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仮想通貨はおもちゃの「子ども銀行券」と大差ない…世界的に規制強化か
http://biz-journal.jp/2018/07/post_23934.html
2018.07.04 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
仮想通貨流出事件が起きた韓国の仮想通貨取引所ビッサム(写真:AFP/アフロ)
コインチェックが史上最大となる約580億円の「NEM」流出事件を起こしてから、半年近くがすぎた。その間、コインチェックはマネックスグループが買収することになり、金融庁に登録済みの仮想通貨交換業者16社で構成される日本仮想通貨交換業協会が設立された。また、6月には韓国で仮想通貨の流出事件が起きている。仮想通貨交換所ビッサムがサイバー攻撃を受けて、約350億ウォン(約35億円)相当の「リップル」などの仮想通貨が盗まれたのだ。
仮想通貨にビジネスチャンスを見いだした企業は、続々と参入の動きを見せている。三菱UFJフィナンシャル・グループは2018年度中に独自の仮想通貨「MUFGコイン」を導入する予定で、みずほフィナンシャルグループも電子決済に特化した仮想通貨「Jコイン」を18年内に発行する予定だ。LINEやメルカリといったIT企業も参入を発表している。
一方で、世界的には規制の動きが強まっている。3月に行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、各規制当局に対して「『仮想資産』動向の監視を求めること」で一致した。具体策に関しては金融活動作業部会(FATF)に一任するかたちだが、FATFのルールでは仮名取引が禁止されるほか、取引データが監督機関で確認できる体制が必要になる。
そのため、今後は取引所での本人確認厳格化と不正な取引を監視する仕組み、さらに租税情報交換などを通じて個人の取引データが国籍国との間で自動交換される仕組みが構築されることになるだろう。つまり、匿名性が高い暗号通貨などは利用が制限される可能性が高く、中小の取引所は淘汰されるものと思われる。また、日本においては顧客の資産と自己の資産を分別する分別管理が徹底されることになっており、一般的な商品取引と同じような規制構造がつくられることになるだろう。
ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨のメリットについてはさまざまなところで語られているが、筆者は懐疑的な見方をしている。『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』(ワック)に詳述しているが、仮想通貨の問題点や行く末について、今こそ立ち止まって考える必要があるだろう。
■「通貨の3要素」を満たしていない仮想通貨
17年4月に施行された「改正資金決済法」では、世界に先駆けて仮想通貨に関する規制が盛り込まれた。同法では、仮想通貨を以下のような性質を持つ「財産的価値」と位置付けている。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
つまり、仮想通貨はお金に換えられる価値こそあれど、法的な裏付けのある法定通貨たり得ないということだ。
そもそも、通貨は「価値の保存」「価値の交換」「価値の基準」という「通貨の3要素」を満たしている必要がある。しかし、ときに20〜30%も値動きするなどボラティリティ(価格変動の度合い)が非常に高い仮想通貨に「価値の保存」があるとは考えにくい。また、日本では売買目的の9割以上が投機といわれており、円やドルなどの法定通貨に交換して利益を得ることを主な目的としている時点で、仮想通貨が「価値の保存」を満たしているとも思えない。
また、仮想通貨は値動きが大きくリスクが高いことから、取り扱いに二の足を踏む小売店や飲食店も少なくない。そのため、仮想通貨を決済に利用できる環境は増えてきてはいるが、いまだ限定的であり、特にマイナーな仮想通貨は使える場所がほとんどないのが実情だ。そうした点に鑑みると、「価値の交換」にも疑問符がつく。
そして「価値の基準」だが、現在のように価格が乱高下を繰り返している以上は、当然ながら仮想通貨を「価値の基準」に据えるのは現実的ではないだろう。
つまり、仮想通貨は「通貨の3要素」のいずれも十分に満たしていないことになる。そもそも、仮想通貨は現物の紙幣や硬貨が存在せず、電子データにすぎない。法定通貨、たとえば円の場合は紙幣が破れたり燃えたりした場合は、面積の3分の2以上が残っていれば同額の紙幣に、5分の2以上3分の2未満が残っている場合は半額の紙幣に交換してもらうことができる。
しかし、取引所に預けている仮想通貨がハッキングなどで流出したり消去されたりしたとしても、必ずしも補償されるとは限らない。コインチェックは補償に応じたが、個々の取引所の対応次第というのが実情だ。
また、「ビットコイン」に代表される投機性の高い仮想通貨は、発行主体が明らかでないことが少なくない。法定通貨は国富(国家全体の正味資産)を裏付けとして発行されるが、発行主体が明らかではない仮想通貨の場合は、誰がどのような資産を裏付けにして発行されているのかがわからないわけだ。
つまり、価値を裏付けるものがないにもかかわらず「価値があるのかもしれない」とみなして売買されていることになり、そういった意味ではおもちゃの「子ども銀行券」と大差ないのである。
さらにいえば、仮想通貨は金融商品とも有価証券ともいえないため、有価証券を含む金融商品の取引や金融サービスを規制する「金融商品取引法」や「金融商品販売法」の適用外となっている。通貨ではなく金融商品でも有価証券でもないという、きわめて曖昧な存在なのだ。
■「全損のリスク」を指摘する声も
そうした事実の一方でバブルが過熱している状況に、金融のプロたちからも懸念の声が続出している。
17年9月、JPモルガン・チェースの最高経営責任者(CEO)であるジェイミー・ダイモン氏がビットコインについて「チューリップ・バブルよりひどい」「(自社の社員が)取引したらクビだ」などと批判的な発言をしたことが話題になった。その後、ダイモン氏はブロックチェーンについては「偽物ではない」として姿勢をやや転換したが、18年2月にはドイツ銀行のマルクス・ミュラー最高投資グローバル責任者が「(同行の富裕層向け資産運用部門が)現時点で仮想通貨に投資するよう助言していない。全損の現実的なリスクが存在する」と発言している。
同行では、その理由として、データの窃盗や喪失、価格操作の可能性、ボラティリティの高さなどを挙げており、ほかにも明確な発行者が存在しないという曖昧な状況や、発行者が存在したとしても財産的価値の裏付けが明確ではないといった点も危惧している。つまり、とても投資家に勧められるような商品ではないということだ。欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁も、仮想通貨に関しては「非常にリスクのある資産だとみなすべきだ」と語っている。
また、仮想通貨は現物がなく匿名性が高いことから、テロ組織への資金供与やマネーロンダリングなどに悪用される可能性も高い。いわば犯罪の温床になっているわけだが、それについては次稿に譲りたい。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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