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食品スーパーの逆襲、コンビニやドラッグへ反撃の糸口とは
https://diamond.jp/articles/-/176015
2018.7.31 森山真二:流通ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
“食の専門店”として、食品スーパーの存在意義が問われている(写真はイメージです) Photo:PIXTA
コンビニエンスストアやドラッグストアに押され放しだった食品スーパー(SM)の逆襲が始まった。イオンは傘下のSM各社の全国的な再編に実行する方針だし、東海地方地盤のSM、バローは生鮮食品が売上高の50%超のSMの出店を開始するなど、SMの攻勢が目立ってきた。コンビニには総菜やファストフードで売り上げを食われ、ドラッグストアには加工食品の安売りで売り上げを食われてきた。しかも最近の「料理作らない化」傾向もあり、食材が中心の品ぞろえのSMはこのところさえなかった。巻き返し策によって再び小売業界で存在意義を示すことができるか――。(流通ジャーナリスト 森山真二)
コンビニにやられっ放しだった
食品スーパー
食品スーパー(SM)というと、真っ先に思い浮かべるのが生鮮食品と総菜ではないだろうか。特に総菜の種類の豊富さはコンビニの比ではなく、出来立てが買えるとあってファンは少なくない。
しかし、その総菜はコンビニにやられっ放しだった。
日本惣菜協会の「惣菜白書」によると、今から約10年前の2009年のコンビニの総菜売上高は2兆957億円、これに対しSMの総菜売上高は1兆9534億円で、その差は約1400億円しかなく、両者は拮抗していた。
だが17年にはSMが2兆6205億円だったのに対し、コンビニがSMを大きく上回る3兆2289億円となり、その差は6000億円も差がついてしまった。
コンビニの店舗数が増えたこともあるが、弁当以外にシニア層や有職女性の取り込みを狙って、ポテトサラダなどレトルトパウチの総菜やハンバーグなどの総菜を拡充。SMのバックヤードで調理した出来立てを提供するというSMの有利点にも勝るとも劣らない、質の高い総菜をコンビニ各社が販売し始めていることが大きく伸びた理由だ。
SMも最近では午後10時、11時閉店と長時間営業の店舗が増えているが、共働き世帯の増加で夕食用としての総菜の購入は、遠くのSMよりも近くのコンビニで済ますという傾向もある。
惣菜白書によるとSMも17年の総菜の売上高は09年に対し、6000億円近く上乗せしているが、コンビニはその倍、1兆2000億円を上乗せしている。本来SMが取り込むべき総菜の売上高を、明らかにコンビニに取られている状態だ。
「最近はSMを1店出店すると3〜5年くらい後には(店の周囲に)にドラッグストアが5店くらい、コンビニが10店くらいできるようになった」と話すのはある大手SMの社長。
コンビニは24時間営業というナイトマーケットに対応、その上、欲しい商品を即座に購入できるという利便性がある。総菜や弁当もSMに比べ遜色がないとまでいったら言い過ぎかもしれないが、近くで買えるということを考慮すれば、総菜の購入の場として遜色がなくなってきた。
加工食品でも
ドラッグストアから安売り攻勢
最大の“集客装置”である総菜の売上高をコンビニに取られてきたSMは、加工食品でもドラッグストアに安売り攻勢をかけられ攻め込まれている。
福岡市内のディスカウント型のドラッグストア、コスモス薬品の店舗では7月下旬、サンヨー食品の「サッポロ一番みそラーメン」5食パックが248円(税込み)で売れられていた。
即席袋めんの売れ筋商品である同品は、SMでは安くても300円を切ることはまれである。同じドラッグストアのウエルシアホールディングスのネット通販では30食入りが2579円。コスモスの5食入りに換算すると、ウエルシアでさえ約429円という価格だ。
コスモス薬品は食品の売上高構成比は50%以上とドラッグストアの中でもSMに近い業態である。
調剤にはあまり力を入れず、ひたすら日常購買頻度の高い食品、しかも加工食品の安売りに力を入れて急成長してきた。ローコスト運営に加え、化粧品や日用品の高粗利部門が食品の安売りを補完する。
特売価格とはいえ、こんな爆発力で攻め込まれたらSMだってひとたまりもない。同じサッポロ一番みそラーメンを買うのに何百円という差があり、SMの店舗と距離がなければ、もちろんコスモス薬品の優先順位は高くなるだろう。
ドラッグストアでもマツモトキヨシホールディングスのように化粧品、日用品を拡充するところもあれば、調剤薬局部門を強化しているところもあり、専門性の打ち出し方で枝分かれしてきている。
しかし、コスモス薬品のように食品部門を広げるドラッグストアは増加傾向で、SMも顔負けの生鮮食品を拡充しているところも増えている。しかも大半のドラッグストアが加工食品や飲料の安売りで集客する手法を取っているのだ。
食品スーパーにとっての
前門の虎コンビニ、後門の狼ドラッグストア
SMにとってはまさに前門の虎がコンビニ、後門の狼がドラッグストアという状態だ。
コンビニとドラッグストアの攻勢にさらされているSM各社は業績でも苦戦を強いられ減益決算が続出。特に、ドラッグストアの“地方豪族”と競合が激化している地方SMはその傾向が顕著だ。
北海道地盤で合併・買収(M&A)で本州南下作戦を展開するアークスや、平和堂、さらにバローなどは今年の決算で軒並み減益となっている。人手不足を背景にした人件費の高騰という要因もあるが、ベースにはコンビニ、ドラッグストアとの競争が激しさを増していることがある。
各地で芽生え始めた
食品スーパー反撃の“狼煙”
しかし、押されているSMとて黙っていない。
バローは生鮮食品を拡大した店舗の出店を開始した。精肉、青果の売り場を広げ、鮮魚に専門店を導入するなどして生鮮食品部門の売上高で全体の「5割以上」を目指すという新型の店舗モデルである。
最近ではロードサイド型の鮮魚専門店チェーンも急成長しており、生鮮食品にも専門店化を求める動きがある。つまりドラッグストア、コンビニの泣きどころである生鮮を徹底的に強化して、戦う土俵を替えるという戦略だ。
イオンの岡田元也社長は今年中に傘下のSMグループの再編を進める考えを明らかにしている。全国の「マックスバリュ」やM&Aで傘下に入れたSMの再編でスケールメリットを出し経営体質の基盤を強化、ドラッグストアなどに対抗していく。
岡田社長は「SMは売上高2000億円を目標にしてきたが、2000億円では大したことができないことも分かった」とSMの再編に前向きな姿勢である。
イオンSMグループの再編で先行したマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社の経営統合によるUSMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)は今年、3社の共通の機能、業務プロセスをHDに統合して、本格的な統合効果を引き出す方針だ。アークスでも傘下のSMのシステムを統合、業務の改善を展開、収益力を強化していく考えだ。
SMはコンビニの惣菜やドラッグストアの安売りに負けない“食の専門店”として存在意義をいかに出していくかが問われている局面に入っている。各地で芽生え始めたSM反撃の“狼煙(のろし)”は、SMという業態の今後の行方を占うことになりそうだ。
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