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住宅ローンは30歳までに組まないと身を滅ぼす理由
http://diamond.jp/articles/-/168677
2018.4.26 沖有人:スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント ダイヤモンド・オンライン
「家を買うのは結婚してから」と考えていないか。今やそんな悠長なことは言っていられない。35年ローンを安心して組める年齢は、せいぜい30歳前後なのだ
結婚してから家を買うのは遅い
住宅ローンの「新常識」とは?
「家を買うのは結婚してから」と考えていないだろうか。それは昔の話であり、時代はすでに変わっている。
退職金が出ない会社も増えているし、定年はほとんどの企業が60歳だ。昔は退職金を住宅ローンの返済に充てて完済をし、老後は住宅ローンがないのが一般的だった。しかし、今はそのセオリーがそもそも崩れているので、別の返済計画が必要になる。その模範解答例は以下のようになる。住宅ローンを借りる時期は、読者諸氏が想像している以上に早いほうがよいと考えた方がいい。
【住宅ローンと人生年表】
20歳 住宅ローン可能年齢
22歳 大卒入社3ヵ月で住宅ローン可能
25歳 定年までに35年ローン完済年齢
30歳 再雇用定年までに35年ローン完済年齢
44歳 35年ローンの最終年
60歳 定年
65歳 再雇用定年(定年前の50〜60%程度の給与水準)
65歳 年金支給年齢
80歳 誕生日までにローン完済
82歳 男性の平均寿命
88歳 女性の平均寿命
順を追って説明していこう。20歳になると、国民年金の支払い対象になる。年金を何十年支払っても老後の安心は確定しない。それは将来、もらえる年金の金額が支払った金額より減ることが事実上、確定しているからだ。仕事をしている現役世代が老後世代の年金を支払う構造になっているため、少子高齢化が進む人口減少社会では年金が一部かけ捨て同然になってしまうのである。
しかし、20歳になるといいことがある。住宅ローンを借りることができるようになることだ。もちろん、学生ではなく定収をもらえる仕事に就いていることが条件になるが、今は金利が低いので、年収の7〜11倍のお金を借りることができる。
大卒の月収が33万円で年収400万円なら、2800〜4400万円である。住宅ローンは就職して3ヵ月すると審査対象者になる。3ヵ月未満は試用期間のようなもので、正式に就職したとは見なされないということだ。とはいえ、就職したら早々に住宅ローンを借りられるということは覚えておいた方がいい。筆者の知り合いのご子息は22歳で大手IT企業に就職し、3ヵ月後に自宅マンションを買っている。
「人生100年」と考えるなら
賃貸に住み続けるのはあり得ない
日本人の平均寿命は90歳近くになった。夫婦ならば、どちらかが90歳を迎える確率が50%近くに及ぶ。そして、この平均寿命は延び続けている。がんの治療薬開発などがもっと進展すれば100歳まで生きても不思議ではないので、「人生100年設計」を唱える人も増えた。
そんな中で、自宅は賃貸でいいという選択肢はない。住宅ローンの場合は30歳で借りれば、再雇用定年となる65歳までの35年で完済できるのに対し、賃貸の場合は同じ年齢から借りても90歳まで生きるとすれば60年間賃料を払い続けなければいけないのだから、言うまでもない。マンションを購入すれば、ローン完済後の費用は管理費と修繕積立金だけになり、70平方メートルなら月約3万円、年36万円を見積もっておけばいい。
同一の物件を賃貸と持ち家で比較すると、どちらが有利かは明白だ。家賃は(住宅ローン+管理費+修繕積立金)とほぼ同額で、ここでは月15万円としよう。人生90年として30歳で住宅ローンを借りると、賃貸と持ち家の支払い総額は60年で以下のようになる。
・賃貸/180万円×60年=1億800万円
・持家/180万円×35年+36万円×25年=7200万円
……差額は3600万円(50%相当)
単純計算でも両者のコストは1.5倍も開きがあり、どう計算してもこれが逆転することはない。そして、この差額は寿命が延びれば延びるほど大きくなる。超長寿国家の住宅選択においては、賃貸に住んでいる期間をなるべく少なくするのが最も効果的な選択であり、就職3ヵ月で家を買うのは道理に叶うことなのである。会社員の最大の信用枠が超低利で借りられる住宅ローンであることは間違いなく、それを最大限活かせるのだから。
実質定年から逆算する
ローンの安全な借り入れ時期
現在、ほとんどの企業の定年は60歳になっている。ただし再雇用制度があり、会社側には社員が希望すれば65歳まで雇用義務が発生する。つまり現在の制度上は、実質定年は65歳になっている。
そう考えると、住宅ローンの返済は定年、もしくは実質定年までに完済させなければならない。60歳定年から35年前は25歳、65歳の実質定年から35年前は30歳になる。これが、30歳までに住宅ローンを組むべき最大の理由となる。
とりわけ、60歳までのローン返済を重視すべきだ。60歳までの給与と比較してそれ以降の給与は一般的に50〜60%程度に減ってしまい、退職金もない。60歳まで自分の部下だった者が上司になるという、役職の逆転も起きる。これが再雇用の実態であり、全ての会社員にとって幸せとは限らないからだ。
65歳になったら年金がもらえるが、この金額は自分が支払った総額を下回る可能性が高いので、大した金額にはならない。家賃が10万円なら、その時点でもうキャッシュフローがマイナスになり、預金を取り崩さなくてはならない。でも、管理費と修繕積立金の3万円なら支払うことができる。年金生活に入る65歳以降に住宅ローンを返済しているようでは、アウトなのである。
これまで持ち家の購入は、結婚して子どもが生まれて第一子が小学校に入学する前が最も多かった。平均婚姻年齢はすでに男性が31歳になり、女性が29.4歳(2015年調査)になり、再婚を含めると男性が33歳になり、女性が31歳と30歳を超えている。さらに、都市部の婚期は全国平均よりも1歳以上遅い。また厚生労働省は、生涯未婚率を2035年に男性が29.0%、女性が19.2%になると予測している。これも都市部ではもっと高くなるはずだ。
これらの事実を「典型例」として計算すると、結婚(31歳)、出産(33歳)、小学校入学前(38歳)を待っていたら、住宅ローンは65歳に完済できず、実質定年後も8年分の返済が残っていることになる。住宅ローンの元利返済総額が5000万円なら、35年を8年で割ると残額は1143万円に及ぶ。そもそも「家族のためのマイホームを終の棲家として購入する」にしても返済がおぼつかないとなれば、定年までに返済できない家を購入していいわけがない。婚期が遅れるほど、3〜4人程度の家族全員を育むためのまとまな家が購入できなくなってしまうことになる。
80歳までに完済せよ!
住宅ローン「借り方」の鉄則
一方、住宅ローンにも返済期限がある。それは80歳の誕生日だ。それまでに全額返済しなければならないので、35年ローンが組める最高齢は44歳ということになる。45歳の誕生日を迎えたら、ローン期間は長くても34年になってしまう。「ローン期間は短くなっても構わない」と言う人がいるが、それはそもそもの住宅ローンの借り方の鉄則に反している。
その鉄則をおさらいしよう。ローンは年収の10倍程度を借りるもので、その理想的な借り方には3つの方法がある。
(1)なるべく多く借りる
(2)なるべく期間を長く借りる
(3)なるべく金利を低く借りる
つまり、住宅ローンの鉄則は「多く、長く、低く」なのである。
現在は金利が史上最低なので、(3)の「金利を低く」は誰にとっても心配に及ばない。金利が低いので、(1)のように「多く借り」ても、繰り上げ返済をしなくていいほど金利負担は少ない。問題になるのは(2)の「期間」だけになる。
期間35年の月返済額を100とすると、30年では114、25年では134、20年では163を返済しなければならない。35年返済を30年にできたとしても、25年は返済がかなり厳しいと想定した方がいい。通常30年が許容できる支払額の限界だろう。30年返済を想定すると、60歳定年から30年前は30歳、65歳の実質定年から30年前は35歳になる。つまり、35歳までに家を買うのがやはり最終期限ということになる。
自宅購入は独身時代から
考えるのが当たり前に
住宅ローンの推奨時期が30歳であり、遅くとも35歳と言われても、結婚していないと現実味を感じないかもしれない。しかしこの際、「マイホームを買うのは結婚・出産などの世帯構成が確定してから」という固定観念自体を捨てた方がいい。いつ結婚するかは自分だけでは決められないからだ。一生独身でいるかもしれないし、子どもの数も不確定な要因が多いものだ。
不確定要素が色々あっても、自分の老後の心配をなくすことは確定できる。老後の住処を自宅として確保し、必要な経費を年金でもらえる金額内に抑えられれば、一生住まいで苦労することはなくなる。それでいて結婚もできるし、住み替えもできる。
そのために最も大事なのは自宅の資産性である。資産性とは「いつでも売却でき、貸したら賃料でローン返済が賄える」ことを指す。それがすべてのマンションについてわかるように、評価、時価、資産性を数値化したのが、スタイルアクトが無料で提供する「住まいサーフィン」であり、当連載でも何度も紹介している。結婚や子どものことを考えるならば、その時点で住み替えをすればいい話だ。自宅で資産形成ができていれば、いつでもそれは可能である。
自分の周囲を見回してみよう。同世代でも単身でマンションなどを購入している人がいるはずだ。「なぜ買うのだろう?」と思うのはもう時代遅れ。「なぜ単身のうちから家を買わないのか?」という考え方が主流になる日は、そう遠くないと筆者は思っている。
(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖有人)
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