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「年収200万円台」非常勤文系講師の困窮 正規教員との格差に“健康被害”も
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180222-00000061-sasahi-soci
AERA 2018年2月26日号より抜粋
「社会保険なし」が3分の1(AERA 2018年2月26日号より)
同じ博士課程を修了した人でも、文系(人文・社会科学系)と理系で様相が異なる。科学技術・学術政策研究所の博士課程修了1年半後の人材追跡調査によると、文系は理系と比べて所得が低く、年収300万円未満が多いことが浮かび上がる。
同研究所は報告書で非常勤を含む講師について「生活が維持できる程の自立した職業とはなっていない可能性」も記す。
関西で大学非常勤講師を務める50代のシングル女性は、生きざまを映す鏡のような部屋で暮らしていた。
壁際にびっしり並ぶ書物。本だらけの床は足の踏み場もない。「獣道を歩くみたい」に本の断層のわきから2匹のネコが顔を出す。女性は自嘲気味に苦笑しながら、こう話した。
「常勤の勤務先が見つからないまま、ズルズルきてしまいました。大学に自分の研究室があれば、もう少し整理できるとは思うんですが……」
大学は正規教員に個室の研究室を提供するが、非常勤講師に用意されるのは共用控室だ。思想・社会学を専攻する女性が非常勤講師を始めたのは大学院博士課程1回生のとき。過去4回、大学教員の公募で最終選考まで進んだが、40代半ばで正規の道を断念した。女性は言う。
「大学の教育システムの中では、非常勤は講義を担当するだけの使い捨ての傭兵のようなものです。専任の教員たちとは、知り合いでなければ接点はなく、認識されることもほぼありません」
正規教員との身分の違いを痛感するのは収入格差だ。女性は現在、大学と専門学校で週8コマの講義を受け持つ。大阪、神戸、京都と広域に散らばる複数の大学の掛け持ちで、移動に1日7時間費やしたこともあるが、年収が200万円台を超えることはない。大学によるが、専任校を持たない非常勤の場合、1コマあたり月2万2千〜2万5千円が相場だ。教員歴30年余で女性の昇給額は数千円。1年ごとに契約更新し、たいていは3、4年で雇い止めにあう。
家賃は月7万円。国民健康保険の保険料が一時支払えなくなり、減免申請したことも。「めっちゃ痛い」のが月3万円の奨学金返還だ。食費は月2万円ほどでしのぐ。健康面の不安は常にある、と女性は言う。
「これでもし、長期入院しなければいけない病気になれば確実に契約解除されるし、次に雇ってもらえる保証もない。現在も暮らしていけないのに、老後を考える余裕なんてありません」
都内にある大学の特任講師の30代男性は数年前、心身ともに疲弊し、食事がのどを通らなくなった。駅のホームに立つのが怖かった。男性はこう振り返る。
「死ぬ気はないんですよ。でも、体が弱っているから、電車の風圧にもふらっと『呼ばれる』感じになる。自殺というのはこういうことかと」
男性が政治学研究者としての将来を悲観したのは、学内の事情で博士号取得が目前で不透明になったからだ。携帯電話販売などのアルバイトも経験したが、研究者生活からの離脱は耐え難かった。その後、特別研究員の職を得たものの年収は240万円。年度末までの任期が迫る中、大学教員の公募にことごとく落ちたときも追い詰められた。
非常勤講師の不安定な雇用が健康面に悪影響をもたらしている実態が昨年、日本産業衛生学会で報告された。回答が得られた263人(平均年齢49.3歳)の大学教員のうち、「専任教員」や本務校で常勤職のある「兼業非常勤」と、「専業非常勤」を比較したところ、「主観的健康感」や「不安抑うつ状態」「健康診断未受診」などの質問項目で専業非常勤の不良度が高いことが浮き彫りになった。
調査チームの電気通信大学保健管理センターの鶴ケ野しのぶ准教授は言う。
「社会疫学では高学歴者の健康度は高いとされていますが、正規職へ転換できる機会が乏しいまま、長年低い処遇で働く研究者の健康状態は不良である可能性が考えられます。こうした健康管理の対象外となりやすい労働者にも注目し、健康をサポートすることが重要です」
さらにこう強調した。
「日本の学術研究は多くの非正規研究者によって支えられています。研究者の健康と雇用環境を守らなければ技術立国としての未来はありません」
(編集部・渡辺豪)
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