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日本だけが世界中で起きている「住宅バブル」と無縁な理由
http://diamond.jp/articles/-/169418
2018.5.10 加藤 出:東短リサーチ代表取締役社長 ダイヤモンド・オンライン
カナダ最大の都市トロントで売りに出されている住宅。世界で最も住宅バブルが顕著な都市の一つだったトロントだが、最近の状況には変調が見られる
米国の10年金利が4月最終週に3%に到達した。「住宅ローン金利はどうなる」といった記事を米メディアは盛んに流している。
これまで米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は、長期金利が跳ね上がらないように超金融緩和策からの出口政策を慎重なペースで進めてきた。賃金や物価の上昇ペースがゆっくりだったからだ。
それに釣られて、他の先進国の中央銀行も低金利政策を維持してきた。自分たちだけが利上げを早めると、自国通貨高が起きてしまうからだ。このため、多くの国で低金利長期化を背景にした激しい住宅投資ブームが発生した。
国際決済銀行(BIS)のデータによると、昨年9月までの5年間における住宅価格の上昇率は、米国で38%程度だが、カナダは48%、オーストラリアは46%、スウェーデンは53%だ。ちなみに、日本の住宅価格のピークである1991年3月までの5年間の上昇率は48%だった。つまり、前述した各国の住宅価格は日本のバブル期並みの高騰を示してきた。
しかし、その後の世界的な長期金利上昇によって、住宅ブームは変調を来している。世界で最も住宅市場が過熱した都市の一つであるトロント(カナダ)では、3月の住宅販売件数が前年比40%も減少。平均販売価格は市内で同9%下落、近郊で同17%下落した。
ストックホルム(スウェーデン)やシドニー(オーストラリア)でも価格下落が始まっている。今のところ、現地の不動産関係者の間では「秩序立ったブームの調整」という見方が多い。だが、米政府の財政赤字拡大への懸念を起点とする世界的な長期金利上昇が続くと、ショックに変わる恐れもあり注意が必要だ。
ところで、現時点で長期の住宅ローン金利が世界で最も低いのは日本である。日本の同金利の水準を海外の人に話すと、どこでも「そんなに低いの!?」と驚かれる。日本銀行が長期金利を世界最低の水準に抑え込んでいることに加えて、金融機関同士の競争も激烈だからだ。だが、日本の住宅価格の上昇率は海外に比べて穏やかである。先ほどと同じ5年間で見ると11%にとどまっている。
過去20年の変化率では、日本は29%下落した。他方で米国は127%上昇、カナダは256%上昇、オーストラリアは322%上昇、スウェーデンは332%上昇だ。
今後も労働年齢人口が堅調に増加する国で、低金利政策が長期化するとバブルになりやすい。対照的に人口急減が見込まれ、全国で空き家が増加中の日本では、中央銀行が超低金利政策を続けてもユーフォリア(熱狂)は局所的だ。人口動態の影響はやはり大きい。
また、超低金利政策で収益が悪化した日本の金融機関は近年、人口が減っていくのに賃貸アパート建設への融資を増加させた。2016年5月の会見で、日銀の黒田東彦総裁はマイナス金利政策の導入で貸家建設への融資が伸びたことを誇ったが、賃貸物件のだぶつきが今後各所で噴き出すだろう。
さらに、今後日本では老後に家を売って介護施設に移ろうと思っても、(移民を増やさない限り)売れないケースが増えてくる。年金の維持可能性への不安に、そうした将来不安も加われば、日銀が超金融緩和策で足元の景気を少々良くしても消費は活性化しない。
海外のような住宅バブルのソフトランディング問題こそわが国にはないものの、別種の陰鬱な悩ましさが存在している。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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