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日産はルノーに「吸収合併」されてしまうのか
http://diamond.jp/articles/-/170320
2018.5.18 佃 義夫:佃モビリティ総研代表 ダイヤモンド・オンライン
2018年2月の仏ルノー決算発表でのカルロス・ゴーン氏 Photo:REUTER/AFLO
日産自動車の独立性に暗雲!?
ルノーとの合併は?
自動車メーカーの3月期決算のトリを飾ったのが日産自動車。その日産の将来の独立性に暗雲が立ち込める問題が話題になっている。
言うまでもなく、日産は1999年以来、仏ルノーとのアライアンス(提携)の関係にある。さらに日産は2016年10月に三菱自動車に34%出資したことで、この国際連合はルノー・日産・三菱自の3社連合の枠組みとなっている。
この異色の国際連合において、ルノーの筆頭株主である仏政府がルノーと日産の統合を迫る動きを示している。つまりルノーと日産を合併させて、「フランスの自動車メーカー」としての位置づけを確立させようと目論んでいるのだ。
「世界自動車大再編」と言われた90年代末に、窮地に陥っていた日産を救う形で仏ルノーが資本提携した。ルノーから送り込まれたカルロス・ゴーン氏によって日産はV字回復し、以来19年に渡る両社の関係は「国際アライアンスの成功事例」とゴーン氏も自負していた。
しかし、今年に入りゴーン氏のルノーCEO(最高経営責任者)留任の方向とともに、「両社の資本関係の見直し」を示唆したことで、にわかにルノー日産の合併論が浮上。日産は2000年代初頭のV字回復から米国・中国で収益力を押し上げて、連結子会社としてルノーの業績を助けてきたが、ここに来て米国事業の採算性悪化に加え、日本国内の販売も工場無資格検査問題などでダメージを受けている。
2018年3月期決算も売上高は11兆9512億円で前期比2%増となったが、営業利益は5748億円、同22.6%の大幅減益となった。今2019年3月期予想も売上高は12兆円で0.4%増、営業利益は5400億円の6%減と3期連続の減益を見込む。
ゴーン氏から日産社長を継いだ西川体制にとって厳しい船出となる中で、将来の日産の独立性を問う問題も生じている。決算発表会見でも西川廣人社長への質問はルノーとの資本関係の見直し問題に集中した。ゴーン氏は6月のルノー株主総会でCEO再任となれば4年間、2022年までルノーのトップを続けることになる。一方、日産の6月の株主総会でも当然、ゴーン会長と西川社長に「ルノーとの合併」は出るはずで、その質問にどう答えるか。
西川日産体制にとって内憂外患
仏政府はルノーと日産合併を狙う?
西川日産体制は、3期連続の減益という業績の立て直しとルノー問題という内憂外患にある。そして何よりも「次世代リーダーに託すための資本構成の見直し」を、日産の独立性を担保できるものにするという命題を抱えることになる。
そもそもの日産とルノーの関係だが、90年代後半に日産の経営が有利子負債2兆円を抱えて大幅に悪化し、当時の塙社長は外資との提携を求めてフォードやダイムラーとの提携も模索したが、結果的にルノーとの資本提携を決め1999年にルノーの出資を受けてルノーの傘下入りした。
当時の塙日産社長とシュバイツアー・ルノー社長の合意でルノーからカルロス・ゴーン氏が日産COO(最高執行責任者)として日産入りした。直ちにゴーン氏が主体で日産再建策が講じられ、翌2000年にゴーン氏が社長CEOに就任し現在に至っている。
日産を早期に立て直したゴーン社長は経営手腕が評価され、その後日産社長のまま、2005年にルノーの社長にも就任し、名実ともにルノー日産連合のトップに君臨してきた。この間、ルノーが日産に43.4%出資していることで、ルノーの業績は日産が連結子会社として大きく貢献してきた。
つまり、ルノーと日産の関係は、日産が子会社でありながら実力は日産がルノーを大きく上回るものとなっていたのだ。ルノー日産連合は、先述した通りルノーが日産に43.4%出資する一方で、日産はルノーに15%を出資する相互出資関係にあるが、日産にはルノーの議決権が付与されていない。
そうした中で、2014年に仏政府が株式を2年以上保有する長期株主の議決権を2倍に増やす通称「フロランジュ法」を制定。これは仏政府が日産経営への関与を強めようとしたものだと言われた。現に仏政府はルノーへの持ち株比率を同年に20%に引き上げて(2017年に一部を売却し現在は15%に戻っている)、筆頭株主として日産との合併を狙ったとされる。
当時はゴーン氏もこれに強く反発し、2015年12月に日産はルノー・仏政府との間で経営の自主性を維持することで合意したいきさつがある。
しかし、この「フロランジュ法」制定時の仏経済産業デジタル大臣だったのが現在のマクロン仏大統領であり、仏政府サイドはルノーと日産の統合、つまりルノーが日産を吸収合併するシナリオを捨てていないとされ、この動きが今年に入り急浮上してきたのだ。
それというのも昨年までゴーン氏は三菱自動車も含めたルノー日産連合3社のトップに専念、ルノーCEOを退任すると見られていた。
ところが、ルノーは今年2月にゴーンCEOが6月以降も続投すると発表。6月のルノー株主総会で再任され、2022年までの4年間、ゴーン氏がルノーCE0を継続することになった。それとともに、ゴーン氏は「このアライアンスの資本構成の見直しもあり得る」とルノー・日産の経営統合を示唆する発言を行い、にわかに注目された。
最近のゴーン氏発言の変化は、仏政府の経営一体化推進論に同意したのか、あるいは「向こう4年間の延命」の見返りなのか、との見方もある。
日産は
これから正念場を迎える
当然、日産の西川社長による決算発表会見での質疑もこの問題に質問が集中することになった。
「最近のゴーン氏の発言の本旨は?」「資本構成の見直しとは?」「合併するのか?」「持ち株会社なのか?」「合併協議をしているのか?」等々である。
西川社長はこう答えた。
「わたしの理解は、このアライアンスは世代を超えて次のリーダー層に代わっても維持していかねばならない。今の組み方は、それぞれの自主性を尊重し、シナジー効果を出す。その前提で三菱自動車も組み入れられたのだ」
「自主性が成長の根源でアライアンスの効率性を最大限追求し規模のメリットを追求しながら次の世代に引き渡していけるかが宿題。ゴーンさんも私も仕組みを変えることも必要ということで一致しており今年度以降、具体的に検討していく」
「合併協議している事実はないが、将来の方向への検討は必要でいろいろな形が考えられる。将来、リーダーが代わっても同じ規模で仕事ができることが重要だ」
西川日産社長の発言の主旨は、「次世代に託すためには資本構成の見直し、仕組みの見直しも必要で具体的な検討に入る」というものだった。ゴーンさんも同じ考えだと述べ、「ゴーン氏をさん付け」して発言する西川社長は年齢もゴーン氏と同じ64歳で、今後4年間は一心同体ということか。
繰り返すが、日産の本業の儲けを示す営業利益の大幅減益の要因は米国事業の不調であり、国内工場無資格検査問題のダメージからの脱却も含めて課題は多い。
日産の収益向上の柱は、米国事業と中国事業であった。中国事業は順調に進んでいるが、一方の米国事業は、米国市場の構造変化やインセンティブ増加傾向の中で採算性悪化が問われている。また、トランプ政権のNAFTAの動向も、メキシコ工場からの米国輸出が多い日産にとっては気がかりだ。
国内無資格検査問題による国内販売へのダメージについては、今なお国内販社から厳しい声が上がる。最近まで2年半も国内市場に新型車投入がなかった日産だけに、販社から「日本国内をないがしろにしてきた」ことの歪みも指摘される。
昨年4月にゴーン氏の信任を受けて社長に就任した西川体制も新中期経営計画「Nissan M.O.V.E to 2022」初年度は業績面で厳しいスタートとなった。日産の株価は今年に入って1100円台で低迷した状態が続いている。
ルノーの傘下で「外資」となった日産だが、三菱自動車を含めた3社国際連合をどのような形で主導していけるのか、これから正念場を迎える。
(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
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