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北朝鮮への圧力の先に「東京被爆」の可能性 その被害規模は…
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171024-00000004-sasahi-soci
AERA 2017年10月30日号
水爆とみられる装置を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(右から2人目)。3日付の労働新聞(電子版)が1面に掲載した=朝鮮中央通信HPから
北朝鮮の水爆が東京に落ちたら(AERA 2017年10月30日号)
トランプ米大統領と安倍晋三首相は外交と対話を排し、圧力強化一本槍で一致する。相手が屈しなければ戦争となり、多くの人命が失われる公算が大だ。
今回の総選挙で自民党は「北朝鮮への国際社会による圧力強化を主導。核・ミサイル計画の放棄を目指す」ことを公約に掲げた。安倍晋三首相は9月18日付の米ニューヨーク・タイムズへの寄稿で「外交を優先し、対話の重要性を強調するのは北朝鮮に対し効果がない」と述べ、同月20日の国連演説で、「必要なのは対話ではなく圧力だ」と強調した。安倍氏は「対話なき制裁」を進めるトランプ米大統領と「完全に一致した」ことを誇ったが、経済制裁の効果は疑わしい。
「北朝鮮は核・ミサイル開発に巨額の予算をつぎ込んでいる」
との印象があるから、その資金源を断つ経済制裁に効果があるように思われがちだが、実はその経費は意外に少ない。
河野太郎外相は8月30日の衆議院安全保障委員会で「韓国外交部との意見交換によれば、昨年実施した2度の核実験と二十数発のミサイル発射で少なくとも200億円」と述べた。
トランプ氏と安倍氏は経済制裁で北朝鮮民衆が窮乏し、政権を揺るがすことも狙っているか、と考えられる。だが、これまで多くの国に国連や地域機構、米国独自などの経済制裁が科されてきたが、民衆が「生活が苦しいのは政府のせいだ」と蜂起した例はない。むしろ「外国が我々をいじめている」と反発して団結しがちだ。
北朝鮮では多数の餓死者が出ているイメージもあるが、それは約20年も昔の話だ。農村の各戸に土地を割り当てて生産意欲を高め、約400の公認市場を設ける中国式の方法を採用し、食糧事情は相当好転したようだ。
経済制裁に効果がなく、北朝鮮のミサイル開発が続いて米本土を確実に狙えるようになれば、トランプ大統領の面目は丸つぶれだ。そうなれば軍事的圧力を強める選択肢に手が出そうだ。北朝鮮の領海、領空近くでの威嚇や偵察活動が激化すれば相手も過敏になり、武力衝突の可能性は高くなる。
米軍首脳部は「朝鮮戦争の再開は韓国、日本にも大損害を及ぼす」とみて慎重だが、もし北朝鮮が対空ミサイルなど、初弾を発射すれば、トランプ氏は「戦争を始めた」責任は免れる。航空攻撃や巡航ミサイル「トマホーク」、韓国の弾道ミサイル「玄武2型」などで北朝鮮の弾道ミサイル数百発を一挙に潰せればよいが、移動式発射機に載って、中国国境に近い山間部の無数のトンネルに隠れているミサイルの精密な位置をリアルタイムでつかむのは容易ではない。
一部の弾道ミサイルを破壊できても、滅亡が迫り自暴自棄になった相手は急いで残りのミサイルを発射するだろう。日本のイージス艦はミサイル迎撃用ミサイルを各艦8発しか搭載しておらず、不発、故障もあるから1目標に2発を撃つのが一般的で、4目標にしか対処できない。短射程の迎撃ミサイル「PAC3」も同様だから、核弾頭と通常弾頭の弾道ミサイルをまぜ多数発射されると突破される。
北朝鮮が9月3日に実験した水爆の威力を防衛省は160キロトンと推定しており、広島型の15キロトンの10.6倍だ。爆発力は水平方向と上に向かうから、効果(被害)半径は3乗根に比例し、広島型の2.2倍になる。広島型だと初期放射線で爆心地から約1.5キロ以内の人が死亡、爆風で約2キロ以内で建物が崩壊、大部分の人が死傷する。熱効果は3キロで第2度の火傷(やけど・皮膚の30%以上が火傷すれば、すぐ治療しないと致命的だ)を負わせる。
160キロトン水爆だと、爆心地から約4.4キロ以内では初期放射線、爆風、熱の相乗効果でほとんどの人は死傷するだろう。熱効果は6.6キロ以内で火傷を負わせる計算になる。
爆心地が国会議事堂と仮定すれば、熱効果が及ぶのは北は巣鴨、南は大崎、東は錦糸町、西は中野あたりとなる。その面積は137平方キロ、東京23区の人口密度は平均1.5万人だから、約205万人が住んでいる。都心部の昼間人口は千代田区では居住者の17.4倍。中央区で4.9倍、港区で4.3倍だから、ウィークデーの昼間なら爆心地から4.4キロ圏内に400万人はいるだろう。
日本の政治、行政、経済、情報などの中枢が壊滅すれば救援活動もできず、悲惨な状況になる。仮首都や臨時政府を誰がどうして決めるのかも難問だ。
米国では「北朝鮮の核・ミサイル開発を凍結させ、国交を樹立するほうが現実的」との論が出る。ティラーソン米国務長官は対話の糸口を探り、海兵隊大将(退役)のマティス米国防長官も外交の重要性を説く。米国にとっては本国に届くICBMの実戦配備さえ防げば一応成功だが、「凍結」は日本を射程に入れる核ミサイルの保有を黙認することを意味し、国交樹立は北朝鮮の現政権の存続を認めることになる。北朝鮮は勝者となり、日本がかつて韓国に行った経済協力と同等以上の支払いを求めることも考えられる。
日本にとって実に苦しい情勢になるが、核戦争になればそれ以上に害が大きい。経済制裁が効かなくてもトランプ氏が武力行使に向かわないよう、米国内の慎重派や、同じ被害を受けそうな韓国、対話を勧める中国、ロシア、欧州諸国と連携する外交能力が「日本人の命を守る」ために必要だ。(軍事評論家・田岡俊次)
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