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3年間で5億円売り上げていた大阪城のたこ焼き屋さん、巨額脱税はなぜバレたのか?
http://biz-journal.jp/2018/07/post_24230.html
2018.07.31 文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人 Business Journal
元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな粉ものは「広島風お好み焼き」です。
7月25日、NHKが『たこ焼き売店 1億3000万円余を脱税か 国税局が告発』と報じました。
大阪城の天守閣そばにある売店の72歳店主が、たこ焼きなどの売り上げで得た所得を申告せず1億3000万円余りを脱税したとして、大阪国税局から告発されました。外国人観光客の増加で、爆発的に売り上げを伸ばしていたということです。告発されたのは大阪城公園の一角にある売店「宮本茶屋」を経営している大阪・西成区の宇都宮タツ子店主です。
このような零細っぽい、日銭を現金で稼ぐようなイメージの業種が、脱税で告発されることはまれです。実際に、去年の脱税は建設業と不動産業だけでしたし、それらは取引金額がとてつもなく大きいのが特徴です。
たこ焼き店の規模で、脱税と認定されるほどの金額を積み上げるのは、並々ならぬ商売力がないと不可能です。相当立地が良く、味も評判も良かったのでしょうか。今回は、このたこ焼き店の脱税について解説します。
店主は、大阪城天守閣に通じる門の前で、たこ焼きを販売する売店を営んでいたそうです。たこ焼き以外にも、焼きそばやソフトクリームなどを販売。たこ焼きの値段は8個600円でした。
この売店では、3年間に5億円以上の売り上げがありましたが、確定申告はしておらず、もちろん納税も怠っていました。1年間の売り上げが1億7000万円とすると、ひと月1400万円弱です。たこ焼きだけだと1日当たり700セット、計5600個以上のたこ焼きを売っていた計算になります。
大阪国税局は3億3000万円の所得を隠し、1億3200万円を脱税したとして告発しました。報道では、容疑は所得税法違反となっています。しかし、たこ焼き店の取引は課税取引なので、消費税がかかります。600円のたこ焼きにも消費税が含まれています。2500万円程度の消費税の納税が必要なはずですが、こちらが報道されていないのは、消費税については脱税ではなく、単純な無申告として処理されたのかもしれません。
さらに、延滞税や重加算税、無申告加算税は6000万円を超えると考えられます。つまり、最終的には2億円以上の納税額となる可能性があります。
■40年無申告でもバレない?
店主は「脱税して得たお金は、主に預金していた」と話しているとのことなので、納税は比較的容易にできるかもしれません。
脱税した理由については「外国人観光客の利用が増え、売上が急速に伸びたものの、忙しくて申告できなかった」と説明しているそうです。一方で、「家族でホソボソと営んでいて、申告の必要がないと思っていた」と、矛盾する発言も見られます。確定申告の必要性は理解していたが、40年間同じ場所で営業してきて、無申告を指摘されたことはなく、「どうせばれないだろう」と高を括っていたのかもしれません。
もし、この売店が40年間無申告だとして、「そのようなことがあるのか」と聞かれると、ズバリ「あります」。無申告が続くと、そのお店や会社の情報がほとんどないので、申告しているかいないのかわかりません。仮に、税務署の職員がそのたこ焼き店に行ったことがあるとしても、屋号しかなく、従業員の名前も店長の名前もわからず、会社名もわからないので、申告内容を照会することもできません。屋号と会社名が異なっていて、正しく申告しているケースが多いですし、店頭で「申告していますか」と聞くわけにもいきません。
このように、情報がまったく無い場合、その存在すら気づかずに、調査が行われないことがあるのです。
今回の調査がなぜ行われたのかはわかりませんが、求人広告や取引先の記録から存在が発覚することもありますし、あまりにも活況を呈していれば、熱心な調査官が不審に思い、該当者が見つかるまで申告状況を確認し、どんなに探しても見つからないので「もしや無申告なのでは」と考えて調査に着手した可能性もあります。遡及して調査できるのは7年までなので。すでに時効になってしまった分もあったかもしれませんが、今回の一件が同業者への牽制になり、正しい申告が増えることを願います。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)
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