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ウィーン発 『コンフィデンシャル』
2018年08月17日06:00
米ペンシルベニア州のローマ・カトリック教会で300人以上の聖職者が過去70年間、1000人以上の未成年者に対し性的虐待を行っていたことが14日、州大陪審の報告書で明らかになった。バチカン・ニュースは15日、米教会の聖職者の性犯罪報道について、「深い悲しみだ」「ショックだ」「恥ずかしい」といった教会関係者の声を紹介している。
ペンシルベニア州教会の司教たち(8教区)は「犠牲者の深い痛みを感じる。その痛みが癒されることを願っている」という声明文を公表した。州大陪審は2年間余り調査を行い、900頁に及ぶ報告者をまとめた。報告書には、聖職者の性犯罪だけではなく、教会が性犯罪を犯した聖職者を組織的に隠蔽してきた事実も記述している。
アイルランド教会、ベルギー教会、ドイツ教会、オーストラリア教会など世界各地で2000年以降、カトリック教会の聖職者による未成年者への性的虐待が次から次と暴露されてきた。同時に、教会がその性犯罪を隠ぺいしていた事実が白日の下、明らかになってきた。
米ボストンのローマ・カトリック教会聖職者による未成年者性的虐待の実態を暴露した米紙ボストン・グローブの取材実話を描いた映画「スポットライト」(トム・マッカーシー監督)が第88回アカデミー賞作品賞、脚本賞を受賞したことはまだ記憶に新しい。
最近では、バチカン法王庁は6月、米国ワシントン大司教区の元責任者セオドア・マカリック枢機卿(Theodore McCarrick)の45年前の未成年者への性的虐待容疑に対し「信頼できるもので、実証に基づいた容疑」と判断し、今後の一切の聖職行使の停止を言い渡したばかりだ。また、豪メルボルンの裁判所はバチカン財務長官のジョージ・ペル枢機卿(76)を性犯罪容疑で正式に起訴。公判は今月13日始まったばかりだ。
(このコラム欄でカトリック教会の現状や動向について700本以上の記事を書いてきた。その中には聖職者による未成年者への性的犯罪に関する情報が少なからず含まれている。関心のある読者は再読してほしい)。
カトリック教会の聖職者による性犯罪件数は1万件をはるかに超えている。明らかになった件数は氷山の一角に過ぎず、実数はもっと多いだろう。
ローマ・カトリック教会総本山のバチカン法王庁は聖職者の性犯罪が明らかになる度に遺憾を表明し、犠牲者へ償いを申し出てきたが、聖職者の性犯罪は物品の不法売買などの経済犯罪とは異なり、犠牲者が生涯その痛みを癒すことができずに生きていかなければならない重犯罪だ。その犯罪行為を神の使いを自負する数万人の聖職者、教会関係者が犯してきたのだ。
結論を急ぐわけではないが、カトリック教会は久しく宗教団体ではなく、マフィアと同じ組織犯罪グループに分類される組織だ。バチカンと世界カトリック教会はこれまで享受してきた外交上の特権などを放棄し、迅速に解体すべきだ。
不思議に思うのは、これほど多くの性犯罪を世界各地で犯しながら、「バチカン解体論」や「カトリック教会閉鎖論」が飛び出してこないことだ。その理由について、当コラムで書いたが、組織犯罪グループに陥ってしまったカトリック教会が存続すれば、「悪魔」にとって都合がいいからだ。聖職者が性犯罪を犯す「教会の神」を誰が信じるだろうか。そのような教会から聖霊を感じる信者がいるだろうか。カトリック教会は人々を神から遠ざかせるために存続してきたのだ。厳しい批判だが、これは事実だ。ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」を思い出す読者もいるだろう。教会は悪魔と取引をしたのだ。
カトリック教会が過去、多くの義人、聖人を輩出してきたことは事実だ。それゆえに、教会はイエスの名をこれ以上汚さず、潔く迅速に解体すべきだ。
(後略)
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解体のきっかけとなるのは過去の流血の罪と思っていたけど、子どもへの性的虐待か。
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