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第1志望校不合格 親が腐るから子も腐る 中高ずっと"深海魚"で浮上できない
http://president.jp/articles/-/24884
2018.4.11 中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平 PRESIDENT Online
中学受験で第1志望校に合格できるのは3人に1人。夢を果たせない子のほうが多いのだ。中学受験塾代表の矢野耕平氏は「親が不合格のがっかりした感情を引きずると、子の中高生活やその後の人生に悪い影響がある」と指摘する。子の中学受験を「前向きに終了させる」ために親がすべきこととは――。
「晴れ」の日なのに、「曇った」表情を見せる子どもたち
今春、中学入試を終えた子どもたちの中学校生活がいよいよ始まる。この時期、わたしが気がかりなのは、「晴れ」の日にもかかわらず、「曇った」表情を見せる子が少なくないことだ。
中学入試、とりわけ首都圏の難関校の入試が集中する2月1日は例年かなりの激戦となる。第1志望校に合格できる子は「3人に1人」と言われている。つまり3人に2人は第1志望校に合格するという夢を果たせなかったことになる。
▼「併願校」の入学式に臨む親が暗いワケ
ある私立中高の校長からこんな話を聞いたことがある。
「ウチの学校の入試は2月2日と4日の2回だったのですが、ある年から2月1日の入試を増やしたんです。そうしたら、どうなったと思いますか? 入学式が本当に明るい雰囲気になったのです」
入試を2月1日に行うと、その学校を第1志望校とする受験生がぐんと増えるのだ。それまでは、別の第1志望校の「併願校」としての位置づける受験生が多かったのだろう。この校長は、「当時は第1志望校に受からず、仕方なくウチの学校に入学したという新入生が多く、入学式は本当に暗かったのですよ」と語る。そして、ちょっと皮肉っぽくこう付け加えた。
「まあ、暗いのは子ども本人よりも、むしろ保護者のほうだったなあ」
親が無念さを引きずると、子は「深海魚」になる
わたしは、教育系ポータルサイトで中学受験の「お悩み相談」を担当しているのだが、この時期はこうした質問をよく受ける。
「子が第1志望校不合格で、入試が終わってしばらくしてもまだ落ち込んでいる。どうしたらいいでしょうか?」
この手の質問は、行間に親自身の無念さがにじんでいることが多い。落ち込んでいるのは子ども本人よりも、実は親であるケースがほとんどなのだ。
子どもたちは小学6年生という年齢で、中学受験という大仕事に挑む。まだ11〜12歳である。自分の成果をはかる判断基準をたくさんもっているわけではない。だから、最も身近な大人である「親の顔色」が判断基準になるケースが多いのだ。つまり、親が無念さをにじませていると、子は「ああ、自分の中学受験の結果はダメだったのだ」と落胆してしまうことになる。そして、うつむいたまま入学式に参加することになってしまうのだ。
このような子は中高生活で「深海魚」と化す場合がある。「自分はこの学校に来るはずではなかった」という後悔を抱えたまま学校生活を送ることで、勉強だけでなく部活動や友だち付き合いでも消極的な態度をとるようになってしまう。その結果、いつまでも暗い気持ちを引きずり、最悪の場合、不登校になってしまう。力を出し切って受験した結果が、これでは残念すぎる。
▼親は第2・第3志望校の合格に感謝するべし
わたしはこう願っている。
子の進学先がたとえ第1志望校でなく、第2志望校あるいは第3志望校であったとしても、親は子の合格結果を心から喜んであげてほしい。また子に「合格」をもたらせてくれた学校にも感謝の念をもってほしい。
親の喜びは子の「自信」につながるし、中高生活を前向きに送っていこうという原動力になる。意欲的に学校生活を送ることができれば、「第1志望校不合格」の過去は徐々に薄れていく。「自分が通うべき学校はここだったんだ」という意識が芽生えれば、勉強も部活動も友だち付き合いも楽しくなるだろう。
第1志望 大学附属中学に落ちたA君の「その後」
最後にひとつのエピソードを紹介したい。
中学受験に挑んだA君についての話である。A君は小学3年の後半から私が代表を務める塾に通い始めた。父親の母校である高偏差値の慶應義塾大学の付属中学校へ進学したかったからだ。A君と会話をしていると父親の話がよく登場する。無口で少し怖い印象の父親はちょっと近寄りがたく思っていたようだったが、その口ぶりから父親に憧れている気持ち、誇りに思う気持ちがひしひしと感じられた。
A君の成績は決して悪くなく、慶應義塾大学の付属中学校を「挑戦校」として狙えるレベルだった。しかし、入試結果は第1志望校に不合格。第2志望校であるB中学への進学を決めた。
第1志望校の夢が破れ、彼の落胆ぶりは相当なものだった。ただ、救いは母親がB中学の進学を心から喜び、「B中学は一流の進学校なのだから、がんばれば慶應よりもっと難しい大学に行けるかもしれないわよ」と声をかけていた点だ。
▼高校受験でリベンジしたいという心の裏側
入学して3カ月、少し中学校生活に慣れたA君が塾に立ち寄ってくれた。彼は言った。
「ぼく、いまの学校に通い続けながら、高校受験で慶應の付属高校を目指したいのです」
聞けば、中学受験で第1志望校に不合格であったのがとにかく悔しくてたまらないとのこと。両親はどう考えているのかとたずねると、母親は(高校受験自体を)反対していてB中学で中高生活を謳歌すべきだと言っている。一方、父親は黙して何も語らないらしい。
嫌な予感……A君は深海魚になってしまうのか
嫌な予感がした。
付属高校受験という前向きな意識に見えて、その実、「深海魚化」するリスクもあるように感じられたのだ。わたしはA君の母親に電話をかけ、あるお願いをした。もう塾生ではないのだが、どうしても伝えたかったのだ。
「お母さん、A君の中学受験は残念ながらまだ終わってはいません。わたしはお父さんがA君の中学入試結果についてちゃんと面と向かって話をすることが必要だと思います。お父さんに協力をしてほしいのです」
数日後、母親から電話がかかってきて、こううれしそうに言った。
「先生、ありがとうございます。AはB中学でこのままがんばると張り切っています」
▼A君の父親が息子にかけた「言葉」
わたしが母親に「お願い」をした後の休日の夕食時。家族3人が食卓についたタイミングで、父親が息子に「真意」を尋ねたそうだ。A君は、いまの学校が楽しいこと、でも高校受験でリベンジを果たしたいことを話した。父親は無言でうなずいていたが、息子の話が終わったあと、こんなことばを穏やかな表情で語りかけたそうだ。
「お前は中学受験をがんばったよ。残念ながら第1志望校は届かなかったけれど、父さんはB中学に合格できたお前は大したものだとうれしく思っている。A、このままB中学でがんばりなさい」
その途端、A君は全身を震わせて泣きじゃくったそうだ。
季節はもう初夏を迎えていた。このときようやくA君の中学受験は終わったのだ。彼は尊敬する父親に認められたいと心の中でずっと願い続けてきたのだろう。尊敬する父親が自分を認めてくれたことで、A君のモヤモヤは晴れた。
第1志望校に受からなかったからといって、その後の人生が台なしになるわけではない。そのことを子どもだけでなく、親も認識しなくてはいけない。子どもの中学受験を本当の意味で終わらせ、楽しい中高生活を迎えさせるきっかけを作るのは、親しかいないのだ。
(写真=iStock.com)
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