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新FRB長官の手腕への「不安と楽観」 大きな変更はなさそうだけれど
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54989
2018.03.26 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
3月20日、21日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)に関して、イエレン女史のあとを継いだパウエル議長の政策方針を“安全運転”、“慎重”と評する見方が有力だった。ニューヨークやロンドンの市場関係者にヒアリングしても、パウエル議長がイエレン体制の政策方針を踏襲し、大きな変更はないと考える市場参加者は多い。
ただ、同議長の声明文の内容や見ると、そう楽観してはいられないようだ。
今回、景気に関する評価は従来よりも引き上げられた。年内4回の利上げの可能性も示され、FRBが政策正常化を加速しようとしている意図が見える。政治・経済面の不確定要因が増えつつある中、パウエル議長が波乱なく金融政策を運営できるか不安だ。
不安残す議長の経済認識
今回のFOMCの印象として、パウエル議長の経済に関する理解力、それをもとに今後の金融政策がどう運営されるか不安が残った。記者会見で同氏は、目先の景気回復と物価上昇が加速する可能性があると述べた。参加者の先行き予想を見ても、前回の会合に比べて2018年、19年の実質GDP成長率の予想値が引き上げられた。
パウエル議長は、昨年12月に成立した税制改革が投資を促進し、景気が上向くとの考えを持っている。つまり、生産性が向上するから景気が更によくなるということだ。また、減税が労働参加を高めることも景気加速に寄与するとの見方を示した。もしそう考えるのであれば、長期の成長見通しは1.8%よりも高くなってしかるべきだ。
しかし、FOMC参加者の経済成長率予想を見ると、潜在成長率は1.8%と前回12月の会合から変わっていない。生産性が向上するのであれば、潜在成長率は高まるはずである。この基本的な経済成長の理論が、パウエル議長の見解から抜け落ちているように思える。潜在成長率が変化しないなら、なぜ目先の成長率は上向くか、その理由が示されるべきだ。
すでに、米国経済は潜在成長率を上回るペースで成長している。循環的な要因があるにせよ、景気回復が9年目に入り徐々に景気のピークは意識されやすい。実力以上の成長が続くと考えるには、それなりの説得力ある根拠が必要だ。それが示されなかったことに関して、従来に比べてFRBの政策議論を進める体制が不安定化している恐れがあると考える金融経済の専門家もいる。
タカ派な印象
昨年12月のFOMCで2018年に4回の利上げがあると予想したのは4人だった。今回はその人数が7人に増えた。年内3回の利上げを予想する8人のうち一人がタカ派に転じれば、年内4回の利上げがFRBの見解として扱われることになるだろう。それが、会合後のマーケットで4回の可能性が高まったと指摘されている理由だ。
パウエル議長は、目先の景気加速の可能性を指摘しつつも、潜在成長率に関して明確な見解を示すことはできていない。この中で、今後の利上げの可能性が従来よりも高まっている。
言い換えれば、景気の余力は限られており、その間に利上げを進めておく必要があるということだ。結果的に、FRBは景気のピーク接近を示唆し、よりタカ派な政策運営への準備を市場参加者に促しているとも解釈できる。
今回のFOMCは、一般的に指摘されている以上にタカ派である可能性がある。それが、今後の金融市場と経済にどう影響するかは予断を許さない。株式市場ではフェイスブックのユーザーデータが不正に第3者に渡っていたことが浮上し、ハイテク銘柄を中心に株式市場には先行き慎重な見方が出ている。
加えて、トランプ政権は、中国が知的財産権を侵害しているとの理由から、500億ドル(約5.2兆円)相当の中国製品に関税をかける制裁措置を発表した。
足許、米国の景気は堅調に推移しているが、市場参加者や企業経営者が米国の通商政策の先行きを懸念し、リスク回避を優先するようだと、徐々に先行きへの懸念は高まるだろう。その中でパウエル議長が景気の軟着陸を実現できるか不安が残る。
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