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病院で払う治療費、3割負担の高齢者さらに拡大か
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180617-00000003-nikkeisty-bus_all&pos=1
NIKKEI STYLE 6/17(日) 7:47配信
写真はイメージ=PIXTA
病気やケガをしたときに保険証を持って病院に行くと窓口で払う医療費は全体の一部で済みます。それぞれが加入する医療保険制度が残りを支払ってくれるからです。自己負担の割合は年齢などで異なります。医療サービスの給付は増加の一途で、負担割合の見直し議論が出ています。
医療費の負担割合は図の通りです。小学校入学までは2割、入学後70歳になるまでは3割。子どもについては自治体が助成して負担を減らすケースが多いので、実感はないかもしれません。現役世代は大半が3割です。70歳以上は所得により異なります。70〜74歳は「現役並み所得者」が3割で、「一般・低所得者」は原則2割です。75歳以上の後期高齢者は3割、1割となります。
この仕組みは後期高齢者医療制度が始まった08年に固まりました。それ以前には、健康保険組合や国民健康保険といった医療保険制度によって割合が異なったり、被保険者と被扶養者が一律でなかったりした時期もありました。高齢者が年下の世代から切り離されたのは1973年で当初70歳以上は無料でしたが、その後1割負担となりました。
70〜74歳は08年に2割(一般)に引き上げたのですが、反発もあり、年間約2000億円の予算を投じて1割に凍結されました。この特例措置はその後見直され、14年4月以降に70歳になった人から順次2割になっています。これらの人も75歳になると1割に減ることになります。
高齢化の進展などで医療給付は年々膨らみ、今後も増加が予想されます。財源の確保には税金の投入や保険料の増額、患者の自己負担の見直しが考えられます。「これまでは税金や自己負担の増加を避け、主に保険料の引き上げで対応してきたが、それも難しくなっている」とニッセイ基礎研究所・准主任研究員の三原岳さんは指摘します。
国では高齢者の自己負担の見直しを議論しています。2割負担の70〜74歳の人について、75歳になっても1割に減らさずに2割のままとする案です。凍結が解除されて最初に2割になった人たちは19年度に75歳になります。すでに後期高齢者になっている人も数年かけて2割に引き上げることが提案されました。今後の行方が注目されます。
写真:NIKKEI STYLE
■世帯年収520万円未満は1割負担
70歳以上の負担割合は所得により二分されますが、負担3割の「現役並み所得者」とはどんな人を指すのでしょうか。
国保も後期高齢者医療制度も、課税所得(年収から各種控除差し引き後の所得)が145万円以上ある人が原則、該当します。同じ世帯にいる妻らも現役並みとなります。ただし、世帯内で年収(各種控除の差し引き前)を合計して520万円に満たない場合は対象外です。例えば夫婦合計の年収が500万円なら現役並み所得者から外れます。
厚生労働省の資料によると、現役世代の平均的な年収(夫婦2人世帯)は386万円です。このため、「現役世代より多くの収入を得ている高齢夫婦が1割と判定される場合がある」と社会保険労務士の上野香織さんは話します。
政府は年収520万円という基準について今後見直しを検討する予定です。仮に実現して年収基準が引き下がれば、現役並みの3割負担となる高齢者の範囲が拡大することになります。
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