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生活保護の恐ろしい未来図、民間への外注で起きかねないカオスとは(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/849.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 4 月 27 日 15:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

生活保護の恐ろしい未来図、民間への外注で起きかねないカオスとは
http://diamond.jp/articles/-/168775
2018.4.27 みわよしこ:フリーランス・ライター ダイヤモンド・オンライン



生活保護法再改正案が6月末までの今国会で成立する可能性が高まった。国が事実上、生活保護を見捨てることになるとしたら、近い将来、起こり得ることは?(写真はイメージです)

生活保護法再改正案成立で
福祉事務所の外注は可能か


 今国会に提出されていた生活保護法再改正案をめぐる動きは、「モリ・カケ」問題、閣僚の失言や省庁幹部のスキャンダルに紛れた形となっていた。しかし2018年4月25日、自民・公明・維新のみが出席した衆議院・厚生労働委員会で可決され、6月末までの今国会で成立する可能性が高まった。6月には、生活保護基準の引き下げも厚労大臣によって決定される予定だ。

 生活保護法再改正案には、現在は不正受給の場合に限られている生活保護費からの天引き徴収を、役所側のミスによる不正ではない「受け取り過ぎ」にも拡大する内容が含まれている。これは、免責債権を“なし崩し”に非免責債権化することとイコールだ。この他、近未来の危険な成り行きにつながりそうな改正内容が数多く含まれている。

 ただ1つの明るい話題は、生活保護世帯の高校生が大学などに進学する場合の一時金の給付など、生活保護世帯からの大学進学支援が盛り込まれることだ。一歩前進ではあるのだが、生活保護のもとでの大学進学が認められるわけではない。生活保護世帯から大学に進学する子どもたちの学生生活の苛酷さは、ほんの少し緩和される程度だろう。

 そもそも、生活保護のもとでの大学進学を認めるために法改正を行う必要はない。厚労省の通知一通で済む。明るい話題というよりは、“目くらまし“のようなものに見える。

 総合すると、生活保護法改正案は私にはまるでディストピア小説の筋書きのようにしか見えない。溜息をつく私に、東京都内で数多くの福祉の現場を経験してきたベテラン公務員・Aさん(58歳)は、「福祉事務所の外注化」という可能性を語る。とはいえ、今回の生活保護法再改正案には含まれておらず、現在のところはAさんの豊かな想像力の産物、あるいは妄想かもしれない。もし実現すると、日本はどのような世界になるのだろうか。

「福祉事務所の外注化」という言葉を聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは、多くの公立図書館で導入されている「指定管理」だ。私の住む東京都杉並区にも、区直営から指定管理へと移行した図書館が多数ある。

 図書館のカウンターにいてほしいのは、司書資格を持ち、プロ意識を持って業務にあたる図書館員たちだろう。もちろん、その図書館員たちの身分は安定していることが望ましいが、「指定管理業者のプロ図書館員か、区職員の素人図書館員か」の究極の選択を迫られれば、多くの人々は前者を選択するのではないだろうか。いずれにしても、業務の質が維持されていれば、利用者にとっては大きな問題はないと言えるのかもしれない。

介護保険制度の発足で
問題化したサービス劣化


 Aさんが「福祉事務所の外注化」としてイメージするのは、介護保険だ。2000年に介護保険制度が施行される直前、「民間業者の自由競争によって、サービスの質は向上する」と喧伝されていた。参入しようとする業者も、公務員ヘルパーより良質のサービスを提供できることを強調していた。

「介護保険、最初は悪くありませんでしたよね。『ウチは公務員ヘルパーより良い』と宣伝していた業者のサービスは、実際に良質でしたし」(Aさん)

 しかし、介護保険制度が発足して5年が経過すると、介護保険業者による報酬の不正請求などの問題が大きく報道されるようになった。2007年、厚生労働省より処分を受けた「コムスン」を記憶している方も多いだろう。数々の不正請求は、正当に業務を遂行していたのでは利益を上げにくい現実の現れでもある。

「民間に業務を委託する動機のうち最大のものは、やはり人件費削減でしょう。『安いほどいい』ということで、土木・建設業者が介護保険事業に参入してきたりもしました。すると、業者数や従業者数が増えても、質は落ちるということになります」(Aさん)

 サービス供給者の量が増えて価格競争が行われたら、質も高くなると期待しがちだ。しかし、公共サービスが民間に委託される場合、必ずしもそうなるとは限らない。

「公共サービスを民間に委託する場合、構造的に劣化しやすいんです。介護保険の歴史を見れば、そのことは明確です。すべての公共サービスで、その轍を踏まないようにする必要があるでしょう」(Aさん)

 とはいえAさんは、「福祉事務所は行政が直接」という現在の制度を良しとしているわけではない。

「今が良いわけではないんです。今だって良くないんです。それが、もっと悪くなります。日本国民の生存権は、もっと守られなくなります」(Aさん)

 その状況に近いのは、昨年ヒットした映画『私は、ダニエル・ブレイク』だろう。病気のため働けなくなった真面目な大工が、「働ける」とされて制度の谷間に落ち、最後には命まで失う不条理な成り行きは、多くの人々の共感を呼んだ。

財源と決定権は行政に
責任と困難は民間に?


 福祉事務所の生活保護関連業務が外部委託された場合、業務のあり方はどのように変わるだろうか。

「おそらく、生活保護ケースワーカーと査察指導員(係長相当職)の業務を、委託された業者が行うことになり、その業者が責任主体となるでしょう。介護保険事業所とケアマネのように、現場まわりが委託されるイメージです。生活保護の申請を受けて決定する業務と保護費を支給する業務は、自治体が手放さないだろうと思います」(Aさん)

 決定権と財源を自分たちのもとに残せるのならば、手綱を握って方向性をコントロールできる。自治体側には、そういう判断も働くかもしれない。介護保険事業者と同様の、よりどりみどりの「生活保護事業者」から、自治体はどのような基準で委託先を選択するだろうか。

「まずは、『いかに安いか』ということが、最大の評価基準になるでしょう。最大の狙いは、人件費の削減であろうと考えています。ただ、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持っている人の比率は増えるでしょうね。現在でも、資格を持っている非常勤職員は多いですから」(Aさん)

 現在、自治体に非常勤の身分で雇用されて福祉事務所で働く職員は、民間の生活保護事業者で、同様に不安定な身分で働くことになりそうだ。もちろん、待遇が改善される見込みは薄くなる。「生活保護を利用しながら生活保護事業所で働く」というスタイルが当たり前になるかもしれない。

民間業者に蓄えられる能力が
生活保護制度を破壊するか


 さらにAさんが懸念しているのは、現実化する可能性の高さだ。

「生活困窮者自立支援法が全面的に施行されて、満3年が経過しました。相談支援を委託された業者が、非常に力を蓄えてきています。この流れが続くと、『行政よりも質が高い』という評価が定着するのではないでしょうか」(Aさん)

 2013年、最初の生活保護法改正と同時に成立した生活困窮者自立支援法は、経済的困窮を含む多様な困りごとを抱えた人々に対する相談支援を中心としている。相談支援機関は、行政が直営している場合と外部委託が半々程度だ。好評の相談支援機関は、必ずしも外部委託とは限らず、行政直営の場合もある。

 生活困窮者自立支援法に基く相談支援の対象は、現在のところは生活保護に至っていない人々だ。風俗業界で働いており収入の面では生活困窮状態ではない女性が、多重債務やDV被害など数多くの問題を抱え、苦しみながら子どもを育てているのかもしれない。頭脳優秀で高い職業能力を持つものの、本人が気づいていない軽度精神障害のために、就労が不安定なのかもしれない。

 ともあれ、相談支援を委託されている業者には、数多くの困難ケースを含めて、経験が蓄積されてきている。3〜5年でローテーションによって現場を去る公務員よりも優秀なスタッフが、育つ可能性もあるだろう。すると生活保護業務の外部委託も、机上の空論ではなく現実の可能性となってくる。しかも人件費が削減される。住民としては、歓迎すべきことばかりに見える。

「でも、そんなに良い形にはならないだろうと思います」と、Aさんは懸念する。

生活保護業務の外注が
もたらすディストピア


 介護保険のケアマネは、利用者の生活の質を高めるためにサービスを充実させようとすると、「余計なことをするな」と行政に叱責されるかもしれない。下手に逆らえば、収入源を絶たれるかもしれない。ケアマネに行政の顔色をうかがわせるためには、その可能性を匂わせるだけで充分だ。

「もしも生活保護業務が外部委託されたら、今の介護保険のケアマネと同じようになるのでしょうね。必要な支援でも『そこまでするな』と言われたら差し控え、生活保護からの脱却に数値目標を設けられたら、その通りに生活保護を辞退させて」(Aさん)

 すると、北九州市で2007年に発生した、生活保護を辞退させられた男性が「おにぎり食べたい」と書き残して餓死した事件と同様の問題が、日本全国で頻発するのかもしれない。しかし行政は、批判を恐れる必要はない。業者を入れ替えれば、「トカゲのしっぽ切り」ができる。そして業者の選択肢には事欠かない。行政は、最終的な責任を負わなくてよくなる。

 この、紛れもないディストピアを現実化させないためにどうすればよいだろうか。

「行政の質を高めて、委託の余地をなくすことでしょう。繰り返しになりますが、今が良い状態というわけではなく、今だって良い状態ではないのですから。国がわざと、生活保護業務を質を上げにくいようにしている感じもあります。でも、一度変えたら、一度外部委託を許したら、大変なことになります」(Aさん)

 2017年12月5日、生活保護制度に関する国と地方の協議のとりまとめには、「ケースワーク業務等のあり方について」として、「稼働能力のある者に対する就労支援や不正受給対策などの業務を効率的・効果的に行う観点から、ケースワーク業務の重点化や外部委託のあり方」を議論するとある。生活保護業務の外部委託は、現在表舞台への出番を舞台袖で待ち構えている状態だ。Aさんの危惧は、空想でも妄想でもなく、大いに現実化する可能性を持っている。

 誰の生存権も保障されず、誰もが大きな不安を抱えて怯えるディストピア。近未来の日本をそんな世界にしたくないのなら、まずは生活保護法再改正に関心を向け続けるしかなさそうだ。

(フリーランスライター みわよしこ)


 

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コメント
 
1. 2018年4月30日 12:35:46 : qv1gAhAi6g : wUU6VTGq5nI[87]
もっと怒ろう。国家に怒ろう。それしか解決法はない。
もっと怒ろう。国家に怒ろう。集団化しよう。
 もし個人が個人として不満だけがあるのなら、そのまま滞留させるの
はだめで、対話という幻想は放棄し、国家に与えよう。
 ー怒りと不満を国家にぶつけようー
 わたしは匿名者である。
 むかつく国家。あなたの問題はあなた個人のものではない。
乗せられてはいけない。極めて単純なことであり、あなたの欲求不満と
苛立ち、それはエリート的な人たちの策略である。

2. 2018年5月01日 01:59:14 : wgLnjNHh3I : JMEnTObgYMs[99]
もうベーシックインカムにしろよ

現状の生活保護なんて受給奴のための既得権益と化しているのは明らかだしね

[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理

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