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社会学作家の秋嶋亮(旧名・響堂雪乃)氏が、アメリカ抜きのTPP11にアメリカ企業が参加できる仕組みを新著のインタビューで詳しく述べています。ぜひお読み下さい。
編集者: つまりアメリカの外交戦略としてそのような方法論が確立されているわけですね。
秋嶋: 「通貨による支配」に代わって登場したのが「経済ルールによる支配」なんですよ。ハンナ・アーレントはこれを「権力輸出」という言葉を使って説明しましたが、要するにモノやサービスで他国の市場を奪うだけでなく、政治機構そのものを乗っ取り、暴力的に統治しようという新植民地主義です。
編集者: 具体的に彼らはどのようなことを目論んでいるのでしょうか?
秋嶋: 資本規制撤廃(外資による東証企業買収の簡易化)、労働者の非正規化、労働権の解体(解雇の自由化)、郵便やインフラや学校の民営化、多国籍企業優遇(租税回避の黙認、法人税の引き下げ、消費税の還付や補助金の支給)、その原資確保のための福祉・医療・教育の切り捨てと消費税率の引き上げ、関税の撤廃、外資による農地と漁業権の取得、混合診療の解禁(保険不適用治療の拡大)、先軍体制(戦争国家化により社会資本を軍事に優先する体制)の確立などです。もっとも大半はすでに実現していることですが。
編集者: しかしトランプは就任早々TPPからの離脱を表明しました。日米関係はこれで変わったのではないかという指摘もありますが。だとすれば日本が植民地的な体制から解放される希望もあります。
秋嶋: トランプ政権がTPP離脱を表明した事情は(NAFTAによって500万人もの失業者が生じたことから)自由貿易を警戒する保守層への配慮です。だから彼らは「自国ではなく他国を迂回して当初目的を達成すればよい」という発想に切り替えたわけですよ。そもそもTPPは「国家対国家の通商条約」ではなく、「国家対資本の通商条約」ですからね。すなわち企業にとって触媒となる国家がアメリカだろうがオーストラリアだろうがどっちでもいい。とにかくTPPに加盟した国を使って日本を完全支配しようという魂胆なわけです。
編集者: ちょっと意味が分からないのですが。
秋嶋: 先にFTAに加盟した韓国でISD訴訟(投資家が不利益を被ったとして起こされる裁判)が相次いでいるのですよ。そしてそこで明らかとなったことは「加盟国のいずれかに事業所を構えていれば誰でも提訴が可能なこと」です。事業実体が無くとも、タックスヘイブンのように書類上の登記だけでいいとすら言われている。このように「自由貿易によってISD条項を受け入れた国は加盟国の投資家に服従するに止まらず、加盟国に拠点を置く投資家にも服従する義務を負うこと」がルールなわけです。だから「TPPは米国を除く11カ国との取り決め」というのは全くの詭弁であって、理論的にアメリカ企業は第三国を通じて対日TPPに参加できるわけです。そもそもシンガポールひとつみてもゴールドマン・サックスやシティやメリルリンチなどの支店があるのですよ。だから米国抜きのTPPも米国が参加したのと全く同じ外交圧力が生じるというカラクリです。
編集者: 自由貿易に加盟したインドなどでも伝統産業が立ち行かなくなり、年間十数万人の自殺者が出ていると言われています。
秋嶋: 社会学者のベックが『危険社会』の中で今世紀はリスクが国境を越えグローバル化する時代〞と述べているとおりですね。もっとも幸徳秋水は帝国主義について投機と強奪の所産である〞と100年も前に洞察しています。今風に言うと「略奪に依拠するインフォーマルな経済」でしょうか。いずれにしろTPPによって地獄のような社会が現出することは間違いありません。
出典: 「北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか - 国民は両建構造に騙されている - 」
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