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LCC国内線大拡張の裏で「JAL対ANAの代理戦争」が勃発(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/657.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 10 月 02 日 18:56:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

LCC国内線大拡張の裏で「JAL対ANAの代理戦争」が勃発
https://diamond.jp/articles/-/181016
2018.10.2 週刊ダイヤモンド編集部 


週刊ダイヤモンド2018年10月6日号第1特集は「新幹線vs飛行機 十番勝負」。ライフスタイルの変化や技術革新により、時間や運賃が中心だった「乗り物選びの基準」は多様化した。それを踏まえて、週刊ダイヤモンド編集部では10の切り口で“移動の覇者”の決着をつけた。長らく戦いは「新幹線vsJAL/ANA」の構図だった。そこに近年LCC(ローコストキャリア)が参入。戦いの構図は複雑化している。今回、LCCを含めた各陣営の戦いをレポートした記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開する。

欧米や東南アジアに比べて
日本のLCCは成長余地が大きい


 「拡張率」は200%──。2012年のLCC就航当初と現在の国内線数を比べると、目を見張る結果が出た。

 ジェットスター・ジャパン(JJP)と東西の双璧を成すのが、大阪を拠点に急拡大するピーチ・アビエーションである。

 「日本海の海鮮と銘酒を楽しむ最強グルメ旅!」。キャッチーな触れ込みとともに3月、関西国際空港〜新潟路線が新規就航した。ピーチはターゲットを若い女性に定めて、SNSのインフルエンサーを駆使したマーケティングで客をつかんできた。



 大阪女子は新潟へ行きたくても、何しろ不便だった。新幹線なら東京を経由し4〜5時間、運賃は2万円以上かかる。それがピーチだと1時間10分、運賃は4190円〜で、JAL/ANAの3分の1以下だ。すぐに人気路線となり、搭乗率は85%を記録する。

 ピーチのコンセプトはずばり「空飛ぶ電車」。180人乗り中型機を使って、新幹線やJAL/ANAに価格破壊を仕掛けている。



 利用者アンケートでは、LCCを利用したことがある人は20%強(国内線)にとどまった。乗った理由は運賃が安いから。航空自由化が早かった欧米や東南アジアでLCCシェア(国内線)が30〜50%もあるのを踏まえると、日本でLCCの成長余地は大きい。

 その収益構造をざっくり解説すると、1便180万円の収入に対して運航費用は160万円程度。20万円の利益を捻出するために、無駄を徹底的に省く。搭乗率への執念は、席ががら空きでも走る新幹線の比ではない。LCCでは搭乗率90%はザラで、80%を切る路線は撤退も辞さない。

 そんなLCCが勃興する以前は、新幹線対JAL/ANAが東京〜大阪で50年余りにわたる攻守戦を繰り広げてきた。多頻度・大量輸送の東海道新幹線に飛行機は追い込まれ、新幹線対飛行機の旅客数シェアは86対14と大幅に減った。

 とはいえ、これは単なる飛行機の負け戦ではない。JAL/ANAは、規模拡大は国際線にシフトし、国内線では規模より収益性を選んだのだ。マイルやラウンジの強みを生かしてビジネスマンを確保した結果、東京〜大阪は常に高稼働率のドル箱路線である。

     

 これに続く動きが15年の北陸新幹線開業だ。飛行機の牙城だった東京〜北陸を新幹線が切り崩しにかかった。「トンネルだらけで携帯がぶちぶち切れる」とビジネスマンに不評な点があるものの、下馬評通り飛行機から客を奪った。

 このときJAL/ANAの打った手が、減便や機材の小型化だ。撤退ではなく、いったん身を縮めるのは、実はこの先にビッグチャンスが控えているからだ。

 20年の羽田空港の国際線発着枠拡大である。訪日外国人客を羽田経由で北陸へ運び、新幹線を攻め返すチャンスを狙っているのだ。

 翻ってLCCは今後どこまで成長できるのか。こちらもビッグイベントを迎える。

 20年にピーチと、LCC3位のバニラ・エアが統合するのだ。両社の路線や機材、人員を合算するとJJPを上回り、首位に躍り出る。成田国際空港拠点のバニラがピーチになることで、西のピーチが東のJJPに挑戦状を突き付けることになる。

 意味するところはJAL/ANAの代理戦争である。JALが出資するJJP、対してANA資本同士で統合するピーチとバニラ。新生ピーチは売上高1500億円、営業利益率10%を目指す。対抗軸のJJPも勢いを増すのは明白だ。

 他方、この代理戦争はJAL/ANAが新幹線に仕掛ける「新時代の戦い方」とも言い換えられる。JALは破綻を機に国内線供給量を28%減らしたまま、再開した路線は数えるほどしかない。一方の新幹線は幾つか延伸が進むものの、距離やインパクトで見れば頭打ちである(下図参照)。路線の新規開拓を担うのはまさしくゲームチェンジャーのLCCなのである。



北海道エリアでは両者がタッグを組み
協調路線を模索


     

 象徴的な出来事が起き始めている。JAL単独路線だった東京〜奄美大島に14年、バニラが格安運賃で就航したことで離島人気に火が付いた。年間10万人を運び、地元に42億円の経済効果をもたらすこの現象は「バニラ効果」と称され、LCCが地方を活性化する手本になった。

 ピーチは8月、関空〜釧路を開設した。北海道の東エリアにLCCが飛ぶのは初めてのことだ。今後、道内路線も開設する方針だ。本来はJR北海道が主導すべき道内周遊による活性化を、LCCが担う日も近い。

 経営再建中のJR北海道が16年に開業した北海道新幹線は、どんな変化を生んだのだろうか。

 結論は、新幹線が飛行機の客を奪うことなく「函館や新千歳への需要が高まり、JAL/ANAもLCCの客も増えた」(ANA幹部)。JRが函館を熱心に宣伝したことで観光需要の底上げになったからだ。この効果は30年、北海道新幹線が札幌まで延伸した際にも「期待できるだろう」(同)。

 他方で、新幹線の延伸は「ホテルの働き手不足を解消する」と期待がかかる。パウダースノーで人気のニセコは札幌から車で2時間半かかるが、ニセコの玄関口である倶知安駅が新幹線の停車駅となり、札幌〜倶知安が約20分と劇的に近くなる。飛行機で道外から人を運び、新幹線で地元の雇用を活性化できるかもしれないのだ。

 新幹線と飛行機が激戦区では競争し、タッグを組めるところでは協調する。競争と協調を組み合わせたこの新しい取り組みは、観光立国に向けた試金石となるだろう。

(週刊ダイヤモンド編集部)


 

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