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福島第一汚染水の「再浄化」、後は海洋放出?
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2018/10/01(月) 19:49:14 めげ猫「タマ」の日記
東京電力は9月28日、福島第1原発の汚染水を浄化した後にタンクで保管している水のうち、約8割に当たる75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が排水の法令基準値を超過しているとの調査結果を明らかにました(1)。これについて、朝日新聞は
「今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。」
と報じていました(2)。東京電力は福島第一汚染水を「再浄化」して、トリチウム以外を国の基準値以下にした後で「海洋放出」することを決めたようです。原子力規制は福島第汚染水の海洋放出を実質的に東京電力柏崎刈羽原発の適合性審査(安全審査ではない)の合格の条件にしています(3)。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋に流入しています。あるいは海までに達しています。海に達した汚染水は汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(4)。浄化しても排水基準(5)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(6)。
地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
どんどん増える福島第一汚染水
※(7)(8)を集計
図―1 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(9)を集計すると東京ドーム(体積124万立方メートル(10))の一杯分に近い総量で約115万トンに達します。汚染水は処理装置で中に含まれる放射能を低減していますが、すくなくともトリチウムは取り切れません(11)。以下に濃度を示します。
再び上昇した福島第一汚染水のトリチウム
※(12)を集計
図―2 福島第一汚染水のトリチウム濃度
こちらいったんは下がったのですが、再び上昇し1リットル当たり200万ベクレルを超えてしまいました。法定限度は1リットル当たり6万ベクレルですので(5)、30〜40倍の高濃度です。このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(13)。そのうちに汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。
柏崎刈羽原子力発電所は柏崎刈羽原発は新潟県にある東京電力の原子力発電所です(14)。ただし、東京電力は新潟に電気を供給しておらず(15)、福島事故も起こしました(16)。2007年の中越沖地震では、火災(14)や放射能漏れ事故(17)をお越し、新潟県の海水浴客が半減する等(18)の被害を出しました。
2007年の柏崎刈羽原発火災映像を放送したBSN
※(19)を転載
図−3 煙もくもく柏崎刈羽原子力発電所
東京電力は再稼働を目指し、原子力規制委に適合性審査(安全審査ではない)を申請しています(20)。適合性審査は「設置許可」「工事計画認可」「保安規定認可」等の段階があります(21)。昨年(2017年)12月27日に「設置許可」に合格しました(22)。ただし、それ以降は審査会合が開かれておらず(20)、「工事計画認可」「保安規定認可」はまだです。
昨年7月10日の第22回原子力規制委員会 臨時会議に東京電力社長が呼ばれ、
「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すこと」
を求められました。当時の委員長は東京電力社長に対し
「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組んで、<中略>汚染水のトリチウムの問題、トリチウム処理水の排水の問題」
と発言しいるので(23)、「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み」は福島第一汚染水の海洋放出です。そして昨年9月20日の第38回原子力規制委員会で、ことことを柏崎刈羽原発の保安規定に盛り込むことが、安全審査合格の条件になりました(24)。汚染水の海洋放出を実質に規定に記載する以上は「海洋放出」が柏崎刈羽原発の適合性審査合格の条件になりました。
適合性審査は6,7号機でなされていますが(20)、 6,7号機は合計で271.2万kWの出力があり(14)、稼働率を75%と見込むと(25)、年間178.2億kWh(271.2万×365×24×0.75)の発電が可能です。ガスタービン発電の燃料費は1kWh当たり13円だそうです(26)。東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働で年間2,316億円(178.2億×13)の燃料費が節約できます。東京電力からみれば柏崎刈羽原発再稼働は打ち出の小槌です。汚染水の海洋放出は東京電力の悲願です。
福島第二の廃炉が報じられました(27)。福島第二の廃炉方針について
「有力視される海洋放出に対しては、地元自治体も漁業者も『風評被害が再燃する』と反発している。今回の判断が処分方法決定に向けた『地ならし』との見方は根強い」
と報じられています(28)。
福島第二の廃炉は「トリチウム水(汚染水)の処理」と報じる福島のローカルTV局FTV
※(29)を転載
図―4 福島第二の廃炉は「トリチウム水(汚染水)の処理」と報じる福島のローカルTV局FTV
経済産業省は「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」を立ち上げ、福島第一原発の汚染水の「処分」方法を検討してきました(30)。その公聴会が8月30・31日に開かれました(31)。その直前に波乱がおきました。
ヨウ素129は植物、土壌、乳汁、動物組織などの生物圏に組み込まれます(32)。東京電力は「浄化装置」(多核種除去設備)で取り除けると主張しています(33)。ところが排水の法令基準(1リットル当たり9ベクレル)を超えるヨウ素129が度々、見つかっていると8月23日に報じられました(33)。そして開かれた公聴会では参加者の多くがトリチウム以外にも除去できるはずとした放射性物質が残っていることを取り上げ、反対を表明し、タンクでの長期保管を求める声が相次いつぎました(34)。
公聴会後に汚染水の海洋放出に対する福島県知事の発言が微妙に変化しています。この件について8月20日の会見では、
「国と東電は現在の水の状況のデータを含め、環境や風評への影響を丁寧に説明してほしい」
との発言でしたが(345)、公聴会後の9月3日の会見では
「国、東電は声を受け止め、環境や風評への影響について議論と説明を尽くしながら慎重に進めてほしい」
にとの発言になりました(36)。「丁寧に説明」が「慎重に進めて」に変わりました。福島県の地方紙・福島民報は、汚染水の海洋放出について
「慎重な議論を求める声は強まっている。」
と報じ時ています(37)。福島の皆様の評判も良くありません。福島民報社と福島テレビと共同で県民世論調査では福島県民のうち海洋放出に関しては「反対」が53・8%と半数を超え、「賛成」とした17・1%の三倍に達したそうです(38)。
汚染水海洋放出について「反対53.8%、賛成17.1%」と報じる福島県の地方紙・福島民報
※(39)を引用
図―5 汚染水海洋放出について「反対53.8%、賛成17.1%」と報じる福島県の地方紙・福島民報
海洋放出が難しくなった感じです。これでは東京電力は柏崎刈羽原発を再稼働することが出来ません。
8月28日から29日にかけて
「東京電力は28日、福島第1原発の汚染水を浄化した後にタンクで保管している水のうち、約8割に当たる75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が排水の法令基準値を超過しているとの調査結果を明らかにした。」との報道がなされました(1)(2)。ここで注意して欲しいのは「明らかにした。」であって「発表した。」ではありません。福島第一原発に関するプレス文には掲載されていません(40)。そして
さらに対応について
「東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。」(朝日新聞(2))
「東電は処分の際の風評被害など社会的な影響の軽減に向け、再浄化が必要と判断した。」(福島民友(41))
朝日新聞も福島民友も図を載せていたので、それを元に流れを作図してみました。
福島第一原発汚染水の最終形態
※1(2)(41)を引用
※2 「ALPS」は最終段の汚染水処理装置(31)(33)。
図―6 福島第一汚染水の今後の流れ?
福島第一原発汚染水の処分に関する公聴会では、トリチウム以外にも除去できるはずとした放射性物質が残っていることを取り上げ、海洋放出に反対する声が相次いつぎました(34)。たっだら、再浄化して「法令基準値未満(ただしトリチウム以外)」すれば、反対の理由は解消され海洋放出ができます。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
9月27日は、東京電力は廃炉責任者も出席する大きな記者会見を開いています(42)。そこでは発表せずに、翌日に「お知らせ」したのか不透明です。公聴会直前にトリチウム以外の放射性物質の存在が報じられてたことで、批判がそこに集中し、「トリチウムの安全性」(43)や汚染水を海洋投棄することで生じる福島産への不信などはあまり、主張されませんでした。こちらの方が本質的で対応は困難です。すくなくとも「公聴会」ではこの問題は回避できました。とにかく「不透明」です。ここまで「不透明」な東京電力に原子力発電所の運転を許して良いか、(=^・^=)には分かりません。そして、福島の皆様は不安だと思います。
月23日に福島県知事は大相秋場所で優勝した力士に福島産ネギを贈ったそうです(44)。福島はネギの季節です。福島県いわき市は福島最大のネギの産地です(45)。同市産のネギは甘く柔らかく太いそうです(46)。福島県は福島産ネギは「安全」だと主張しています(47)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産ネギはありません。
他県産はあっても福島産ネギが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
※(48)を引用
図―7 福島産ネギが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県いわき市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2667.html
(1)タンクの大半で基準値超過、福島 汚染水処理後の放射性物質 | 全国のニュース | 福井新聞ONLINE
(2)汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発:朝日新聞デジタル
(3)めげ猫「タマ」の日記 東電社長が新潟県知事に面会、動き出した柏崎刈羽再稼働
(4)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(5)サンプリングによる監視|東京電力
(6)建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入等の推移 - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社
(7)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(8)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社
(9)(8)中の9月25日
(10)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(11)地下水ドレンからの地下水汲み上げ - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(12)(5)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」(アーカイブを含む)
(13)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】」
(14)柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia
(15)東京電力ホールディングス - Wikipedia
(16)福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(17)柏崎刈羽原子力発電所6号機の放射性物質の漏えいについて|TEPCOニュース|東京電力
(18)[PDF]PDF形式 858 キロバイト - 新潟県
(19)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい東電原発(3月1週)―柏崎刈羽・安全審査の申請書を再提出―
(20)東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所(6・7号炉)審査状況 | 原子力規制委員会
(21)設計・建設段階の安全規制 | 原子力規制委員会
(22)第57回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会
(23)第22回原子力規制委員会 臨時会議 | 原子力規制委員会
(24)第38回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会中の資料1 申請者の原子炉設置者としての適格性についての確認結果(案)
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(30)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(31)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会 (METI/経済産業省)
(32)ヨウ素の同位体 - Wikipedia
(33)汚染水の浄化処理 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社中の多核種除去設備による除去効果が見込まれる核種(21KB)
(34)<福島第1原発>処理水の放射性物質残留 ヨウ素129基準超え60回 17年度 | 河北新報オンラインニュース
(35)トリチウム水「丁寧に説明を」福島県知事 :日本経済新聞
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