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国立大も「限界業界」に 教授100人分の人件費削減も…
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180228-00000018-sasahi-soci
週刊朝日 2018年3月9日号より抜粋
人件費削減に揺れる北大
専任教員数の推移(週刊朝日 2018年3月9日号より)
主な私立大学の閉校(週刊朝日 2018年3月9日号より)
韓国や中国勢の躍進が著しい電機・ハイテク関連業界や、安定した業界と見られていた金融界にもリストラの嵐が吹き荒れる。
エリートが集まった銀行業界のみならず、学校法人でも人員リストラは避けられない。大学教授も失業者になり得る時代だ。
国立大学は法人化し、国からの運営交付金が年々少なくなる一方、資金集めの自助努力が求められる。東京大学なども例外でなく、事業収入を増やし、人件費など経費削減を進めている。
財務省はウェブサイトで、07年度以降に国立大学の学生数が1万7千人減少する一方、約2万人増加している教職員の適正規模について検討の必要性を指摘。ここでは北海道大学の事例をみてみよう。
北大は一昨年の前総長時代、教員人件費の大幅削減を含む中期計画を打ち出した。21年度までに約2千人いる教員の人件費を14.4%削減する。教員人件費は1ポイントで約1千万円、教授換算で1人分となり、削減規模は205ポイント、つまり教授205人分に相当する。削減ポイントは各部局ごとに細かく割り振られている。
その後、人件費削減に抑制的な考えの新総長が選ばれ、昨年4月に就任した。教員人件費の削減幅は7.5%、教授換算で100人相当となった。
関係者によると、教授100人分の人件費削減といっても解雇するわけでなく、退職者を補充しないとか、承認人事を控えるなどで対応せざるを得ないという。
北大側は現行中期計画を「昨年7月に策定して実施した」という。一方、教職員組合関係者は「昇進や新規採用など学内人事はほぼ凍結している」と述べ、現場は人件費削減に「猛反発している」と語った。
ある北大教授は「深刻なのは若手」と話す。「自分のような教授の立場と違い、若手教員は昇進が止まり、任期もあるため、北大から出ていかざるを得ない」と危機感を持っている。
北大が進める人件費削減計画を達成できないと研究費が影響を受ける。教職員組合関係者は「大学全体として予算が厳しい」と述べ、「外部から資金を稼げといわれ、みなさん必死になっている」と話す。「全体では収入が増えているが、自由に使えるお金は少なくなっている」と語り、研究費にしわ寄せがいくという。
教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は、大学の組織運営が日米で全く異なると指摘する。米国は経営の専門家を外部から迎えるが、日本は学内から選び、運営ノウハウを持っているのか疑問を呈している。また、「米国では大学への寄付が盛んだが、日本では寄付行為が一般的でない」という。
定員割れしていない国立大学でも運営は厳しいが、より深刻なのは私立大学だ。私大は大学全体の8割を占め、うち4割ぐらいで定員割れ。少子化に、大学進学率が高止まりする中でも、私大新設が相次いでいた。
文部科学省の学校基本調査で、昨年5月1日現在の私大は604校、私立短期大学が320校、教員数は非常勤・兼務者を除く専任(本務者)だけでそれぞれ10万7425人、7446人。
教育関係者の間では2018年問題がささやかれている。120万人前後で推移してきた18歳の人口が18年以降に再び減少し、40年には80万人まで落ち込むと推計されている。
文部科学省は定員割れ大学に対して厳しい姿勢で臨み、補助金をさらに減額していく方針だ。
運営が限界状態の私大は、生き残りの模索のみならず、閉校も視野に入れざるを得なくなっている。
学校運営に詳しいコンサルタントの針生俊成クレイア・コンサルティング・マネージング・ディレクターは、こうした私大について「過当競争の構造不況業種」と指摘する。「収入を増やせる一部の私大を除き、最大のコストの人件費を削らざるを得ない」とみている。私大の収入源は主に学費や補助金で、定員割れで収入が減っている。
厳しい運営の私大では教職員の賞与を少額まで大幅削減したところもある。山口県下関市の梅光学院大学は16年4月に赤字体質で教員の給与や退職金などを引き下げ、これを無効と主張する教授ら10人が昨秋提訴し係争中だ。原告の一人によると、手当を含む給与が月4万〜7万円程度減り、退職金が約700万円減る人もいるという。
私大ではさまざまな動きが出ている。例えば地元自治体がスポンサーとなる事例で、長野県の諏訪東京理科大学などは公立化する。
私大同士が統合した事例もある。09年に武蔵工業大学が東横学園女子短期大学を統合して東京都市大学となり、11年に上智大学が聖母大学を統合し、聖母大学が14年に閉校した。
系列関係の学校なら統合しやすいが系列関係がないと難しい。私大は独自の建学の精神を持ち、求める理想像が異なる。企業はライバル関係にあっても利潤追求の目標は同じで、経営統合も珍しくない。
私大には仏教系、カトリックやプロテスタントのキリスト教系など宗教・宗派が明確なところも多い。同じ宗教・宗派で統合相手を探すと選択肢は限られる。
閉校を選んだ私大もある。東京女学館は短期大学を4年制大学に転換したが、定員割れが続き、13年度から学生の募集を停止し、昨年閉校した。一方、系列の高校や中学校、小学校は存続している。
私大には高校、中学校を含めて学園が運営しているところが少なくない。学園内で定員割れが続く大学を閉校しても、職員を系列校で引き受けるよう備えているところもある。関係者によると、学園全体で正規職員は管理職など主要ポストにとどめ、一般職員をできるだけ非正規とし、柔軟に対応できるようにしている。こうした対応なら、大学を閉校しても職員は系列校への配置転換ですむ。だが、大学教員は別だ。高校、中学校は教員免許を要し、免許のない大学教員は系列校で引き受けられないという。
定員割れが続き運営が立ちゆかず、閉校せざるを得ない私大が相次ぐのは時間の問題とみられている。大学教授も柔軟な姿勢で民間企業などに転職できないと失業する可能性がある。(本誌・浅井秀樹)
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