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税理士に頼まず確定申告、数年後に突然、税務調査で多額追徴課税!
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22402.html
2018.02.22 文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人 Business Journal
元国税局職員、さんきゅう倉田です。デートでのお会計時に大切にしていることは「消費税」です。
確定申告の季節がやってきました。会社員、パート・アルバイトの方も、会社がやってくれている年末調整では対応できない控除や所得があれば、確定申告が必要です。初めての確定申告では、内容が間違っていないか、自分の申告に不正がないか不安になるものです。しかし、税務署でやり方を教わり、その場で申告書を作成して提出すると、特に何も指摘されずにすんなりと終わってしまいます。そのため「なんだ、確定申告って意外とあっさりしているじゃないか」などと思うはずです。
しかし、それは大きな間違い。あくまで提出を受理しただけで、間違いがあった場合は数カ月、あるいは数年後に連絡が来るのです。10年前「不幸は、常に音を立てずに忍び寄っている」と、税務調査で多額の追徴課税を受けた社長が言っていたのを今でも覚えています。
■ゴルフ会員権の売却で大きな落とし穴
今回紹介する調査対象者は、大学病院に務める医師のAさんです。給与所得者のAさんは特別な事情があって、所得税の確定申告書を提出しました。確定申告の内容は、給与所得が1900万円、譲渡所得がマイナス2300万円、総所得金額はマイナス400万円でした。
所得税法69条には、次のように規定されています。
「総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する」
今回の場合に当てはめると、譲渡所得の金額がマイナスの場合は、給与所得と相殺することができます。Aさんの受けた税務調査では、この損益通算ができるかどうかが争われました。
譲渡所得とは、とてつもなく簡単に言うと、「資産を売却したときの所得」です。土地や建物、何かしらの権利を売却したときに所得があれば、所得税を納めることになります。Aさんの確定申告における譲渡所得のマイナス分とは、Aさんが所有していた資産、ゴルフ会員権の売却損によるものでした。
確定申告をした前の年、Aさんは所有していたBゴルフ場のゴルフ会員権を50万円で売却しました。購入した当時の金額は2300万円だったため、大赤字です。なぜ、売却したかというと、Bゴルフ場の経営会社が倒産してゴルフ場が利用できなくなってしまったためです。そこで、そんなゴルフ会員権を持っていても仕方がないので、確定申告をして、その赤字を給与所得と相殺して所得税の還付を受けることにしたのです。
ゴルフ会員権の価値は下がりましたが、大学病院から源泉徴収されている所得税が還付になるならば、少しは心と財布の負担が減ります。しかし、数年後、確定申告書を見た調査官は、ゴルフ場が競売により他人の所有になったことや、ゴルフ場への立ち入り禁止の仮処分がなされたこと、B社に対する会社更生手続開始の申し立てが裁判所に受理されたことを理由に、Aさんのゴルフ会員権は、ゴルフ場優先利用権が消滅し、単なる金銭債権だけとなったとみるべきであり、損益通算は適用できないとして処分しました。
金銭債権の譲渡は、譲渡所得の対象となる資産の譲渡に該当せず、利益があれば雑所得として課税される可能性が高いのです。
通常、ゴルフ会員権の譲渡は、ゴルフ場施設を一般の利用者に比して有利な条件で継続的に利用できるという事実上の権利を譲渡するものとして、売却によって利益が出れば譲渡所得となります。
しかし、ゴルフ場を経営する会社が倒産して、ゴルフ場施設が売却され他人の所有となってゴルフ場が利用できなくなった場合には、施設利用権は消滅して、経営会社に対する金銭債権となります。
今回のAさんの損失についても、譲渡損失とはならず、損益通算もできません。Aさんの確定申告の内容は誤りであり、申告内容を是正されて追徴課税されるとともに、過少申告加算税を賦課されて、15%増しで納税することになりました。
多額の還付を受ける際は、税務署や税理士によく確認することをお勧めします。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)
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