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日本の食、中国輸入依存の怖い実態…輸入品検査、全体のたった8%
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22391.html
2018.02.21 文=山田稔/ジャーナリスト Business Journal
野菜の高騰が食卓を直撃している。鍋に欠かせない白菜がひと玉600〜800円。大根が1本300円と、例年の倍以上の異常な高値が続いている。
こうした状況になると人気化するのが、1袋30円程度と安価なモヤシだ。筆者が以前、モヤシ製造企業の経営者に話を聞いた際、「普段は安売りの目玉商品にされ、(野菜高騰で)困ったときは注文が殺到する。たまりませんよ」と嘆いていた。
昨年秋の長雨、冬場の寒さ、大雪など天候による影響が野菜高騰の背景にあるが、世界的な大干ばつ、異常気象で農産物の生産がガタ落ちしたら、多くの食料品を輸入に頼っている日本の食料事情はどうなってしまうのだろうか。
“食料輸入大国”といわれて久しい日本の実態を調べてみた。
農林水産省のまとめによると、2017年1月から11月までの農林水産物の貿易額は8兆5575億円。7兆8417億円の輸入超過である。輸入は11月末時点で前年実績(8兆5480億円)を上回った。農産物に限ると、輸出4412億円、輸入5兆8828億円で、5兆4416億円の輸入超過だ。
農産物の輸入実績を国別にみると、中国1438億ドル、米国1198億ドル、ドイツ841億ドル、イギリス600億ドル、オランダ559億ドル、日本502億ドル、フランス486億ドル、イタリア401億ドル、カナダ333億ドル、ベルギー329億ドルとなっている(15年実績=農水省サイトより)。
日本は世界第6位の輸入国ということになる。米国は輸出額も1378億ドルと巨額で実質的には180億ドルの輸出超過。オランダ、フランス、イタリア、カナダ、ベルギーも輸出超過なので、輸入上位10カ国のうち輸入超過は、中国847億ドル、日本466億ドル、イギリス395億ドル、ドイツ129億ドルの4カ国のみだ。日本は世界第2位の「農産物輸入超過国」というのが実態だ。
■輸入品目の上位は豚肉、たばこ、トウモロコシ、牛肉
日本人観光客にも人気のニューヨークのスーパーで売られていた食品
どんな農産物の輸入が多いのか。農水省データによると16年の上位10品目(金額ベース)は、以下の通り。
豚肉4528億円、たばこ4396億円、トウモロコシ3332億円、生鮮・乾燥果実3175億円、牛肉2888億円、アルコール飲料2666億円、鶏肉調整品2097億円、冷凍野菜1699億円、大豆1660億円、小麦1480億円となっている。
ちなみに、農産物1980年の上位は、トウモロコシ、大豆、小麦で、肉類は7位以下だった。食生活スタイルの変化や1985年のプラザ合意以降の円高進行、91年の牛肉輸入自由化の影響が表れていると考えられる。
水産物の上位は、えび1987億円、かつお・まぐろ類1891億円、さけ・ます1795億円の順。
日本のスーパーマーケットには、さまざまな国の食材が陳列されている。カナダ産の豚肉、米国産の牛肉、メキシコ産のアスパラガス、ニュージーランド産のパプリカ、ノルウェー産のさば、モーリタニア産のたこ、アルゼンチン産の赤エビ、ベルギー産のチョコレート、スコットランドのウイスキーなど。牛丼店やファミリーレストランだけでなく、家庭の食卓も今や輸入食品がズラリと並んでいるのが現状だ。
最近は輸入相手国が以前より多様化してきているが、それでも限定された国々の比率が高い。16年の主な輸入相手国をみると、農産物は、米国1兆3529億円、中国7071億円、豪州4059億円、タイ3945億円、カナダ3545億円の順。水産物は、中国2881億円、米国1362億円、チリ1206億円、ロシア1119億円、タイ1061億円となっている。
農産物は上位5カ国で55.2%、水産物は同47.6%と集中する傾向が強い。特に家畜の飼料となるトウモロコシ(米国73.8%)や、植物性油脂原料などに使われている大豆(米国68.9%)、鶏肉(ブラジル69.5%)、牛肉(豪州54.4%、米国38.0%)など、特定国への依存度が高いことが目に付く。
■輸入食品の安全性、信頼性への疑問は尽きない
今後、人口減少が続く日本の食料の需要そのものは徐々に減っていくだろうが、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の展開次第では農林水産物の輸入が大幅に増加するといわれている。しかし、コトはそう単純ではない。特定国への依存が高いなかで中長期的に必要な量を安定的に輸入し、供給を確保できるかどうかにかかっている。さらには、増大する輸入農産物、水産物の安全性がどこまで保証されるかといった問題もある。
国連の推定では、世界の人口は年に1.18%の割合で増え続けていて、2050年には90億人に達する。穀物や水など世界的な資源・食料争奪戦が指摘され、価格が高騰するなか、今のような特定国依存はリスクが高すぎる。国内での生産性を上げ、生産力を増やすことを優先する政策が必要なのは言うまでもない。
一方で、輸入食品の安全性への懸念も強まっている。残留農薬、遺伝子組み換え食品など、消費者の不安は尽きない。
厚生労働省の「平成29年度 輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果」中間報告によると、17年4月から9月までの輸入届出件数は122万5011件。これに対して10万2756件の検査を実施し、384件の法違反が確認され、積戻しや廃棄等の措置を講じたという。法違反で多かったのは、「食品の規格(微生物、残留農薬、添加物の使用基準等)」が245件、次いで「アフラトキシン等有害・有毒物質の付着等」が106件、「食肉の衛生証明書の不添付」が8件などとなっている。
届け出件数に対する違反件数の割合は0.03%と低いが、問題は検査件数の少なさだ。届け出件数に対し、わずか8.4%しか実施されていないのである。このほかに2万9709件のモニタリング検査を実施しているが、膨大な輸入品の全量検査からはほど遠いのが実態だ。検査の網を潜り抜けてしまうケースが多いのではないかと心配される。
食品関連業者や消費者サイドにも改善すべきテーマがある。膨大な食品ロスだ。国連の「世界の食料安全保障と栄養の現状2017」によると、武力紛争の拡大や気候変動(異常気象)により、世界の飢餓人口は8億1500万人(全人口の11%相当)に達している。農水省の推計(14年)では日本の食品ロスは事業系339万トン、家庭系282万トンの合計621万トン。国連WFPによる世界全体の食料援助量320万トン(15年)を上回っている。
膨大な食材、食品を輸入しながら、大量の食べ残しを出している“飽食ニッポン”。最近も、恵方巻の大量廃棄が問題になったが、氷山の一角にすぎない。食べ放題、大食い番組などがもてはやされ、日本はあまりにも危機意識が希薄すぎる。食品ロス対策は、長野県松本市の「残さず食べよう!30・10運動」がある。宴会などで、「乾杯後30分間は席を立たず料理を楽しむことにする」のが30、「お開き前10分間は自分の席に戻って、再度、料理を楽しみ食べ残さないようにする」のが10の意味である。大手コンビニで発注システムを改善する動きもあるが、依然、抜本的な解決には至っていない。
増え続ける食料輸入にどう向かい合っていくか。国民の知恵が試されている。
(文=山田稔/ジャーナリスト)
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