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太陽光発電の課題と市場性とは? 改正FIT後の日本市場のゆくえ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180925-00035462-biz_plus-bus_all
ビジネス+IT 9/25(火) 6:40配信
Vector Cuatro 日本地域マネージャー ホルヘ・デ・ミゲル氏
日本では太陽光発電が着実に進んでいることを受け法体制の見直しも進んでいる。2017年には国民の負担軽減に向けた改正FIT法も施工された。ただし、課題はまだいくつも残されている。発電事業者はそれらにどう対応を図るべきか。先ごろ開催された「SOLAR ASSET MANAGEMENT ASIA」に登壇したVector Cuatro 日本地域マネージャーのホルヘ・デ・ミゲル氏とオリックス 事業開発部 運営管理チーム長の百合田和久氏、Powerhub ディレクターのジェームス・パゴニス氏が、電力事業者が直面する課題と、解決に向けた道筋などについて意見を交わす。
●施設管理がPVの利益と市場の将来を左右する
太陽光発電(PV)の普及を支えてきた固定価格買取制度(FIT制度)が2017年4月、「再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律(改正FIT法)」として新たなスタートを切った。同法は、認証取得時の太陽光パネルの価格などを基に設定された買取電力価格が、その後も維持され続けることに起因する国民の不利益の解消を狙いにしたものである。
改正FIT法では、事業計画の策定や安定的な電力供給のための適切なメンテナンスなどをPV事業者に新たに義務付け、PV施設の資産管理の重要性がより一層高まった。
この点について、「法制対応はもちろん、PV事業の将来性の観点からも資産管理の重要性は明らかです」と議論の口火を切ったのはホルヘ・デ・ミゲル氏だ。PVの最大の課題は発電コストだが、FIT制度はほかの電力よりも高値で買い取ことを約束し、PV事業者の新規参入を促せる点で有効に機能する。ただし、PVの将来的な普及と発電事業者の利益の双方を勘案すれば、発電コストの低減がその一番の近道となるからである。
「リスクを含めた最適化にのためにも資産管理は非常に重要です。それを疎かにしては改善の余地が見過ごされ、当初見通しの未達などにより混乱が生じる可能性も高いのです」(ミゲル氏)
●施設管理はマーネジャー選定を含む“発電戦略”
百合田和久氏はミゲル氏の考えに同意した上で、PV事業における資産管理の意味について自身の見解を述べた。ベースとなるのは次の式である。
(太陽光パネルの)受光時間×発電能力−CAPEX−OPEX=マージン
数式に従えば、PV事業者がマージンを高める方法は「発電量を高める」か、CAPEX(単に不動産を維持するための修繕とは異なる、不動産の価値や耐久年数を延ばすための資本的支出)やOPEX(事業などを運営していくために継続して必要となる費用)を減らして「支払いを減らす」かの2種類しかない。このうち、資産管理は特に後者を大きく左右し、そこで大きな役割を果たすのが資産管理マネージャーの存在である。
「PVプラントの運用には人や技術を要します。また、O&M(オペレーション&メンテナンス)の外部委託のためには経営管理にも精通していなければなりません。そこで、マネージャーには“技術への精通度”“指揮できる部下の数”“経営数値の理解度”などの多様な能力が求められますが、ここで見逃せないのが、それらスキルの程度によって成果は少なからず左右されることです。つまり、資産管理とは単なる発電施設の管理ではなく、マネージャー選定を柱とする継続的な発電最適化の取り組みと位置付けられるのです」(百合田氏)
発電パネルが劣化した際に採るべき方策は、パネルを取り換えるか、一層のコスト削減を図るか、他の技術的な第三の道を探るかなどいくつか考えられる。そこでの適切な判断を、適切なタイミングで行えるかどうかは、資産管理マネージャーの人選を含めた発電戦略にかかっているわけだ。
●契約意識が乏しい日本のプロバイダー
PVのO&Mサービスを提供するプロバイダーはいまやグローバルで数多い。ただし、各国ごとのルールの違いから、サービス内容はプロバイダーごとに少なからぬ違いがあるのが厄介だ。
ジェームス・パゴニス氏は、「従来はプロバイダーを問わず、3〜5年の短期で内容が固まらないまま契約を結ぶことが一般的で、当初の期待と実際のサービスが異なっていたことも少なくありませんでした」と述べるが、近年になり売電価格の急激な値下がりを受け、どこが、何に、どう責任を負うかを明確化する傾向が総じて強くなっているという。
とはいえ、契約締結に影響を与える価格決定の方法や契約書の文面は、どの国でもいまだ明確化されていないようだ。百合田氏も「何を対価に相応の価値と捉えるかは契約ごとにさまざまです。仕事の量や種類をどこまで含めるかで揉めることもあれば、どれだけの人員を投入するかで議論になることもあります。“公正さ”は自分を含めた契約に関わる人によって変わるのです」と打ち明ける。
一方でミゲル氏は、契約時の課題として、「国ごとの契約への意識の差」を挙げる。グローバルでは契約書が数百ページになるこが多いのに対し、特に日本では技術仕様やテスト方法などに一切触れられず、4〜5枚というケースもあるという。「PVビジネスが日本では信頼ベースで行われてきたことに起因しているからでしょうが、とはいえ、評価すべきパラメータの記載がなければモニタリングの実施は不可能です」とミゲル氏は苦言を呈す。
その点を踏まえ、パゴニス氏は施設管理で収集される情報の意義を次のように説く。
「いずれの市場もサードバーティが情報を収集し、課題を含めた現状を明確化することで発展してきました。情報の比較することで、ビジネス的に有意な判断を下せやすくなります。そのためにも、資産管理ソフトウェアは果たす役割は、今後、より大きなものになるはずです」(パゴニス氏)
●オーナーの判断に役立つ施設管理の情報とは?
ただし、ミゲル氏は現状のデータ収集の在り方には問題があると指摘する。すでに施設管理システムで少なからぬ情報は管理されているが、そのほとんどはO&Mに関するもので、施設オーナーの意思決定に寄与するものは少ないというのがその理由だ。
対するパゴニス氏の返答は、現状のシステムでも情報の使い方次第で、オーナーの判断に十分役立つというものである。
「我々のシステムは発電ロスの最小化を目的にしています。そのための情報は多岐にわたりますが、ボタン一つで収集したそれらを基に、予測ベースモデルからロスがどれだけ生じているか、言い換えれば改善によりどれだけ収益向上の土地があるかを算出できます。例えばフィルター交換の頻度が高いことを把握することで、オーナーはコスト削減のために監督者に対して在庫をストックさせるよう指示できるわけです」(パゴニス氏)
百合田氏は、オーナーのための情報活用法などのノウハウ共有のために、海外プロバイダーの国内へのより積極的な参入に期待しているという。百合田氏が在籍するオリックスはすでに海外に数多くのPV施設を保有するが、インドでの契約はEPC契約(設計/調達/建設を含む建設プロジェクトの工事請負契約)よりも高度で驚いた経験があるからである。その点を踏まえ、「日本は改善は非常に得意です。そこで、PV事業の高度化のために、ぜひ最新のサービスや契約を国内に持ち込んでほしいのです」と強調する。
●ファイナンスに代表される日本市場の非効率さ
パゴニス氏のPowerhubが日本市場に参入した狙いも、新たな学習機会の獲得にある。「当社がPV市場に参入した10年前は、遠い将来の話のテラワット級のPVが、今やグローバルで現実のものとなっています。こうした状況のキャッチアップに向けたプロセスとソフトの進化のために多様な学びは欠かせません」とパゴニス氏。
座談会の最後にはセッション参加者から寄せられたPV事業に対する質問に対し、百合氏とミゲル氏は次のようにアドバイスした。
「日本は柔軟さの面で海外事業者に学ぶことが多いでしょう。海外進出にあたっては単に出来上がったパッケージを持ち込むのではなく、関係者と調整しつつ納得できるよう仕上げるわけです。そのためには相手の考え方を十分に学ぶ必要があります」(百合田氏)
「日本ではオペレーションを効率化できる余地がまだまだ残されています。例えば融資を受ける際のファイナンスでは紙ベースの書類が何枚も必要で時間もかかりますが、海外のインターネットバンキングでは、そうした手間と時間に悩む必要はありません。日本の商慣習に由来し、変えることは難しいでしょうが、変化へ即応するためにも、何らかの見直しが今後は必要となるはずです」(ミゲル氏)
(取材・執筆:岡崎勝己)
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