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メガバンク最大の危機は「5年後の銀行像」が描けないこと
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180710-00000007-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 7/10(火) 7:00配信 週刊ポスト2018年7月20・27日号
経営コンサルタントの大前研一氏
かつて銀行は、絶大な信用をもつ業種として存在していた。ところが近年では、いつ崩壊してもおかしくない危機にある──と言われている。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本のメガバンク最大の危機について考察する。
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日本の銀行はメガバンクも地銀もジリ貧状態に陥り、経済紙誌には「銀行消滅」「銀行の危機」「銀行員が大量失職」「銀行員の不安」といった記事があふれている。
実際、日本経済新聞(5月17日付朝刊)によると、3メガバンクの2018年3月期決算では、本業の儲けがしぼむ一方で従業員数が増加した結果、1人あたりの生産性は5年前の半分に落ち込んだという。
決算会見で各行のトップからは店舗やATMといった固定資産の維持費用をいかに抑えていくかについての発言が相次いだそうだが、それは表面的な問題にすぎない。日本の銀行が抱えている本質的な問題は、当の銀行員たちが5年後、10年後の銀行のビジョンを描けていないことである。
たとえば、お隣の中国にはeコマース最大手アリババ傘下の金融会社アント・フィナンシャルの「アリペイ(Alipay=支付宝)」、SNSとオンラインゲーム最大手テンセントの「ウィーチャットペイ(WeChat Pay=微信支付)」というスマートフォンやタブレットPCによる簡単・便利な決済サービスがあり、利用者数がアリペイ約5億人、ウィーチャットペイ約9億人に達している。その結果、今や両社は決済だけでなく貯金や資産運用などの金融サービスも手中に収め、従来の銀行がほとんど“無用の長物”になってしまった。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アント・フィナンシャルが運用している4%を超える高金利のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)「余額宝」の管理資産規模は、わずか4年で23兆3000億円に膨れ上がり、世界一になったという。その額は、2位のJPモルガン・アセット・マネジメントが運用するMMFの2倍以上だ。
さらにアント・フィナンシャルは、小規模企業や個人事業主への融資を一瞬で行なっている。「3・1・0」というシステムで、スマホのアプリから融資を申し込むと即座にコンピューターが可否を判断し、数分以内に送金される。融資申請の記入に必要な時間が「3」分、可否を判断する時間が「1」秒、そして審査に携わる人間は「0」人。つまり、融資対象の取引状況や経営状況などの情報を蓄積したビッグデータに基づいて信用を評価し、AIによる審査だけで判断を下しているのだ。融資申請で未だに何枚もの書類にサインして実印を捺さねばならない上、審査に何日もかかる日本の銀行とは月とスッポンである。
そもそも日本の銀行は預金と融資の担当が別々で、10年付き合っても信用格付けができていない。顧客から見て組織が異なると、新たに「申込書」を提出しなければならない。顧客中心ではなく、銀行の縦割り組織の中で時代遅れの“天動説”を貫いているのだ。
中国だけでなく、インドも2009年に指紋と虹彩の生体情報や顔写真を登録する国民識別番号制度「アドハー」を導入したことにより、今や「スマホ=銀行」になっている。インドの場合、地方では銀行の支店がない町や村が大半だから、アドハーを活用した電子マネーやスマホ決済などのモバイル金融サービスが一気に普及したのである。モディ政権が2016年に「脱税退治」で500ルピーと1000ルピーの高額2紙幣を廃止したことも、キャッシュレス・ソサエティへの移行を後押ししている。
もはや中国でもインドでも、キャッシュを前提とした銀行の支店やATMは必要なくなっているのだ。
一方、日本は未だにキャッシュ・ソサエティである。日本生命保険の調査によると、2015年の個人消費は現金の利用が49.5%を占めている。「現金主義」が根強いため、まだ個人消費の半分がキャッシュ決済なのである。
しかし、スマホ決済が当たり前の中国人をはじめとするインバウンドの波が世界から押し寄せ、訪日外国人客数が3000万人を超えて4000万人に向かおうとしている現在、日本も変化せざるを得ない。しかも、国内では「Suica」「PASMO」といった交通系ICカードの電子マネーでコンビニやファストフード店などの支払いができるようになり、急速にキャッシュレス・ソサエティへと移行している。
となると、日本の銀行も支店やATMや人が不要になるのは自明の理だ。本店にビッグデータやAIを駆使してモバイル金融サービスを運用する多数のシステム・エンジニアと法人営業部隊さえいれば、事足りてしまう。そのような状況になるのはおそらく5年以内、遅くとも10年以内だろう。
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