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飲食店より低リスク…定年後は300万円で小さな会社を買いなさい 預金や投信より儲かるし、何より楽しい
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56826
2018.08.26 週刊現代 :現代ビジネス
飲食店経営より低リスク
現在のメガバンクの普通預金の利子はわずか0.001%。銀行の低利子では預金をしてもカネが増えることはほとんどない。
また、銀行の販売する投資信託も、まず儲からない。このままでは、サラリーマン時代の貯金を少しずつ食いつぶし、ジリ貧の定年後を過ごす羽目になってしまう。
「老後苦」生活に陥らないためには、どのようにおカネを運用すればよいのか。銀行の言いなりで投信に300万円を入れるようなことはしてはいけない。そのおカネを上手く運用して、豊かな老後生活を送るためのテクニックを紹介しよう。
いま注目されているのは、持っている現金をそのまま預けずに、そのカネを運用して「小さな会社を買う」という方法だ。
つまり定年後に再雇用などで雇われるのではなく、社長になってしまうのである。社長として再スタートを切れば、老後資金だけではなく、新たなやりがいも見つかるかもしれない。
一見、突拍子もなく見えるだろうが、資産家でなくとも、一般的な元サラリーマンが300万円で会社を購入し、社長になることは決して夢物語ではない。
むしろ、すでにビジネスモデルが成立している会社を買うため、脱サラをして飲食店を経営するよりも、ずっとリスクは低い。『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)著者の三戸政和氏が話す。
「いま、日本の中小企業の7割が後継者を探しています。さらに、廃業する中小企業の5割は、黒字であるにもかかわらず、後継者が見つからずに事業を畳んでいる。
数百万円の利益を計上しながらも、『後継者』を探して、わずか数百万円で売りに出されている企業が多く存在しているのです」
会社は、その株式を販売する、というやり方で社長のポストを売りに出している。特に売りに出されているケースとして多いのは、社員数が5〜20人ほどの小さな企業だ。
中には、たった300万円で売りに出されているものもある。退職金で購入することも十分可能だ。
一般的に、社長には多忙なイメージがあるかもしれない。特に、「身売り」しなければならなかった中小企業を立ち直らせるという使命を背負った社長ならなおさらだろう。定年後に、そこまで苦労する体力はない――。
だが、三戸氏によれば、仮に会社を購入して社長になったからといって、定年後も現役時代と同様、汗水を垂らして必死に働く必要はないという。
「中小企業は現場の社員が優秀でも、人数不足でマネジメントが上手くいかずに、経営が頓挫している場合があります。
例えば、やるべきことを洗い出し、期限と責任者を決定したり、そのための定期的な会議を設定する。意外と、こういう当たり前に思える部分に手が回らず、経営が苦しくなっている企業は多いです。
中小企業の社員は会社のことをよくわかっているので、簡単なテコ入れさえすれば、立て直すことができます。
月に2回ほど会議のために出社すれば、あとはメールのやり取りだけで十分。『当たり前』のことだけ実践すれば、汗をかくことなく、利益が大きくなるケースは多く存在します」(三戸氏)
つまり、先頭に立って経営を指揮する必要はない。社員の手の届かなかった部分の簡単な知識を共有するだけで、立ち直る企業は数多く存在する。
失敗しても保証してくれる
三戸氏は、ある破産した中小企業を3000万円で買収し、事業再生を担当している。ところが三戸氏は、その会社にはここ2ヵ月の間、足を運んでいないという。
最初の数ヵ月間だけは器具や備品の購入、銀行の法人用の口座の開設などの基本的な手伝いをした。それが、今は営業報告のメールを毎日確認するのみ。
それでも、当初は営業利益がゼロだった会社が、現在は年間8000万円の利益を上げるまでに回復した。
倒産寸前の状態から回復できる中小企業の社員は、全員が「専門性」を持っている。
スペシャリストたちが集まっている企業は、社員に熱意があるため、業績も回復しやすい。会社全体だけでなく、社員一人一人にまで目を向けると、「自走できる中小企業」は見分けられるのだという。
また、中小企業を購入するメリットには、「売却による資産形成」もある。先述のように、少しのサポートで自走可能な中小企業は、数年社長のポストに就いている間に、企業としての価値が上昇しやすいのだという。
一般に、会社の売却額は「評価額」で算出される。評価額は、会社の純資産に複数年分の営業利益を加えて計算される。例えば、営業利益を年に100万円改善しただけでも、購入した時と比べると、評価額は数百万円上昇した、と計算される。
もし体力が落ち、社長としての生活を断念せざるを得なくなっても、会社を売却して、この数百万円の利益を得てしまえばよいのだ。
万が一買った会社が倒産してしまっても、日本には経営者保証ガイドラインが策定されている。
これによって、会社を購入して社長を継いだ場合、自分が投じた株式以上の損失は生じないようになっている。得られる利益を考えれば、決して高いリスクではないのだ。
いい会社を見つける「奥の手」
では、購入すべき会社はどのように探せばよいのだろうか。
まず挙げられるのは、個人向けのM&A仲介業者を利用することだ。各都道府県には、中小企業庁の外郭団体である事業引継ぎ支援センターが存在する。ほとんどは各自治体の商工会議所の中にある。担当者への相談は無料なので、足を運んでみるのがいいだろう。
M&Aの情報サイトを利用する手もある。代表的な情報サイトである「TRANBI」を検索してみた。ホームページによれば、現在までのユーザー数は1万362人で、実際に購入された数を示す「累計マッチング数」は5157件(ともに7月17日現在)だ。
具体的な案件は、以下のように表示されている。
〈インターネットカフェ/売上高:1000万円〜5000万円/譲渡希望価格:1000万円〉
〈湯布院高級旅館事業/売上高:1億円〜2億5000万円/譲渡希望価格:指定なし〉
このような情報を見て、興味を持った会社の購入を相談することができるのだ。
「TRANBI」の場合、利用には会員登録が必須だが、登録料、相談料、そして購入先の企業とのマッチング(連絡先交換)料はすべて無料となっている。
一方で、前出の三戸氏が「奥の手」として勧めるのが、「現役時代」の取引先を買収する方法だ。
「会社を買ううえでもっとも重要なのは、『自分の現役時代のノウハウを活かすことができる』という点です。全く知らない業界に手を出そうとすれば勉強も必要ですし、失敗のリスクも高くなる。
取引相手の会社なら、事業の方針も、社員のこともわかる。スムーズに事業を継ぐことができるため、より楽をしながら稼ぐことができます」
「社長」になる道は誰にでも開かれている。いたずらに貯金を切り崩して定年後の40年間を過ごさないためにも、自分から積極的に動いて、余裕のある生活を目指してみるのもいいかもしれない。
「週刊現代」2018年8月4日号より
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