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ぐっちー「リーマン再来よりも史上初の大失業時代が深刻」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181004-00000057-sasahi-bus_all
AERA dot. 10/7(日) 7:00配信 AERA 2018年10月8日号
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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これまで、今の米国経済(ひいては世界経済)が置かれている状況は2008年とは全く違うので、当時の再現を議論するのはナンセンスだ、というお話をしました。主に金融構造の違いを指摘したわけですが、わたくしは経済評論家である一方で米国での経営者でもあるので、その視点からも一つお話をしておきたいと思います。この前のAIの話を併せて読んで頂くとちょうどいいかもしれません。
例えばアメリカ企業のこの10年での時価総額トップ5はどのように変わったと思われますか? リーマン・ショック前の株価がほぼピークだった06年のランキングは(1)エクソンモービル=5400億ドル、(2)GE=4630億ドル、(3)マイクロソフト=3550億ドル、(4)シティグループ=3300億ドル、(5)バンク・オブ・アメリカ=2900億ドルでした。
17年は(1)アップル=7940億ドル、(2)アルファベット(グーグル)=5930億ドル、(3)マイクロソフト=5060億ドル、(4)アマゾン=4290億ドル、(5)フェイスブック=4140億ドルです。
いかがですか? ほぼ総入れ替え! かろうじてマイクロソフトが踏ん張ったのみ。もうこれは米国の経済構造そのものが10年前とは別物、と言うしかありませんね。ちなみに日本のトップ5はほとんど変わっていません。
顕著なのはウォール街の企業が消えてしまったこと。一方でアップルとアマゾンの時価総額は今年既に1兆ドルを超えました。いわゆる「FANG銘柄」が上位を独占する中で、「再び金融危機が……」という考えは、もう時代に取り残されていると言っていいと思います。全く違う世界が来たのです。
いつも書くように、これは米国社会がダイレクトに変化しているということでもあります。IT大手が生み出すツールにより大量の失業者が発生しようとしています。就業者数が変わらなくても実際の収入は激減する可能性があります。まだ目立ちませんが、雇用統計が好調な一方で、賃金上昇が鈍いのは間違いなくこれが原因です。
例えばアマゾンの無人店舗はまだ実験段階ですが、もしすべてのレジが無人化されればレジ係として雇われている340万人(全米の労働者の2.6%相当)の雇用が失われます。AIが多くの仕事をこなすようになれば、あなたが優秀な人材なら世界中の企業が奪い合って賃金がうなぎのぼり。もし「十人並み」ならば世界中の人と職を奪い合わざるを得ず、賃金は下がり続けるはずです。
リーマン・ショックは再来しません。来るとすれば史上初の大失業時代で、それは予想よりはるかに早く、深刻でしょう。08年なんて大した危機じゃなかったな……と振り返らなくてよいことを祈ります。
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