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トランプ増派決定も、米軍がアフガンに勝てない理由(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/832.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 8 月 28 日 11:38:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


トランプ増派決定も、米軍がアフガンに勝てない理由
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10452
2017年8月28日 佐々木伸 (星槎大学客員教授) WEDGE Infinity


 トランプ大統領はこのほど、アフガニスタン政策の新戦略を発表した。その柱は約4000人の米軍の追加派遣だが、この程度の増派ではイスラム原理主義組織タリバンを圧倒することは不可能だ。紛争の背後ではイランやパキスタンなど周辺諸国が蠢いており、アフガン情勢は一段と混迷の様相を深めている。

■焼け石に水

 トランプ氏は8月21日の戦略発表で「拙速な米軍撤退は過激派がつけ込む力の空白を生み出す」として、持論の早期撤退方針を転換した。アフガニスタンには平和維持のため、北大西洋条約機構(NATO)軍の主力部隊として最盛期には10万人の米軍が駐留していたが、オバマ前政権が撤収を進め、現在は8400人の駐留にとどまっている。

 しかし、政府軍との戦闘を続けるタリバンの勢力と支配地拡大は続き、ニコルソン駐留軍司令官から増派が要求されていた。国防総省やホワイトハウスのマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題)は米軍の追加派遣を進言してきたが、トランプ氏は7月の会議でも「なぜ勝てないのか」などとかんしゃくを爆発させていた。

 このアフガンへの増派問題は一方で、ホワイトハウス内部の深刻な対立を引き起こしてきた。「米第一主義」を掲げる強硬派のバノン首席戦略官とマクマスター補佐官らが衝突を繰り返し、トランプ氏も決断を先送りにしてきた。しかし、バノン氏が大統領の信頼を失って解任され、ケリー首席補佐官(元大将)の後押しもあって新戦略の発表となった。

 だが、トランプ氏は増派の規模や撤退の具体的な時期を示さなかった。これについて、米メディアは一斉に4000人弱と伝えているが、4000人規模の増派では「焼け石に水」(アナリスト)だろう。米国の選択肢としては、大規模増派や完全撤退もあり得たが、大規模な派遣はトランプ氏の考えに合わず、また国内世論や財政上から無理だ。
 
 完全撤退も「すぐにタリバンや過激派組織イスラム国(IS)がその空白を埋める」(同)ことが確実視され、米国益に反する。このため、現実的な選択肢としては「タリバンを圧倒し、勝利する」のではなく、タリバンの勢力や影響力がこれ以上拡大することを食い止めるというオプションだった。

 しかし問題は、タリバン側には戦いの時間が永遠にあり、米軍にはない、ということだ。米国はこれまで1100億ドルもアフガンにカネをつぎ込んできたが、このままではかつてアフガンに侵攻した旧ソ連と同様、泥沼にはまり込む懸念が強い。アフガンの内戦が解決できない理由は@イスラム過激主義の伸張A多民族の対立B腐敗まみれの弱体政府など、いくつもある。

 特に最近のNGOの報告によると、アフガンの「汚職指数」は176カ国中169番目。後ろには北朝鮮、イエメン、南スーダンなどしかいない。軍からは毎月約4000人が脱走するほど国家への忠誠心がない。一方のタリバンはこの15年で4万人以上殺害されたが、2005年当時に最大1万人だった勢力は現在、6万人を超えている。支配地域も34州のうちその半分にまで及んでいると見られている。

■同盟国パキスタンを非難

 しかし、アフガンの紛争はアフガンだけでは解決できない。特に近隣諸国の協力は不可欠だが、逆に紛争を助長し、裏で過激派を支援している国もある。トランプ氏が新戦略の発表の際、パキスタンを「混乱と暴力、恐怖の温床」とかつてないほど強く非難したのはそのためだ。

 核保有国パキスタンは自国の過激派パキスタン・タリバンを厳しく弾圧しているものの、アフガンのタリバンについては設立当初から密かに支援を続けてきた。表ではテロを非難しながら、裏では情報機関ISIがタリバンや、最凶のハッカニ・グループに聖域を与えてきたのは公然とした秘密だ。特にパキスタンの西部クエッタにはタリバンの事実上の本部があるほどだ。

 パキスタンのこの二重政策はアフガンに敵対政権を作らせないためであり、カシミール紛争などを抱える宿敵のインドに対するカードとするためだ。米国は冷戦時代、ソ連軍のアフガン侵攻と戦うイスラム戦士を援助するルートとしてパキスタンを使い、その見返りに軍事援助を拡大した。

 だが、米国がパキスタン・アボタバードに潜伏していたアルカイダの指導者オサマ・ビンラディンを越境暗殺して以来、関係がギクシャクし、米国は過激派支援をやめなければ、援助を削減するとパキスタンに圧力を掛けてきた。トランプ氏は今回、パキスタンが最も嫌う「インドとの連携強化」をあえて発表に盛り込んだのはさらに圧力を加えるためだ。

 ただし、パキスタンはトランプ氏の発言を「米国の失敗をパキスタンに転化するもの」と反発しており、結果としてロシアや中国との関係強化に追い込む恐れもある。実際、中国のパキスタン援助は増加しており、2017年の対パキスタン投資はすでに620億ドルにも上っている。

■“リトル・イラン”

 もう1国、タリバンへの援助を水面下で強化しているのがアフガン西隣のイランだ。イランとタリバンは元々、シーア派とスンニ派という宗教的な対立もあって敵対していた。特に1998年、イランの外交官ら11人がタリバンに殺害される事件があり、両者の関係は極度に悪化した。

 しかし、イランは米国によるタリバン政権打倒、その後のNATO軍のアフガン駐留の頃からタリバン支援に方針転換した。米紙などによると、イランは米軍を追い出して、アフガンに親イラン政権を樹立することを目標にしており、タリバンに武器や資金を供与し、戦闘員に軍事訓練を施して戦場に送り出している、という。

 この他、イランは多数の秘密情報員、暗殺部隊などもアフガニスタンに送っている。アフガン西部のヘラートは“リトル・イラン”と呼ばれており、イランの大学やペルシャ語の本屋などもある。とりわけイランはロシアとともに、シリアでアサド政権を援助して勝利を収めたことに自信を深め、アフガンでも2匹目のドジョウを狙っている。
 
 イランとタリバンとのつながりが鮮明になったのは、2016年5月にパキスタン南部で発生した米無人機によるタリバン指導者マンスール師の殺害事件だった。この時、マンスール師はイラン訪問から帰ってきたところで、米紙によると、同師はイランで、イラン、ロシア両当局者と会談し、武器、資金援助について協議したのではないかとされる。

 この対アフガン秘密作戦は、穏健派のロウハニ大統領には詳しく知らされておらず、対外作戦の責任者ソレイマニ将軍ら革命防衛隊の幹部がハメネイ師からの直接的な承認を得て、行っていると見られている。トランプ政権は今後、こうしたパキスタンやイランの関与にも対応していかなければならず、アフガン戦略成功の見通しは一層、困難なものになっている。


 

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コメント
 
1. 2017年8月28日 16:21:47 : STiVZic24k : fqaLpIaZjQI[5]
15年もかかってまだ勝てないのだから勝てるわけがない。米軍ができるのは破壊だけ。それはイラクも同じ。

2. 2017年8月29日 20:05:18 : 2FbCg9vijk : ylRMDBXhDG8[465]
膠着に わざと導き 食い繋ぎ

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