http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/171.html
Tweet |
首都高の都心環状線、廃止の議論始まる…必要性低下で、日本橋「景観」問題にも波及
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24381.html
2018.08.12 文=小川裕夫/フリーランスライター Business Journal
首都高(「Wikipedia」より/Hide1228)
現在、東京都心部は2020年に開催される東京五輪に向けて再開発プロジェクトが目白押しだ。そんな再開発ラッシュのなかでも、ひときわ地元民や関係者以外の人たちからも注目を集めている案件がある。それが、日本橋の再生計画だ。
日本橋の上空には首都高の都心環状線があるが、これは1964年に開催された東京オリンピックに向けたインフラとして、開催の前年に竣工。以来、日本橋の上に高速道路が架かることになった。
地元住民などは日本橋にアイデンティティを抱いており、上空に高速道路があるという風景をなんとか解消しようと前回の東京五輪直後から働きかけを続けてきた。しかし、いったん建設された高速道路を撤去することは容易ではなく、今に至っている。
周辺住民の「日本橋に空を取り戻す」という悲願達成に向けチャンスが訪れたのは、2002年だった。小泉純一郎政権が発足すると、その風景は醜悪だとして首都高を除去・移設することが議論された。しかし障害が多く、除去すれば交通渋滞が激化するとして断念。移設するにしても費用が5000億円以上かかると試算された。そのため、プロジェクトはほどなくして自然消滅した。
いったんは断念させられた日本橋再生プロジェクトだが、再び実現する可能性が高まっている。その背景にあるのが、首都高の老朽化だ。小泉政権の議論から10年以上が経過し、間もなく20年が過ぎようとしている。当時、まだ改修するほどではないとされてきた日本橋上空の首都高だったが、さすがに竣工から55年が経過し老朽化が目立ってきた。
架け替えるにしても計画から着工、そして竣工までの期間を考えると、あまり猶予がない状態なのだ。ネックになっていた約5000億円という莫大な費用も、なんとか工面できそうな気配が漂う。日本橋のある東京・中央区の職員はこう話す。
「首都高の大規模改修と時を同じくして、日本橋周辺でも再開発事業が決定しました。この再開発事業は国からの補助金も出ます。再開発と同時に日本橋周辺の首都高の地下化を進めれば、費用は圧縮できるのです。そうした費用面がクリアされることで、日本橋のプロジェクトが再始動したのです」
まだ日本橋周辺の再開発事業の青写真は固まっていないが、再開発と同時に首都高を移設すれば、その費用は3000億円まで抑えられる可能性もあるという。その上、再開発による補助金も出る。再開発によって地域が活性化されれば、経済効果なども期待できる。「その費用は実質的に0円なのではないか」とソロバンを弾く関係者もいる。
■都心環状線の廃止論
現状、地元の中央区や東京都などは、日本橋上空の首都高を地下に移設することを目指しているが、さらに大胆な案も浮上している。それが、首都高の都心環状線の廃止論だ。
日本橋上空に架かる首都高は都心環状線の一部だが、かつて首都高・都心環状線が竣工された頃は、高速道路ネットワークが今ほど整備されていなかった。また、下道の国道や都道なども交通網として脆弱だった。そのため、多くの自動車が都心環状線を利用した。利用する自動車は、東京を目的地として通行している自動車ばかりではない。たとえば、神奈川方面から茨城方面へと抜ける場合、どうしても都心環状線を通らざるを得なかった。
今では中央環状線・外環道・圏央道といった3つの環状高速道路が整備されている。3環状は全線が完成しているわけではないが、都心環状線を使うよりも時間短縮効果があるので、東京を目的地としない自動車の多くは3環状を使って東京を迂回する。また、一般国道や都道も車線増設などによって使いやすくなっているので、都心環状線の存在意義は小さくなっている。
「都心環状線の廃止という意見は地元からも出ているのは承知していますが、仮に廃止した場合、渋滞がひどくなる可能性もあります。それを踏まえると、行政から廃止計画を口にすることは難しいのです。また、都心環状線は中央区だけではなく、千代田区や港区も走っているので、中央区だけで判断できるものでもありません」(前出・中央区職員)
しかし、すでに国土交通省内でも都心環状線の廃止シミュレーションが進められており、東京都も廃止に向けた動きを見せつつある。つまり、首都高・都心環状線の廃止論は荒唐無稽な計画という代物でもないのだ。
■日本の道路行政に影響も
さらに、昨今の社会情勢も都心環状線廃止論の追い風になっている。人々の自動車離れが進み、東京23区に在住する20〜30代にはマイカーを所有していない人も多い。移動手段は鉄道で、必要な時のみカーシェアリングやレンタカーを利用する。自動車免許を返納する高齢者も少しずつ増加しており、今後、東京を走る自動車は減少することは確実だ。自動車の通行量が減少すれば、首都高の利用率は下がる。わざわざ巨額な税金を投入してまで首都高を再整備する必要性は薄い。
これまで、日本橋上空を覆う都心環状線の移設問題は東京の一地域、日本橋界隈の話とされてきたが、そうした見方はもはや時代後れになりつつある。その廃止論争は、単に日本橋の住民たちが空を取り戻すという戦いではない。これまで日本の道路行政や公共工事は、とにかく「必要だからつくる」の一点張りで建設に邁進してきた。もし廃止されれば、不必要な高速道路を廃止、もしくは建設しないという潮流が生まれるだろう。
つまり、日本橋の首都高問題は、日本の道路行政、そして公共事業の今後を大きく変える問題でもある。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。