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世界では主軸の風力発電、日本では「ガラ空き」の送電線を使えずまったく普及しない理由(Business Journal)
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/479.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 3 月 23 日 02:04:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

世界では主軸の風力発電、日本では「ガラ空き」の送電線を使えずまったく普及しない理由
http://biz-journal.jp/2018/03/post_22739.html
2018.03.22 文=北沢栄/ジャーナリスト Business Journal

 
  福島沖の浮体式洋上風力発電の風車


「将来の基幹電源」と目される再生可能エネルギーだが、日本は欧州に比べて普及のスピードが遅い。

 日本の全電源に占める再生エネの割合は、2016年度に水力の7.5%を含め、なお15.3%にとどまる。頭ひとつ抜けて先行する太陽光で4.8%、海に囲まれているのに風力はたったの0.6%、温泉を楽しむ火山国なのに地熱発電はわずか0.7%だ。

■先を進む欧州、ドイツは35%に

 再生エネ導入で、欧州ははるか先を進む。15年の欧州連合(EU)平均が29%、うちドイツ29%、英国25%――と、欧州では電源の柱に育ってきた。脱原発政策を進めるドイツは、再生エネ比率が35%に達したとも伝えられる。

 日本で普及を阻んでいる主因は、高コストだ。価格は下がっているが、海外では日本以上に急ピッチで低落している。太陽光発電で見ると、電力会社が事業者から買い取る固定価格買取制度(FIT)の導入から6年連続で買取価格が下がった。

 18年度は大規模な太陽光発電の場合、1キロワット時当たり18円と14%の引き下げとなる。制度開始時の40円に比べて半値以下だ。電力会社から事業者に支払うカネは電気料金に上乗せされるため、買取価格の引き下げで国民負担(現在、平均的な世帯で月額686円)は減り、普及に弾みがつく。

 価格引き下げが可能になったのは、太陽光パネル設備費用の大幅下落などによるところが大きい。太陽光の導入割合は、制度前に比べて10倍以上増えた。制度導入の一定の成果が表れてきたといえる。それにもかかわらず、海外ではコスト引き下げのスピードが日本よりも速い。ドイツの太陽光価格は9円(16年)と日本の半値だ。日本としては、昨年秋に始めた太陽光発電の入札制度を活用して、欧州より2倍高い工事費などを大幅に引き下げる必要がある。

 国際機関の報告によると、太陽光の発電コストは10年からの7年間に世界平均で73%下落している。

■送電線が空いていても再生エネは利用できない?

 問題は、風力と地熱発電の遅れだ。普及を阻む大きな原因は、コスト高と送電線接続などの規制にある。世界を見回すと、再生エネの支柱は太陽光よりも風力だ。再生エネ導入が29%と進むドイツでは、うち風力は12%と太陽光6%の2倍。英国は再生エネ25%中、風力は12%と太陽光2%の6倍に上る。

 英国と同じ島国なのに日本の洋上風力発電が普及しないことを、海外の発電事業者は訝る。資源エネルギー庁によれば、風力発電の利点は「大規模に開発できれば発電コストが火力並みに下がる」ところにある。また、「特に洋上では、陸上と比べ好風況で発電効率が高く、大規模な風車の設備が可能」と指摘する。

 ところが、風力導入の壁になっているのが風車本体以外の高コストだ。多くは山地につくられるが、造成工事や輸送路整備の費用がかかる。送電線の新設費用の一部を大手電力会社に支払わなければならず、この負担も一際大きい。強い風が吹き適地とされる東北などで、既存の送電線が原子力発電所の停止や火力発電所の遊休で「ガラ空き」なのに、大手電力から「満杯」として接続できず、高額な送電線の増強費用を求められるケースが後を絶たない。

 電力会社の言い分は、「契約している発電設備の分は稼働していなくても空けておく必要がある」というものだ。送電線の利用実態とは関係ない。原発や火力発電所が動かず送電線が空いていても、新規参入の再生エネ事業者は利用できない制度上の不備があるのだ。その結果、日本の送電線関連費用はドイツの約3倍にも上る。

■地熱発電の資源量は世界3位の日本

 遅ればせながら、経済産業省は空き容量を見ながら既存の送電線を有効に利用する英国モデルにならう取り組みを始めた。まだ試験段階の洋上風力発電も、普及に向け30年までに全国5カ所に「促進区域」を設ける新法案を今国会に提出する方針だ。風力の買取価格も太陽光並みに引き下げる。

 洋上風力は、海上に浮かせたり海底の基盤の上に建てたりした風車で発電し、海底ケーブルで電力を送る仕組み。候補地として、試験中の福島に続き青森、秋田、長崎の沖合が有力とされる。

 とりわけ注目されるのが、実証実験に入った福島沖の浮体式洋上風力発電だ。世界最大規模の3基の風車と浮体式洋上変電所を順次設置し、本格導入を目指す。成功すれば、福島第一原発事故で壊滅した福島・浜通りの地域経済復興のための「福島イノベーション・コースト構想」実現への大きな一歩となる。



 他方、地熱発電は太陽光や風力とは違い、天候に左右されないのが強みだ。日本の地熱の資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位。地熱発電用のタービンでも三菱重工業、東芝、富士電機など日本企業が世界シェアの大半を占める。

 しかし、候補地の大部分は国立・国定公園や温泉地で、発電の適地は見つかりにくい。目下、国は埋蔵調査の段階だが、大規模な開発が難しいのなら、温泉地向けなどに小規模発電を広げる工夫が必要だ。

 再生エネを普及させ、地球温暖化を抑える低炭素社会を実現するには、高コスト構造や運用の壁を解消する規制改革、事業に参入しやすくする法整備が欠かせない。

(文=北沢栄/ジャーナリスト)


 

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コメント
 
1. 2018年3月23日 05:38:24 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1031]

送電網を分社化し独立にして、市場原理で入札にすれば、当然、価格を安くすることはできる

ただし日光も風も変動が大きく、国土の大部分が山で、自然災害も多い日本の場合

当然、安定な電源供給を犠牲にすることになり、停電や電圧の変動、サージ等を受けれいる必要はでてくる

そのバランスを、市場原理で、うまく実現するかどうか、

特に外部不経済の問題、使用料が少なく高い価格を要求される大衆の政治的な不満や要求を処理できるかが問題になるだろう



2. 中川隆[-5497] koaQ7Jey 2018年3月23日 05:49:20 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8578]
風力発電は環境を破壊するだけでなく低周波音で風車病・睡眠障害を引き起こす

2007年末、東伊豆の別荘地では1500`h×10基の風力発電が運転を始めた直後から、住民のなかで健康被害が続出した。

この因果関係を調べるため、事故で風車が停止しているとき、団地自治会が独自に疫学調査を実施した【表1】。不眠、血圧、胸・腹・歯・鼻・耳痛などの症状が、風車が停止することで大きく改善したことがわかる。
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/6965

クリーンエネルギーと称しての風力発電がありますが、あれを間近で見たことがある人がどれ程居られますでしょうか?

あの、圧倒的な威圧感、不快な風切り音、そして、小さなことではありますが、渡り鳥の事故死なんてのもあります。

一番クリーンな様な気はしますが、あの巨大風車はあるべき姿だとは思え無いのですけどね・・・。

風力を利用するにしても、もっと他のやり方があるのではないかと。
http://ssoubakan.com/blog-entry-2586.html

風車騒音の健康影響  北海道大学大学院 工学研究院教授 松井利仁 2017年7月28日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/3979

 北海道石狩市では、石狩湾周辺に3000`h以上の風車四六基(総出力16・7万`h)が建設されようとしていることに、市民が粘り強い反対運動を起こしている。先日、本紙に石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会のメンバーから大量の資料が送られてきた。そのなかで5月13日に開催したシンポジウムでの、北海道大学大学院工学研究院教授・松井利仁氏(工学博士)の講演「風車騒音による健康影響と石狩湾新港周辺三事業の影響評価」が地元で大きな反響を呼んでいることも記されていた。講演内容は専門家の見地から低周波音の人体への影響をとらえたもので、同じように風力発電と向き合っている下関市民にとって、もっとも知りたい内容を含んでいることから、松井氏に直接連絡をとり講演要旨を紹介することに快諾を得た。松井氏は北海道や札幌市の環境影響評価審議会委員も務めた。なお、最近下関市の安岡沖洋上風力発電を計画する前田建設工業が松井氏を訪ねて意見を求めており、「周辺人口が多すぎるので、この計画では健康影響が出る」と伝えたことを本人が明らかにしている。以下、その講演要旨を紹介する。

騒音で人が死んでいる

 風力発電がもたらす環境影響は、一つは自然破壊、漁業環境破壊、それと今からお話する人への影響、健康への影響、この二つが大きなものだ。

 まず札幌市を対象にした騒音、交通騒音の健康影響について見てみたい。札幌市で環境要因でもっとも人が死んでいるのは騒音だ。騒音で人が死ぬというメカニズムは風車騒音も共通している。この交通騒音の健康影響というのは世界的に、とくにヨーロッパでは常識になっている。6年前の2011年、フィンランドの研究所がおこなった研究で、フィンランド、ドイツ、ベルギーなど欧州六カ国で粒子状物質、交通騒音、ベンゼン、ダイオキシン、ホルムアルデヒドなどでどのぐらい健康損失が生じているかの推定値を明らかにした。100万人当たり1年間でどのぐらい損失しているかという数値で、ある人が1年早く死んだら1年損失である。明らかにトップは粒子状物質(6,000〜10,000)だ。これは日本でも全体的に見ればトップで、健康損失は年間3万人といわれている。ただし北海道はそれほど汚染されていない。

 二番目が実は交通騒音(500〜1,000)だ。粒子状物質とはひと桁違う。一方、最近豊洲で話が出てきたベンゼンは2〜4で、さらに桁がちがう。ホルムアルデヒドは0〜2。交通騒音は粒子状物質に次いで二番目に高いのだが、よくマスコミをにぎわすのはベンゼンとかダイオキシン、ホルムアルデヒド。実際には交通騒音はそれより三桁ぐらいリスクが高い環境要因である。

 従来、騒音は不快感を及ぼしたり生活妨害を起こす環境要因にすぎないと主張する人が多い。しかし現在WHOをはじめ騒音の健康影響を研究している者の常識は、「聴取妨害は不快感を及ぼすけれども、睡眠妨害はさまざまな身体的健康影響を及ぼしている」というものだ。

 WHOの資料だが、複数の地域で住民を対象に道路交通騒音と心筋梗塞の発症リスクとの関係を調査した。騒音が80デシベルで1・5倍になっている。つまりその地域に住んでいると、他の地域よりも1・5倍、心筋梗塞の患者が多い。増えた分の50%は騒音が心筋梗塞の発症につながっている。日本の騒音の環境基準は、三大死因の一つである心筋梗塞の患者が15%増加するところに設定されており、けっして住民の健康を保護していない。これが騒音の環境基準の現状だ。

 札幌市でこのWHOの計算方法をそのまま用いて試算した。毎年45,000人(札幌市の50人に1人)が道路交通騒音で軽度の睡眠障害を起こし、毎年150人が道路騒音で心疾患を発症し、そして毎年20人が道路騒音による心疾患で死亡することになる。これを札幌市の主要道路周辺に限って見てみると、道路交通騒音による生涯死亡リスク(死因)は100人に1人。これはとんでもなく高い数値で、たとえばベンゼンの環境基準は100,000人に1人の生涯死亡リスクを採用している。

 他の死因と比べてみた。札幌市の各種年間死亡率で見ると、道路騒音による心疾患で100,000人当たり毎年30人が亡くなっている(高い数値の場所)。もちろん一番多いのはがんで、100,000人当たり年間278人、脳血管疾患で71人だ。しかし不慮の事故23人、自殺22人、腎不全21人よりも騒音で亡くなっている人の方が多い。低周波音も同様に危ない。このことが余り知られていない。

低周波音とその発生源

 低周波音とはどういうものか? 環境省は100ヘルツ以下の音を低周波音と呼んでいる。超低周波音は20ヘルツ以下で、これは国際的に決められている。国によっては200ヘルツ以下を低周波音としているところもある。私もその方がいいと思う。苦情を見ているとその範囲の苦情がけっこうあるからだ。ところが国はどうしたかというと、これすら関係のないものにしてしまった。今年5月、環境省は「風力発電については、耳に聞こえない超低周波音(20ヘルツ以下)には健康影響との関連は見られないので、低周波音に注目して評価するのでなく、聞こえる騒音レベル(A特性)で評価せよ」という実に非科学的な内容の通達を出した。

 低周波音の発生源は、高架道路(橋が揺れると一種の大きなスピーカーになり、揺れる振動数によって低周波音が出る)、風力発電、室外機(ヒートポンプ、エコキュート)などさまざまなものがある。日本で最初に低周波音事件が起こったのは西名阪自動車道路という高架道路だった。

 西名阪自動車道路の問題がマスコミで話題になったのは昭和50年頃。「朝起きてみたら位牌の位置が動いていた」ということで話題になった。次に平成9年頃から家庭用ヒートポンプ(エコキュート)が普及しはじめた。寝室のすぐ横でエコキュートがずーっと回っていて寝られない。電気で回るエコキュートはまだましで、ガスで回る場合、50ヘルツの原付エンジンが寝ている部屋のすぐ横で夜中にずーっと回っているのと同じだ。

低周波音の物理的特徴

 低周波音は普通の騒音と違う特徴がある。
 まず、低周波音は遠くまで届く。4,000ヘルツの騒音は2`離れると音の大きさにして200分の1以下にボーンと下がる。これと比べ63ヘルツとか125ヘルツなどの音は、2`離れてもほとんど減衰しない。1`、2`離れたら影響は減るだろうというのは甘い考えで、人間の耳では差がわからないぐらいだ。遠くまで届いてしまうのが低周波音だ。

 低周波音がやっかいなのは建物に入ってきやすいことだ。高い音は窓を閉めれば音の大きさは落ちる。デンマークでの実測例だが、100ヘルツをこえるとある程度減衰するが、50ヘルツあたりだと窓を閉めても変わらないか、窓を閉めると室内のレベルが上がった。どうしてそうなるかというと、一番の理由は共鳴だ。日本の家屋の場合に起こっているのは、天井と床の間での共鳴だ。天井と床の間が2・5bぐらいで、床面と天井面でレベルが上がる。床に布団を敷いて寝るとレベルの高いところで寝ているということになる。床ではとても寝られないので、簡易ベッドをつくって枕を上げたら寝られるということも起こっている。

 低周波音でどんな影響が出るか。40年前の1977年、西名阪自動車道の周辺で低周波音の健康影響が出る事件があった。周辺住民が「頭痛・頭重」「不眠(睡眠障害)」「イライラ」「肩こり」「めまい」(多い順)という症状を訴えた。注目すべきはパーセンテージで、周辺20bまでのところに77人が住んでいたが、そのうち2人に1人が「頭痛・頭重」「眠れない」という症状を訴えた。また4人に1人が「めまい」を訴えた。これは健康影響以外のなにものでもない。「頭痛・頭重」「肩こり」「めまい」というのは音で生じる影響とは考えられない。そうではなくて内耳の前庭という所で空気の振動を検知することによる障害だ。これはいわゆる風車病と同じ症状だ。

 低周波音で風車病の症状が起こるというのは、日本では40年前に知られていた。海外よりも早かった。それなのにいまだに低周波音を否定する人がいるのが私にはわからない。とくに騒音専門家といわれている人たちがこれを知らない。

健康被害が起る仕組み

 人間の耳は、鼓膜があって中耳があって、蝸牛というところで音を分析して脳に伝える(図1)。そこには前庭という機関があって、頭の傾き、頭の振動を検知して体の平衡機能を保っている。音は鼓膜から入ってきて、まず前庭窓を刺激し、中のリンパ液を振動させて、一部は蝸牛に伝わって音として感じる。前庭窓から蝸牛の間に卵形嚢(のう)、球形嚢という二つの器官があり、ここが振動を感じる感覚器官だ(図2)。入ってきた振動はまずこの二つを振動させてから蝸牛に入る。卵形嚢・球形嚢は低周波音でしか反応しない。

 

 低周波音による「公害病」はいくつかに分類できる。一つは低周波音が聞こえることによって「小さい音」でも気になって眠れない環境性睡眠障害。中・高周波音では小さい音は気にならない。「小さな音」が気になるかどうかは個人差があり、騒音計で評価することは困難だ。もう一つは今紹介した前庭への刺激で、耳に聞こえる音としてではなく圧迫感・振動感を感じることによって眠れなくなるのと、振動によってめまい、頭痛、肩こりを起こしていわゆる風車病となる。「音が気になる」かどうかより、物理刺激との関係が強い。さらにもう一つ、上半規管裂隙症候群(SCDS)という障害を持っている方がいる。1998年に発見されたもので、有病率は1〜5%。その方は低周波音、とくに超低周波音の感受性が極めて高い。この三つが発症機序である。

 風車騒音と風車病・睡眠障害との因果関係について。風車病(風車症候群)と名前をつけたのはヨーロッパの研究者ニーナ・ピアポントだが、彼女が風車の近くに住んでいる人を調査して「転居したら治る」ということを調べた。それはきわめて強い因果関係を証明している。関連の可逆性という。2000年代のことだが、この時点で疫学関係者は風車病というのは低周波音で起こると確信していたはずだ。ところがいまだにそう思わない人がいる。耳鼻科ではもっと前から、音が前庭を刺激して「めまい」が起こるというのはチュリオ現象として教科書に書いてある。実はチュリオ現象は前庭器官の診断に使われている。

 もう一つ、低周波音による「環境性睡眠障害」については、すでに複数の疫学調査結果(環境省を含む)で風車騒音と「睡眠障害」との関係は明らかにされている。にもかかわらず環境省は「睡眠障害」という言葉を使わない。家庭用ヒートポンプ(エコキュート)による「睡眠障害」に関しては、2年前の2015年に、参照値以下のレベルでも睡眠障害が起こるということを消費者庁が認めている。低周波音で睡眠障害が起こることは明らかで、これを否定する人は科学者ではない。

環境省の対応と問題点

 環境省は実に非科学的なことをやっている。WHOは1999年に低周波音についての知見を出した。「A特性騒音レベルによる評価は不適切である」「低周波音が多く含まれる騒音に対しては、より低いガイドライン値が推奨される」「低周波音は低い音圧レベルでも休息や睡眠を妨害する可能性がある」ということをいっていた。

 低周波音について環境省は、寄せられた苦情に対して2004年に参照値という目安をつくった。参照値というのは、10人に1人が寝室で「気になるレベル」を調べたものだ。そして環境省は参照値を目標値にしないよう通達した。住民の1割に影響が出るような値では住民を保護できないからだ。また、参照値は室外機など定常的な低周波音を対象としており、風車の風切り音のような規則的な変動がある場合はもっと「気になる」からだ。ところが事業者は通達を意図的にねじ曲げて、「環境省は参照値を使うなといった」といって、もっと緩い「環境基準値」や「気になる―気にならない曲線」、5割の人に影響が出るような数値を目標値にした。これは倫理観のある人間の行為ではない。利益追求しか考えない事業者やコンサルタント会社による公害犯罪だと思う。

 先にのべたように環境省は今年5月、「風力発電から発生する騒音に関する指針」を出した。環境省が選んだ専門家は「風車騒音の影響は“聞こえる音”による生活妨害や不快感である」「“聞こえる音”なら騒音レベルで評価できる」「“聞こえる音”なら風車以外の騒音のある地域では基準値を緩めるべき」というものだ。なぜこういう論理を環境省が採用したのか、信じられない。これに対して選ばれなかった専門家、私だが、「環境省の研究でもすでに睡眠障害との因果関係が示されている。それを生活妨害とか不快感という言葉で矮小化するな」「WHOは20年前に騒音レベルでの評価を否定している」「前庭への影響は低周波音だけであり、人間は低周波音を聞き分けて“気になる”のだ」と反論している。

石狩の住民はどうなる

 石狩湾新港周辺に計画されている風力発電事業について、人体への健康影響を評価してみた。影響の評価方法は「圧迫感・振動感」に注目したもので、事業者が提出している準備書をもとに、H特性音圧レベルから圧迫感・振動感を優先的に感じる住民の症状発生率を算出した。「圧迫感・振動感」の優先知覚率は「気になる曲線」より控えめである。

 まず、石狩コミュニティウインドファーム(3,200`h×7基)だが、発症率1%以上のところに住宅地、住宅街がある。300人以上の周辺住民に健康リスクが生じる可能性がある。さらに風車は工業団地の真ん中にあるが、工業団地内では発症率は20%、30%、つまり3人に1人、場所によっては2人に1人が圧迫感・振動感を優先的に感じ、睡眠障害などの健康リスクが生じる可能性がある。仮に工業団地に1,000人働いていたとすると、30人ぐらいは圧迫感・振動感を感じ、その半数以上は就労困難になる可能性がある。

 次に銭函風力発電(3,400`h×10基)だが、工業地帯からは少し離れている。石狩市樽川地区、札幌市手稲区山口団地のあたりで0・5〜1%ぐらいの人に健康リスクが生じる可能性がある。計算すると300人以上に健康リスクが生じる可能性がある。全員が発症するとはいわないが、ゼロになることはありえない。

 そして一番問題の石狩湾新港洋上風力(4,000`h×26基、図3参照)だが、石狩市のほとんんどの住宅地と札幌市北区屯田、手稲区の大部分、小樽市銭函市街地で0・5〜1%をこえる住民に影響が出る(図3のだ円で囲った部分)。個人のリスクは小さくても人口が多いので、トータルとして約2,000人に健康被害の発症リスクがある。これだけ人口密集地の近くに大規模洋上風力発電がつくられるところは他にない。

低周波での科学の限界

 さて、水俣病の場合を考えてみたい。「経済成長にブレーキがかかるから」「原因は厳密に特定できない」という理由で水俣病は約10年間放置され、企業は有機水銀の垂れ流しを続けた。それをサポートしたのが科学者だ。彼らは「原因はまだはっきりわかっていない」ということをいい続けた。のちにそれは「非科学的」と裁判で否定されたが、残念ながら彼らはその後も何の痛みもない。それにマスコミも協力した。「中央の権威がこういっている」という報道をして国民を納得させた。熊本大が解明した「有機水銀説」は闇に葬られた。御用学者には鹿児島大学長というポストと研究費が与えられた。

 風車騒音被害の場合はどうなるか? 「パリ協定の目標を達成しようと思ったら再生可能エネルギーを増やさなければならない」といって、住民が睡眠障害や風車病を訴えているのに聞き入れない。そして水俣病の場合は個人の科学者が住民の健康被害を否定したが、低周波音の場合は日本騒音制御工学会という学会自体が否定している。原子力学会が原発の推進をやっているようなものだが、実際には原子力学会に加入している研究者で反対している学者もいる。ところが騒音制御工学会は低周波音について非科学的な発表を続けている。それはこの学会が環境省からの委託研究がないとやっていけないからだ。現状は半分以上が委託研究だ。なので私は去年、騒音制御工学会をやめた。

 世界的には騒音・低周波音の健康影響についてかなりわかってきている。欧州では2002年にEUが環境騒音指令を出し、2009年にはWHOが夜間騒音ガイドラインを定め、騒音対策が進められている。六月に国際会議があるが、心疾患だけでなく、脳血管疾患、糖尿病、がん、精神疾患など、睡眠障害に起因するさまざまな疾患との関係が医学的に明らかにされつつある。低周波音は欧州WHOが風車騒音のガイドラインを策定中である。

 しかし日本ではどうなっているか。国の法律は40年前の知識にもとづいたもので、国民の健康は保護されない。さらに地域差がある。騒音は地域指定されているところしか法律が適用されない環境基準だ。もし大気汚染で「ここの地域に住んでいる人には基準を適用しない」というようなことをいったら大騒ぎになるが、それをやっている。

 1999年と2009年のWHOガイドラインにある健康影響を無視している。
 また司法も、国の法律が定める基準値にもとづいて判断をおこなっている。私も裁判の証言にかかわってきたが、健康影響、睡眠障害をとり上げてくれる裁判官はいるが、最高裁までいくとWHOガイドラインすら科学的根拠なく否定している。裁判所はここまでできるのかと思う。

 騒音・低周波音の健康影響が無視され続ける理由は、地球環境問題と同じ構図だと思うが、資本主義の下で利益追求を目的としているからだ。騒音・低周波音で人が死ぬと思っていないので、健康保護より利益追求を第一にしている。被害者が訴えても他人事だ。また、騒音・低周波音はほとんどの事業に関連し、どんなアセスメントでも騒音が出てくるため、利益追求には厄介な環境要因になり、何とかなきものにしたいと考えている。そのために騒音専門家を起用する。一番の責任者は東京大学名誉教授の橘秀樹氏で、環境省の環境審議会騒音振動部会などで約20年間、環境行政を歪めてきた。

 最後に石狩湾岸の風力発電事業に対してだが、国はそもそも睡眠障害・風車病を認めておらず、そうしたなかで住民が因果関係を立証するのは困難だ。騒音・低周波音については法律で住民は保護されていない。そして事業者は「不特定多数の住民への加害」という、自分の家族にもいえない恥ずかしいことをやっている。私は、事業者はこの恥を理解できないが、その家族、出資者といわれる住民、マスコミは理解できるかもしれないと思っている。もう一つは騒音規制法による停止命令を自治体の長に出させることだ。風力発電は国が国策として進め、科学者がそれをサポートしているもので、水俣病と同じ構図なのだということを知ってもらいたい。
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/3979

石狩風車の低周波音測定結果と健康被害 元札幌医科大学講師・山田大邦氏の論文より 2018年2月8日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/6965

 政府・経済産業省は、化石燃料を消費せず二酸化炭素を出さない風力発電や太陽光発電を「クリーン・エネルギー」といって建設を促進している。これに対して大型風車が建っている地域の住民から、健康被害の訴えがあいついでいる。ところが、原因となっている低周波音について厳格な測定がおこなわれたことはあまりなく、ずさんな測定で「問題なし」として住民の訴えが退けられている地域も少なくない。さらに環境省は平成28年、「風車騒音は聞こえない超低周波音ではなく聞こえる騒音の問題として扱う」という指針を提案した。元札幌医科大学講師の山田大邦氏(生物物理学)は、北海道石狩市で稼働している1500`h級風車の音を実際に測り、超低周波音領域が最大音圧レベルで、その原因が風車特有の風切り音とその倍音構造(後述)にあることを確認した。山田氏の承諾を得て、『日本の科学者』2017年12月号(日本科学者会議発行)に発表した論文「石狩既設風車の低周波・超低周波音測定と健康被害」を引用しながら、その内容を紹介したい。

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 空気の振動が耳に伝わり、鼓膜を振動させることによって、人は音として感じる。1秒間に振動する回数を周波数といい、ヘルツという単位であらわす。振動の回数が多ければ高い音、少なければ低い音になる。また、高い音と大きい音は異なり、音の大きさ(強さ)はデシベルという単位であらわす。

 人間の耳が聞こえる範囲は20ヘルツから2万ヘルツといわれる。低周波音とは人間の耳に聞こえにくい100ヘルツ以下の音のことで、ほぼ聞こえない20ヘルツ以下の音を超低周波音という。

 風車が生む健康被害は、騒音被害とは区別される低周波音・超低周波音(風車の羽が空気を切り裂いて生まれる振動)を主な原因とするもので、それは頭痛、不眠、動悸や胸の圧迫感、息切れ、めまい、吐き気などの自律神経失調症に似た症状を生む。低周波音は騒音と違って反射・吸収が少なく、貫通や乗り越えが顕著なので、二重サッシの防音壁は効果がないどころか逆に被害を拡大するし、騒音が距離を離すと減衰するのに比べて低周波音は遠くまで届く。低周波音による健康被害を解決するには、風車の撤去か住民の転居しかないといわれている。

 この健康被害については、東伊豆(静岡県)、青山高原(三重県)、由良町(和歌山県)などの住民や医師が訴えている。2000年以降は発電量増大のための風車の大型化・大規模化が進み、2010年の環境省報告では、風車から1`以内、1基1000`h以上、1施設10基以上、総出力5000`h以上の場所での苦情件数の増加・継続化が明らかになっている。

 日本では、環境省が2004年に「聴感実験において約9割の人々が寝室で煩わしいけれど許容できるレベル」として「心身に係る苦情に関する参照値」を設定している。しかし、これに対して日本弁護士連合会は2013年、@医師等で調査研究機関を組織し、低周波音の長期暴露による被害実態の疫学調査をおこなうべきである、A「100ヘルツ以下の音は聞こえにくい、10ヘルツ以下の音は聞こえないから、いずれも生理的な影響は考えられない」という考えを前提にした「参照値」を撤回し、ポーランド等外国先進例の基準をもとに暫定基準を設けるべきである、B@にもとづいて健康被害防止可能な規制基準をつくり、風車立地やエコキュート(ヒートポンプ給湯器)の設置場所の基準を策定すべきである、との提言を発表した。

 和歌山県の医師・汐見文隆氏は、「参照値」は耳から入ってくる音を聞き取る気導音の実験値をもとにしたもので、骨導音を無視しており、「低周波音被害者を切り捨てるための悪魔の目安でしかない」とのべている。

 

 日本の「参照値」と外国の基準とを比較すると【図1】、オランダは50〜60歳代の被験者のうち、敏感な人から「10%目」の人を基準としている。これは健常者平均値の聴覚閾値(いきち、50%の人が聞こえる)より5デシベルずつ低い。また、ポーランドでの疫学調査・閾値実験などによって設定された被害者救済基準は、100ヘルツ以下の領域で日本より10デシベル以上低い。

 さらにスウェーデン、デンマーク、オランダ、イギリス、ドイツ、オーストリアなどでは、恒常的な回転に連動しない純音、突発音があれば、ペナルティとして実測値に五デシベルを加えることが決まっている。諸外国の例から、日本では音に敏感な人を保護するさらなる規制強化が必要だということがわかる。

数値測定し被害を実証

 低周波音による自律神経失調症的な症状は、低周波音を測定し外因を証明することによって客観性が裏付けされることになる。これまで風車による健康被害が起こっても、原因を究明し事業者に責任をとらせることができないまま、転居によってようやく被害を逃れている被害者も多い。したがって被害現場での低周波音の正確な測定は、問題の解決には不可欠のものである。

 山田氏は、風力発電が生む問題を実証的につかむため、北海道石狩市で既に建設され、運転している風車の低周波音を、2014年6月から今年1月まで3年半にわたって測定し、所属する科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会で議論を重ねてきた。

 石狩新港周辺は工業団地である。工場従業員や住民への健康被害を懸念して建設場所の変更を求めた知事意見が環境省・経産省によって無視され、3事業者による20基(7万`h)の風車が既に環境アセスメントを終了し着工している。計画当初の発電量を変えずに設置基数を変えて一基あたりの出力を五割増としており、石狩市を中心に札幌市北区・手稲区、小樽市まで低周波音被害が心配されていたのである【図2】。


 山田氏は測定を開始するにあたって、音の測定方法を次のように決めた。

 国・環境省や事業者が騒音測定で用いるA特性は、聴覚の機能が低周波音を聞き難いという特性を表現したものである。だが、風車からどのような音がどのように出ているかは人への影響を考える基本になるので、はじめから低周波音は人への影響がないとして軽視することは科学的態度とはいえないことから、そうした補正をしない平坦特性を用いて測定をおこなった。

 また、国・環境省が周波数分析に用いる3分の1オクターブバンド法では、10ヘルツ以下では1、1・25、1・6、2・0、2・5ヘルツ…など代表点の大きさだけをあらわし、これからずれた周波数は正しく表現されない。しかし健康被害を出しているのだから、どこがその発生源か、対策はどうするかと考えないと科学技術の進歩はない。そこで周波数成分を正確にとらえる高速フーリエ変換分析法(FFT法)も用いた。

 山田氏は、2005年と2008年に建設された石狩市民風力の1500`h級風車3基を対象として、1基のみ回転している風車音を測定してきた。測定の条件は、@工場停止時、A定格回転時、B風車から100bの位置で測定する、とした。定格回転とは、風車が効率よく発電する、支柱の高さ位置で12〜25b/秒の風が吹いたときの状態である。

参照値超えた西端風車

 まず、3基のうちの西端風車の場合である。西端風車はベスタス社製で出力は1650`h、定格回転は1分当たり14・3回転である。測定された原音は、1・4秒周期の恒常的な突発音であった。これは風車の3枚の羽の風切り音であり、「ヴォーン、ヴォーン、ヴォーン」という音圧変動のくり返しが風車音の特徴である。

 これをFFT法で分析したのが図3である。縦軸は下端から始まる時間、横軸に周波数(ヘルツ)、濃淡で音圧レベル(デシベル)を示した。音圧が強い箇所が濃く表示されている。


 これを見ると、20ヘルツ以下の超低周波音領域で、0・7ヘルツを基本にして、1・4、2・1、2・8、3・5、4・2、4・9ヘルツと続く倍音位置に大きな音圧の固有音があることがわかる(白抜き矢印)。また、低周波音領域の16・7、22前後、34、60、100ヘルツのところに、音圧レベルが一定の大きな純音がある(黒矢印)。この純音というのは、風車の羽による高い周波数の風切り音と、風車のギア系や風向きにあわせるモーターなど多様な機械音からなっていると考えられる。

 図4は64秒時の周波数特性図(断面図)であり、FFT法と3分の1オクターブバンド法の二つの分析結果を同時に示したものである。FFT法の分析結果には、超低周波音領域に音圧レベルが大きいピークが並んだ倍音構造が示されている。また、3分の1オクターブバンド法でも、16・7、60ヘルツの大きなピークは共通している。3分の1オクターブバンド法では超低周波音領域のピークを確認できないが、その4倍の精度を持つ12分の1オクターブバンド法では10ヘルツ以下でもFFT法と同じ位置にピークを確認することができた。

 環境省の「参照値」に照らしてみると、60ヘルツと100ヘルツの音が参照値を上回っており、アウトである。ポーランド基準に照らして見ると、16・7ヘルツ、34ヘルツも危険領域となり、それは純音であることからペナルティの5デシベルを測定値に加えると基準オーバーとなる。とくにFFT法では、以上の周波数で突出した音圧レベルを示していることがわかる。これらが頭痛やめまい、不眠を引き起こす原因である。

さらに上回る中央風車

 次に、西端風車と同じ出力の中央風車でも同じ条件のもとで測定した。羽の直径が西端風車よりも小さい(西端82b、中央74b)ために、定格回転は1分当たり19・2回転、先端の速度は時速265`bと新幹線なみで、西端(時速216`b)より高速である。この先端速度の差は、羽が風を切るさいの突発音圧成分の3倍増となっており、超低周波音領域の成分の増大となる。

 図5でこのことを示している。図4と比べると、超低周波音領域で音圧レベルが西端風車よりも約10デシベルずつ大きい。また、低周波音領域の30、60、90、100ヘルツ音が、ポーランド基準はもちろん「参照値」もオーバーする。さらに純音へのペナルティ5デシベルを加えると基準を大幅にこえることになり、国際的なレベルから見て中央風車は停止すべきだと指摘することができる。

   

 なお、40デシベルの横線「日中暗騒音」は、日曜日夕方、風車が全基ストップし工場も止まっているときに測定した結果のうち、20ヘルツ以下の最大値である。中央風車では、この状態よりも30デシベルずつ音圧が大きい風切り音の倍音が見られる。恒常的にこうした音にさらされている住民は、慢性的な健康被害を起こす可能性がある。

 では、実際に健康被害を発症している人と低周波音との関係はどうだろうか。

 石狩の既設風車のそばに住むある住民は、2005年に風車が稼働し始めてから頭痛や耳鳴りで苦しみ、家を離れるとその症状が消えて眠れることから、全国の風車病の被害者の症状に似ていると訴えていた。そこでこの住民が頭痛や耳鳴りで目覚め、眠れなくなったときに、その場で音を測定した。

 それが図6である。測定開始後30秒前後の、原音の音圧を示している。風車の3枚の羽が回転する1・54秒ごとに突発変動音があらわれている(折れ線グラフ上の矢印)。

 図7は被害者宅内の音をFFT法で分析したものである。超低周波音領域で0・65ヘルツを基本とした風車特有の倍音構造があらわれている(白抜き矢印)。倍音構造とは、風車の風切り音がもっとも音圧の強い周波数を基本としつつ、さらに大きな周波数でも連動して強い音圧があらわれることをいう。

 図8は測定開始後490秒の時点での周波数特性をあらわしたものである。3分の1オクターブバンド法では、40ヘルツのところに「参照値」に近い山があり、被害の原因になっている可能性がある。位置を正確に示すFFT法ではそれは36ヘルツの音として検出されており、音圧は周辺周波数よりも30デシベルも突出している。これは図7上端の黒矢印3個の中の左の矢印で示されている、風車特有の回転に連動しない純音の一つである。

 3分の1オクターブバンド法で示されるポーランド基準と比較すると、この40ヘルツの純音がオーバーしている。100ヘルツの純音も危険領域となっており、ペナルティ5デシベルを加えると基準を超過するため、回転数の減少か停止が必要になる。

 さらに超低周波音領域の一部では、静かな状態の「日中暗騒音」より10デシベルも高く、静まりかえった夜間では大きな刺激になっている可能性がある。調査では、石狩既設風車の音は深夜、2`離れた場所にも届いていることがわかっており、敏感な人は風車病を発症する可能性がある。

 分析結果から、風車の低周波音が健康被害を発生させていることは明らかである。しかもこの測定結果は、定格回転(1分当たり14・3回転)よりも遅い13回転であり、工場や車などの環境騒音の少ないはずの深夜の測定値である。なお、住宅だけでなく、風車から650b離れた工場の従業員の中にも同じような健康被害で退職している人が複数おり、退職すると症状が消えたそうだ。

風車停止で被害が改善

 2007年末、東伊豆の別荘地では1500`h×10基の風力発電が運転を始めた直後から、住民のなかで健康被害が続出した。この因果関係を調べるため、事故で風車が停止しているとき、団地自治会が独自に疫学調査を実施した【表1】。不眠、血圧、胸・腹・歯・鼻・耳痛などの症状が、風車が停止することで大きく改善したことがわかる。


 この結果を受けて住民が動き、今後は夜間に住宅直近の風車3基を停止すること、次に近い風車2基の回転数を4割減らすこと−−という内容の協定を、自治会と事業者と東伊豆町の三者で結んだという。これによって睡眠障害は7割減った。ただし、それでも耐えられず転居した家族もいる。

 石川島播磨(IHI)の技術者で元成蹊大非常勤講師の岡田健氏は、風車音に含まれる1〜10、10〜100、100〜1000ヘルツの3つの成分のうち、低速から中速、高速へと風車の回転数が増大するにつれて、主に1〜10、10〜100ヘルツ成分が増大することを示している。石狩の調査でも、風車の中速回転(西端風車)と高速回転(中央風車)を比較すると、FFT法でも3分の1オクターブバンド法でも、高速回転では50ヘルツ以下の成分が大きくなり、とくに10ヘルツ以下が大きくなっている。超低周波音が風車病の原因を究明するうえで無視できないものだということであり、東伊豆で症状が改善したのも風車の回転数を減らしたことがその一因になっているということである。

 山田氏は論文の最後で、次のようにまとめている。

 今回、平坦特性とFFT分析を使って測定し、風車の音は10ヘルツ以下の超低周波音領域に大きな音圧の風切り音とその倍音を持つことがわかった。この領域を過小評価するA特性で風車の音を扱ってはならないということである。また、国・環境省が用いる3分の1オクターブバンド法以上に周波数成分を分解できる12分の1オクターブバンド法によって風車の健康被害を解明すべきである。

 大型風車で羽の先端速度が大きい場合には超低周波音領域の音圧がさらに大きくなり、また超低周波音は減衰し難いので、健康被害が遠方まで及ぶ可能性がある。風車を抱える自治体は健康調査を実施すべきである。東伊豆の住民運動が夜間出力規制を実現したことを力として、石狩でも住民サイドに立つ研究者と市民運動との共同で関係自治体を動かす必要がある。
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/6965


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3. 中川隆[-5496] koaQ7Jey 2018年3月23日 05:50:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8578]
太陽光発電は国家経済を破綻させ環境も破壊する


【三橋貴明】メディアが報じない太陽光発電の恐るべき現実を暴露!
20170705 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=_P9CGmdEWDY

インドに必要なのは風力発電やソーラーパネルではなく原子力発電

 サンジーンによるとインドでは未だに水力発電が50%を占めており石炭火力を中心に火力発電が48%という。原子力発電は現状わずか数パーセント。

安定した電力供給体制を作るためにはフランス並みに原子力発電を拡大するべきという。ドイツのように再生エネルギー依存を増やすのはインド経済には負担が大きすぎると批判的だ。

 彼の村でも政府から補助金をもらってソーラー発電を試行してみたが供給が不安定で実用化を断念した経緯があるという。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10601?page=2

ドイツは太陽光など自然エネルギーに熱心だが、国民はそのせいで2倍の電気料金を支払わされている。
しかも太陽光発電が不安定なために停電が増え、夏に冷蔵庫の中身が腐るような事態が起きている。

メルケルは「原発を廃止する」と言ったが実際には廃止していないし、廃止する予定も一切ない。


当分の間新規原発を建設しないと決めただけなのだが、日本のマスコミは「ドイツは原発を廃止した」と嘘の報道を行った。

ドイツ経済はまだ好調を続けているが、これは単一通貨ユーロとEUの閉鎖経済によって、域内で輸出しても「円高」のようにならないのが原因です。

EU加盟国は無制限にドイツの輸出を引き受けなくてはならないので、ドイツが栄える分だけ貧しくなっている。


あまりに貧しくドイツに頼らなくては経済破綻するので、EUに留まらざるを得ない状況になっている。

こうした状況に持続性があるとは考え難く、いつかは「メルケルの魔法」が解けるでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/74945089.html


2017年12月31日
ソーラー利権 電気代の1割が太陽光補助金に使われていた

太陽光発電を増やすほど電気代は上がり、原発を稼動させないとCO2排出量も増える
引用:http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/pq0g-26imiecn.png


電気代の1割が太陽光補助金

日本では電気料金を政府が決めているので、全国どこに住んでいても大きな違いは無いことになっています。

多くの家庭の電気料金は1kWhあたり27円前後と思われますが、現在その1割が『再生可能エネルギー発電促進賦課金』(賦課金)に使われています。

賦課金を決めているのも政府で、2012年度0.22円/kWhだったが、2017年度は2.64円/kWhに増加しました。

これはそのまま太陽光など再生可能エネルギーの買い取りに使われていて、太陽光発電が増えるほど賦課金も増額されます。

賦課金が必要になったのは再生エネルギー特に太陽光電力の買い取り価格が異常に高いからで、最初42円でした。

太陽光買い取り価格は現在28円/kWhに下がり、将来は20円以下になると予想されているが、売電価格はほとんど変わらない。


なぜなら政府は契約時の買い取り価格を20年間変えないとしているからで、2012年に契約した事業者は2032年まで42円/kWhで買い取ります。

さらに政府は、太陽光発電の新規申し込みを制限する方針で、これ以上太陽光発電を増やしたくないと言っています。

再生可能エネルギーは4.7%で、内訳は4%近くを太陽光が占めているとみられます。


再生可能エネルギーをたった5%弱に増やしただけで、標準家庭で月に792円、年間9504円の電気代を余計に支払っています。

国全体では2017年に年間2.1兆円の賦課金を支払い、2030年には3.6兆円に増えると試算しています。(電力中央研究所)

しかも「太陽光や再生エネルギーでco2が削減され地球を保護している」は真っ赤な嘘で、CO2排出量は増えました。


原発事故が作った利権

CO2排出量が増えた理由は原発を停止しているからで、原発が発電していた分は太陽光ではなく、主にLNGで発電しています。

2011年に原発が停止するとLNG発電が倍増し、原発の発電量をすべて引き受けたので、新たにCO2を排出しています。

LNG発電を補うために石炭発電も増加したが、石炭はLNGよりもっと多くのCO2を排出します。


こういう状況なのに国民と政府は「太陽光発電が増えたから環境に良い」と喜んでいました。

電気代については原発の発電コストは事故処理や保証金、廃炉費用などすべて込みで10円/kWhと言われています。(諸説ある)

事故処理などの費用を含めないと原発の発電コストは推定5円から7円、天然ガス10円、石炭9.5円、太陽光28円などとなっています。


事故前は原発7円以下、天然ガス10円、石炭9.5円でほとんどの電力を発電していました。

これが事故後は天然ガス10円、石炭9.5円、太陽光42円から28円になり電気料金を多く支払う羽目になりました。

電力会社は発電した電気を家庭に送電し、予備電力も必要なので、さらに15円/kWh前後のコストがかかっています。


自由化で参入した小売電力は発電するだけで、予備電力や送電設備を負担せず、「安全コスト」を大手電力が負担しているだけです。

原発が停止しても停電しないのを見て「やっぱり原発は要らない。火力も廃止して100%太陽光発電にできる」と言っていた人が居ました。

本当に再生エネルギーだけにすると、電気料金は事故前の数倍に値上がりし、しかも再生エネルギーは発電量を調整できないので停電が多発します。


実際太陽光や風力への依存を高めたドイツやカリフォルニアでは、停電が多発して夏に冷蔵庫の中が腐る事態が多発しています。

しかも太陽光発電は建設や製造、保守管理、廃棄に多くの工業製品や人手を要するので、トータルで本当に「地球に優しい」のか疑問が持たれています。
http://www.thutmosev.com/archives/74293927.html


入札失敗で改めて分かった太陽光発電導入における政策の不備
導入量は世界第2位に達するも価格は下がらず
朝野賢司 (一橋大学特任講師)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11690

 再生可能エネルギー(再エネ)に対する固定価格買取制度(FIT)が2012年7月に導入されて、5年半が経過した。FITとは、再エネで発電された電気を20年間等の長期にわたって、「固定」した価格で電力会社(送配電事業者)が買い取ることを政府が義務づけるものだ。FIT開始当初、高すぎた買取価格が太陽光発電(PV)バブルとも呼べる偏った大量導入をもたらし国民負担を増大させた。

 これまで買取価格は、有識者による調達価格等算定委員会(調達委)において、設備建設等に要する費用に「適正な利潤」を加え算出されていた。17年4月のFIT法改正により、国民負担抑制のために、2000キロワット(以下、kW)以上の大規模なPV設備に入札が導入された。これは各事業者が上限価格内で買取価格を入札し、募集容量に達するまで安い価格をつけた事業者から落札していく方式だ。

 しかし、昨年末に公表された第1回の入札結果によれば、応札は募集した容量の1割にも満たず、落札価格は上限価格にほぼ張り付いた。これは直近のドイツの落札価格の3倍である(次頁図2)。日本のPV導入量は昨年にドイツを抜いて世界第2位まで達しながら、なぜコストダウンが進まないのか。この状態を解決できなければPVへの補助政策は停止も含めた検討が必要だ。

募集容量に届かず全件が落札された

 日本では、FITによって、PVを中心に再エネ比率は10%から15%に増加した一方で、国民が負担する年間の賦課金総額は2兆1000億円(17年)と既に電気料金支出の約1割に達している。電気料金に加算される賦課金は、買取総額から、電力会社がFIT買い取りで免れることができる燃料費等の回避可能費用を減じて算出される。

経済産業省が15年に示した長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が掲げる、30年度の再エネ目標22〜24%を実現する場合、筆者の試算によれば賦課金は年間3兆6000億円に達する

(図1)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11690?page=2

これは現在の消費税でいえば約1・6%分に相当する。FITは20年間等の長期固定で買い取る制度であるため、累積賦課金額は50年までに約69兆円に達する。

(出所)資源エネルギー庁資料を基にウェッジ作成 (注)2030年度の数値は筆者の推計 写真を拡大

 その国民負担の軽減策の一つとして導入されたのが、前述した入札である。今回の入札では、応札時に入札した価格で買取価格を決定した。

 具体的には、@2000kW以上の設備を対象に、A募集容量は今年度50万kW、来年度50万kWを2回の合計150万kWと設定し、B上限価格は入札の対象外となる事業用PV(10kW以上)の買取価格と同額の1キロワット時(以下、kWh)あたり21円とした。

 なお、2000kW以上の設備に限定されたのは、PV事業者団体が「事業者が入札に慣れていない」と主張し、調達委も「大規模事業者間の競争による価格低減効果が期待される」としたからである。

 ところが、昨年11月に入札が大失敗に終わったことが明らかになった。入札された9件の設備容量の合計は約14万kWにとどまったため、募集容量に到達せずに全ての入札が落札されてしまった。加えて、落札後、期日までに保証金が未納付の案件については落札が取り消されたため、最終的に落札されたのは4件・容量約4万kWと入札量の僅か9%にとどまった。入札量に対する応札量が不十分であったため、競争原理が働かず、平均落札価格は20円弱と、上限価格の21円に張り付いた。

 こうしたPVの入札で、これまで世界で最も落札価格が高かったのはドイツだが、それでも直近の落札価格(17年10月)は1kWhあたり4・29〜5・06ユーロセント(約5・9〜6・8円)と日本の3分の1である。最も安いメキシコは日本の10分の1だ

(図2)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11690?page=2


(出所)国際再生可能エネルギー機関資料などを基に筆者作成 写真を拡大

 なぜ入札は失敗したのか。調達委では、来年度の2回目の入札に向けて、上限価格を非公表として実施し、開札後に公表することを検討している。しかし、上限価格の公表有無にかかわらず、応札件数が少なく競争原理が働かなければ、今回と同じ失敗が繰り返されるだろう。

筆者が危惧するのは、調達委の議論が場当たり的で、世界中で実施されている再エネ入札の事後評価を踏まえた「エビデンスベースの政策」がほとんど議論されていないことだ。最も参考となる研究成果は、欧州最大の研究開発プログラム(Horizon2020)のもとで、3年間実施されてきたAURES(Auctions for Renewable Energy Support)である。欧州12カ国に加え、米国なども含めると世界20カ国における入札が分析されている。この成果を踏まえた日本への示唆としては次の2点が重要である。


 第1は、対象電源拡大による競争原理の活用である。日本のPV入札では対象電源を2000kW以上としているが、全ての事業用PVに占める割合は約35%に過ぎない。例えば対象電源を500kW以上とすれば、同60%まで広がるため、競争環境が整う。加えて平均的なPV設備の単価(システム費用)は、2000kW以上が1kWあたり約32万円である一方、500kW以上2000kW未満のカテゴリーではこれより約1割安価である。したがって、対象電源の拡大はコストダウンにつながる可能性が高いのである。

 第2は、入札の政策目標に合わせた入札量の設定である。前述したように、日本が入札を導入した目的は「国民負担の抑制」であり、換言すれば、エネルギーミックスを最小コストで達成することにある。エネルギーミックスが掲げるPV導入目標は30年度に6400万kWであり、16年度末までの導入量(運転開始済みの設備)は約3850万kWだから、17年度以降は年間180万kWずつ導入すれば設備量としては政策目標を十分達成可能だ。

政策目標と整合した太陽光発電の導入を

 ところが、日本の入札における対象設備の容量は、最小コストによる政策目標の達成とは全く無関係に設定されている。前述したように、事業者が「入札に慣れていないため」、2000kW未満の設備が入札対象外とされているからだ。そのため、入札対象外のPVは総量規制がないため、今後も直近4年間の実績である年間600万〜900万kWの導入が続くだろう。

 そもそも、入札の目的が「国民負担の抑制」である以上、エネルギーミックスの目標値を超えてまで、補助による導入は避けるべきで、エネルギーミックスと連動した入札量とすべきである。

 既に、16年6月末までにFIT対象として認定された設備約1億kWのうち、既に電力会社と接続契約に至った(つまり運転開始に至る確度が高い)設備は7356万kWとされている。その大半がPVであることを踏まえると、PVの6400万kWという導入目標は近いうちに達成が確実視される。むしろ、導入目標が超過することが危惧される。政策目標と整合的な制度設計を行わなければならない。

今回の入札結果が改めて提起したのは、「PV導入量は世界第2位にまで達したが、その発電コストは諸外国の2〜3倍と縮まらない」という課題だ。これが解決できない限り、量的には政策目標を十分達成したPVへの補助政策は早急な停止も含めた検討が必要だ。


 コストが下がらない原因の一つは、全てのFIT対象電源はコストデータの提出義務があるものの、実質的に罰則がないために提出義務が有名無実化していることにある。つまり、FITは5年間、エビデンスベースとほど遠い政策を実施してきたのである。

 FIT買取価格は、前述したように各再エネ電源のコストに「適正な利潤」を加えて算出される。このコストを把握するために、FIT対象となる再エネ設備には運転費用年報(年報)の提出義務があり、ここで設備、工事など全ての費用、毎年の発電量等を記載することになっている。

 調達委は、提出された年報に基づくコストデータをもとに、13年度以降、比較的安価な設備のコストを基に買取価格を算定してきた。例えば事業用PVについては、対象となる10kW以上の中でも大規模な1000kW以上の設備の中で、コストを抑えている上位25%の実績を価格算定の値として採用してきた。いわば、集められたコストデータの「トップランナー」をもとにコストを算定してきたのである。

しかし、年報は未提出の罰則が実質的にないために、事業用PVの提出率は43万7528件(16年10月時点)に対し、35%の15万3160件にとどまる。こうした制度設計でPV事業者にどのようなインセンティブが生じているかは自明である。上位25%値等が採用されている中で、システムコストが安価である事業者ほど、年報を提出すれば買取価格が引き下げられてしまうため、提出しない。反対に、相対的に高価な事業者は買取価格をあまり下げさせないために、年報を提出するインセンティブが強まるだろう。 

 日本のFITは国民負担で実施しているのだから、未提出設備に対する認定取消等の実効性のある罰則をもうけるとともに、強制的なサンプリング等によるコストデータの早急な回収と公開が必要である。

 例えばそのお手本となるのが、米国のthe Open PV projectだ。このサイトでは設備別の設置住所、設備費用、発電量、補助対象プログラム、運転開始日等が公開されており、どのような政策がコストダウンを促すのかパネルデータ分析等が盛んに実施されている。

 近年、エビデンスベースの政策を求める声が高まっているものの、政策分析の前提となるデータ公開において日本は欧米諸国に比べて格段に劣っている。エビデンスに基づく合理的な政策形成を進めることが、結果的に日本における適切な再エネ普及にも寄与するはずだ。


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岐路に立つ太陽光発電 反発受け規制の動き [2018/03/04]


ゴルフ場跡地に造成された太陽光発電施設=みなかみ町

突風で損壊した太陽光パネル=2015年、伊勢崎市
 

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故の後、国は再生可能エネルギーの普及促進のため、発電された電気を電力会社が一定期間、固定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」(FIT)を12年7月に始めた。太陽光は他の電源に比べて発電施設の設置にかかる規制が少なく、費用が安価なため一気に広まった。

 ただ、発電施設の設置が急ピッチで進んだため、景観の悪化や環境破壊を懸念する声が相次ぎ、全国各地でさまざまな問題が生じている。本県でも土砂災害特別警戒区域周辺のゴルフ場跡地や住宅の隣接地などでの発電施設設置に対し、住民の反対運動が起きたケースがある。

 こうした状況を受け、自治体が条例やガイドラインを設けて規制する動きが広がり始めている。売電価格の段階的な引き下げで、倒産する企業も。太陽光発電は岐路を迎えている。

■土砂災害を危惧

 太陽光発電施設の増加に伴い、県内でも防災面や景観、環境保全などを巡って住民の反発が相次いでいる。反対運動のあった3地区を歩いた。

 みなかみ町の湯宿温泉。ここは20年前、集中豪雨によって温泉街を流れる七ツ釜沢が氾濫し、旅館や商店に濁流が流れ込んだ。その沢を上流へたどった大峰山にかつてのゴルフ場、旧月夜野カントリークラブがある。

 旅館を経営する男性(73)の案内でゴルフ場跡地へ向かうと、森林の中に無数の太陽光パネルが見えてきた。フェアウエーだけではない。コース内は木々が伐採され、クラブハウスがあった場所も整地されてパネルが並べられていた。

 付近は土砂災害特別警戒区域などに指定されており、男性は「パネルは山肌の上に屋根を造るようなもの。降った雨が沢に流れ込み、再び土砂災害を起こす危険性がある」と危惧する。

 地区住民は昨年春、町や事業者に対し開発計画の白紙撤回を要望した。だが、ゴルフ場建設の際に開発許可が出ているため、計画を止める手だてはなかった。事業者は「住民説明会で問題点を議論した上で要望は反映させ、県や町とも協議をして事業を進めた」と説明。男性は「災害対策がきちんと取られているかどうか、今後も見続ける」と力を込める。

■突風の不安

 高崎市箕郷町では、住宅街の隣の畑に太陽光パネルが並ぶ。パネルの下で農作物を栽培する営農型発電で、取り組みとしては近年、注目されている手法だ。

 ところが、ここでも反発の声が上がった。反対住民でつくる団体は2年前、計画見直しを求める要望書と174人分の署名を市農業委員会に提出した。

 背景には、冬場にこの地域で多い突風への懸念があった。60代の男性は「過去に納屋が壊れたり、イチゴのガラスハウスが100メートルほど飛んだりしたこともあった」と振り返る。伊勢崎市内で3年前、太陽光パネルが突風で飛ばされた光景を見て不安を募らせた住民もいた。

 事業者側には架台の基礎をコンクリートで固めるなどの配慮を求めたものの、農地のため施工ができないという。近くの60代女性は「住宅からの距離をもう少し確保してもらえれば安心できるのに」とつぶやいた。

 事業者の農業生産法人は「国も推奨する事業で地域おこしのモデルにもなる。住民の方々とは3年以上十分協議を重ねてきた。今後も話し合っていきたい」とする。

 別荘地裏手の森林を伐採して発電所が建設されたのは嬬恋村鎌原地区。別荘所有者らが反対運動を展開した。オーナーの男性(66)は「豊かな自然が売りだったが、自然環境は破壊され、景色も台無しになった。パネルの反射光がまぶしく、住めなくなった人もいる」と憤る。住民団体は2年前に約1900人の署名を集めて村や村議会に計画中止を求めたが、運動は実らなかった。

 住民らの反発にも計画が止まらないのは、太陽光発電施設の設置を直接規制する法律がなく、環境影響評価(アセスメント)法でも対象外となっているからだ。このため行政側は「民間と民間の話」として静観することも多く、嬬恋村の場合は裁判所に工事続行禁止の仮処分命令を申し立てたが却下された。

■独自に規制

 一方で、相次ぐ住民とのトラブルを受けて県内でも独自に規制を設けるケースが広がり始めている。県は許認可申請の前に事前協議を求めるなど、資源エネルギー庁のガイドラインを基に配慮すべき事項を作った。前橋市や高崎市、太田市などは自然環境や景観などとの調和に関する条例を制定し、抑制区域を設けたり、説明会の開催を義務付けたりすることを盛り込んだ。富岡市は、市内全域で設置を許可制とする県内初の条例を10月に施行する方針だ。

 促進か、制限か―。環境エネルギー政策研究所の山下紀明さんは、導入量は今後減りつつも普及は続くとの見方を示す。その上で、「国や自治体が無秩序な開発に歯止めをかけるとともに、事業者も地域の合意形成に努めることが重要だ」と指摘。「住民も市民出資などによる参加手法もあることを知れば、より持続可能な社会づくりにつながるのではないか」としている。

《記者の視点》行政関与の枠組みを


 東日本大震災による原発事故を教訓に、再生可能エネルギーは導入拡大が図られてきた。比較的参入しやすい太陽光はその主役だったはずだ。

 ところが、相次ぐ住民とのトラブルで、今では迷惑施設として受け止める人も少なくない。エネルギー自給率を高める上でも重要な役割を担っているのに、普及促進にブレーキをかけかねない事態になっている。

 反対する住民の意見に多かったのは「太陽光そのものに反対しているわけではない。場所を考えてほしいだけだ」「プロの事業者を相手に一般市民が条件交渉をするには限界がある。行政にもっと関わってほしかった」という声だ。

 環境省は「地域で事情が異なるため、条例などによる取り組みを推進している」との立場だが、トラブルはどこでも起こり得る。行政が関与できるように、まずは全域を網羅する一定のルールづくりが必要ではないだろうか。住民の理解なしでは普及はおぼつかない。(藤井陸大)


売電価格引き下げ響く 事業者の倒産増加


 国の普及支援策によって太陽光発電は順調に成長してきた。その一方で近年は太陽光発電関連事業者の倒産が増えている。

 固定価格買い取り制度(FIT)で当初、非住宅(10キロワット以上)用の太陽光の価格が1キロワット時当たり40円と高く設定されたことで、新規参入が相次いだ。だが、FIT財源は電気利用者が支払う電気料から徴収されるため、国は再生可能エネルギーの普及を図りつつも国民負担を抑制しようと段階的に価格を引き下げている。2017年度には21円まで下落。この結果、事業者は投資回収や収益確保が難しい状況に陥っている。

 帝国データバンクによると、17年の全国の倒産件数は88件。4年連続の増加で過去最多となった。負債総額は302億円に上る。同社は「買い取り価格が連続して引き下げられたことでブームが沈静化し、市場縮小を受けて淘汰(とうた)が進んでいる。市場環境は依然厳しい」と分析している
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/37142


2018年02月24日
電力自由化で自分の首を絞める人達

これが「自由化」で料金に巨大な格差が生まれる
引用:週刊女性PRIME http://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/-/img_4121bee762a545f5cda9f9bdc053e2be319192.jpg


電力自由化はキXXXの仕業

世の中には迷惑な人が居て、わざわざ自分の電気料金を何倍にも値上げしようとしている。

電力自由化の事で、政府やマスコミは自由化すれば『全員の電気料金が安くなる』かのように嘘の説明をしていました。

ここからが問題ですが、自由化されているガス料金は全国全ての地域で安いのか、水道料金は全国同じかという事です。


自分調べで全国の最も安い都市ガスと、もっとも高いプロパンガスには3倍以上の差があり、一般的に都会は安く田舎ほど高い。

水道料金はもっと酷くて同じ量を使っても、全国で40倍もの差がある。

月に20立方使用で熊本県宇城市は8,940円、愛媛県八幡浜市は210円、大阪市は2,073円、東京都は2,764円だった。(生活ガイド.comより)


これが「自由化」であり価格は需要と供給、コストなど市場原理で決まり、住人の都合は一切関係ない。

電力は一般的に都市部では需要が大きいので一戸あたりの費用は安く、過疎地や離島では非常に高額になる。

同じ量の電気を使って東京や水力発電がある地域は月1,000円、沖縄や東北は月4万円になったら、自由化したい人は嬉しいのだろうか?


1951年の電力民営化で電気料金は急上昇しました
無題
引用:http://nenji-toukei.com/n/kiji/10054/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%96%99%E9%87%91


電気は全国同一料金のほうが良い

電力は1951年はまで日本軍による価格統制で全国一律価格、国営事業で民間電力は存在しませんでした。

これでは非効率だというので民営化し現在の大手電力にしたら、電気料金が高騰してしまい、国による価格統制が行われました。

グラフを見ると国営時代に比べ、民営化したら電気料金は1年で2倍以上に跳ね上がっています。


戦前戦後は日本軍や米軍が価格統制していたのを、(ある程度)自由化したので値上がりしてしまいました。

もし大手電力による価格統制もやめて完全自由化したら、地域間の価格差が拡大し、収益性が低い地域では何倍にも値上がりします。

今までは東京や大阪の人が料金を多く支払って、北海道や沖縄や東北の人も、ほぼ同一料金に抑えていました。


もし電力を自由化しても国が電気料金を決めるとしたら、自由化にならないのでおそらく価格も自由化したいのでしょう。

東京や大阪の電気料金を2割安く、その代わり東北は10倍、沖縄と離島は40倍になったとして、一体誰が得をするのでしょうか。

電気料金は価格統制による全国同一価格が望ましく、もっと言えばガスや水道も全国同一料金にするべきです。


その為に東京や大阪の料金が1割か2割高くなったとしても、地方が栄えて日本全体が栄えるメリットの方が大きい。
http://www.thutmosev.com/archives/75041626.html


2015年6月20日【三橋号外】亡国の法

『電事法改正案が衆院通過=20年に「発送電分離」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052100044

電力会社に対し、発電部門と送配電部門を別会社化する「発送電分離」を2020年4月に行うよう義務付ける電気事業法改正案が21日午後、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。16年4月に電力小売りが家庭向けも含めて全面自由化されるため、新規参入事業者も送電線を公平に利用できる環境を整える。』

衆議院本会議で、発送電分離、つまりは電力会社を「発電部門」と「送配電部門」に分け、発電部門について「民間のビジネス」と化す電気事業法改正案が可決しました。

電力サービスとは、周波数を一定に保たなければ安定供給が保てない、極めてナイーブなサービスです。周波数を一定に保つためには、電力の需要と供給をバランスさせなければなりません。電力サービスの場合は、供給が需要よりも大きければ、という「大は小を兼ねる」の考え方は通用しないのです。
発電部門が切り離されると、送電部門は自らの意志で供給をコントロールすることが不可能になり、日本の電力サービスの不安定化は免れないでしょう(特に、落雷や震災など非常事態発生時に)。

そもそも、発送電分離や電力小売り自由化など「電力自由化」を過去にやった国で、電気料金が値下がりした国などありません。これは、電力自由化を主導した経済産業省自身が認めている事実です。

なぜ、「自由競争」の原理を導入したにも関わらず、電気料金が下がらないのか。

理由は、電気料金のほとんどは「エネルギー価格」によって左右されてしまうためです。電力を自由化しようがしまいが、原油、LNG、石炭といったエネルギー価格が上昇すれば、電気料金は値上がりします。逆に、エネルギー価格が下がれば、電気料金も落ち着きます。

ただ、それだけの話です。日本が電気料金を引き下げたいのであれば、とりあえず原発を再稼働し、外国からのエネルギー依存を引き下げなければなりません。
今回の愚劣な発送電分離が、なぜ推進されるのか。表向きは「電気料金を引き下げるため」などと言っていますが、実際には違います。単に、発電部門を「ビジネス」と化し、新規に事業に参入したい投資家、企業がいるだけの話です。単に一部の企業のビジネスの話であり、そこに「公」の考え方はありません。

しかも、昨日のチャンネル桜の番組で、

「せめて、外国資本の規制を入れて欲しい」

と、希望を述べましたが、実際には最終的に成立する法律には「外資規制」は入らないでしょう。法律案を読みましたが、やはり入っていません。

一応、外国資本の発電事業への投資は、外為法で「審査付届出制」の適用を受けます。とはいえ、過去に日本では風力や太陽光などの発電事業に対し、相当数の外資の届け出が行われたのですが、例外的な1件を除き、全て審査をクリアしました。というわけで、メガソーラーの分野でアメリカ資本(GSなど)、中国資本、韓国資本、ドイツ資本などが参入し、我々から再エネ賦課金を徴収していく「外国資本のレント・シーキング」が実現してしまったのです。

発送電分離も、このままでは同じ話になるでしょう。何しろ、電気事業法改正案に外国企業やその子会社が発電事業者になることを禁止、ないし制限する規定はないのです。さらに、外国企業による土地取得も事実上、規制されていないため、我が国の発電部門が「外資の草刈り場」となることを防ぐ仕組みは存在しません。

総理は6月16日の規制改革会議で、

「規制改革に終わりはないという精神で取り組んでいきたいと思います」

と、発言しました。

という事は、我が国の発電事業が全て外国資本になっても、規制改革は終わらないということになります。

日本を壊す気なのでしょうか?

分かりませんが、とりあえず上記の事態を食い止めることができるのは、法律を審議する「国会議員」しかいません。というわけで、わたくしは現在、農協改革という「亡国の法」の真実を暴露する本を書いており、刊行直後に全国会議員に送付(わたくしのコストで)する予定になっています。

とりあえず、日本国民や国会議員が発送電分離や農協改革といった「亡国の法」について正しく知らなければ、事態は改善しようがありません。皆様も、どうかご支援くださいませ。
https://38news.jp/archives/05791


2017-10-14
「東北電力の送電線には空き容量がある」と主張する朝日新聞の根拠となった京大の試算は間違いだ

 詐欺ニュース
http://vox.hatenablog.com/entry/2017/10/14/210115


朝日新聞が10月10日付の記事で、「京都大学の試算では送電線に空き容量はある」と主張しています。

しかし、「空き容量ゼロ」と説明する東北電力の主張が正しいでしょう。なぜなら、朝日新聞が根拠とした自然エネルギー財団との関わりが深い2人の京都大学特任教授の計算方法が間違っているからです。

■ 朝日新聞が報じた内容

朝日新聞は石井徹・編集委員と小坪遊記者の連名記事で次のように報じています。

画像:朝日新聞の記事


「空き容量ゼロ」として、太陽光や風力などの発電設備が新たにつなげなくなっている東北地方の14基幹送電線が、実際は2〜18・2%しか使われていないと、京都大が分析した。東北電力は送電線の増強計画を進め、発電事業者に負担を求めているが、専門家は「今ある設備をもっと有効に使うべきだ」と指摘する。

(中略)

京大再生可能エネルギー経済学講座の安田陽、山家公雄の両特任教授は、電力広域的運営推進機関(広域機関)の公表データ(昨年9月〜今年8月)から、東北地方の50万ボルトと27万5千ボルトの基幹送電線について、1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較した。

■ 事実

1:「送電線に流せる電気の最大量」から利用率は計算できない


安田陽特任教授と山家公雄特任教授は「1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較して、利用率を求める」という手法を取り、ほとんど利用されていないと結論づけました。

ただ、これが間違いなのです。なぜなら、送電線には制約条件が存在しているからです。

『一般社団法人・電気共同研究会』が公開している資料(PDF)が具体的と言えるでしょう。
•熱容量
•系統安定度:送電線の1回線が故障や変電所の片母線が故障した場合でも、発電機の安定運転の維持ができるか
•電圧安定性:万一の故障を想定した場合でも、電圧の変動を限度範囲内に維持できるか
•周波数維持:電力系統が分断されても、それぞれの系統が周波数を維持できるか

基本は上記4項目から求められる各限界値のうち、最小の値が運用容量(=現実に送電線で送ることができる電気の最大値)となるのです。

朝日新聞と京大の特任教授は『理論上の最大値』を根拠に「空き容量はある」と主張しているに対し、東北電力は『技術上の最大値』を根拠に「空き容量はゼロ」と主張しているため、意見が対立しているように見えているのです。

2:「電圧安定」と「周波数維持」が再生可能エネルギーの大きな課題


再生可能エネルギーは出力が安定しないことが問題となっています。なぜなら、太陽光発電や風力発電が大量に導入されると「電圧安定」と「周波数維持」が難しくなるからです。

画像:周波数維持が要求される理由(電力事業連合会より)

電力は需要と供給のバランスを保ち続ける必要があります。以前は『需要の変動』にのみ対応するだけで良かったのですが、再生可能エネの普及を FIT で行ったことで電力会社は『供給量の変動』にも対応しなければならなくなったのです。

当然、“変動に対応できる限界値” は事前に決まっています。そのため、「接続はできない」と拒否されるケースが出てくることは当然と言えるでしょう。

3:出力変動対策を電力会社に丸投げする再生エネ界隈が送電線を優先利用する資格はない


再生可能エネルギーを普及に熱心な界隈は「発電すれば、儲かる」という立場ですから、「既存施設を有効に使わせろ」と述べるでしょう。

しかし、前述したように “送電網を管理する側” からすれば、迷惑な話です。発電量が一定ではない太陽光や風力は『電力供給量』を変動させる存在であり、その “尻拭い” をさせられているのです。

「海外のように見習え」と述べていますが、諸外国のやり方で電力供給をやると停電が頻発します。それでも良いと考えているのでしょうか。おそらく、そこまでは頭が回っていないのでしょう。また、都合の悪いことは隠す傾向にあるため、そうした問題点は触れることもないと思われます。

電力会社は「新規発電所から送電線への接続」は建設費という形で予算を計上しているはずです。FIT を使う再生可能エネ界隈も同じ条件でやるべきです。出力変動対策を電力会社に丸投げしているのですから、そのぐらいの出費は行わなければなりません。

ベースロード電源になり得ない再生可能エネルギーを FIT に加え、送電線への接続でも優先する必要性はないと言えるのではないでしょうか。
http://vox.hatenablog.com/entry/2017/10/14/210115

想定超える電力揺らぎ発見
再生エネ、取引が影響
2018/1/9 01:02 ©一般社団法人共同通信社


 家庭や事業所に供給される電気の周波数は電力需給の変動に伴い、わずかに揺らぐ。その揺らぎが大きくなる確率が従来の想定を上回っていることを見つけたと、合原一幸東京大教授(数理工学)やドイツ・ドレスデン工科大などのチームが8日付の英学術誌ネイチャーエナジーに発表した。

 風力など再生可能エネルギーや電力取引が揺らぎをもたらすことも分かり、合原教授は「大きな揺らぎは電力供給の信頼性の低下につながりかねない。電力網を効率よく、安定して運用する上で、今回の結果は役立つ」と話している。

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太陽光発電の買取価格引き下げ、補助金頼みの事業はもう限界
http://diamond.jp/articles/-/160388
2018.2.20 週刊ダイヤモンド編集部 

 
住宅用太陽光発電は2019年問題が目前に迫る。産業用も自家消費が得する時代が来る Photo by Kosuke Oneda


「もはやFIT頼みでは太陽光発電事業は続かない」。昨年から業界関係者の間ではそんな声が多かったが、いよいよそれが現実化しつつある。

 2月7日、2018年度の再生可能エネルギー(再エネ)の固定買い取り価格の値下げが決まった。FITとは再エネの固定価格買い取り制度のことで、太陽光や風力などで発電した電気を、電力会社が一定期間同じ価格で買い取る制度だ。

 太陽光の買い取り価格は発電量によって大きく三つに分類される。(1)10キロワット未満の住宅用、および産業用で(2)10キロワット以上2メガワット未満の小・中規模と(3)2メガワット以上の大規模だ。今回は導入量が最も多い(2)の価格が、現行の21円/キロワット時から18円/キロワット時に引き下げられる。

 FITの価格は、太陽光発電設備の設置費用などに事業者の適正な利潤を加味して算出される。これが結果的に、国が20年((1)は10年)間保証する補助金と見なされて太陽光バブルを引き起こした。

 しかしFITの財源は、電気利用者が支払う電気料金から徴収される再エネ促進賦課金で成り立っている。導入が進むほど国民負担も増えるため、批判の的になった。

 そこで段階的にFITの価格が引き下げられた結果、太陽光発電関連業者は窮地に陥る。東京商工リサーチによれば、17年の太陽光発電関連事業者の倒産件数は88件、負債総額は約285億円に上り、2000年の調査開始以来、過去最高となった。

 すでに(3)の価格は民間競争による入札制度によって決められており、今回(2)の価格が引き下げられたことで、補助金頼みの事業は終焉を迎えることになるだろう。

売るより使う方が得に

 (1)の住宅用には、いわゆる「19年問題」が横たわる。09年から始まった余剰電力の買い取り期間が10年の満期を迎えて、19年で終了する住宅が増える。同年10月末で約50万件、2ギガワット相当に上り、以降も毎年10万件単位で増加していくとみられる。

 期間終了後の買い取り価格は、制度開始当初の48円/キロワット時から11円/キロワット時まで下がる見込みだ。また再エネの出力抑制を求める電力会社が多く、今後は売電できない可能性もある。

 そんな中、注目されているのがグリッドパリティだ。再エネの発電コストが既存の電力コストより安価になる点を指し、住宅用の太陽光発電では、すでにグリッドパリティになっているとされる。発電した電気を売るより自分で使う方が得になるため、今後は自家消費が広がるだろう。

 実は、(2)でも近くグリッドパリティになるとされている。すでに一部の業者はここに目を付け、太陽光パネル、蓄電池などを組み合わせた独自のシステムで勝負を仕掛けている。18年は自家消費時代の幕開けとなる。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

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東日本大震災後7年目に考える原発の経済性と再エネ・ビジネスの現実
山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226


 東日本大震災から7年を迎え、新聞の特集記事、テレビ番組が、福島第一原発の廃炉問題、あるいは避難された方の帰還の問題等を取り上げた。そんななかで、朝日新聞は、「未稼働原発に5年で5兆円」との見出しを掲げた記事を掲載し、「原発を保有するが稼働していない7社が、5年間で原子力発電費として5兆円強を支出していた。費用は主に電気料金で賄われている」と伝えた。

 一方、NHKは、クローズアップ現代、NHKスペシャルなどで、「再生可能エネルギーの劇的な価格破壊により、大きなビジネス・チャンスになる脱炭素、再エネへのシフトが世界では起こっている」と放送した。字数あるいは時間の制約がある新聞、テレビが、ある一面を取り上げて報道するのはやむを得ないが、朝日新聞とNHKは、多くの場面で「脱原発、再エネ成長路線」に沿った報道を行っている。


 しかし、実態は朝日新聞とNHKの報道とは、かなり異なっている。朝日新聞とNHKは、報道しない側面、即ち、原発の経済性、再エネによる温暖化対策が必ずしも優先されない世界の現実、日本企業に恩恵の少ない再エネ・ビジネスの姿も報道すべきではないのか。

原発が世界では増えるのはなぜ

 現在、世界30カ国に448基の原発があり、世界の電力需要量の10%強の供給を行っている。さらに、建設中が57基、計画中が158基ある。東日本大震災後、ドイツは稼働開始後時間が経った原発8基を停止したが、それ以外に計画外で停止された原発はどの国にもない。ドイツも残り8基の原発は2022年に停止する計画だ。世界は、脱原発ではない。

 国際エネルギー機関によると、温暖化問題に対処するため二酸化炭素を排出しない原発からの発電量が、2060年に今の3倍になる必要があるとされている。原発建設を進める国が多くあるのは、競争力のある電源が必要だからだ。加えて、温暖化問題への対処を考えている先進国、中進国のなかには、原発を有力な選択肢と考える英国、ポーランドのような国もある。

 朝日新聞は、未稼働原発に5年で5兆円と、電力会社が無駄に支出を行っているようなニュアンスの記事を掲載したが、費用の大半は、稼働しなくても必要な固定資産税などの税、減価償却費、燃料処理費などの積立金だ。原発を維持するのは、第一に経済性があるからだ。

原発の経済性

 米エネルギー省によると、米国の1kWh当たりの電源別発電コストは火力発電3.73セント、原子力2.57セント、水力1.34セントだ。シェール革命により米国では天然ガス価格が下落し、いま欧州、アジア地域価格の数分の一だ。世界第2位の産炭国でもあり、発電所までの鉄道、トラックの高い内陸輸送費を加えても、発電所着で欧州、アジアの輸入石炭価格の半分以下だ。先進国で最も競争力がある米国の電気料金を支えるのは、競争力のある天然ガスと石炭火力だが、原子力の発電コストは、火力をも下回っている。

 図‐1は、東日本大震災前、全原発が稼働していた2009年度の日本の火力、原子力、水力の平均発電コストと燃料費だ。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226

原発を保有する地域電力会社9社の有価証券報告書に記載されている汽力、原子力、水力の発電費用を基に計算したものだ。朝日新聞記者も発電費用を目にしたはずだが、原発のコストが安いと証明する数字になるからか報道はない。原発の費用には、核燃料再処理費用の積立金なども含まれている。


 原発の設備投資額は、火力発電より大きいが、燃料費が相対的に安いため発電コストは低い。さらに、燃料費が安定している原発は化石燃料価格が変動する火力と異なり、将来の発電コストが見通せるとのメリットもある。稼働すれば、電気料金の引き下げが可能になる。

 東日本大震災後、原発は定期点検を終えた後順次停止し安全対策を強化することになった。発電量も徐々に減少し2014年度には稼働、発電量ゼロになった。原発からの発電量の減少分を埋めたのは火力発電だった。

上昇する電気料金と産業

 東日本大震災後、火力発電量の増加は燃料購入数量増をもたらし、電気料金の上昇をもたらした。購入数量増に加え、電気料金をさらに引き上げたのが、燃料価格の上昇と円安だった。燃料価格の上昇は追加で火力発電用燃料を必要とした日本の買い付けにより引き起こされた面もある。燃料購入量の推移が図‐2に示されている。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226


 燃料購入費用増加分のうち原発代替分のみを計算し、電気料金のうち、燃料費と原発停止の影響による燃料費の増加額を示したものが、図‐3だ。電力業界全体では、地域電力以外に卸電力、共同火力などでも燃料購入量が増加しているので、日本全体の燃料購入料の負担額は図‐3の額を上回っている。原発停止の影響による燃料購入額は、2012年度から14年度まで毎年2兆円を上回っていた。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226


 図‐3に示された電気料金は燃料購入費以上に上昇している。その理由は、太陽光、風力発電などの再エネ電源導入を支援する固定価格買い取り制度に基づく電気料金による負担だ。2012年7月の導入以降、再エネ設備導入量の増加に伴い負担金も上昇し、2017年度の負担額は家庭用平均電気料金の1割以上、産業用平均電気料金の2割近くを占める1kWh当たり2.64円まで上昇した。総額では2兆円を超える。世帯支出に占める電気料金の負担率は、世帯収入と支出の減少が続くなかで2000年の3.1%から2016年には3.6%に上昇している。

 日本は製造業大国だ。国別の製造業の付加価値額の順位を図‐4に示した。日本は世界3位、先進国の中ではドイツと並び、国内総生産額の20%以上を製造業が担っている国だ。米国の12.6%、英国の9.7%と比較するとその比率の大きさが分かる。電力料金の上昇は、日本の産業の中心に位置する製造業に大きな影響を与えた。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226

 しかし、日本よりも固定価格買い取り制度による負担額が大きいドイツの製造業は、順調に成長している。その理由は、ドイツと日本の再エネ政策に大きな違いがあることだ。

産業に配慮するドイツのエネルギー政策


 主要国のなかで最も早く固定価格買い取り制度を導入したドイツは、2000年に買い取り価格の大幅引き上げを行った。この結果、ドイツでは太陽光、風力、バイオマスなどの再エネ導入が進んだが、導入量の増加は電気料金による負担額の上昇を引き起こした。2007年に1kWh当たり1.02ユーロセントだった負担額は、2013年に5.28、2014年に6.24ユーロセントに上昇し、夫婦と子供一人の標準家庭での年間負担額は円貨換算年間3万円に達した。家庭用電気料金は1kWh当たり29.14ユーロセント(約40円)。風力が全発電量の半分を占めるデンマークに次ぎ世界2位の電気料金だった。

 ドイツ政府は再エネ政策を見直し、小規模電源を除き固定価格買い取り制度を廃止するなど、電気料金抑制のための施策を取った。結果、2018年の負担額は6.79、家庭用電気料金は29.42ユーロセントと落ち着いているが、再エネ導入のつけは大きく、電気料金は高値に張り付いたままだ。

 再エネ導入の結果、産業用電気料金も上昇したが、エネルギー多消費型産業については、国際競争力を考慮、固定価格買い取り額の負担が90%上限に免除されている。2018年の免除対象企業数は1908社、その電力消費量は全ドイツの約20%を占め、免除総額は65億ユーロに達している。適用されている電気料金は日本の産業用電気料金のほぼ半額だ。ドイツの製造業が競争力を持つわけだ。

脱石炭ができないドイツは温暖化目標を放棄

 再エネ支援政策により、2017年ドイツでの風力、太陽光の電力供給量の比率は、それぞれ18.8%、7.1%になったが、最大の供給源は約40%を占める石炭・褐炭火力だ。再エネ導入目的の一つは、二酸化炭素を削減することだったが、電気料金上昇を抑えるため石炭火力を廃止することができないのがドイツの現状だ。2020年に1990年比二酸化炭素を40%削減する政府目標は、今年1月連立政権により、あっさり放棄された。電気料金抑制、炭鉱労働者の雇用維持の観点から石炭火力を廃止することが難しいからだ。

 1990年に12億5100万トンだったドイツの二酸化炭素排出量は、旧東ドイツのエネルギー効率が悪い設備を改修したため大きく減少し、2000年には10億4300万トンになる。2000年頃から再エネ導入を進めたものの、減少のスピードは減速し、2016年の排出量は9億600万トンだ。2020年7億5100万トンの目標達成には石炭火力の廃止が必要だが、電力供給と価格を考えるとできないと政権は判断し、温暖化目標の放棄に踏み切った。温暖化対策のため再エネを導入したはずだが、ドイツは経済を優先させた。NHKが伝えるように再エネのコストは劇的に下落しているとは思えないドイツの状況だ。

 ドイツで発電設備能力が最も大きいのは、陸上・洋上風力5600万kW、次いで太陽光4300万kW。合わせると全発電設備能力2億300万kWの約半分になる。これだけ再エネ導入が進んだドイツで再エネ・ビジネスは成功したのだろうか。

中国企業の独壇場 太陽光発電設備

 今年1月米国トランプ政権は、輸入太陽電池セル、太陽光モジュールに30%の課税を行うことを発表した。2014年から中国、台湾製セルに課税を行っていたが、中国メーカは東南アジアにセル製造拠点を移し、モジュール、パネルを中国で製造することにより課税を逃れていた。この課税逃れを防ぐため全輸入品を対象に課税することになった。米国は中国に次ぐ太陽光発電市場であり、2017年の累積設備量は5000万kWを超えている。その市場でパネル供給の覇権を握ったのは中国企業だったのだ。

 欧州でも、日本でも同じ状況だ。太陽光パネルの供給の大半は中国企業により行われている。2017年の世界のモジュール・パネル製造企業上位10社のうち9社は中国企業、1社は破綻したドイツ企業を買収した韓国企業だ。それでは、太陽光発電事業は、設備設置国に何をもたらすのだろうか。日本と米国の例から考えよう。

 表は日米の太陽光発電設備投資の内訳を示している。買い取り価格が世界の中でも高く設定された日本では高いモジュール価格でも事業が成立する。このため相対的に価格が高い日本メーカも約3割のシェアを持っている。モジュール以外の投資額は限られており、日本企業に落ちる資金も限られている。一方、米国ではモジュール価格が占める比率は少なく、設置工事などの比率が高い。モジュール価格の違いはあるものの、太陽光発電設備導入で潤うのは中国だ。


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226?page=2


日本企業は何を選択すべきか

 欧州企業が、大きな世界シェアを持つ洋上風力設備のような技術もある。しかし、日本企業はデフレの間、借入金返済を優先し、設備、研究開発投資を絞ったためか洋上風力では出遅れた。欧州企業との合弁事業を通し、設備供給を行う日本企業が目に付く程度だ。

 再エネが大きな市場になるといっても、日本企業が供給できる設備は限られている。国内では設備導入に伴う建設工事はあっても付加価値額は高くない。成長が続く事業は再エネだけではない。成長産業は他にもあり、日本企業が得意とする技術もあるはずだ。原子力、鉄道などのインフラ、人工知能、電気自動車なども成長するだろう。

 選択と集中が重要だ。自動車部品大手で自動車用バッテリーも供給しているドイツ・ボッシュは、最近電気自動車用リチウムイオン電池製造事業から撤退と報道された。有望な市場だからといっても、企業の成長が約束されるわけではない。まして、再エネ市場は競争が厳しく、コモディティと呼ばれる技術的に難しくない製品では中国企業が、技術力が必要なブランド製品では、欧米企業が先行している。「再エネは大きなビジネス・チャンス」ということは簡単だが、NHKはどこまでわかって番組を作っているのだろうか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12226

太陽光バブル崩壊…倒産ラッシュの裏側、買い取り価格大幅下落で採算厳しく
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22272.html
2018.02.08  構成=長井雄一朗/ライター Business Journal

 
  24枚の太陽電池パネルでつくられたソーラーアレイ(「Wikipedia」より/Chinneeb)


 太陽光関連事業者の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチの調査によると、2017年の倒産件数は過去最多の88件(前年比35.4%増)で調査を開始した00年以降で最多を記録した。同時に、負債総額の285億1700万円(同17.6%増)も4年連続で前年を上回り過去最多となっている。


 この状況について、東京商工リサーチ情報本部情報部の原田三寛部長は「太陽光バブルは弾けた」と見る。その背景には、どのような事情があるのか。また、買い取り価格が年々低下するなかで太陽光ビジネスの今後はどうなるのか。

■実はレッドオーシャンだった太陽光ビジネス

――太陽光関連事業者の倒産増加は、太陽光バブルの終焉と見ていいのでしょうか。

原田三寛氏(以下、原田) 太陽光バブルは弾けたと思っています。11年の東日本大震災で原発事故が起きたことで、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を利用する気運が高まりました。

 12年7月には再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、太陽光関連市場は急速に拡大しました。当初、固定買い取り価格は高価格帯でしたが、経済産業省が電気代の賦課金の低減を目指すなかで太陽光の固定買い取り価格も低減の方向で進み、年々下落しています。

 一方、太陽光関連事業は参入障壁が高くありません。「11年以降に設立された会社が倒産している」と思われがちですが、必ずしもそうではなく、実際には11年以前に設立された会社の倒産が多いのです。

 11年以前に設立された会社の本業を調べると、住宅関連の資材、リフォーム工事、電気設備工事、屋根工事などが多いです。つまり、本業である住宅着工件数が年々減少していくなかで新たなビジネスに活路を見いだすために太陽光関連事業に参入した、というケースが多かったのです。

 各社は太陽光関連事業を「ブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓市場)」と考えていましたが、実際は「レッドオーシャン(血で血を洗う競争の激しい領域)」だったのです。

 成熟市場のプレイヤーが新天地を求めて業容拡大を目指し、太陽光ビジネスに参入した。しかし、こうしたプレイヤーはこれまでの事業が低採算で財務内容が脆弱であったり利益備蓄が多くなかったりしたため、太陽光関連事業でも赤字を出して倒産に至ったということです。

――東京商工リサーチの調査を見ると、件数・負債ともに過去最多を更新しています。

原田 17年の倒産件数は88件(前年比35.4%増)で、調査を開始した00年以降最多だった16年の65件を大きく上回りました。特に、建築工事を含む住宅関連事業者の倒産が目立ちます。また、17年の負債総額は285億1700万円(前年比17.6%)で4年連続で前年を上回っています。

 なかでも負債10億円以上が6件で、前年比で倍増しました。たとえば、福岡県のZEN POWERは負債52億円、神奈川県のPVG Solutionsは負債22億円でした。これらの会社はモジュールや太陽光の電池関連製品などを扱っているため仕入れ金額が高くなり、製造に対する投資もかさみがちです。そのため負債が多くなり、大型倒産に至りました。

 住宅関連の倒産では、大阪府のりょうしん電気で負債4億7700万円のケースがあります。同社はもともと、オール電化製品および住宅設備機器の販売施工を主体にしていました。

■18年はさらに倒産が増加か

――太陽光関連事業者は、今もなお乱立している状況なのでしょうか。

原田 そうですね。もともと乱立は激しかったですし、今なお乱立状態です。

――太陽光バブル崩壊後、太陽光関連事業者の倒産はさらに続くのでしょうか。

原田 18年の倒産件数は、17年よりさらに増えると予測しています。ただ、17年の倒産状況を見ると、上期47件、下期41件で下期のほうがゆるやかなペースです。倒産件数は17年を上回っても、比率はそれほど上がらないでしょう。

――太陽光の買い取り価格が年々減少するなかで、太陽光市場からの撤退を決断する事業者も出るのではないでしょうか。

原田 撤退しても、ほかの市場に参入することができるのでしょうか。この利幅が薄い市場で努力していくことが求められていると思います。具体的には、コストダウンをどこまで徹底できるかが課題です。

――今は人手不足で職人の人件費が高く、資材価格も高騰しているのでコストダウンにも限界があります。

原田 今後も、資材は安くなりにくく職人の賃金は上がっていくでしょうから、間接部門をどう合理化するかという施策が求められます。小・零細施工業者の連携によって間接固定費を圧縮することが必要です。

――すると、小・零細企業のM&A(企業の合併・買収)ということですか。

原田 小・零細施工業者のM&Aもいいのですが、いざ実行した場合にどちらにうまみがあるのかがわかりません。そのため、M&Aについては各社とも消極的ではないでしょうか。

――では、協同組合を設立して事務作業の一元化を行うという方法はいかがでしょうか。

原田 協同組合による間接固定費削減も一案です。また、施工技術や調達ルートなどに強みを持つ企業が集まってシナジー(相乗効果)を狙う協同組合というのもあり得るでしょう。場合によっては、人材や機材の融通も必要と感じます。残念ながら、こうした取り組みができない企業、つまり自社の強みを経営者が把握しPRできない企業は、コスト競争に負けて淘汰されると思います。

■太陽光ビジネスへの参入は苦肉の策だった?

――ところで、ビル・オフィス建築は首都圏を中心に好況ですが、戸建て住宅やリフォームはなかなか厳しい状況です。そんななかで、太陽光関連事業参入というのは苦肉の策だったのでしょうか。

原田 起死回生を図るという意味では苦肉の策です。リフォーム工事業者の倒産は和歌山県のISIHO(負債総額6000万円)がありますが、苦肉の策といえば北海道の北電テクノ(負債総額7300万円)でしょう。もともと光回線の営業代理を手がけていたMIHホールディングスの経営悪化を受けて、同社の代表が太陽光発電設備の販売・設置を目的に設立した会社です。

 流行のビジネスに飛びつく会社は多く、ときにはLEDや宅配サーバーなどブームになるものもありますが、太陽光もそのうちのひとつということでしょう。結果的に、ノウハウ不足や安易な事業計画で経営が立ち行かなくなるケースが多いです。

――以前の固定買い取り価格が維持されていればビジネスモデルは成立しましたが、今の価格では厳しいのではないでしょうか。

原田 経産省は、太陽光発電のコストのさらなる低減を掲げています。出力2メガワット以上の事業用設備は一部入札制度を導入しました。17年11月の入札結果では、最低落札価格は17.2円/kwhで、12年の固定買い取り価格40円/kwhから半減しました。住宅用は19年には24円/kwhになる予定で、12年の42円/kwhから4割以上下落します。

 以前は参入を促すために買い取り価格が高かったのですが、かねて「諸外国と比較すると高い」という意見があり、今は低下傾向が続いています。ただ、日本は四季があり、雪も降り、傾斜地も多いので諸外国と比較してイニシャルコストとメンテナンスコストの点は不利です。業者の意見に与するわけではないですが、こうした条件を加味して適正な価格を考えていくことが必要です。

 国の資料を見ると、「技術革新や新工法の開発により、コスト削減を促すために買い取り価格を引き下げている」という言い方をしています。国としては、「FITに依存するのはやめてほしい」という考えです。国は技術革新や新工法の開発を求めており、同時に太陽光発電モジュールや架台、設置工事の値下げ圧力は強まることが予想されます。そして、技術市場のニーズに合った単価でサービスを提供するように促しています。

■倒産は高水準で推移、18年は100件を突破か

――18年は、さらなる大型倒産はあるのでしょうか。

原田 大型倒産は一定の水準であります。ただ、一昨年と昨年は倍増しましたが、では今年も倍増して12件になるかといえば、そこまではいかないでしょう。

――今後の太陽光関連事業者は、どうなっていくのでしょうか。

原田 FITのロードマップでは、買い取り価格は引き続き下がることが示されています。その価格帯に対応することが、太陽光関連事業者が生き残る道です。FIT導入後の買い取り価格を時系列で見ると、風力、水力、地熱、バイオマスは太陽光のような大幅な下落は見られません。

 つまり、国が太陽光以外の再生可能エネルギーへのゆるやかなシフトを促し、太陽光に偏っている現状からの脱却を目指しているということであり、そのため事業者は利益が得られにくくなっているのです。

 太陽光関連事業者が次々と倒産している背景には、こうした国の方針があります。そのため、18年も倒産は高水準で推移するでしょう。私は、100件ぐらいだと見ています。
(構成=長井雄一朗/ライター)

______

2018年01月30日
太陽光ビジネス倒産件数最多 不採算業者の撤退相次ぐ


2015年から倒産件数が急増している
引用:愛媛新聞https://www.ehime-np.co.jp/media/images/newspack/PN2017100501001864.-.-.CI0003.jpg?w=400


太陽光ビジネス撤退元年?

太陽光発電が脚光を浴び、買い取り制度が整備されたのは2011年で、太陽光発電元年と呼ばれていました。

それから6年後の2017年は買い取り価格引下げで倒産や撤退する業者が増えて、太陽光ビジネス撤退元年の様相を呈していました。

2017年は88件が倒産したが、2016年は65件、2015年は54件と3年連続で最多を更新しました。

2012年からずっと倒産件数は過去最多(同数も含む)だったが、2015年から負債総額が急増しました。

2014年の当山負債総額が約66億円だったのに対し、2015年は約210億円、2017年は約280億円でした。

2017年最大の倒産は福岡県「ZEN POWER」、負債総額は約52億円で、太陽光発電モジュールを販売していました。


東京商工リサーチによると、本業ではない異業種から参入して、行き詰るケースが多かった。

同リサーチでは安易に参入した企業の倒産は今後も避けられず、2018年も多くの倒産が発生するだろうと予測している。

安易な参入で競争が激化したのに加え、国の固定買い取り価格が年々引き下げられたことで、採算のハードルは高くなった。


後発事業者ほど不利な利権制度

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度は初年度の2011年は42円だったが、毎年引き下げられて現在は21円と半額になった。

だが買い取り価格は20年間固定なので、初年度に参入した事業者だけが暴利を得るという不思議な制度になっている。

はっきり言ってしまうと制度創設時の民主党、管直人政権と「特別な関係」だったソフトバンクだけが優遇されている。


同じ発電事業をしているのに最初に参入した事業者だけが20年間優遇されるのは、「制度化された汚職」ではないだろうか。

倒産理由で最も多かったのが販売不振(42件)、次いで放漫経営(13件)、既往のシワ寄せ(9件)回収不能(4件)などだった。

2017年は特に既往のシワ寄せ(継続的な赤字)と代金回収不能が急増し、景気の悪さと無計画な経営が浮き彫りになった。


買い取り価格が半分になったのは、6年で価格が半額になった電気製品のようなもので、新規参入する分野ではない。

今後さらに買い取り価格は引き下げられ、初期の3分の1くらいには下がるが、それでも電気利用者に多額の負担金を強いている。

現在の買い取り制度そのものに無理があり、いずれ抜本的な制度見直しが求められるときが来るでしょう。
http://www.thutmosev.com/archives/74710661.html
 


[18初期非表示理由]:管理人:混乱したコメント多数により全部処理

4. 2018年3月23日 07:29:09 : MkamCIV0B6 : ucGCWXCvQZ4[29]
つまり大手電力が邪魔してるだけ。みんな知ってる。

5. 2018年3月23日 09:55:59 : i3Ndt2rWYq : S_Vy_E9Efhw[1157]
「地熱は温泉がー」ってのも小泉が国内の社員旅行需要なんかがサッパリと減らせてくれたおかげで、
幾らでも使える立地が増えたよ。
小規模バイナリ発電なら、潰れた旅館一件使えば温泉街の需要くらいは賄えるだろう。

6. 2018年3月24日 00:11:12 : kMRj5o8KXU : O8w66@KT8r8[17]
普及など できぬゾンビが 邪魔をして

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