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米朝衝突のXデーとして浮上する「9月9日」の深刻度 核実験リスクと、トランプが漏らした本音
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52551
2017.08.14 週刊現代 :現代ビジネス
「独裁者」二人のケンカは、誰にも止められない。一刻も早く北朝鮮を空爆したいトランプ大統領と、ますます過激に対抗する金正恩委員長。Xデーは迫る。安倍改造内閣は、いきなり待ったなしだ。
■「もう習近平には頼らない」
内閣改造を3日後に控えた7月31日、午前8時5分から57分まで、52分間にわたって、安倍晋三首相は首相官邸で、トランプ大統領と電話会談を行った。
その内容は、「北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験は断じて容認できないとすることで日米両首脳が一致した」といった程度にしか報じられていない。
だが、二人の間では、極めて重大な内容が話し合われていた。日本にとっても深刻な事態であるため、以下、初めてその内容を明かす―。
トランプ 先週末の北朝鮮による2度目のICBM発射実験によって、まもなく北朝鮮で、核弾頭を搭載したICBMが実戦配備されるだろう。
もはや北朝鮮の脅威は、アメリカにとって、直接の脅威となった。
安倍 それは日本としても同様だ。先週末のミサイルは、日本海のわが国のEEZ(排他的経済水域)に着弾した。日本としても、断じて容認できないものだ。
トランプ 安倍首相の気持ちは理解できる。アメリカと日本は、強固な同盟国であり、アメリカの日本防衛に対するコミットメント(責任の履行)は、揺るぎないものだ。
安倍 トランプ大統領の心強い言葉に感謝する。
トランプ 北朝鮮は、「アメリカのクリスマスを火の海にしてやる」と威嚇していたが、いよいよその威嚇が、本物の脅威になったのだ。
これまでも安倍首相に言ってきたように、私のデスクには、北朝鮮に対するいくつものオプションが提示されている。経済制裁、直接交渉、軍事攻撃、政権転覆……。
その中で、これまでは経済制裁を中心にして、中国に影響力の行使を依頼してきた。だが習近平は、なかなか私を満足させる圧力をかけてくれない。
安倍 習近平主席には、私もハンブルクG20での日中首脳会談(7月8日)で、北朝鮮にもっと圧力をかけるよう促した。だが、対話と地域の安定が大事だと言って、聞いてもらえなかった。
トランプ そうだろう。私は、もはや当てにならない中国を頼るのを諦めて、自分で手を下そうと思う。
すなわち、4月にシリアを叩いたように、北朝鮮を一発叩いてやろうと考えている。
安倍 それは具体的なスケジュールがあるのか?
トランプ 奴らの建国記念日は、9月9日なんだろう? 幹部が首を揃えて、記念式典をやるそうじゃないか。その現場を叩くのが、一番手っ取り早い。金正恩がその場にいようがいまいが、関係ない。奴らに思い知らせてやるのだ。
安倍 …………。
■金正恩は核実験をやる
トランプ これまで20年で15億ドルもの連邦予算を、北朝鮮に捨ててきたのだ。わが政権は、オバマ政権までのように、わが国の直接の脅威を、のさばらせ続けておくことはしない。言うことを聞かなければ叩くまでだ。
(シリアとイラクの)ISが壊滅状態に陥りつつある現在、次に危険なのは、イランと北朝鮮だ。どちらに先に手を付けるかと言えば、それは北朝鮮だ。
安倍 アメリカがそう考えるのであれば、同じ(アメリカの)同盟国の韓国とも連携を進める必要があるだろう。
トランプ その通りだ。習近平とプーチンには、北朝鮮についてG20で私の考えを話したが、いつでも再び話をする。
北朝鮮を叩く時は、日本も協力してほしい。
安倍 日米安保条約や日本の法律の範囲内で、できることは協力する。
まずは自衛隊とアメリカ軍の共同訓練を強化するなど、日米の防衛体制の能力を向上させようではないか。具体的には、「2+2」(日米安全保障協議委員会)で詰めることにしよう。
また、中国やロシアにも、北朝鮮に対する圧力強化を、日本として引き続き求めていく。国連安全保障理事会でも、制裁強化決議案の実現を図っていこう。
以上である。最も重要なのは、トランプ大統領の口から、初めて「9月9日」という具体的な「Xデー」の候補が示されたことである。
北朝鮮の動向を追い続けるソウル在住ジャーナリストの金敬哲氏が解説する。
「北朝鮮は昨年9月9日の建国記念日に、5度目の核実験を行っています。北朝鮮はこれまで、長距離弾道ミサイルの発射実験を行って2〜3ヵ月以内に、必ず核実験を行っていることから見ても、今年の建国記念日に合わせて6度目の核実験を計画しているものと思われます。
5度目の核実験の際、北朝鮮当局は『弾道ミサイルに装着できるようにした核弾頭の性能を確認した』と発表しています。今回準備している6度目の核実験は、いよいよICBMに搭載する核弾頭の最終実験となることでしょう」
■青くなった安倍首相
この電話を受けて、安倍首相は慌てて対応に追われた。安倍首相に近い人物が明かす。
「総理は当初、内閣改造について違う人選を考えていた。ところがトランプ大統領との電話会談の後、総理は青くなって、トランプ大統領を強く意識した『有事対応内閣』にシフトしたのだ。
例えば、有事の際の厳しい国会追及に対応するため、巧みな国会答弁で知られる小野寺五典元防衛大臣を、再び防衛大臣に起用した。
外務大臣にも、米ジョージタウン大学卒業で、中国と韓国にも「河野談話」でイメージがよい河野太郎元行革担当大臣を抜擢した。
逆に、経産大臣として復活させようとしていた『盟友』の甘利明元経済財政担当大臣は、トランプ大統領が脱退を宣言したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の立て役者のため、急遽入閣リストから外した」
北朝鮮は、昨年の建国記念日の前日(9月8日)に、平壌で建国68年の中央報告大会を開いている。そこには金正恩委員長は出席していないが、朝鮮労働党と朝鮮人民軍の幹部が勢揃いしている。
また同日、180万平壌市民は、万寿台にある金日成・正日親子の巨大な銅像に献花したり、金日成広場でダンスパーティに興じたりしている。
そんな中で、もし本当にアメリカ軍による空爆が行われれば、平壌はパニックに陥るに違いない。そしてそのまま米朝開戦≠ニなるリスクが高まる―。
残念ながら現実は、この悪夢に向かって、着々と進んでいる。
トランプ大統領に近いグラム上院議員(共和党)は、8月1日にNBCテレビの報道番組『トゥデイ』に出演し、最近トランプ大統領が語っていたというセリフを披露した。
「北朝鮮が、このままアメリカを標的とする核弾頭を搭載したICBMの開発計画を続けるのなら、アメリカは北朝鮮との戦争も辞さない。
戦争をやるとしたら、こちらではなく向こう(北朝鮮)でやる。大勢が死ぬことになるだろうが、死ぬのはこちらではなく、向こう側なのだ」
グラム上院議員は、トランプ大統領のこの言葉を紹介した後、次のように警告した。
「トランプ大統領は、(北朝鮮との開戦に)本気だと確信している。中国もそのことを考えて、対策を取ったほうがよいだろう」
■トランプの周りは軍人だらけ
ちなみにトランプ大統領は7月29日、ツイッターで、中国に対して毒づいている。
〈中国にはとても失望している。アメリカの過去の無能な指導者たちが、貿易で中国に大金を稼がせてやったにもかかわらず、中国は北朝鮮に対して口先ばかりで、アメリカのためになることを何もしていない。
われわれはこれ以上、こうした状態が続くのを見過ごすわけにはいかない〉
このように、トランプ大統領のボルテージは、日増しに上がる一方である。
アメリカ国務省関係者が明かす。
「7月21日にスパイサー報道官が、28日にプリーバス大統領首席補佐官が、そして31日にスカラムチ広報部長が、それぞれ辞任し、ホワイトハウスは機能不全に陥っている。
また、ロシアゲートはどんどん大統領弾劾に近づいているし、オバマケアの代替案も議会を通らない。このままでは、10月からの2018年度予算も議会を通らず、政府機能がストップしてしまうかもしれない。
そんな中で、トランプ大統領にとって北朝鮮空爆は、ほとんど唯一と言える、起死回生になりそうな手段なのだ」
それでも、外交を司る国務省は、北朝鮮空爆には反対だという。
「ティラーソン国務長官は、『自分が平壌へ大統領特使として行ってもよいから、大統領の物騒な考えを思いとどまらせる』と言っている。
8月1日の会見でも『われわれはあなた方(北朝鮮)の敵でも脅威でもない』と強調しているし、7日にフィリピンで開かれるARF(ASEAN地域フォーラム)でも同様に述べるつもりでいる。
もしトランプ大統領があくまでも強硬策に出る気なら、その前にティラーソン国務長官も辞任するのは確実だ」(同前)
Photo by GettyImages ティラーソン国務長官
トランプ政権で北朝鮮空爆に反対しているのは、ティラーソン国務長官ばかりではない。マティス国防長官もまた、反対だという。アメリカ軍が平壌を空爆すれば、北朝鮮の反撃は必至で、「ソウルが火の海になる」リスクが高まるからだ。
1994年の第一次北朝鮮核危機の際にアメリカ軍が行った評価見積もりによれば、北朝鮮との最初の3ヵ月の戦闘によって、アメリカ軍の死傷者数は5万2000人となっている。
加えて軍人の家族など、アメリカの民間人も8万〜10万人が死亡するという。アメリカにとって北朝鮮との戦争は、アフガニスタン戦争やイラク戦争の比ではないのである。
だが、マティス国防長官は生粋の軍人なので、トランプ大統領が決断すれば、従うに違いない。陸軍中将出身のマクマスター国家安全保障担当補佐官、海兵隊大将出身の新任のケリー大統領首席補佐官など、いつの間にかトランプ政権は「軍人政権」になりつつある。
このように、隣国にヒタヒタと危機が迫りつつあるが、それは同時に、日本の危機でもある。戦後72年にして、東アジアに恐ろしい事態が起ころうとしている。
「週刊現代」2017年8月19日・26日合併号より
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