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都心で新築・3畳ワンルーム…超コンパクト物件が大人気のワケ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180411-00540592-shincho-bus_all
デイリー新潮 4/11(水) 7:31配信
狭くてもOK?(写真はイメージ)
「ウサギ小屋」よりも狭い
3畳のワンルームと聞いて、どんな印象を持たれるだろうか。何と言っても拘置所の独居房と同じ広さなのだ。
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フォークソングの名曲、南こうせつとかぐや姫の「神田川」(作詞:喜多条忠、作曲:南こうせつ)を思い出された人もいるかもしれない。あの歌で出てくる下宿の間取りは3畳。そして、彼らの歌は「四畳半フォーク」と呼ばれた。
かつて日本が高度成長を成し遂げた頃、団地に住んで働く姿を欧米人は「ウサギ小屋」と揶揄した。3畳なら何小屋と呼ばれるのか見当も付かないが、この“独房スタイル”のワンルームが少なくとも東京都内では大人気だというのだ。
昭和のアパートが見直されているという話ではない。山手線に代表されるような首都圏の鉄道駅に近接しており、比較的、家賃が安く、なおかつ新築・築浅という3拍子を兼ね備えている物件が引く手あまたなのだ。
90年代後半から、東京では都心の人口が増え続けている。「都心回帰」や「職住近接」というキーワードを目にすることは多い。リーズナブルな家賃で都心に住むという選択肢は理解できないわけではない。それこそ「立って半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」という格言もある。
さりながら、3畳と言えば、わずか約5平方メートルだ。ネットカフェに暮らすよりはマシだろうが、これほど狭い部屋で生活するのも罰ゲーム感が漂うのではないのか――?
スマホの与えた大きな影響
そんな疑問を浮かべながら、不動産情報サイトやフリーペーパーを発行している「SUUMO」の副編集長・田辺貴久さん(36)に「3畳ワンルーム」が人気を呼んでいる理由を訊いた。
「やはり家賃を魅力的に感じる人が多いということですね。特に山手線の内側となりますと、6畳や8畳といった従来型のワンルーム・1Kの場合、家賃は月10万円を越えるものも多いです。それが3畳や5畳といった超コンパクトタイプのワンルームでは10万円を切ります。しかも、間取りは隅々まで計算が行き届き、家賃のために我慢する生活どころか、狭さに快適さを感じるような仕掛けが施されているんです」
押し入れの中や、カプセルホテルに落ち着きを感じる人は決して少なくないはずだ。京都といった有名観光地で宿泊する際も、シティホテルではなくビジネスホテルを選ぶファンも存在する。人間、広いから安らげるとは限らない。
「例えば玄関は極めて狭いです。それでも複数の靴を持っていても大丈夫なように、シューズラックは備え付けてあります。あまり人気のない風呂、トイレ、洗面がセットになった3点ユニットではなく、バス・トイレは別で、しかも洗浄機能付きのタイプを採用している物件が多いです。お風呂はバスタブのないシャワーブースですが、一人暮らしの人の多くは湯船に浸からないのでかえって合理的かもしれません。それでも洗面台やキッチンと合わせると、3畳の居住スペースより、水回りスペースの方が広いかもしれないと思うほど、しっかりと整備されている。つまり安かろう、悪かろうという物件ではないのです」(同・田辺さん)
ロフトが備え付けてあるタイプであれば、居室とは別に寝る場所も確保できる。さらに若年層を中心に、住む側のライフスタイルが変化していることも、人気を後押ししているようだ。
「例えば80年代や90年代なら、一人暮らしをする大学生や新入社員はテレビ、ステレオ、本棚を必要としたと思います。2000年代からはパソコンを購入する若者もいたでしょう。ところが現在はスマホ1台があれば、そうしたニーズは満たせます。断捨離やあまりモノを持たないいわゆるミニマルライフがブームになっていることも象徴的ですが、若年層が身軽になったことで、居住スペースが減少しても大丈夫だということでしょう」(同・田辺さん)
シェアハウスの“欠点”を解消
こうした動きの“原点”を歴史的に求めると、数年前から人気を呼んでいるシェアハウスが浮かび上がるという。
「シェアハウス人気のポイントは、リビングと台所を共有スペースにすることで、居住スペースをコンパクト化し、家賃を下げたことにあります。ただ1人で寝られるとはいえ、他人とのコミュニケーションが苦手な人もいます。超コンパクトタイプのワンルームは、この問題の解消を図ったと言えるでしょう。都心に位置していますから、周辺には様々な店舗が深夜まで営業しています。台所もリビングもいりません。食事は健康に気を使ったメニューが豊富な飲食店へ行き、コーヒーを飲みながら読書を楽しむなら近所のカフェを訪れるという具合です。かつては狭い家に住むのは生活に余裕がないこととイコールでした。ところが今回の場合は、可処分所得に余裕を持つ独身の会社員にも人気だというところに特徴があります」(同・田辺さん)
今後の不動産業界は、こうした「痒いところに手が届く」物件を作る必要に迫られているという。画一的な部屋を大量に供給して利益を上げる時代ではなくなったということだ。「狭くてもいいから都心に住む層」、「ある程度の広さは必要だから郊外に住む層」「とにかくペットと一緒に住みたい層」というように顧客の細かな好みに対応しなければならない。大変な時代だとも言える。
実は田辺さんも、山手線の駅に近い約5畳のワンルームマンションに住んでいる。住み心地はどうなのだろうか?
「物件を探すと、40平米で家賃月15万円というタイプと、5畳で10万円を切るものの2つが見つかりました。別に実験という感じではなく、『駄目だったら、また引っ越せばいいや』と軽い気持ちで住んでみました。ところが想像していた以上の満足感で、自分でも驚いています。まず会社が近いので通勤が非常に便利です。部屋にはベッドしか置いてませんが、勤務後は外で食事を摂ってしまいますから、家ではシャワーを浴びて寝るだけなので不自由がありません。私の部屋も、バス・トイレ別で水回りは快適です。私のような人間は決して少なくないようで、今、超コンパクトタイプのワンルームは人気です。聞くところによれば、どの物件もほぼ満室という状態だそうですよ」
住めば都と言うけれど、こういったライフスタイルを、読者の皆さんは、どうお感じになるだろうか?
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週刊新潮WEB取材班
2018年4月11日 掲載
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