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メガ銀が「銀行員らしくない」新卒採用を重視、銀行も“銀行離れ”
http://diamond.jp/articles/-/168182
2018.4.25 週刊ダイヤモンド編集部
みずほフィナンシャルグループが就職活動中の学生に配っている冊子。表紙には「みずほらしくない人に会いたい。」とある Photo by Takahisa Suzuki
銀行業界の新卒採用は今春、大転換期を迎えた。構造不況業種というイメージが広がり、学生の銀行離れが騒がれる一方、銀行自身も“銀行離れ”の動きを見せているのだ。
その一例が、みずほフィナンシャルグループ。今年の新卒採用では、「みずほらしくない」人材をターゲットに定めた。
みずほが過去数年の自社内定者の個性を全業界の平均値と比較分析したところ、協調性や問題解決力が高い半面、新しい発想や変化を生み出す創造力や変革力に課題があることが判明。加えて、個性を九つに分解して各年の内定者の平均値を示したレーダーチャートは、いずれも相似形を描いた。
この結果を受けて、みずほは新卒採用の戦略に調整を加えた。
みずほは、低金利と金余りで稼げなくなった融資という金利ビジネスから、金融サービスを駆使して顧客の課題を解決する手数料ビジネスへの切り替えを標榜する。そのため、成功パターンがない激動の時代において、社内の課題解決部隊が変革力に欠けていては計画が頓挫しかねない。
そこでみずほは今年、従来の内定者とは“異質”な、変革力に優れた学生に重点を置いたのだ。
さらに、外国人留学生や海外在住経験を持つ人材と、「STEM人材」と呼ばれる科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)を修めた人材の獲得にも注力。「グローバル」「理系」という「銀行員らしくない」人材の注入を図る。
みずほで人事部門を担う宇田真也執行役員は「今まで銀行を志望しなかったタイプの学生にも自らアピールしていく」と語り、グローバル志向の人材に対する個別アプローチや理系研究室への訪問など、今までにないルートでの人材確保を強化しているという。
三井住友の挑戦的な一文
「銀行員らしくない」人材の獲得を目指すのは、みずほに限らない。
三井住友銀行は、今年の新卒採用ホームページのトップ画面に「かつては、銀行と呼ばれていた」という挑戦的な一文を掲げた。かつての「両替商」が時を経て今の「銀行」になったように、銀行が銀行でなくなる未来が近づいているというメッセージだ。
「歴史的に、不況になると学生の中で公務員と銀行員の人気が上がる。安定志向の人が銀行に来る」(メガバンク人事担当者)傾向は顕著だが、転換期の今は正反対の人材を欲しているということだ。
さらに、三井住友銀行は総合職の新卒採用で「クオンツ」「デジタライゼーション」というコースを新設。数学やテクノロジーに特化したキャリアに門戸を開いた。
ITの“侵食”が進み、「食うか食われるか」の時代に突入した銀行業界では、変革志向を持った“異質”な人材の争奪戦が始まっている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
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