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アメリカ海軍の駆逐艦がシリアのロシア軍基地沖で威嚇、ロシア軍は臨戦態勢に
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201804100000/
2018.04.10 櫻井ジャーナル
シリアに駐留しているロシア軍の防空部隊が臨戦態勢に入ったと伝えられている。アメリカ海軍は駆逐艦のドナルド・クックをシリア沖へ移動させた。ロシア海軍の基地があるタルトゥースから約100キロメートルの地点に到達、さらに駆逐艦ポーターも同じ海域へ配備されると言われている。ロシア軍機が米駆逐艦の近くを警告のために飛行しているともいう。イスラエル軍はアメリカに対し、シリアを直接攻撃するように要求してきたが、それに応じた形になった。
ドナルド・クックは2014年4月に黒海でロシアを挑発したことで有名。ロシアの国境近くを航行して挑発したのだが、ロシア軍は非武装のSu-24を派遣して艦船の近くを12回にわたって飛行させている。
その直後にこの駆逐艦はルーマニアの港へ急遽入り、その後、ロシアの国境にアメリカの艦船は近づかなくなった。ロシアでの報道によると、Su-24は「キビニECMシステム」を搭載、艦船が搭載していたイージス・システムを麻痺させたという。
ポーターは2017年4月にシリアのシャイラット空軍基地を攻撃した駆逐艦2隻のうちの1隻。ロスとともに59機の巡航ミサイル(トマホーク)を発射、そのうち23発が目標に到達したが、5発は地上に落下し、残りは地中海へ落ちたのではないかとみられている。この攻撃の口実も「化学兵器の使用」だったが、根拠のない話だった。2003年3月にイラクを攻撃した際の「大量破壊兵器」と同じように嘘だった可能性がきわめて高い。
現在、アメリカ海軍が駆逐艦を送り込んだ近くにはロシア軍の基地がある。ひとつはタルトゥースの海軍施設であり、もうひとつはフメイミム空軍基地だ。今年(2018年)1月、両基地を13機の武装UAV(無人機)が接近、そのうち7機はロシア軍の短距離防空システムのパーンツィリ-S1で撃墜され、残りの6機は電子戦兵器で無力化されたと伝えられている。
そのUAVは100キロメートルほど離れた場所から飛び立ち、GPSと気圧計を利用して事前にプログラムされた攻撃目標までのコースを自力で飛行、ジャミングされないような仕組みになっていた。防空システムを調べるための飛行だった可能性がある。その際、フメイミムとタルトゥースの中間地点をアメリカの哨戒機P-8Aポセイドンが飛行していた。その翌月にはロシア軍のSu-25が侵略勢力がジハード傭兵部隊へ提供されたMANPADS(携帯型防空システム)で撃墜されている。
こうした中、ジハード傭兵部隊の支配地域は急速に収縮、すでに壊滅寸前だ。新たな手先としてクルドを使い始めたが、NATO加盟国であるトルコの部隊が軍事侵攻したことで侵略勢力、つまりアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビの思惑は外れた。
そうした状況の中、アメリカのドナルド・トランプ大統領は今年3月29日にアメリカ軍をシリアから撤退させると演説で口にし、政府内でも同じ指示を出していると伝えられているのだが、すぐに有力メディアだけでなく政権内からも反対の声が上がった。石油支配の野望を放棄することはできないということが理由のひとつ。そうしたひとりが米中央軍のジョセフ・ボーテル司令官。特殊部隊系の軍人だ。
アメリカなどが始めたシリア侵略作戦からトルコが2016年6月に離脱、それを受けて7月にトルコで武装蜂起があった。トルコ政府はこの蜂起の首謀者はフェトフッラー・ギュレンだと主張したが、この人物はアメリカでCIAの保護下にある。つまりアメリカ支配層の手先。また、蜂起の背後にはジョセフ・ボーテルやジョン・キャンベルISAF司令官がいたとしている。
このボーテル中央軍司令官は2016年12月、大統領選挙で勝利したトランプに対してシリアの反政府軍、つまりアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を支援し続けるように求めた。DIA局長を経験しているマイケル・フリン中将やマーティン・デンプシー前統合参謀本部議長とは逆の考え方だ。シリアからアメリカ軍を撤退させるということは侵略勢力の敗北を意味し、その現地における責任者であるボーテルの責任が問われることにもなる。彼らの選択肢はふたつ。ロシアを屈服させ、シリアやイランの現体制を破壊して中東全域の利権を手に入れるか、ロシアとの全面戦争だ。同床異夢ではあるが、この点では一致している。
言うまでもなく、アメリカ側が宣伝する化学兵器話は戯言。これは本ブログでも再三再四、指摘してきた。露骨な嘘だが、これは軍事的な緊張を高めるための口実で、他人が信じようと信じまいと関係ない。事実に基づく議論も大事だが、そうしたことにアメリカの支配層が興味を持っていないことを忘れてはならない。
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