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<年金>60代夫婦が返金を求められた加給年金の仕組み
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180407-00000007-mai-bus_all
毎日新聞 4/7(土) 9:30配信
加給年金の仕組みとは=iStock
年金制度には、基本的に65歳以上の年金受給者に家計を維持されている配偶者や子供がいて、ある要件を満たす場合に一定額が上乗せされる「加給年金」があります。加給年金の返金を求められた60代夫婦の事例を通じて、特定社会保険労務士の井寄奈美さんが解説します。【毎日新聞経済プレミア】
◇60歳時点で年金を請求せず
A子さん(62)は友人の会社を手伝い、役員扱いで月15万円の報酬を受け、社会保険にも加入していましたが、体力の衰えもあり辞任することにしました。そこで老齢厚生年金の手続きで年金事務所を訪れたところ、60歳時点にさかのぼって年金が支給される一方、先に受給を始めていた夫の年金から過払いになった約70万円の「加給年金」の返金を求められ、戸惑いました。
大学卒業後に会社勤めをしていたA子さんは、6歳年上の会社員の夫と結婚して出産を機に退職し、子育てが一段落した15年前から友人の会社を手伝っていました。
59歳の時に年金請求の案内が届きました。A子さんの年齢の場合、60歳から年金を受給できる制度があるからです。ただ当時は夫も継続雇用で勤めており、自分の役員報酬の他にも家賃収入があったため、すぐに年金は必要ありませんでした。A子さんは「年金の受給開始を遅らせれば年金額が増える。そもそも仕事をしていたら年金はもらえない」と考え、手続きをしなかったそうです。
夫は60歳時点で年金を請求しましたが、定年前とほぼ同等の給与額で継続雇用されていたため65歳まで全額支給停止でした。夫は65歳で退職し、年金と、要件を満たす配偶者などがいる場合に加算される加給年金を受給していました。しかしA子さんが62歳で年金を請求したことで、過払いになった「加給年金」の返金を求められ、今後過払い額に達するまで、2カ月ごとの夫の年金から半額が差し引かれることになりました。
◇60代前半の老齢厚生年金の仕組み
まず、60代前半の老齢厚生年金について説明します。老齢厚生年金の受給開始年齢は法律上65歳です。生年で受給開始年齢は異なりますが、次の要件を満たす場合は65歳より前から受給できる「特別支給の年金」制度があります。要件は、男性は1961年4月1日以前、女性は66年4月1日以前に生まれたこと▽老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること▽厚生年金などに1年以上加入していたこと▽60歳以上であること──です。
ただし要件を満たしても、年金は請求しないと支払われません。また「特別支給の年金」には受給開始時期を遅らせる制度はなく、受給しなくても年金額は増えません。受給開始時期を遅らせて年金額を増やす制度は65歳以降の老齢基礎年金と老齢厚生年金が対象です。
特別支給の年金を請求した場合でも、仕事を続けて厚生年金に加入していると給与額などに応じた支給調整があり、年金を受給できないこともあります。また年金の受給権には5年の時効があり、その間であればA子さんのようにさかのぼって支給されます。
◇加給年金とは
次に、A子さん夫妻が返金を求められた加給年金についてです。加給年金は、基本的に65歳以上の年金受給者に家計を維持されている配偶者や子供が次の要件を満たす場合に一定額が上乗せされます。
要件は、厚生年金に20年以上加入している年金受給者に、年収850万円未満で65歳未満の配偶者や基本的に高校卒業前(18歳になった年度末)の子供がいる場合です。なお、加入期間が20年未満でも、男性40歳、女性35歳以降で年齢により15〜19年の加入期間(中高齢者の特例期間)があれば、加給年金を受給できます。ただし厚生年金に20年以上加入しているか、「中高齢者の特例期間」のある配偶者が自分の老齢厚生年金を受給し始めると加給年金は停止されます。
◇年金の返金を防ぐためには
A子さんのケースでは、夫が65歳時点で加給年金も受給し始めました。A子さんは厚生年金に合計20年以上加入しており、60歳時点で年金を請求すれば、夫の加給年金はその時点で支給停止されるはずでした。しかし、役員辞任を機に62歳で年金を請求し、60歳までさかのぼって支給されることになったため、60歳からの加給年金が過払いとして返還を求められたのです。
結婚や出産後も仕事を続ける女性が増えています。パート勤務でも厚生年金に加入することもあります。A子さんのケースは、中高齢者の特例期間も含め厚生年金に20年以上加入していると陥りがちな事例です。一般的に自分の年金の方が受給総額は多くなりますが、一度受給した加給年金を返すのは誰しも気が進まないものでしょう。
夫婦ともに厚生年金に20年以上加入している(中高齢者の特例期間が適用される)場合は、必要な手続きについて年金事務所に相談することを勧めます。
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