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家計は赤字なのに「老後資金1億円」に踊らされた他人任せ夫婦
https://diamond.jp/articles/-/173700
2018.7.2 横山光昭:家計再生コンサルタント ダイヤモンド・オンライン
家計は赤字なのに老後資金の
1億円を貯めたいという夫婦
老後資金を心配している人たちは少なくありません。しかし、老後資金の準備に頑張っている人の中には、かなり空回りをしている人もいます。例えばこんな風に。
「老後は1億円ないと生きていけないと聞きました。1億円貯めるには、毎月8万円を30年間積み立て、利回り7%で運用しなくてはいけないと言われたんです」と、熱く訴えるGさん。とある投資セミナーで、そう教わったのだそうです。
老後生活するには1億円が必要で、そのお金を作ることは決して夢じゃないという講師の言葉に納得し、何とかそれを実現したいと家計相談に来られました。Gさん一家は、専業主婦の妻に2歳の子ども1人の3人家族。収入は35万円ほどで貯蓄は60万円程度でした。
1億円を作るために一生懸命なGさんですが、家計はなんと赤字。毎月8万円どころか、1万円も投資に回せる状況ではありません。しかし、「そこを何とか」と訴え、7%で運用ができる方法を教えてほしいというのです。
そこで、まずは“メタボ気味”になっている家計を“ダイエット”し、赤字の解消を検討することから始めましたが、Gさんの奥さんはことごとく難色をしまします。「子どもと夫のために、有機野菜は続けたい」「美術の勉強のための支出は減らせない」などなど。
相談すれば希望がかなうと
考える“他人任せ夫婦”
では、奥さんも働きに出て共働きし、増収を目指してはと言うと、「体が弱いので、育児と仕事の両立は無理。しかも今から保育園探しなんて、それも無理!」と怒り始める始末。もう、相談された私たちもどうしていいのか分からなくなりました。
しかもです。Gさん夫婦は、「相談にきたら全て解決してもらえるのかと思いました、違うんですね」と逆ギレし始めました。誰かに相談すると、その人に何とかしてもらえる、希望をかなえてもらえるだろうという、“他人任せ夫婦”だったのです。
Gさん夫婦は、セミナーで聞いた話を実現するため、「どうやって毎月8万円の積立金を捻出し、どういう金融商品に投資すれば7%で運用できるのか、そのための確実な手法を知りたい」としつこく聞いてきます。
確かに、金融庁が発表しているデータによれば、20年間の長期運用をしている人であれば、平均2〜6%の利回りで運用できているという実績はあるようです。しかし、セミナー講師が言うように、30年間もの長い間、積み立てることは容易ではありません。そもそも家計は赤字で、貯蓄も十分でない状態では、投資どころではないはずです。
こうした気持ちは分からなくはないのですが、その前に、どういう老後生活を送りたいのか、大前提を考えるべきなのです。
Gさんが受けたセミナーだけではなく、昨今、メディアなどでも盛んに「老後は1億円必要」と言いはやされていますが、それも本当なのでしょうか。家計の現状は、各家庭それぞれ。自分の家庭の場合はどうなのか、しっかりと考えたいところです。
では、具体的に見ていきましょう。まずは、必要な老後資金について考えます。
現状のまま定年まで働き続けると、夫婦で月に22万円の年金収入がある見込みです。老後は、今の支出の7割程度で暮らせると仮定すると、月の生活に必要な金額は25万円ほどになります。つまり、毎月、貯蓄から3万円ほど補塡する必要があります。
夫婦ともに100歳まで生きても
3000万円もあれば暮らせる
となると、仮に夫婦ともに100歳まで生きるとして、1260万円あれば生活できます。そのほかに介護費用なども考えると、多めに見積もっても3000万円もあれば、それなりに暮らしていけそうです。
仮に、もう少し多く見積もって4000万円必要だとしても、Gさんの退職金として2000万円程度は見込むことができますし、さらに会社には再雇用制度もありますから、残りの2000万円を貯蓄し、つみたてNISAやiDeCoなどを使って計画的に投資すれば大丈夫です。
こうした現実的で具体的な見込みが明らかになると、途端にGさん夫婦はやる気を出し、支出の削減に努め始めました。結局のところ、「老後資金を貯める」という目標を掲げたのはいいものの、老後というあまりに遠すぎる将来のために何をしていいのか分からず、助けを求めていたということなのです。
今は情報社会。さまざまな情報が飛び交っていますが、それが正しいのか判断するのは自分次第です。情報を額面通り受け取るのではなく、まずは自分の状況を客観的に捉え、具体的に将来像を描いた上で、他方面から情報収集して自身でしっかり考えていく。そういう習慣をつけてほしいものです。
そして、筆者も情報を発する側として、Gさん一家との出会いは、正しい知識を偏りなく伝えることの大切さを身に染みて感じた経験でした。
(家計再生コンサルタント 横山光昭)
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