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ぐっちー「震災時を下回る個人消費、消費税はむしろ下げよ」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180913-00000008-sasahi-bus_all
AERA dot. 9/16(日) 7:00配信 AERA 2018年9月17日号
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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今これをお読みの方で、来年間違いなく私の給料は上がる、と確信を持てる人がいったい何人いるでしょうか。その中で来年10月に消費税を上げるのですから、皆様防衛体制に入るわけで、消費なんて増えるはずがない。GDPの60%を個人消費が占める日本ではここが元気にならないと経済はどうにもなりません。
なのにいまだにGDPのせいぜい15%しかない輸出、しかも工業製品輸出に拘泥する日本はどうかしているとしか言いようがありません。日本はフランスに対して貿易赤字だということを認識していない方が多すぎます。赤字の大半はワインなどの1次産品なのです。必死になって工業製品を輸出してもワイン(個人消費)にはかなわない、という現実があるわけです。
数字で見てみると、結構ショックな状況が出てきます。例えば2人以上世帯の個人消費支出。最新のデータで2018年6月の数字は26万7641円。比較したいのは2011年3月の29万3181円という数字です。
これは東日本大震災があった月の数字なんです。関西圏の方はそれほど印象はないかもしれませんが、東京でさえ、スーパーの棚から物が消え、ガソリンも販売停止となった月です。つまり、消費したくても物がなかったあの月よりも、今の消費額は低い。とんでもない現状と言わざるを得ません。
実はその後、この月の消費額を超えたのは消費税増税前の駆け込み需要があった14年3月など数えるほどしかありません。震災があった月の消費を超えられない。その中で消費税を上げることがどれだけ経済の重荷になるか、政権も官僚も理解しているとは思えない。風邪をひいて寝込んでいる患者の布団に氷を放り込むようなものなのです。
こう言うと日本の財政のためにはやむを得ないんだ、という人が必ず出てきますが、日本の財政は別に危なくもなんともありません。トルコやアルゼンチンが経済危機に陥るのは国の借金を外貨で調達しているからで、日本は90%以上国内で調達し、しかも金利はゼロ、です。経常収支は世界最大にして200兆円以上の資産超過。こんな国は世界中に日本しかないわけで、この国が倒産したら、世界中の国が倒産します。
とにかく帳尻を合わせたい財務省が財政危機を煽り消費税アップを叫ぶわけですが、これぞ経済成長を阻害する最大の要因です。したがって、今求められる経済政策があるとすると、いかに消費を増やすか以外にはありません。そのためには一度消費税を下げるという選択はありです。ここで下げると、いずれまた上がるだろう、と考えた消費者が今や、とばかりにお金を使う可能性は十分です。こういう逆転の発想が必要な時期に来ています。
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