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退職金をもらう時「絶対やってはダメなこと」 銀行から電話が来たら、どうすればよい?
https://toyokeizai.net/articles/-/229023
2018/07/17 6:00 東洋経済オンライン
退職金の運用の仕方で「絶対にやってはいけないこと」「絶対にやるべきこと」がある(写真:KY/PIXTA)
ファイナンシャルプランナーの筆者の元には、おカネに関する多くの相談が寄せられます。特に退職金に関しては、「銀行に言われるまま契約して運用しているが、本当にこれでよかったのでしょうか?」と聞いてくる相談がとても多いのです。
金融機関の営業マンを自宅に入れてはいけない
実際、退職金が会社から振り込まれると、銀行から電話がかかってくることがよくあるようです。大きな単位のおカネが振り込まれるのですから、銀行だって放っておくわけがありません。たとえば「山田様のお宅でいらっしゃいますか? 定年退職、おめでとうございます。当行では退職者様向けにさまざまなプランをご用意しておりますので、一度お伺いできませんでしょうか?」といった内容です。
数日後、その銀行の担当者を自宅に招きいれ、お茶などを出しているとまるでその銀行担当者が「お客様」であるかのような錯覚に陥り、「お客様」からの提案だからと断りづらくなってしまうようです。結局「言われるままに契約をしてしまった」というケースも多く、ふと冷静になり「本当にこれで良かったのか」と心配になるのです。
こうした相談者の場合、どこが間違っているのでしょうか。まず初動です。金融機関の営業マンは自宅に上げないほうが賢明です。日本人はとかく「おもてなしマインド」がありますから、自宅に上げた瞬間、お客様として変な気を使ってしまいます。これは、退職金の活用を考える際にはデメリットです。
したがって、銀行から電話がかかってきたら「今専門家の意見を聞きながら退職金の活用を検討中ですから、あらためてこちらから連絡します」こう言って電話を切るのが模範的なマニュアルだと心得てください。
また「大きなおカネが普通預金に入れっぱなしになっていると不安だから、早くなにか金融商品を決めなくちゃいけないのではと焦ってしまう」――。これもお客様がよくおっしゃる言葉です。しかし焦る必要はありません。「もし銀行が破綻して、おカネがなくなったら」と気にするのなら、複数の銀行預け入れ、それぞれがペイオフ内である元本1000万円(+利息)以下になるよう分散すれば良いのです。
ある有力調査によると、大卒の社員の退職金は大企業で約2000万円、中小企業で1300万円が平均値です。確かに普通預金に置いてあるだけで、なんとなくそわそわしてしまうのも理解できますが、とにかく「銀行の提案に飛びつかない」、これが鉄則です。特に銀行の必殺技と言ってもいい2つの提案である「抱き合わせ商品」と「外貨建て保険」、は飛びついてはいけません。
「期間限定の定期預金」にまどわされるな
まず抱き合わせ商品というのは、定期預金と同時に投資信託を購入すると定期預金金利が数カ月だけ上がるというものです。これは、まずコスト面で割があいません。
たとえばある銀行の退職金スペシャルプランは「1000万円の退職金の半分を定期預金に、残り半分で投資信託を買ってください」という商品です。定期預金の特別金利は5.5%とものすごく魅力的に見えますが、実際は3カ月だけ。ウェブサイトにも「500万円の定期の受取利息は税引きで5万4784円」と丁寧に説明されています。たしかに500万円預けて3カ月で5万円以上の利息がついたら、いまどき「ミラクルだ!」と思ってしまいます。
しかし、特別金利の期間が終了すると通常の金利、すなわち0.02%程度の預金に移行します。不思議なことに、5万円の利息に気が取られていると、そのことになかなか気づけません。
問題はさらに続きます。定期預金とセットで「買わなければならない」投資信託です。この銀行では50種類ほどの投資信託が選択肢としてあるのですが、見事にすべての購入手数料が2.16%または3.24%です。つまりもし500万円分投資信託を購入すると、そのうち10万8000円から16万2000円は手数料に消えていくというわけです。
定期預金の利息は500万円に上乗せされるので「見える」のですが、投資信託の手数料は500万円から差し引かれるので、その分投資に回るおカネが少なくなります。つまり「見えない」のです。ここもトリッキーです。今どき購入手数料のかからない「ノーロードファンド」も多い中、50本の選択肢のうち1本もノーロードファンドを入れていないのは、知識のない顧客を故意に誘導しているのではないかと勘ぐってしまいます。
もし本当に顧客が投資信託での運用を希望しているのなら非課税口座である一般NISAやつみたてNISA(NISA:少額投資非課税制度)を比較検討材料として案内すべきです。特につみたてNISAならすべての投資信託の購入手数料はアクティブファンドも含め0%ですから、この説明をしないのは不親切です。また投資タイミングを「分散」するというテクニックも知らせるべきでしょう。
「外貨建ての年金保険はオトク」とは言えない
また「外貨建ての年金保険」を勧められるケースもとても多いです。筆者のところへ相談に来たお客様は「元本保証だから」と1000万円を一括払いしていました。「日本円で運用するより高金利だから」と言われ、さらに「投資信託だとリスクがあるので、おっかないですよね。その点保険なら」と言われたとか。
おっかないの意味が違っています。日常生活でのリスクは主に「危険」のことであり確かに「おっかない」です。しかしおカネの世界で使うリスクは不確実性という意味です。プラスにもマイナスにも変動するのが「予測できない」と言うのであればまだしも、「おっかない」で片づけてしまうのは問題です。
実際、銀行員から「高金利」と言われたその保険も10年後の満期時の返戻率が115%でした。元本よりも大きくなって戻ってくるのだから「ありがたい」のだという理屈です。しかしこの数字は「10年間に15%、つまり年平均利回り1.5%」を意味します。
本当に10年で確実に15%増えるのならまだわかります。この外貨建て保険の場合、保険料を一括で支払う際に8%も手数料を払います。そのおカネは払ったおカネから引かれ、運用に回らないのです。また満期時は確かに元本保証ですが、それも「外貨(米ドル)建て」です。いわば「ゼロクーポン債」を購入するのと、仕組みとしては同じようなものです。
比較のために証券会社で販売している「外貨建て既発債」のリストを見てみると、たとえばアメリカ国債のゼロクーポン債では「購入単価が額面100に対し80、残存約10年で利回りは2.6%」というものがありました。どちらが良いのか、比較してみても良いのではないでしょうか?
「死亡時の保障がついているから良いのでは」と思うかもしれませんが、本当に死亡保障が欲しいのなら普通の死亡保険にすべきです。1000万円払って死亡時に1000万円が戻ってきても、それは「死亡保険」ではありません。死亡保険と言えるのは、払った保険料よりも多く保険金を受け取るために使う仕組みです。
ましてや、外貨建て保険には為替リスクがあります。たとえば2017年の米ドルの為替を見ると、1カ月ごとの平均レートは年初114円で、年末は112円で推移しました。仮に10万ドルの契約を年初にすると一括で支払うおカネは1140万円です。その後年末のレートが112円となると、日本円での価値は1120万円に下がってしまいますから、いくら1.5%の金利がついたとしても為替の変動にはおいつきません。
さらにその商品は為替手数料も含まれており、1ドルあたり1円でした。つまり1ドル114円で購入するのではなく、1円の手数料をオンして115円出して買うのです。また売るときも1ドルあたり1円の手数料を支払います。10万ドルを買うのに10万円かかり、解約時に元本が保証された10万ドルを円に戻すときにまた10万円が手数料として差し引かれます。
退職金を税金面から考えてみる
退職金の活用方法は、銀行だけが解を持っているわけではありません。ぜひいくつかを比較検討して決めてほしいものです。たとえば発想の転換で、退職金の「使い方」の工夫で得する方法もあります。税金面から考えると、一時金で受け取る退職金はとても優遇されています。勤続年数20年までは1年あたり40万円の退職所得控除が設けられます。そして20年を超えた勤続年数には1年あたり70万円の控除です。つまり、38年勤めあげると2060万円までは非課税で受け取れますし、控除しきれない分はさらに2分の1されてから課税です。
こうして有利に受け取った退職金を、限度一杯である「毎年40万円」ずつ、つみたてNISAの口座にいれていきます。つみたてNISAで投資信託を非課税で運用できるのは20年間ですから、この40万円プラス運用益は20年後に引き出し生活費に充てます。自分の口座から引き出しておカネを使う分には、所得税や社会保険料がかかりません。下手に個人年金保険などにして、少しばかりの利息に課税されるよりよほど効率良く「自分年金」が作れます。つみたてNISAなら金融庁の指定した条件をクリアした投資信託のみが選択肢です。購入手数料がゼロで一般消費者の長期資産形成に適した商品のみがセレクトされているという安心感が違います。
また、退職金には「一時金で受け取るもの」と「年金形式で受け取るもの」があります。年金形式で受け取るものであれば、ぜひ60歳から65歳までの公的年金控除の枠を有効に使いたいものです。年間70万円までの年金は非課税ですし、それ以上についても段階的に課税されるので、その他の収入よりも税金は優遇されています。
国民年金と厚生年金の両方、あるいは一方を繰り下げるのも手です。公的年金は1カ月繰り下げをすると0.7%ずつ年金額が増えるという特典があるので、公的年金を70歳まで繰り下げ42%増の恩恵を受けられます。そして、空いた公的年金控除の枠に、年金形式の退職金を充てできるだけ税金を払わずにおカネを使うのです。65歳以降の公的年金控除は年間120万円まで非課税ですから、ここを有効に使わない手はありません。
最も大切なことは、退職金の活用はズバリ「焦らないこと!」です。退職金だからといって特別にパッケージされた金融商品はありません。じっくり比較検討をすればいいのです。今回のお話をぜひ参考にしていただければ幸いです。
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