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「つながるクルマ」の登場でガラリと変わる、驚くべき「移動の未来」 4つのキーワードで読み解く
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54554
2018.2.23 小泉 耕二 現代ビジネス
通信機能を持ち、位置情報や走行情報や路面状況をインターネットから集める「つながるクルマ」、コネクテッドカー。その真価は、「クルマの内側(機能)」に着目するだけではわからないと、株式会社アールジーン代表取締役/IoTNEWS代表の小泉耕二氏は指摘する。つながるクルマは「移動」の概念をどう変えるのか、4つのキーワードで読み解く。
■世界がクルマに注目する理由
今、クルマが世界の注目を集めている。
テスラの電気自動車にはパソコンのようにオペレーションシステムが搭載され、インターネット経由でアップグレードされる。さらには、様々なメーカーから自動運転カーの走行レポートが発表される。近未来なイメージも手伝ってか、多くの人の関心が集まっているのだ。
先日ラスベガスで開催された世界最大のコンシューマ・エレクトリック・ショーである、CES2018でも多くの企業がクルマ関連の展示を行っていた。
自動車の企業がクルマの展示を行うのは当然だが、今年はSUMSUNGやLG、Panasonic、SONYをはじめとする、「非自動車メーカー」も多くの企業がクルマ関連の展示を行っていたのだ。
車載用イメージセンサーについて説明するソニー平井一夫社長兼CEO/Photo by Gettyimages
では、なぜ、これほどまでにクルマに注目が集まるのだろう。
テスラが見せた、クールな電気自動車に魅了されたからだろうか。それともGoogleの関連会社Waymoが行った、地球160周分にも及ぶ自動運転カーの走行試験だろうか。それとも、UBERのシェアライドを利用することによるメリットだろうか。さらには顕在化されている巨大な自動車マーケットだろうか。
1つには、自動車メーカーしかクルマを作らないと思っていた我々の常識に反して、これらの非自動車メーカーの活躍が眩しいからだと言える。他にも、自動運転でクルマが走るという、技術の革新が現実のものとなり始めていることもその理由だろう。
しかし、その一方で、当然のことながら自動車メーカーは、これまでも電気自動車の開発や自動運転に関する開発を行ってきている。ただ、そういった研究室内での研究から外に踏み出し、公道で走る「新しいクルマ」が登場したことが、何よりもクルマの先進的なイメージを具体化し、多くのヒトの心をつかんだと言えよう。
クルマ産業において、「Connected」(つながること)、「Autonomous」(自動運転)、「Sharing」(シェアすること)、「Electricity」(電気自動車)の4つの単語の頭文字をとった"CASE"というキーワードが、昨年くらいからもてはやされている。
実は、現在のクルマを取り巻く環境において、こういった4つの大きな流れが「同時に」起きていることがポイントなのだ。
■クルマは移動の「主役」ではない
フォードはすでに、通信モジュールに強い半導体メーカーであるクアルコムとの提携によって、C-V2X(セルラー・ビークル・トゥー・エブリシング)という基礎技術を応用した、「街とクルマがつながるイメージ」を発表している。
C-V2Xは、クルマがセルラー通信をできることで「コネクテッド」になるということだけでなく、クルマとヒト、クルマとインフラ、クルマとクルマも「コネクテッド」にしようという考え方だ。
この技術は、もともとクルマが走行する上で、「安全性を高める」という文脈で使われてきた技術だった。安全に走行するためには、人の飛び出しや周囲のクルマの状況も察知しなければならない。
高速道路を走行している時、車線変更をしようとする。周囲にクルマが複数台あるが、車線を変更して追い越し車線に行きたいという場合を考える。
ヒトが運転していれば、どういうルートを走行すればぶつかることなく追い越し車線に入れるか、さほど考えることなく運転することができるだろう。しかし、自動運転カーにおいては、ぶつからないようにすることが最重要であるため、周囲のクルマがどう動くのかがわからない限り、車線変更もままならないのだ。
そこで、クルマとクルマが通信する必要がでてくる。
これまで、C-V2Xは、こういった「クルマ目線」の技術だと思われていた。しかし、昨年、この技術を使って、ある実証実験がサンディエゴで行われた。
この実験では、もともと心臓に疾患のあるドライバーが、急に体調が悪くなったというケースをシミュレートしていた。ドライバーが急に苦しくなったことをセンサーが検知し、クルマに伝える。クルマはクルマ自身で側道に寄せ、自動的に停止し、街のインフラに連絡する。街のインフラは救急車を要請し、救急車が出発する。
しかし、救急車の前方にはノロノロ運転をしているクルマが現れる。そこで、救急車はクルマとクルマの対話によって前方のクルマを側道に寄せ、進むことができるようになり、ドライバーを無事助けることができた。こんな実験だった。
この実験のポイントは、クルマがヒトやインフラ、他のクルマとつながることで、連携して1人のドライバーを助けているところにある。
そして、この実験を見ていると、決してクルマが「主役」ではないことに気づくだろう。クルマを取り巻く技術でありながらも、「街の中のヒトの移動」がどうあるべきなのかというテーマに沿って実験が行われているのだ。
■自動運転カーの実現で生まれる問題
また同じくCESで、トヨタが発表したe-Paletteというサービス。こちらは、トヨタ自体が自動運転カーを提供していき、クルマの中は移動ピザ販売サービスに使っても良いし、シェアライドに使っても良いという考え方だ。
e-Paletteをプレゼンするトヨタ自動車豊田章男社長/Photo by Gettyimages
自動運転カーを提供するメーカーにおいて、大きな問題となるのは自動車保険だ。欧米において自動運転カーの保険は自動車メーカーが負担する流れとなっている。
ここで、もし販売したクルマがメーカーの意図に反して勝手に改造されたり、利用者がメンテナンスを怠ったりしたらどうなるだろうか。そのクルマが事故を起こした場合の責任の所在が不明確になる。
しかし、箱型の自動運転カーを自動車メーカーが提供し、移動可能な場所を明確にして、メンテナンスも自社が対応するとすれば、責任を取ることも可能になるだろう。
実は、自動運転というクルマの技術面だけに目を向けていると、実社会においての利用を進めるのが難しくなる。大きな問題としては前述した「責任の所在」がある。
また、国によって異なるルールをクルマ自体が知らなければらない。例えば、米国では右側を通行可能で、右折に関しては制限がない限り注意して曲がって良いというルールになっている。
しかし、日本ではこんなルールはないから、自動車がどこの国にいるのかを把握した上で、クルマに書かれたルールをセルラー通信などを活用して書き換えない限り、直進することすらままならないのだ。
こういった実社会でのルールに従った動作保証を自動車メーカーが行い、その一方で、シェアリングエコノミーなどの「所有しない流れに」乗って、「自動運転技術を使った移動サービス」を提供することで、「移動する箱としてのクルマ」が改めて社会のインフラとして光を浴びるようになる。
■注目すべきは「クルマの外側」
クルマの業界はマーケットのサイズも大きい。今や、「自動運転」「コネクテッド」「電気自動車」「シェアリング」という4つのテーマでの進化が一気に進んできていていることは前述した通りだが、そのマーケットサイズからか、様々な角度からの新規参入企業が登場する流れにある。その結果、既存のプレーヤーは窮地に立たされているのだ。
例えば、カーナビ・メーカーだ。カーナビゲーションシステムは、クルマから取得できる様々な情報をもとに、ドライバーに情報を提供してきたが、今や「Googleマップ」に肩代わりされようとしている。
Photo by iStock
かなり正確な渋滞予測、実用的な渋滞回避検索、周辺スポットの検索など、これまでカーナビでしかできなかったことがどんどんGoogleマップでも実現可能となってきているのだ。カーナビ・メーカーからすれば、自分たちの庭に踏み込まれてきていると言える。
しかし、コネクテッドであることだけがトレンドではない。他の3つの要素も視野に入れると、既存企業に取ってもチャンスが見えてくるのだ。
例えば、クルマが自動運転になるということは、クルマが外部の状況とやり取りをして、「対向車はいないか」「ヒトは飛び出さないか」、と察知する必要がある。
最近、前方の車両と衝突しないための衝突安全対策が施されたクルマを、よく見かけると思う。実際に乗ってみるとわかるのだが、自分のクルマが前方のクルマを捕捉できているかどうかを確認する手段がない場合、もしくは捕捉状況がわかりづらい場合、「前のクルマとぶつかるのではないか」と、とても不安になる。
他にも、車線を読み取り、車線からはみ出そうな場合に警告を鳴らし、自動的にハンドルを切るといった機能があるクルマもあるが、そもそも自分が乗っているクルマが車線をきちんと認識しているかどうかがわからないと「ちゃんとはみ出しを検知して動作してくれるのだろうか」と疑心暗鬼になるものだ。
こういう状況にあって、クルマが発するヒトへの「サイン」はこれまで通りでよいのだろうかという疑問が湧く。
クルマのサインは、これまではドライバーが運転をするという前提で作られているため、自動運転を意識した作りになっていない。一方で、自動運転カーの時代に必要とされるのは、街のインフラやヒト、他人のクルマとの関係性であって、クルマを内側から見ているだけでは解決しないことが多いのだ。
実際にクルマに乗っているヒトからすると、自分のクルマが外界とどういう関係にあって、どれを認識することができているのかを「感じられる」ようになっていることは非常に意味がある。
これまで、クルマが発信する様々な信号を受け取り、「カーナビ」に表示してきたカーナビ・メーカーは、クルマの中でヒトが受けるべきインフォメーションや体験を再設計しなければいけないタイミングにあると言えるだろう。
今回紹介した例はいずれも、クルマを内側から眺めていては価値が測れないことばかりだ。すべて外側から「移動」という概念を見直して、初めてその価値の移り変わりに気づくことができる。
今後は前述の"CASE"の4つの視点で、製品やサービスの開発を行っていくことが重要なのだ。
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