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米軍が露軍を軍事的に圧倒していると信じて立てた古い世界制覇プランに固執するネオコンの狂気
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201709270000/
2017.09.28 櫻井ジャーナル
アメリカが掲げる「テロとの戦争」は「テロリストを使った侵略戦争」を意味している。最初から「知る人ぞ知る」話だったが、リビアでムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した際にアメリカ/NATOとアル・カイダ系武装集団との連携が明確になり、2014年には「ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)」というタグをつけた集団を売り出したが、これもアメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする勢力の傭兵に過ぎないことが明らかにされてきた。最近では、アメリカの特殊部隊に守られる形でクルド系武装集団がダーイッシュの支配地を通過している衛星写真をロシア国防省が公表している。この段階になってもアメリカがダーイッシュやアル・カイダ系武装集団のタグをつけた集団と戦っていると主張する神経は相当図太い。
クルド系の部隊がダーイッシュの支配地を抜けて向かった先にはデリゾールがあり、ユーフラテス川をシリア政府軍が渡るのを阻止しようとしている。デリゾールの東南、ユーフラテス川沿いには油田が広がり、そこをクルドも政府も押さえようとしている。
そのデリゾールでロシア軍事顧問団の幹部、バレリー・アサポフ中将が戦死した。アル・カイダ系武装集団やダーイッシュはこれまでできなかったような作戦を成功させたのだが、その背後にはアメリカの特殊部隊が存在、情報が伝えられていたと推測する人は少なくない。これまでロシア軍はアメリカ軍との直接的な衝突を避けるため情報を伝えてきたが、それが漏れている可能性は小さくない。
その直前、ハマの北東部ではアメリカを後ろ盾とする武装勢力がシリア政府軍とロシアの憲兵隊を攻撃して包囲するということがあった。これはロシアの空軍と特殊部隊が救援に向かい、アメリカ側の戦闘員850名が死亡、多くの戦闘車両が破壊されている。当初の作戦が成功したならば、ロシア軍の兵士を処刑しながら交渉するつもりだったとも言われている。この作戦もアメリカの特殊部隊が立てた疑いがある。
現在、アメリカ中央軍を指揮しているジョセフ・ボーテルは特殊部隊の出身で、イランを軍事的な手段で不安定化させるべきだと主張している。2016年7月にトルコでクーデター未遂があったが、その際、ボーテルはジョン・キャンベルISAF司令官と共に黒幕だと指摘されていた。
アメリカの好戦派にはさまざまな勢力が含まれているが、中長期の戦略を立てているのはシオニストのネオコン。1991年12月にソ連が消滅するとアメリカが唯一の超大国になったと考えて世界制覇プランを国防総省のDPG草案という形で作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。
1990年代のロシアは西側の傀儡であるボリス・エリツィンが大統領を務め、腐敗したクレムリンの住人と手を組んだ一部の人間が国の資産を略奪、庶民は貧困化し、ロシアは疲弊した。21世紀に入り、そうした状況を変えたのがウラジミル・プーチンを中心とするグループで、国力を急速に回復させていく。
その動きにアメリカ支配層はついていけなかったようで、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)の2006年に3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文には、アメリカ軍の先制第1撃によってロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いと主張している。
その論文が出た翌年にアメリカ軍はアフリカ大陸を担当する統合軍AFRICOMを創設、核弾頭W80-1を搭載した6基の巡航ミサイルAGM-129が「ミス」でB-52H爆撃機へ積み込まれ、ノース・ダコタ州のミノ空軍基地からルイジアナ州のバークスデール空軍基地へ運ばれるという事件も引き起こされている。軍の実態を知っている人は、これをミスだと考えない人もいる。
2008年7月10日にはアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージア(グルジア)を訪問、8月7日にミヘイル・サーカシビリ大統領は分離独立派に対して対話を訴え、その8時間後の深夜に南オセチアを奇襲攻撃した。2001年以降、イスラエルの軍事会社がジョージア(グルジア)へ無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを含む武器/兵器を提供、軍事訓練も行っている。この間、イスラエルは南オセチアへの軍事侵攻を準備していたとも言えるだろう。
イスラエルがサーカシビリ政権へ食い込んでいたことは当時の閣僚を見てもわかる。流暢にヘブライ語を話せる閣僚がふたりいたのだ。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当していた再統一担当大臣のテムル・ヤコバシビリだ。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンを見ても推測できるように、ネオコンはキール・リーバーやダリル・プレスのように考えていた可能性が高い。ジョージア侵攻作戦はイスラエルの作戦であり、ロシア軍に完敗したショックは大きかっただろう。強い相手にはゲリラ戦。ゲリラ部隊としてアル・カイダ系武装集団が活発に動き始めるのはこの後だ。
こうした戦術の変更はあっても、ネオコンは世界制覇を諦めず、ロシアや中国を核戦争で脅している。狂気を演じているつもりだろうが、演技ではなくなっている。
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