のように語っている。
「日本、EU,カナダは米国の保護貿易主義には同意していない。カナダは欧州との自由貿易合意を締結し、これはすでに機能している。日本はカナダの先を行き、今年夏には欧州と同様の合意である日本・EU経済連携協定(JEFTA)を結んでいる。これは2019年にはもう発効する。
© Sputnik / Maksim Blinov
日本とカナダ、軍事品供給に関する協定に署名【写真】
この合意では関税撤廃率は99%ほぼ完全に近く取り除かれる。合意はほかの貿易バリアの関税引き下げ、経済成長への刺激、雇用創出も狙いとしている。ところが国際社会ではこれは何よりもまず、EU,日本が保護貿易主義を非難するトランプ米大統領への一種のシグナルと受け止められてしまっている。」
これからの二国間交渉が困難を極めることは明白であるにせよ、米国は先手を打つことを好む。ヤーナ・ミシェンコ氏はその理由は2つあり、いずれもが米国にとっては極めて重要だとして次のように語っている。
「日本は今、TPPの準備をすすめるなかでかなりの部分自国市場を自由化し、開放する構えだ。2番目のファクターは、中国の経済拡張。TPP創設と同時進行で、米中間の『貿易戦争』を背景に日中間貿易のフリーゾーンの議題が活発に議論されている。」
© Sputnik / Sergey Guneev
トランプ氏 スチール、アルミ関税の適用除外国の大統領令に署名
この状況に焚きつけられて、米国は日米の二国間貿易経済合意を通じて、アジア太平洋地域でのプレゼンスをなるべく早くフィックスしようとしている。雑誌『エキスパート』の経済論説員のアンナ・コロレヴァ氏もこうした見解に同意している。
「地政学的問題を解決するためには貿易原則の一部をスルーすることだって可能だ。安倍氏は新米大統領と、彼が就任する前に会談した最初の人物だったという事実は多くを物語っている。そしてこれが今までは作用しなかった、そして米国でさえ最終的には日本のスチール、アルミニウムに対して関税をかけた。それでも両首脳には経済関係を改善するための基盤はある。スチール、アルミ関税は再び必ず議題に上がると私は思う。日本市場を他の輸出業者に解放する、たとえば農産品セクターを解放する代わりに、この路線で意見をすり合わせることも十分ありえる。」
タグ 経済, ドナルド・トランプ, 安倍晋三, 日本, 米国
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