>>7のつづき 語るまでもなくプロパガンダには目的がある。しかしこの目的は抜け目なく覆い隠されていなければならない。ヨゼフ・ゲッベルス(ナチス・ドイツ宣伝相) 小泉政権を契機に「構造改革」が実践されたのだが、「構造改革」とはもともとIMFが債務国に求める返済計画を意味したイディオム(慣用句)なのであり、社会保障費の削減、労働規制の撤廃、投資の自由化(企業買収の簡易化)をプログラムの支柱とし、すなわちフリードマン型経済(市場原理主義)の導入そのものであるわけだ。あらためて小泉内閣とはグローバリストによって編成された経済傭兵集団であり、国民資産あるいは労働者賃金を搾取・集約し譲渡することがミッションであったといえるだろう。 福井俊彦(元日銀総裁)失業率は8%を目指すべきだ。 小泉内閣が推進する過激な市場原理主義により倒産が激増し、失業率はそれ以前の2倍となる5%台に達した。その最中、日銀トップである福井俊彦氏がゴールドマン・サックスに再就職を果たし、金融庁OBがJPモルガン、モルガン・スタンレー、KPMGに天下り莫大な報酬を得るなど、構造改革は欺瞞を明示する。さらには米国債が1年足らずで70%も積み増しされ、米国に供出された円は東証株の制圧資金へ転化されたのだから、行政中枢と侵略集団は相互浸透しているのであり、国家機能は形骸化していると考えるべきだろう。 我々は世界人口の4%を占めているに過ぎないが、世界の富の22%を必要としている。 ビル・クリントン(米国第42代大統領) 構造改革にともない「投資の自由化」が推進され、三角合併、持株会社、減損会計など聞きなれない制度が施行されたのだが、目的は外国人による日本企業買収の規制撤廃に他ならない。いまや株式市場の75%以上が外資による取引であり、外国人の持ち株比率は20年前の15倍に達しているのであり、すでに日本の経済的イニシアティブ(主導権)が解体されているに等しい。現在日本国が推進する市場原理主義の政策群は、90年代にクリントン政権が策定した金融を主体とするヘゲモニープロジェクト(覇権戦略)なのだから、我々は完全に略奪のプロット(策謀)に取り込まれているのだと思う。 金ももらえないのに、盗みや詐欺に手を貸す馬鹿がどこにいる? ルイス・パシュート(最年少・最高額の金融詐欺により逮捕された米国の証券ブローカー) 外国人ファンドによる対日投資のパフォーマンスは、日系ファンドによる対米投資より200%も上回っているとおり、この国の統治者は国民経済の発展よりも外国人の利回りを命題化しているのであり、あらゆる制度改革は売国によるインセンティブ(成果報酬)の対価として構造化されている。貧困は2003年の「労働者派遣法改正」によって加速され、年収200万円以下の勤労者は1000万人を超えたのだが、労働規制撤廃の本質が多国籍企業化した経団連グループの利益最大化であり、すなわち日本人労働者の奴隷(非正規)化により利潤増殖を目論む外国人の謀略であった。 誰もが得をするーーそんなバカな話があるはずもない。金には必ず出どころがある。 ゲーリー・ワイス(米国の作家) 2002年から推進される民営化、社会保障費削減、消費税率の引き上げなど構造改革の核心は、IMFが破綻国家に対して要求する「構造調整プログラム」のコンディショナリティ(政策勧告)そのものだ。国債を保有するメガバンクや市中銀行の外資比率が40%に迫ると推定されることから、一連の政策はデフオルト(債務不履行)を危惧する外国人投資家の意向を反映したリスクヘッジ(危機回避)であるとの見方が強い。すでにゼロ金利政策によって約200兆円の預金者金利が銀行の利益に付け替えられているのだが、それはつまり金融機関優遇であると同時に、国債の保有に対するインセンティブ(報酬)でもあるわけだ。財政規律の腐敗によって国家は外国に干渉され、国民は高額な税負担、預金金利逸失、福祉の後退という三重の負担を強いられている。 民営化は富の創出ではなく資産の収奪をもたらした。ジョセフ・ステグリッツ(米国の経済学者) *
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