#ほぼ完全に市場の事前予想通りの結果
日銀、長期金利目標は上下にある程度変動−ETF買い入れも見直し 日高正裕、竹生悠子 2018年7月31日 13:35 JST 更新日時 2018年7月31日 16:47 JST 政策金利のフォワードガイダンスを導入−消費増税の不確実性踏まえ ETF購入は日経平均連動型を減らし、TOPIX連動型を増やす Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 日本銀行は31日の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置いた上で、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成7、反対2で決定した。 黒田東彦総裁は記者会見で、長期金利の変動幅について、これまでのプラスマイナス0.1%から「その倍程度に変動しうることを念頭に置いている」と説明。「金利水準の引き上げの意図はまったくない」とし、金利が急上昇する場合には国債買い入れを実施すると語った。 今回の金融政策の調整は、物価の低迷で2%物価目標が遠のき、超低金利政策の長期化が予想される中、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続性を強化するのが狙い。 2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響も含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」とした政策金利のフォワードガイダンス(指針)も導入する。 黒田総裁は「不確実性を踏まえて当分の間、極めて低い長短金利を維持することにコミットした」とした上で、早期に緩和の出口に向かったり金利を引き上げたりする観測を否定できると述べた。 ETF 指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れについても年間6兆円ペースを据え置いた上で、「買い入れ額は上下に変動しうる」とすることを全員一致で決めた。個別銘柄の株価をゆがめているとの指摘を受け、日経平均連動型を減らし、TOPIX連動型を増やす。 TOPIX、日経平均225、JPX日経400の3指数に連動するETFを従来の3兆円から1.5兆円に減額。TOPIX連動型を2.7兆円から4.2兆円に拡大する。 日銀当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高を長短金利操作の実現に支障がない範囲で現在の水準(平均して10兆円程度)から減少させる。8月積み期は5兆円程度となる見込みという。 誘導目標である長期金利(10年物国債金利)は「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」で変更はない。長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)は「約80兆円」をめどとしつつ弾力的な買い入れを実施する。ETFとともに、年間900億円の不動産投資託(J−REIT)の買い入れも上下に変動しうるとしている。 ブルームバーグの事前調査の結果はこちら 最近の報道では日銀が副作用に何らかの対応策を取る可能性が指摘され、市場でも見方が分かれていた。報道を受けて長期金利が上昇したため、日銀は23、27、30日、指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを実施した。指し値オペを月に3度実施するのは初めて。 物価 農林中金総合研究所主席研究員の南武志氏は電話取材で、日銀が政策調整に踏み切った背景として、物価が低迷する中で今後も現行政策を続ける必要があり、「今のままでは、さすがにまずいという意識があった」と分析。日銀の発表文では現状の政策の調整が「枠組みの強化」と記載してあるとして、追加緩和との「誤解を生む」と批判した。 発表文では、物価の低迷が続く背景として「企業の慎重な賃金・価格設定スタンスや値上げに対する家計の慎重な見方の継続といった要因が作用している」とし、2%の物価目標の実現には「これまでの想定より時間がかかることが見込まれる」と認めた。 会合後に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)によると、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通し(政策委員の中央値)は18年度が1.3%上昇から1.1%上昇、消費増税の影響を除き19年度が1.8%上昇から1.5%上昇、20年度は1.8%上昇から1.6%上昇に下方修正された。 黒田総裁は「19年度2%達成という従来の見通しは後ずれしている」と述べた。ただ「物価のモメンタムは維持されている」と説明し、「現時点では、追加緩和は必要ない」との考えを示した。 決定会合の「主な意見」は8月8日、「議事要旨」は9月25日に公表する。 (黒田総裁の会見での発言を追加しました.)
長期金利が5BPの大幅低下、2016年6月以来−日銀決定内容好感で買い 山中英典 2018年7月31日 15:07 JST 日銀決定、長期金利誘導目標はゼロ%程度を維持 新発10年債利回りは0.09%で開始、その後0.045%まで低下
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 国内債券市場で長期金利が大幅に低下している。日本銀行が金融政策決定会合で現行の緩和策の柔軟運用を決めたが、ゼロ%程度とする長期金利の誘導水準を維持したことで安心感が広がり、買いが優勢になっている。 ブルームバーグのデータによると、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは、日銀の政策決定内容発表後に水準を切り下げ、一時は0.045%と前日比5ベーシスポイント(bp)下げた。長期金利が5bp以上低下したのは、英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が確定的となった2016年6月24日以来となる。 2016年6月当時の記事はこちらをご覧下さい。 日銀は31日の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置いた上で、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成多数で決定。長期金利の誘導目標は「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」で変更はない。長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)は「約80兆円」をめどとしつつ弾力的な買い入れを実施する。ETFとともに、年間900億円の不動産投資託(J−REIT)の買い入れも上下に変動しうるとしている。 債券上昇、日銀緩和策の長期化観測でフラット化−総裁発言受け売りも 三浦和美 2018年7月31日 8:09 JST 更新日時 2018年7月31日 16:23 JST • 長期金利は一時0.045%に低下、20日以来の水準 • 市場は従来通り長期金利が0.1%を上回ることはないと判断−岡三証 債券相場は上昇。日本銀行がこの日の金融政策決定会合で、強力な金融緩和継続のための枠組み強化を打ち出したことを受けて、大規模緩和策の長期化観測を背景に利回り曲線のフラット(平たん)化が進んだ。一方、黒田東彦総裁の会見での発言を受けて長期金利が低下幅を縮める場面があった。 31日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の351回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低い0.09%で取引を開始。午後に日銀の政策決定内容が伝わると、徐々に買い圧力が強まり、一時は0.045%と、20日以来の水準まで低下した。 超長期債も軒並み買われ、新発20年物の165回債利回りは一時7.5bp低い0.525%、新発30年物59回債利回りは8.5bp低い0.745%、新発40年物の11回債利回りは10bp低い0.865%を付けた。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、日銀の政策決定について、「当分の間はイールドカーブコントロールを変えないことを宣言したということ。今までと変わらず粘り強く緩和策を続ける姿勢がさらに強く示されて、市場は従来通り長期金利が0.1%を上回ることはないと判断した」と指摘。「大枠として緩和姿勢が強化されたことが好感されて、買い戻される展開になっている」と言う。 長期国債先物市場で中心限月9月物は前日比9銭安の150円35銭で取引を開始。日銀の政策発表後に一時150円24銭と、日中取引ベースで2月5日以来の水準まで下落したが、徐々に買い戻され、150円80銭まで急上昇。結局は25銭高の150円69銭で引けた。 日銀は31日の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置いた上で、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成多数で決定した。 日銀決定会合の詳細はこちらをご覧下さい。 岡三証の鈴木氏は、声明文で長期金利目標に関して経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるとの文言が加わったことについて、「市場は今のところ納得しているようだが、多少の変動という部分は誤解を招く可能性もあり、判断は分かれるところだ」と指摘。「上限に関しては0.15%かもしれないし0.20%でもいいのではないかという話になりやすい面もある」と話した。 黒田日銀総裁は午後の定例会見で、長期金利の変動幅について、「現在のプラスマイナス0.1%の倍程度を念頭に入れている」と述べた。声明文に書かれていない発言を受けて債券市場では一時的に売りが優勢となり、長期金利は0.045%から低下幅を縮め、0.06%に戻した。 新発国債利回り(午後4時時点) 前日比 2年債 -0.115% +0.5bp 5年債 -0.090% 横ばい 10年債 0.060% -4.0bp 20年債 0.530% -7.0bp 30年債 0.745% -8.5bp 40年債 0.865% -10.0bp
日銀後のドル円相場と米FOMC前の米指標をチェック 配信日時 2018年7月31日(火)15:45:00 掲載日時 2018年7月31日(火)15:55:00 【これからの見通し】日銀後のドル円相場と米FOMC前の米指標をチェック
この1週間、日銀関連の思惑に落ち着かない値動きだったドル円相場だが、きょうの決定会合ではほぼ事前報道に沿った内容に決定が発表された。長期債オペの柔軟な運用、ETF購入の日経平均からTOPIXへの重心移動が発表されている。為替市場ではやや円安、株式市場では買いの反応がみられた。一方で、日銀の物価見通しは下方修正されており、2%目標の達成時期は遠のいている。これまでの、何としても2%達成の気概はやや後退しており、市場との対話や金融政策の持続性に目標が移った印象を受ける。もっとも、黒田総裁はそうは言わないだろうが。本邦長期債利回りは低下しており、このあとの海外勢の反応をチェックしたいところ。 日銀関連の値動き一巡後は、あすの米FOMCに視線が移動することになろう。きょうは米経済指標の発表が多い。代表的なインフレ指標である米PCEデフレータ(6月)が発表されるほか、米個人所得(6月)、米個人支出(6月)、米S&Pケースシラー住宅価格(5月)、米シカゴ購買部協会景気指数(7月)、米コンファレンスボード消費者信頼感指数(7月)などが発表される予定。あすのFOMCでは利上げは見送られる見込みが強いが、市場では9月利上げ観測がより確かなものになるのかどうか、米経済統計を確認しておきたい。米株式関連では、アップル、ファイザー、P&Gなどの決算発表が予定されている。 このあとのロンドン・欧州市場では、一連のユーロ圏経済指標が発表される。ドイツ失業率(7月)、ドイツ失業者数(7月)、ユーロ圏失業率(6月)、ユーロ圏消費者物価指数・速報値(7月)、ユーロ圏GDP・速報値(第2四半期)など。 また、カナダ経済指標も多い。カナダGDP(5月)、カナダ原材料価格指数(6月)、カナダ鉱工業製品価格(6月)などが発表される。東京市場でカナダドルが急落している。一部報道で、カナダがNAFTA協議から除外されると報じられたことが背景。この後の海外市場でも続報でカナダドルが神経質に動きそうだ。 minkabu PRESS編集部 松木秀明 トップニュース2018年7月31日 / 15:11 / 1時間前更新 日銀が政策修正、長期金利の変動容認:識者はこうみる 2 分で読む [東京 31日 ロイター] - 日銀は30─31日の金融政策決定会合で、強力な金融緩和を継続するための枠組み強化を決定した。長期金利の誘導目標を「ゼロ%程度」とする方針は維持した一方、「金利は経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする」と明記。 上場投資信託(ETF)では、TOPIX連動型の買い入れ額を増やすことも決めた。 日銀の決定と、黒田東彦総裁の会見についての市場関係者のコメントは以下の通り。 <メリルリンチ日本証券・チーフ金利ストラテジスト 大崎秀一氏> 総裁は会見の冒頭で、長期金利の変動幅について、プラスマイナス0.1%の倍程度を想定していると述べ、0.2%程度まで上昇を容認する姿勢を示した。変動幅は市場の想定内だろう。日銀は長期金利の変動幅をはっきりと明示することで、円債市場にくすぶっていた日銀調節への不透明感を払しょくさせたかったのだろう。 長期金利変動幅の拡大で、今後は10年0.1%超えをチャレンジする場面が出てくるだろう。しかし、日銀が30日に通告した指し値オペで落札額が約1.6兆円に膨らんだことで、10年債の品薄感が強まっている。また、日銀が10年債の月間発行額を超える国債を買い入れる構図は変わらない。買入額を減らさないと、金利は下がってくるだろう。8月2日の10年債入札は、市場参加者の金利観を探る上で重要なイベントだ。 日銀は政策金利のフォワードガイダンスを導入した。少なくとも、19年10月に予定される消費税引き上げの影響を見極めるまで、緩和枠組みのマイナーチェンジを繰り返しながらも、低金利が継続するのではないか。 <三菱UFJ銀行 チーフアナリスト 内田稔氏> 長期金利の誘導目標引き上げなどを想定していた向きは、ドル/円を売り仕掛けていたようだ。日銀の政策自体は据え置きだったので、発表後はいったん持ち高調整のドル買い戻しが先行した。 ただ、長期金利の変動幅に余裕を持たせ、マイナス金利の適用範囲も縮小するとなれば、場合によっては短期ゾーンを中心に金利が上昇する可能性もある。ETF購入も「上下に変動」としているが、減額の可能性もあるだろう。少なくとも円安期待を高める内容ではない。 ドラスティックに政策を変化させるわけではないだろうが、「日銀の緩和長期化で円安」という見方は後退していくことになるだろう。 明日以降、日銀が「指し値オペ」の水準をどこまで上げるのか、ETF買い入れ額が減少するかなど、どの程度の副作用軽減策に取り組むかを見ていくことになる。現時点でどこまで円高が進むかは読みにくいが、少なくとも円安材料にはなりにくい。 <みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治倫敦氏> 日銀金融政策決定会合の結果を受けて、イールドカーブがブル・フラット化している。8月の長期国債買い入れの運営方針で1回当たりのオファー額のレンジが据え置かれたため、オファー減額で金利上昇を誘導していかないと受け取ったようだ。 ただ、「長期金利誘導目標の対応は柔軟な運営を行う」をどのように解釈するか大切だ。これを基にすると、今後のオペ運営がどのようになっていくか決め打ちはできない。指し値オペの水準が今までと変わる可能性があることや、オファー減額で金利を上の方向に誘導するかもしれない。 <大和住銀投信投資顧問 経済調査部部長 門司総一郎氏> 日銀会合の結果は大方の予想通りであり、サプライズはない。引き締めの可能性を読んでいた投資家のポジションが巻き戻されて、株高・円安の初期反応となっているが、持続性はないだろう。ETF(上場投信)買い入れの柔軟化は金融政策というよりファインチューニングであり、特に気にする必要はない。ただ、出口に向けた議論が進んでいる印象もうかがえる。9月会合では出口を意識した方針を打ち出してくる可能性がある。マイナス金利のような弊害の大きい政策の明確な変更が望まれる。 ビジネス2018年7月31日 / 17:26 / 1時間前更新 長期金利の変動幅、プラスマイナス0.2%程度を念頭=黒田日銀総裁 1 分で読む [東京 31日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、長期金利の変動許容幅は、従来の倍に相当する「プラスマイナス0.2%程度」を念頭としていることを明らかにした。柔軟化に踏み切った理由については「国債市場の機能改善」と説明した。 一方、「金利水準が切り上がっていくことを想定しているわけではない」とも述べた。 日銀は今回の会合で、現行の金融緩和政策の持続性を高めるための措置を決めた。物価2%の達成が厳しく、金融緩和の長期化が避けられない中で、副作用を抑制するのが狙い。 黒田総裁が言及したのは、国債市場の流動性低下だ。日銀はこれまで、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導してきたが、今回の会合では、誘導目標自体は維持した上で、一定程度の変動を容認する考えを明記した。 総裁は「ゼロ%程度」が、事実上「プラスマイナス0.1%」と解釈されていることに触れた上で、「非常に狭い範囲で(金利が)動いているために、時々、国債の取引が成立しないなど国債市場の機能がやや低下している」と指摘。 変動許容幅を倍にして市場の取引を活性化させることで、金融緩和の持続性を高めたと説明した。 また、低金利の長期化が与える影響については「将来的に金融仲介が停滞に向かうリスクはある」と指摘した一方、「金融機関の収益を改善するために金融政策を行うことは考えていない」との認識を示した。 物価動向に関しては、日銀が従来示していた「2019年度頃」の物価目標達成が後ずれしていると認めた。具体的な達成見込み時期は明言しなかったが、「物価上昇を遅らせてきた要因は次第に解消する」と語った。 2%の物価達成には需給ギャップがプラスを確保し続けることが重要とし、現時点での追加緩和の必要性は否定した。 一方、日銀は物価目標実現に向けた姿勢を強化する観点から「政策金利のフォワードガイダンス」を導入。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と明記した。 この点について、総裁は「早期に出口に向かうのではないか、金利が引き上げられるのではないか、という一部の市場観測は完全に否定できる」と述べた。 *内容を追加します。 梅川崇 ビジネス2018年7月31日 / 13:46 / 3時間前更新 日銀、緩和政策の持続性強化策を決定 長期金利目標・ETF買入を柔軟化 2 分で読む
[東京 31日 ロイター] - 日銀は30─31日の金融政策決定会合で、物価見通しの下方修正を踏まえ、強力な金融緩和策の持続性を強化する措置を決定した。イールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで、これまでの短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度の誘導目標は維持しながら、長期金利について変動幅の拡大を容認。上場投資信託(ETF)も年間約6兆円の買い入れ額を「市場の状況に応じて上下に変動しうる」と柔軟化。東証株価指数(TOPIX)連動型の購入割合を拡大することも決めた。 同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、分析期間となる2020年度までの消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しを下方修正。物価2%目標の実現は「これまでの想定よりも時間がかかる」との認識のもと、現在の金融緩和政策の持続性を強化する一方、フォワードガイダンスの強化で目標達成への決意を表明した。 新たなフォワードガイダンスはYCCに関連させた。2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた「経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」とし、物価が上がりづらい状況の中でも、物価2%目標を早期に実現するとの姿勢に変わりがないことを示した。ガイダンスの導入には、原田泰審議委員と片岡剛士審議委員が反対した。 また、政策の持続性を確保するため、長期金利目標とETFの買い入れ手法を柔軟化。長期金利はこれまでの誘導目標を維持しながらも、経済・物価情勢などに応じた変動を容認する。現在は、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」によって、変動幅は上下0.1%に抑制されているが、それを超えた金利変動も可能としたかたちだ。長期国債の買い入れ額は、年間80兆円をめどとしつつ、「弾力的な買い入れを実施する」とした。 長期金利の誘導目標の柔軟化を巡っては、原田委員と片岡委員が反対した。原田氏は、長期金利の変動を容認することは「政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎる」と指摘。片岡氏は「長期金利操作の弾力化は『ゼロ%程度』の誘導目標を不明確にする」と主張した。 ETF買い入れは、年間約6兆円の買い入れ額を維持しつつ、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうる」と買い入れ手法を柔軟化する。不動産投資信託(J−REIT)の買い入れについても、年間約900億円の買い入れを据え置き、同様に弾力的な買い入れを行う。 ETFは従来、TOPIXの年間2.7兆円に加え、TOPIX・日経225・JPX日経400の3指数で計3兆円を買い入れていたが、それぞれ4.2兆円と1.5兆円に配分を変える。8月6日から実施する。 さらに、日銀当座預金のうち、一部のマイナス金利が適用される残高について「長短金利操作の実現に支障がない範囲」で、現在の平均10兆円程度から減少させる措置も決めた。8月の積み期間は5兆円程度となる見込み。 声明文では、こうした変更を決定するとともに、「『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当と判断した」との認識を示した。 日銀は長期金利のある程度の変動を認めることに[FISCO] 配信日時 2018年7月31日(火)16:07:06 掲載日時 2018年7月31日(火)16:17:06 日本銀行は31日開催の金融政策決定会合で、長短金利水準を据え置き、長期金利目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」ことを賛成多数(7対2)で決定した。日銀当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高については、現在の平均10兆円程度から8月は5兆円程度に減少する見込み。なお、黒田日銀総裁は会見で「長期金利の変動幅は現在の0.10%程度から2倍になる」との見方を示した。長期金利の誘導目標水準は0%程度とするが、状況に応じて?0.10%から0.10%までの幅で長期金利が変動することを認めるようだ。日銀は2019年度の物価見通しを引き下げたが、今回の調整はそうした変化にも対応するものと指摘している。日銀がマイナスの長期金利水準を容認することは極めてレアなケースに限定されると思われるが、通常における長期金利の水準はこれまでとの比較で若干上昇するものとみられる。
日銀決定会合長期金利上昇を容認 1年10カ月ぶり修正 毎日新聞2018年7月31日 13時13分(最終更新 7月31日 13時49分)
経済 最新の経済ニュース 速報 経済政策・財政 日本銀行本店 日銀は31日開いた金融政策決定会合で、0%程度に誘導している長期金利を柔軟に調節することを決めた。これまで0〜0.1%程度に抑えてきたが、変動幅を広げ、事実上金利の上昇を容認する。政策修正は、現行の長短金利操作を導入した2016年9月以来、約1年10カ月ぶり。 <マーケット速報>株価や為替の動きは? <日銀総裁再任 黒田氏問われる手腕 出口戦略に課題> <黒田日銀を問う 資産膨張を止めよ 慶応大教授・白井さゆり氏> <国債市場と神経戦>日銀、連日の指し値オペ <家計保有額30兆円過大 「貯蓄から投資」実態は逆> 短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度とする現行の政策金利は据え置いた。超低金利政策を続ける意思を示す一方で、市場の実勢金利を一定程度上げることで、金融市場や銀行経営に与える副作用の軽減を図る狙いがあるとみられる。黒田東彦総裁が午後に記者会見を開いて決定理由を説明する。 決定会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、18年度の物価上昇率見通しを前回4月の1.3%から1.1%に、19年度を1.8%から1.5%に、20年度は1.8%から1.6%にそれぞれ引き下げた。日銀は前回4月の展望リポートから物価上昇率2%の達成予想時期の明示をやめたが、それまでは19年度ごろと見込んでいた。今回の下方修正で、20年度以降への後ずれが確実になった。 長引く超低金利により、金融機関の収益悪化や国債市場の取引激減といった副作用が目立っている。物価見通し引き下げで超低金利政策のさらなる長期化が避けられないことから、会合では副作用軽減策が議論された。金利の変動幅が拡大すれば市場取引が活性化するほか、金利がある程度上昇することで金融機関の負担も軽減できると日銀はみている。 日銀はまた、金融緩和の一環で年間6兆円規模購入している上場投資信託(ETF)の買い入れ額を変動させることを決めた。また、東証株価指数(TOPIX)などに連動したETFの購入を増やし、日経平均株価に連動したものを減らす。日経平均は対象銘柄が少ないため、一部の銘柄で日銀の保有比率が高まって株価をゆがめたり、経営監視機能を低下させたりする弊害が指摘されていた。【土屋渓】
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