2018年10月31日(水) 東電元会長 責任認めず 旧経営陣刑事裁判 原発安全確保義務を否定 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-31/2018103115_01_1.jpg (写真)記者会見する刑事訴訟支援団の弁護士ら=30日、東京都内 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第33回公判が30日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、事故当時、経営の最高責任者だった勝俣恒久・元会長(78)の被告人質問がありました。 勝俣被告は2002年10月から社長を、08年6月から福島第1原発事故後の12年まで会長を務めました。検察官役の指定弁護士から、最終的に原発の安全確保の義務と責任を負っているのではと問われ、勝俣被告は、安全の責任について「一義的に原子力・立地本部で行う」と述べ、自らの責任はなかったと主張。最終的な義務と責任を重ねて問われると「分かりません。社長は万能ではありません」としました。 元東電幹部の調書では、08年2月に社長だった勝俣被告らが出席した「中越沖地震対応打ち合わせ」(通称「御前会議」)で、想定を超える津波になることや津波対策が必要だとする方針が報告され了承されたとしています。これについて、勝俣被告は「そういう説明はなかった。勘違いじゃないかと思う」と全面的に否定。その時に「津波への確実な対応」とする配布資料が示されると、「見たことがない」と述べました。 また、09年2月に会長だった勝俣被告等が出席した御前会議で、元部長が福島原発について「もっと大きな14メートル程度の津波がくる可能性があるという人もいて」と発言したことに対し、「(聞いたことが)あります」と証言。しかし、「福島原発の津波問題で疑問を持つことがなかったのか」と問われ、「社長にゆだねた方がいいと考えた」と述べました。 被害者の代理人の弁護士も質問。国の機関が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づき津波対策を実施していれば、事故は防げたという反省はないのかと追及すると、「長期評価」について公判の証人によって意見が分かれているとして、「(それをもとに)企業行動をとることはあり得ません」と述べました。 公判では、検察官役の指定弁護士が求めていた福島第1原発や避難中の患者ら44人が死亡した病院などの現場検証の要請に対し、永渕健一裁判長は却下しました。 次回公判は11月14日で、患者らの遺族が意見陳述します。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-31/2018103115_01_1.html 2018年10月31日(水) 原発賠償措置額 1200億円据え置き 「福島」以前と同額 有識者会議が報告書 政府の原子力委員会の有識者会議は30日、原発事故の損害賠償制度見直しに関して、事故に備えた賠償措置額を現行の1200億円に据え置く内容の報告書を取りまとめました。政府は、これを受けて原賠法改定案を今国会に提出する見通しです。 8月から行われた報告書案への意見公募では、約168件の意見がよせられ、措置額の引き上げや事業者の利害関係者の責任の明確化を求める意見などがありました。 東京電力福島第1原発事故で発生した賠償金はすでに8兆円を超えています。有識者会議でも損害賠償措置額の引き上げが必要とする意見が出ましたが、措置額の見直しは行われず、報告書別添で「文部科学省を中心に、引き続き検討を行う」とされました。 電力会社などが求めていた賠償責任に上限を設ける「有限責任」については、「無限責任を維持することが妥当」としました。一方、福島第1原発事故で設立された原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通して国が事故を起こした電力会社を資金援助する枠組みは、「今後の原発事故が起こった場合にも適用される」としています。 また、あらかじめ事業者が損害賠償の対応方針を作成・公表することの義務付けや、被害者への仮払いを迅速に行うための事業者への貸付制度などの整備を提言しています。 解説
事故の危険かえりみない政府・電力業界の姿勢追認 原子力損害賠償法の見直しを議論してきた内閣府の専門部会が、電力会社に備えを義務づける賠償金(賠償措置額)を現行の最大1200億円に据え置く報告書をまとめました。 東京電力福島第1原発事故では、賠償額はすでに約8・6兆円の巨額に上り、賠償措置額の70倍以上です。事故以前と同じ賠償措置額とは、あまりにも無責任です。事故の危険を見ようとしない政府と電力業界の姿勢を表しています。 専門部会の議論では、保険料や政府に収める補償額が増える賠償措置額の引き上げについて、経済界や電力業界は電気代の値上げにつながらないことなどを求め、負担増に反対していました。事故の責任をすべて負うつもりもなく、事前に備える資金も増やさず、原発を運転する資格はありません。 現行の原賠法は、過失の有無にかかわらず、電力会社が上限なく、全ての賠償責任を負う「無過失・無限責任」が原則です。賠償措置額の1200億円は民間保険や政府補償契約で賄います。それを超える分について福島原発事故では、新たにつくられた原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて、国費投入と電気料金への上乗せで東電に資金援助しています。負担を国民に転嫁する仕組みです。電力会社は新たな事故が起きれば、この仕組みで対応しようとしています。 経済界や電力業界は専門部会では、現行の「無限責任」を、一定額以上は国が責任を持つ「有限責任」に見直すよう執ように求めていました。「無限責任」では、事業の予見可能性が確保できないからだというのです。一定額以上は国に面倒を見てほしいと、あからさまな主張でした。事業の予見性が確保できない事故をもたらす原発事業だと考えるなら、撤退するのが筋です。 (三木利博) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-31/2018103114_02_1.html
[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理
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