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AI失業時代突入…10年後に国民の4割が年収120万円に、リアルに今すべきこと
http://biz-journal.jp/2018/06/post_23714.html
2018.06.17 文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役 Business Journal
AI(人工知能)失業時代がやってくる。そのタイミングは今から5年後。まだまだ先だと思っている人は要注意だ。今はまだ「おもちゃのようだ」と思えるAIは急速に、正確には指数関数的に性能を上げる。今できないことが5年後には当たり前のようにできることになる。
AI失業は5年後に本格的に始まり、10年後にはかなりの仕事がAIによって失われてしまう。たとえばメガバンクは、これから先の10年間で1万人規模のリストラを計画している。なぜリストラができるかというと、ロボティック・プロセス・オートメーションという新しく開発されたAIのおかげだ。このAIはホワイトカラーの事務作業を学習して、それを自動でこなせるようになる。
具体的には、パソコンの中にこのAIソフトを組み入れておくことで、従業員が行っている事務作業のうち自動化できる作業をみつけては、それを人間の代わりにこなしてくれる。これまでのAIができなかった「判断が必要な事務作業」がロボティック・プロセス・オートメーションによってできるようになるのだ。
たとえば月末に経費精算をする仕事や、請求書を発行する仕事は、人間がスケジューラーを確認したり納品状態を確認しなければこなせない判断業務だ。しかしスケジューラーを見ながら交通費を計算して経費精算シートに記入する作業はやり方さえ覚えてしまえば、AIがとって代わることができる。納品状態を確認して請求書を作成するのも同じで、こういった判断が必要な事務作業の多くが、AIによってまもなく自動化できるようになる。
そのような自動化で消滅する仕事の量は、10年先には今の仕事全体の2割、20年先には5割に及ぶだろう。今、企業が人手不足に悩む労働市場だが、10年後には一転して労働者が仕事不足に悩むようになる。
■普通の人は週20時間しか働くことができない
では、AI失業時代に生き残るにはどうすればいいだろう。AI失業の影響がなるべく少ない仕事につくということがひとつの対策だと考える人が多く、その指南書も人気だが、実はもっと大切なやるべきことがある。今回はその話をしておきたい。
AI失業時代には仕事全体の2割が消滅する。そうなると2割の人が失業して、8割の人が生き残るのかというと、そんなことは起きない。2割の失業者といえば1929年に起きた大恐慌と同じレベルである。生活が成り立たない人がそんな規模で発生したら社会が成立しない。
そこで起きることはワークシェアだ。フルタイムで働ける人は幸せで、国民の多くがパートタイム労働者になる。しかも普通の人は週20時間しか働くことができない。それくらいしか仕事がなくなるのだ。
そして社会全体で仕事の量が減ってしまうと、人件費の相場が全体的に下がる。よほどほかに代わりがないオンリーワンの仕事なら別だが、他にやれる人がいる仕事の人件費相場は、働きたい人の数が増えるおかげで全体的に大きく下がる。
2000年代に入った頃、経済評論家の森永卓郎さんが「年収300万円時代」と言い始めたのを覚えている人も多いだろう。当時はサラリーマンの年収は600万円が普通だった頃に、「これからは年収が半減する時代を生き抜く覚悟が必要だ」という意味で森永さんがそういう意見を提唱した。
ところが2018年になってみると、年収300万円はいわゆる所得階層の下流クラスでは「下流の上」の目標になってしまった。今では下流のボリュームゾーンは年収180万円時代というのが実情に近い。それがAI失業時代にはさらにワンランク下がることを覚悟する必要がある。
つまり、ワークシェアで仕事を得るのが国民の4割、この層が年収120万円時代に入る。そして6割のフルタイムで働ける国民がたとえ正社員だとしても、平均年収は300万円。管理職でも400万円という時代になってしまう。
われわれはそのような時代にどのように備えればいいのか?
■今一番行うべきことは節約
実は今やれる、非常に重要なことがある。それは今のうちに金融資本を拡張しておくことだ。
お金を稼ぐ方法には主に2つの方法がある。人的資本と金融資本だ。人的資本とは文字通り人が働いて稼ぐこと。体が資本というのは、まさにこの言葉を体現したものだ。
一方で金融資本は金が金を稼ぐこと。会社に出資して配当を得ることや、他人にお金を貸して金利を得ることをイメージするとわかりやすい。最近ではわずかな稼ぎしか得られないが、銀行に預けて金利を得るのも金融資本の働かせ方だ。
重要なことはこれから先の近未来で、人的資本の価値が大幅に下がるということだ。金を稼ぐ手段として人的資本の価値が相対的に下がり、必然的に金融資本の価値が上がる。
今世紀に入って貧富の格差が社会問題になってきたのも、このようなメカニズムが背景にある。年収600万円時代と比べると、年収300万円時代は人的資本の価値が下がったことを意味する。結果、相対的に金融資本の価値が上がり、金持ちがより富むようになる。このメカニズムがこれから5年、10年で起きるAI失業によってさらに強化されることになる。
だから実は今一番行うべきことは節約なのだ。年収300万円の人でも生活を見直すと一年で50万円から100万円を節約することはできる。仮に10年間の節約生活で1000万円の金融資本を貯めれば、そこから先は金に金を稼がせることができるようになる。これが今やるべきことのゴールだ。人的資本の価値が下がり仕事の量が減る分を、金に肩代わりしてもらって稼ぐのだ。
1000万円あれば駅近の中古ワンルームマンションが購入できる。実は不動産投資は素人でも一番失敗がないお金の稼ぎ方である。駅近のワンルームなら毎月7万円ぐらいは家賃を稼いでくれるだろうし、駅近なら10年たっても価値はそれほど下がらない。そんなことを見据えて行動しなければいけないということだ。
今、支出を年間100万円節約することで、10年後に金が毎年100万円の金を稼いでくれるようになる。そしてその準備をすることこそが、今、一般市民が行えるAI失業に対する最大の防衛策なのである。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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