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北朝鮮、米国、いかれたアウトローがもたらす惨劇 核戦争は起き得る 日本領海に撃込 グアムへミサイル攻撃 北朝鮮は炎と怒り
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/707.html
投稿者 酢 日時 2017 年 8 月 09 日 11:39:47: JVuupfBNpkXsE kHw
 

北朝鮮、米国、いかれたアウトローがもたらす惨劇
映画と旅する歴史の舞台〜米国篇(12) ワイルドウェストの法と秩序
2017.8.9(水) 竹野 敏貴

フィリピンの首都マニラで行った三者会談で写真撮影に臨む、(左から)米国のレックス・ティラーソン国務長官、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と河野太郎外相(2017年8月7日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News〕
 北朝鮮が、また、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した。日本の排他的経済水域に落下、その到達高度から射程は1万キロに達し、米国本土、シカゴなど中西部にまで達するとの分析もある。
 核弾頭搭載も視野に入ってきたと言われるだけに、その脅威は新たなるステージに入ったと言えるだろう。8月5日、国連安全保障理事会では、これまでで最も厳しい経済制裁決議が採択された。
東西冷戦中、人々を震え上がらせた核の危機
 米国中西部、ミズーリ州カンザスシティ。
 緊張高まる東西冷戦情勢のニュースを伝えるテレビ。軍人、医師、農場、学生、それぞれの日常にも不安がのぞく。
 「どっちも先に核を使いたくないはずだ」
 「問題なのは、どこに落とすかってこと」
 「こんな何もない田舎では、何も起こりはしないさ」
 「何もない? 近くには空軍基地があって、ミサイルサイロもある。立派な標的さ」
 1983年、米国での放映時、1億人が見たというテレビ映画『ザ・デイ・アフター』は、日本でも放映され、翌年には劇場公開もされた。そんな「米国が初めて「ヒロシマ」を体験した」と謳う衝撃作ののどかな田舎の様子は急変する。
 シェルターへの避難命令。必需品を買い込もうとパニック状態のスーパー。欧州で核兵器が使われたとの報道。飛び立つミサイル。不安げに空を見上げる市民たち。「30分でソ連に到達する」「ソ連のもだ」との声。
 そして鳴り響くサイレン、逃げ惑う人々、閃光、轟音、キノコ雲・・・。
 戦いなど無縁と考えていた市民の日常がいきなり遮断される。どちらが先に発射したかも分からない。どっちみち結果は同じだが・・・。
 いまや、安全な場所など、世界中どこにもない。戦地とは違い、戦いの日常感がないだけに余計怖い。
 始まる「The day after」の苛酷な現実。実際の「ヒロシマ」を知る日本人としては描写に少々不満は残るが・・・。
 2つの世界大戦でも戦場とならず無傷だった米国本土。しかし、この映画の舞台の1つとなりロケの多くも行われたカンザス州ローレンスには、米国史上、指折りの残虐さで知られる「ローレンスの虐殺」という過去がある。
 南軍ゲリラ部隊の男たちが、血に飢えたように、街を襲う。家は破壊され、焼かれ、略奪、暴行、そして死体の山。その多くは一般市民。部隊の一員ながら、暴虐の限りを尽くす仲間の行為を眺めるしかない青年ジェイク・・・。
 開戦して2年、東部戦線ペンシルベニア州ゲティスバーグ、西部戦線ミシシッピ州ビックスバーグ、それぞれの天王山に敗れ、劣勢続く南軍。そのゲリラ部隊が、1863年8月21日、北軍支持の強かった町ローレンスを襲撃した。
 『楽園をください』(1999)は、そんな地獄に引きずり込まれていく若者の戦う理由を、冒頭、字幕で伝える。
隣人との戦いでもあった南北戦争
 ミズーリの西の州境では、南北戦争は軍隊同志ではなく、隣人との戦いだった。非正規南軍ゲリラ「Bushwhackers」が、血なまぐさく絶望的なゲリラ戦を、北軍や北軍派「Jayhawkers」と戦っていたのである。
 どちらについても危険だったが、中立でい続けることがより危険だった・・・。
 南北境界エリアにあった奴隷州ミズーリは、戦争勃発後も連邦に残留した。しかし、その決定をめぐり州民感情が分裂、南部連合に合流する勢力もあり、住民は南北に分かれ戦った。
 そして、ローレンスは奴隷制廃止運動支持の強固な地盤。Jayhawkersの拠点でもあり、ミズーリ州西部の奴隷制擁護派地域に侵入、攻撃することで知られていたのである。
 ドイツ系移民のジェイクは、父から、北軍のドイツ人グループに身を寄せるよう進言された。
 しかし、ローレンスからやって来た「Jayhawkers」に父親を殺された裕福な農園主の息子、友人であるジャック・ブルとともに、「Bushwhackers」の一員としてゲリラ戦を戦うことになる。
 非正規軍で戦う主人公たちにとって、南北戦争は、大義のための戦いではなく、故郷を、家族を、友を、守る戦いだったのである。
 1970年代下火となっていたハリウッド製西部劇の数少ない傑作、クリント・イーストウッド監督主演の『アウトロー』(1976)の主人公ジョージーはミズーリの農民。ジェイク同様に南軍ゲリラとなった男の戦う理由は、復讐だった。
 カンザスの北軍ゲリラ「Redlegs」に襲われ、妻子を虐殺され家も焼かれたジョージーは、南軍ゲリラとして戦い、復讐の機会を窺っていた。しかし、目的を果たせぬまま終戦。
 連邦への忠誠を誓えば無罪放免、との話に北軍キャンプに出向いた仲間たちが虐殺され、ジョージーは命は落とさなかったものの、5000ドルの賞金を懸けられた「アウトロー」として、至る所で命を狙われることになる・・・。
 戦争が終わり、分裂国家の再生が進められる混乱の世を、アウトローたちは闊歩した。「法と秩序」より拳銃がモノ言う「ワイルドウェスト」で、アウトロー集団「ジェイムズ・ヤンガー・ギャング」は、銀行や列車を荒らし回る。
 その追跡を請け負ったのがピンカートン探偵社。5000ドルの賞金をかけ追うものの、血縁、地縁などの壁に阻まれ、なかなか捕まえることができない。
 しかし、1876年、ミネソタでの銀行強盗が失敗に終わり、ジェイムズ兄弟は何とか逃亡したが、負傷したヤンガー兄弟たちは逮捕され・・・。
血のつながりこそ信頼の証
 ジェシーとフランクのジェイムズ兄弟、コール、ジム、ジョン、ボブのヤンガー兄弟、エドとクレルのミラー兄弟、チャーリーとロバートのフォード兄弟・・・ライ・クーダーの音楽も魅力の実話をベースとした『ロング・ライダーズ』(1980)に登場するアウトローたちの多くが兄弟。
 不信の時代に、血のつながりこそが信頼の証しだった。そして、その中心的存在であるジェイムズ兄弟やコール・ヤンガーなども、戦時、Bushwhackersとして戦っていた(コールは最後正規軍入隊)。
 ピンカートン探偵社は、南北戦争中は北軍のスパイともなり、銀行、駅馬車、列車の警備から、犯罪者の捜索、銃撃戦まで、傭兵のような働きもした。
 連邦法を侵す罪人を追う政府の仕事の下請けとして西部ではアウトローたちの追跡に関わる一方、東部の資本家からの委託業務もこなしていた。
 1876年.ペンシルベニアの炭鉱。
 劣悪な環境での重労働に従事する煤だらけの炭鉱夫たち。作業が終わり、数人が、爆薬を仕かけ、坑道を爆破する。
 そんな炭鉱町に1人やって来たアイルランド系の男ジェイムズは、いきなり酒場で暴力沙汰を起こし収監、やって来たウェールズ人警察署長に語りかけられる。
 「喧嘩とはうまくやったな。強い奴は尊敬されるからな。ここには『モリー・マグワイア(Molly Maguires)』という全国的暴力組織がある。なんとか現行犯で捕まえたい。別の炭鉱では密偵が2人殺され1人が行方不明となっているが、今度は君の番だ」
 苦々しい表情でジェイムズが答える。「志願したのは、この国で芽を出したいからだ」。
 炭鉱夫として働くジェイムズは、「経費」を引かれ、ほとんど手取りのない給与という現実にも接した。モリー・マグワイア構成員は「よそ者」に探りを入れてくる。しかし、やがて、そのリーダーも心を許し・・・。
 マーク・トウェインの著作名から「金ぴか時代、金メッキ時代(Gilded age)」とも呼ばれる南北戦争後から1890年台初めまでの時期、資本主義は急速に浸透した。
 そして、「金ぴか」たる成金層が生まれる一方で、鉄道、鉱山といった巨大資本のもと働く労働者の処遇は極めて劣悪。当然のごとく、ストライキなど労働争議が頻発するようになった。
秘密結社モリー・マグワイア
 そんななか、実在した秘密結社モリー・マグワイアによる活動が、「労働スパイ」によって明るみとなり、「法と秩序」のもと「裁かれて」いく様を『男の闘い』(1970)は描く。
 ピンカートン探偵社は、そこでジェイムズのようなスパイ業務をも請け負った。そして、警察や連邦軍が労働者に発砲し多数の犠牲者を出した1877年の鉄道ストなどでも、スト崩し、潜入捜査など、体制側の駒として「大活躍」したのである。
 その手法は、ジェイムズ・ヤンガー・ギャング追跡劇で問題となった。ジェイムズ兄弟の実家に爆弾を投げ入れ、15歳の少年を死亡させたことが人々の非難を浴びるさまが『ロング・ライダーズ』にもある。
 そうしたことも手伝い、「悲劇のヒーロー」として同情を買うことになったジェイムズ兄弟は、銀行、鉄道など「金持ちから盗む西部のロビンフッド」「義賊」だと「Heroic Outlaw」としてメディアはもてはやした。
 そして、大衆小説本「Dime Novel」の主人公ともなり、さらにその名を知られることになるのである。
 一方、そんな「アウトロー」と対峙、法と秩序を守る「法の番人」一番の有名人がワイアット・アープ。そして、拳銃による法と秩序の維持、フロンティアでの最も知られた銃撃戦が、1881年10月26日の「OK牧場の決闘」である。
 カンザス州ダッジシティで勇名をはせた名保安官ワイアット・アープがブームタウン(俄か景気に湧く街)アリゾナ州トゥームストーン(Tombstone)へとやって来る。
 町は、駅馬車襲撃、牛泥棒、人殺しなど犯罪を重ねるクラントン一家など「カウボーイズ」と呼ばれる一派に牛耳られている。
 「法と秩序」を守るため、非道な「アウトロー」に裁きを下そうと、アープ兄弟とその友人で肺を病むドク・ホリデイが、「OK牧場」での決闘に臨む・・・。
 ジョン・フォード監督の『荒野の決闘』(1946)では叙情的に、ジョン・スタージェス監督の『OK牧場の決斗(原題 Gunfight at the O.K. Corral)』(1957)では男臭い任侠劇として描かれた「墓石」という名の町での銃撃戦は、ざっとこんなイメージ。
 しかし、現実の銃撃戦は「O.K. Corral」ではなくその近くの道で行われた。「OK牧場」は「OK Corral」の訳だが、そもそも「Corral」とは牧場ほど大規模ではなく「柵、囲い」といった程度のもの。邦題からイメージされる銃撃戦とはかなり違う。
人間的なワイアット・アープ像
 そんな勧善懲悪の英雄伝説とは違う人間的なワイアット・アープ像が、ケヴィン・コスナーが演じた『ワイアット・アープ』(1994)。
 駅馬車、鉄道建設現場、バファロー狩り、鉱山、ギャンブルなど、保安官以外にも多種多様な西部開拓時代を象徴する仕事に関わって来たワイアットが、商売での成功を夢見、鉱山や酒場などに投資しようと、銀山人気で急速に発展し始めたばかりのトゥームストーンにやって来る姿が描かれている。
 「OK牧場の決闘」後、アープ兄弟たちは殺人容疑で起訴された。結局無罪にはなったものの、次々と襲われ、1人は死に、1人は片腕を失う重傷を負った。
 ワイアットは「容疑者」を追う旅に出た。ここでも兄弟の血は一番だったのである。そして、殺害。逮捕状が出され、「保安官でありながら、お尋ね者だ」との台詞が映画にはある。
 このワイアットの旅は、「Wyatt Vendetta ride」(Vendettaは「血の復讐」の意)と呼ばれ、『OK牧場の決斗』のジョン・スタージェス監督が10年後に撮った後日譚『墓石と決闘』(1967)でも描かれている。
 逮捕状の出ていない「容疑者」をめぐりドク・ホリデイと議論となり、ワイアットは告白する。
 「復讐だった。次はクラントンだ。偽善者でいるつもりはない」
 「すべて偽善さ。保安官や軍人なら殺しが正当化されるなんて。それでも法は法。無視はできないぞ」
 そう言うドクもガンマンでありギャンブラー。とても善人とは言えない。景気が良く、治安の悪いブームタウンでは、腕の立つ賞金稼ぎが保安官になることも少なくなかった。
 「法の番人」とて、善悪の境界線はクリアではない。
 トゥームストーンから南へ50キロほど行くと米墨国境となる。そのやや西方、アリゾナ州オルターバレーの延々と続く国境地帯を、武装した退役軍人フォーリーが、「アリゾナ国境自警団」を率い、パトロールしている。フォーリーは語る。
 「誰も何もしないのには飽き飽きだ。だから自分の手で行うんだ」
 メディアは、「麻薬や暴力の流入、不法入国を防ぐ」ためと言う彼らを、「過激」「Racist」と非難する。「麻薬や暴力の流入」以外にも「仕事への不法移民の流入」という問題が大きいことも、フォーリーの別の発言が示す。
米墨国境の現実
 『カルテル・ランド』(2015)は、メキシコと米墨国境の現実を「カルテル」に立ち向かう「自警団(Vigilante)」という切り口で見せるドキュメンタリーだが、その背景は複雑だ。
 「911コールして助けを呼んでも、ここはツーソンから1時間半のところ。カルテルに襲われても、1時間半じっとしてろ、と言うのかい?」
 フォーリーは訴える。
 「正と誤、善と悪の間には、想像上のラインがある。自分は、悪に立ち向かい、正しいことをしていると信じている」
 「これまで、反乱軍のために、汚い仕事をしてきた。スパイ、破壊工作、暗殺・・・。うしろめたい任務も大義のためと自分に言い聞かせてきた。でなければすべてが無意味となる・・・」
 帝国軍の大量破壊兵器たる「デス・スター」の脅威を訴え、その弱点が分かる設計図奪取のため惑星スカリフ侵攻を求めるジンの申請を反乱軍評議会は却下した。
 失意のジンに、元帝国軍パイロット、ボーディーなどとともに、反乱軍のスパイ、キャシアンは、こう語り協力を申し出た。
 出撃しようとする彼らは、コールサインを求められた。そして名乗ったのが「ローグ・ワン(Rogue one)」。
 捨身の「ローグ・ワン」勇士たちはスカリフへと向かった・・・。
 スター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の主人公ジンは、アウトロー生活を送ってきたうえ、その父は帝国の科学者で「デス・スター」開発者の1人。
 同行するボーディーも元帝国軍パイロット。だから情報を伝えたところで、「犯罪者の証言を信じるのか」と、評議会も疑いの目を向ける。
 「自分勝手な行動をする、面倒を起こす」といった意の形容詞「Rogue」は、名詞として「ならず者」「ごろつき」といった意味ともなる。
 そんな「Rogue」だからこそ、「冷静な判断」や「科学的分析」の名のもと、事態を見切ってしまうのではなく、「不可能」としか思えない被抑圧者たちの苦境脱出の「希望」となる。
窮地に陥ったスパイたち
 これまで数々の不可能ミッションを成し遂げてきたIMF(Impossible Mission Force)のスパイたちも、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2016)では、窮地に陥っている。
 彼らが追ってきた謎の組織「シンジケート」は、IMFの存在意義を保つための想像の産物だと、CIA(米中央情報局)からも行動を疑問視され、活動停止に追い込まれたのである。
 それでも、イーサン・ハントは活動をやめなかった。そして、CIAからも追われる身となりながらも、それが行方不明か死亡したはずの世界各国の諜報部員たちの集まりであることを突き止める。イーサンは、相棒に語る。
 「1つの組織が今の体制を壊そうとしている。手段を選ばず体制を破壊する連中、『Rogue Nation』だ」
 そして、IMFの精鋭が再集結、「Rogue Nation」との戦いが始まる・・・。
 1990年代、米国は、世界の秩序を乱し、協定や国際法を無視する国、自国の利益のため他国を平気で危険にさらす国「Rogue States」(ならず者国家)に、いくつかの国を指定した。
 そして、「テロとの戦い」で、アフガニスタン、イラク、リビアなどの「敵」を撃退するが、その地は歯止めを失い、いま、戦乱状態にある。
 他方、キューバでは「独裁者」が逝き、いま、「Rogue States」と考えられているのは、イラン、スーダン、シリア、そして、北朝鮮・・・。
 「キューバ危機の時と同じ。ケネディがテレビに出たわね」
 「即刻、報復措置を取る、と言ったのを覚えてるよ」
 「でも起きなかった。今度も大丈夫よ」
 「人間はそれほどイカレちゃいない」
 「でもイカレタ人もいるわ・・・」
 戦争勃発寸前のドイツの状況をテレビで見ながら、『ザ・デイ・アフター』の熟年夫婦が語り合う。
 良心ある者は、暴挙に直面したとき、いくらひどい相手でも、まさかそこまでは、と考え、一定の譲歩をする。
アウトローに手を焼く世界
 しかし、結果として、考えをはるかに超えた相手のイカレぶりに愕然とする。悪いことに、そんな相手なら、さらにつけ込んでくる。そのうえ、苦境を利用し、他の者まで利権狙いで介入してくる・・・。
 市民生活でも、国際社会でも、そんな「Rogue」「Outlaw」には手を焼く。
 「法の番人」が登場したところで、そんな相手でも「法に守られて」いることは少なくなく、型にはまった対応では埒が明かない。ローグ・ワンやイーサン・ハントのようなスーパーな活躍をする「Heroic Outlaw」が登場すれば別だが・・・。
 「ヒロシマ・ナガサキ」から72年の月日が過ぎ、その記憶は風化する一方に思える。もちろん、書物が、メディアが、そして何よりも広島・長崎の地そのものが、様々な記憶を提供し続けている。
 しかし、人間とは負の記憶を封印しようとする動物でもある。だからこそ、望みのない「ザ・デイ・アフター」を迎えないために、核のみならず、多くの人々を苦境に陥れてきたイカレタ人々がもたらした惨劇の歴史を常に再確認し、一人ひとり心して生きていく必要がある。
 負の連鎖を止められるのは、負の記憶を持った社会だけなのだから・・・。
(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)
(1322)ザ・デイ・アフター
(565)(再)楽園をください
(1323)アウトロー

(1324)ロング・ライダーズ
(384)(再)男の闘い
(1325)OK牧場の決斗

(1326)ワイアット・アープ
(1327)墓石と決闘
(1180)(再)カルテル・ランド

(1328)ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
(1329)ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

ザ・デイ・アフター
1322.ザ・デイ・アフター The Day After 1983年米国映画
(監督)ニコラス・メイヤー
(出演)ジェーソン・ロバーズ、ジョン・リスゴウ、ジョベス・ウィリアムズ
 核戦争勃発からその「The day after」へと至るミズーリ、カンザスの姿を、『タイム・アフター・タイム』(1979)のニコラス・メイヤー監督が描き、全米で1億人が見たと言われるテレビ映画の衝撃作。
楽園をください
(再)565.楽園をください Ride with the devil 1999年米国映画
(監督)アン・リー
(出演)トビー・マグワイア、スキート・ウーリッチ
 南北戦争が勃発し、境界エリアの奴隷州ゆえ、住民が分裂し戦うことになったミズーリの若者の悲劇を、台湾出身の『ブロークバック・マウンテン』(2005)のアン・リー監督が描く青春ウェスタン。
アウトロー
1323.アウトロー The Outlaw Josey Wales 1976年米国映画
(監督・主演)クリント・イーストウッド
(出演)ジョン・バーノン、チーフ・ダン・ジョージ、ソンドラ・ロック
(音楽)ジェリー・フィールディング
 北軍ゲリラ部隊に妻子を虐殺された農民ジョージー・ウェールズが、「アウトロー」として追われる身となりながら、復讐を遂げようとする姿を描く、クリント・イーストウッド監督主演の傑作西部劇。
ロング・ライダーズ
1324.ロング・ライダーズ The Long Riders 1980年米国映画
(監督)ウォルター・ヒル
(出演)デヴィッド・キャラダイン、ジェームズ・キーチ、デニス・クエイド、クリストファー・ゲスト
(音楽)ライ・クーダー
 南北戦争後、列車強盗、銀行強盗を繰り返す「ジェイムズ・ヤンガー・ギャング」と彼らを追うピンカートン探偵社の姿を、『ザ・ドライバー』(1978)『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)のウォルター・ヒル監督が描く、登場する4兄弟を実際に兄弟である俳優たちが演じているのも魅力の一作。
男の闘い
(再)384.男の闘い The Molly Maguires 1970年米国映画
(監督)マーティン・リット
(出演)ショーン・コネリー、リチャード・ハリス、サマンサ・エガー
(音楽)ヘンリー・マンシーニ
 ペンシルベニアの炭坑で、炭坑夫により結成された秘密結社モリー・マグワイアによる労働争議崩しのため送り込まれた労働スパイの姿を、1950年代、「赤狩り」ブラックリスト入りしていた脚本家ウォルター・バーンスタイン、マーティン・リット監督コンビで描くサスペンス劇。
OK牧場の決斗
1325.OK牧場の決斗 Gunfight at O.K. Corral 1957年米国映画
(監督)ジョン・スタージェス
(出演)バート・ランカスター、カーク・ダグラス
(音楽)ディミトリ・ティオムキン (主題歌)フランキー・レイン
 名保安官ワイアット・アープが兄弟や友人のギャンブラー、ドク・ホリデイとともに、トゥームストーンの町を牛耳る無法者集団を倒すまでを、『荒野の七人』(1960)『大脱走』(1963)などのジョン・スタージェス監督が描く痛快アクションウェスタン。
 ストーリーテリングの役割も果たすバックに流れるフランキー・レインの歌も魅力の一作である。
ワイアット・アープ
1326.ワイアット・アープ Wyatt Earp 1994年米国映画
(出演)ローレンス・カスダン
(出演)ケヴィン・コスナー、デニス・クエイド、ジーン・ハックマン
(音楽)ジェームズ・ニュートン・ハワード
 ダッジシティやトゥームストーンの名保安官だけではないワイアット・アープの様々な姿を『再会の時』(1983)『シルバラード』(1985)のローレンス・カスダンが描く長編西部劇。
墓石と決闘
1327.墓石と決闘 Hour of the Gun 1967年米国映画
(監督)ジョン・スタージェス
(出演)ジェームズ・ガーナー、ジェーソン・ロバーズ、ロバート・ライアン
(音楽)ジェリー・ゴールドスミス
 10年前自らが監督した『OK牧場の決闘』(1957)の後のアープ兄弟と「カウボーイズ」の確執をジョン・スタージェスが描く、ジェリー・ゴールドスミスの音楽も効果的な異色西部劇。
カルテル・ランド
(再)1180.カルテル・ランド Cartel land 2015年メキシコ・米国映画
(監督・撮影)マシュー・ハイネマン
 麻薬カルテルによる犯罪に蝕まれているメキシコ、ミチョアカン州で自警団を立ち上げヒーローとなったミレレス医師と、アリゾナ州のメキシコ国境近くで、不法移民や麻薬の流入を防ごうと「アリゾナ国境自警団」を組織した退役軍人フォーリーを追いながら、カルテルの容赦ない暴力、自警団の変性、腐敗まみれの行政や警察、法の矛盾など、正と誤、善と悪の境界線が激しく揺れ動く姿を描くドキュメンタリー。
 『ハート・ロッカー』(2008)『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮に参加、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門撮影賞・監督賞を受賞し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされた。
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
1328.ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー Rogue One : A Star Wars Story 2016年米国映画
(監督)ギャレス・エドワーズ
(出演)フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、リズ・アーメッド、フォレスト・ウィテカー、マッツ・ミケルセン
 帝国軍の大量破壊兵器ともなるデス・スター開発の中心人物だった父が仕込んだその欠陥を知ることができる設計図を入手すべく、敵中へと向かう女性ジンと、「ローグ・ワン」の勇士たちの活躍を、『GODZILLA ゴジラ』(2014)のギャレス・エドワーズ監督が描く『スター・ウォーズ』シリーズ外伝。
ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
1329.ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション Mission: Impossible ? Rogue Nation 2015年米国映画
(監督)クリストファー・マッカリー
(出演)トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペグ、レベッカ・ファーガソン
 各国の元諜報員により組織され、既存システムの破壊をもくろむ「シンジケート」の国際的陰謀を阻止するべく活躍するIMF(Impossible Mission Force)の姿を、『アウトロー』(2012)に続きクリストファー・マッカリー脚本監督、トム・クルーズ主演で描くアクション大作。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50742

 


 
核戦争は起き得る:北朝鮮との戦争を避ける方法
2017.8.9(水) The Economist
[The Economist]2017.8.9

(英エコノミスト誌 2017年8月5日号)

北朝鮮のミサイル脅威、冷戦前後の世代で意識の差 米NY市民
米ニューヨーク・マンハッタンの街角の建物にある「核シェルター」の標識(2017年7月30日撮影)。(c)AFP/EDUARDO MUNOZ ALVAREZ〔AFPBB News〕
金正恩氏に歯止めをかける妙案は存在しない。だが、うっかり戦争に突入する事態は最悪だ。

 北朝鮮がこれほどのゴタゴタを引き起こすのは、考えてみれば妙な話だ。この国は決して超大国ではない。経済規模は、兄弟分にあたる民主的な資本主義国、韓国の50分の1にすぎない。米国人は北朝鮮の国内総生産(GDP)の2倍の金額をペットのために費やしている。

 それにもかかわらず、金正恩(キム・ジョンウン)氏の後れた独裁体制は、核兵器をちらつかせる瀬戸際政策で世界中の耳目を集め、米国大統領の関心をも引き寄せた。

 7月28日には、ロサンゼルスを攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行った。こうしたミサイルに核弾頭を搭載する能力も、ほどなく獲得するだろう。すでに、韓国や日本を狙ったミサイルには搭載できるようになっている。

 この恐ろしい兵器を管理しているのは、神格化された英雄として育てられた、人の命を何とも思わない人物だ。巨大な強制収容所に送り込まれた無辜の市民がハンマーで殴り殺されているのが、その何よりの証拠だ。7月には北朝鮮の外務省が、もし現体制の「最高権威」を脅かす国があれば、北朝鮮はそうした国々を「核を含む」あらゆる手段で「先制的に全滅させる」と明言した。ここまでくれば、警戒感を抱かない方がどうかしている。

次の朝鮮戦争はどんなものになるのか

 とはいえ、最も重大な危険は、一方が他方を壊滅させようと突然動き出すことではない。双方が読みを誤り、事態があっという間にエスカレートして、誰も望んでいない破局に至ることだ。本誌エコノミストは今週号の特集で、米国と北朝鮮が核戦争に突き進むシナリオの1つを順を追って説明している。

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一瞬の蜜月関係が終わった米国と中国 (2017.8.5 古森 義久)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50740

 

北朝鮮、グアムへのミサイル攻撃を慎重に検討=KCNA

[ソウル 9日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は9日、同国が中長距離弾道ミサイル「火星12」を米領グアム周辺に向けて発射する作戦を「慎重に検討」していると伝えた。

KCNAによると、朝鮮人民軍の報道官は、金正恩朝鮮労働党委員長が命令を下せば直ちに攻撃計画が「複数回にわたり連続的に実行される」と述べた。

「朝鮮人民軍戦略軍はグアム周辺地域を中長距離弾道ミサイル火星12で包囲射撃する作戦計画を慎重に検討している」と言明。グアムにあるアンダーセン空軍基地など主要な米軍基地に対する抑止力を確保する狙いがあるという。

報道官は、作戦計画は近く最高司令部に報告されるとした。

また、別の軍報道官は、米国が「予防戦争」を計画していると批判し、実行に移す動きがあれば「米本土を含む敵の要塞を一掃する全面戦争」で対抗すると威嚇。

軍事行動を回避するために米国は北朝鮮に対する「無分別な軍事的挑発」をやめるべきだと主張した。

トランプ米大統領はこの数時間前、北朝鮮が米国をこれ以上脅かせば「世界がこれまで目にしたことのないような炎と怒りに直面することになる」と発言していた。
http://jp.reuters.com/article/north-korea-idJPKBN1AO2LM


 
北朝鮮のミサイル実験、写真に隠された恐るべき事実 金正恩は日本の領海に撃ち込もうとしていた?
2017.8.9(水) 古森 義久

韓国ソウルの駅で、北朝鮮の大陸間弾道弾(ICBM)発射を伝えるニュース映像が流れるテレビの前を歩く女性(2017年7月4日撮影)。(c)AFP/JUNG Yeon-Je〔AFPBB News〕
 北朝鮮は7月4日のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験で、日本領海への攻撃を試みていた可能性がある――。こんな考察が、米国の専門家グループから明らかにされた。
 このとき発射された北朝鮮の弾道ミサイルは、実際には日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。だが、米国の専門家たちの分析によると、実は金正恩政権は日本の沿岸から至近距離の日本領内水域への発射を意図していた可能性があるという。7月末に米国の一部メディアが、この分析を報道した。

デスク上の地図に示されていた弾道
 ワシントンに本部を置く米国民間の安全保障研究機関「ストラテジック・センティネル」(SS)は7月31日、以下の趣旨の報告書を発表した。
・北朝鮮が行った7月4日の弾道ミサイル発射実験では、ミサイルの予定弾道軌道に関して異常な兆候が観測された。金正恩委員長が双眼鏡でミサイル発射を見守る様子の写真を朝鮮中央通信が発表したが、その写真を見ると、デスクに置かれた地図上の弾道の終着地点が日本の領海内になっているのだ。
北朝鮮の国営通信社「朝鮮中央通信(KCNA)」が発表した、ミサイル発射を見守る金正恩氏の写真
・SSの映像アナリスト、ネーサン・ハント氏がその写真を拡大し、北朝鮮の類似ミサイルの軌道と比較しながら、地図に記載された予定軌道図を精査して分析した。すると、同ミサイルは北海道の奥尻島近くの日本領海内(沿岸から22キロ)に落下するコースを示していた。領海は排他的経済水域と異なり、日本の領有区域そのものである。国家主権がフルに適用される海域であり、そこへの軍事攻撃は戦争に等しい行動となる。
・しかし現実には、同ミサイルは最高度2785キロ、水平飛行距離928キロで、奥尻島北西150キロほどの日本のEEZ内に着弾した。EEZも沿岸国の日本の経済的な独占主権が認められる海域だが、領海とは異なる。
・SSのライアン・バレンクラウ所長やジョン・シリング研究員は、北朝鮮当局の狙いについて次の2つの見解を述べた。(1)当初から同ミサイルを日本の領海に着弾させ、日本や米国の反応をみるつもりだったが、ミサイルが性能を果たさなかった。(2)威嚇のプロパガンダとして、意図的に地図上に日本の領海に撃ち込む弾道を示した。

北朝鮮は日本をなめきっている?
 米国のニューズウィーク誌などの一部メディアも、以上のSSの発表を報道した。ニューズウィークの7月31日付の記事は、「北朝鮮は日本への攻撃を試みたのかもしれない、金正恩のミサイル発射の写真が示す」という見出しで、SSの報告書の内容を詳しく伝えていた。
 同記事によると、ジョンズホプキンス大学の高等国際関係大学院(SAIS)の北朝鮮研究機関「ノース38」のネーセン・ハント研究員も、金正恩委員長の写真に映った地図から、弾道ミサイルの軌道が日本の北海道に近い日本領海内を執着地点としていることが読み取れると認めた。
 また、「ノース38」の別のミサイル防衛専門家マイケル・エレマン研究員は、「通常、他国のEEZ内へ事前の警告なしにミサイルを撃ち込めば敵意のある戦闘行為とみなされ、戦争の原因ともなりかねない。だが、北朝鮮は日本の反応をほとんど気にせず、大胆な挑発行動を続けているようだ」との見解を述べたという。
 北朝鮮の思考が実際にエレマン氏の指摘どおりだとすれば、北朝鮮当局は日本の出方をすっかり甘く見て、なめきっているということでもあろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50730


 

 
米政権、中国の銀行制裁や対中貿易調査を一時見合わせか

[ワシントン/国連本部 8日 ロイター] - 米国のトランプ政権は、北朝鮮と取引を行う中国の銀行に対する制裁の発動を見合わせているもようだ。中国が今月5日、国連安保理の北朝鮮制裁決議を支持したことを受けた措置。中国が制裁決議を厳格に履行するか見極めたい意向という。

複数の米政府当局者が明らかにした。

トランプ政権は、中国が北朝鮮制裁決議を支持したことを受けて、知的財産権侵害を巡る中国への調査も先送りしたもようだ。

ただ、トランプ大統領は不公正貿易の取り締まりを公約に掲げており、対中調査をいつまで延期するかは不透明。

米当局者や外交筋は、中国が制裁決議への反対を取り下げた背景には、米国が北朝鮮と取引のある中国企業への制裁をちらつかせたことや、通商問題を巡って中国政府に圧力をかけたことがある、と指摘している。
http://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-diplomacy-idJPKBN1AP03P


 


トランプ大統領:北朝鮮は「炎と怒り」に遭う、米への脅し続けば

Justin Sink、Nafeesa Syeed
2017年8月9日 06:15 JST 更新日時 2017年8月9日 08:55 JST

北がICBMに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功との報道受け発言
金委員長は「極めて脅迫的」だと大統領、発言受け米市場は動揺

トランプ米大統領は8日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功しているとの米当局の分析を米紙が伝えたことを受け、北朝鮮が米国を脅し続けるなら、同国は「炎と怒り、そして率直に言えば、世界がこれまでに目にしたことがないような力に見舞われることになるだろう」と述べた。

  トランプ大統領はニュージャージー州ベッドミンスターで記者団に対し、金正恩朝鮮労働党委員長は「非常に脅迫的」だと語った。

  米紙ワシントン・ポストは8日、国防情報局(DIA)の分析を引用して、北朝鮮はICBM級ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したと報じた。国連安全保障理事会は5日、北朝鮮による2回のICBM試射に対応し、北朝鮮への制裁決議を全会一致で採択。北朝鮮の年間輸出およそ30億ドル(約3300億円)のうち、約10億ドル相当が制裁の対象とされた。

  ICBM発射実験に加え、核弾頭開発の進展が伝えられたことで、トランプ大統領に北朝鮮のエスカレートする挑発に対応するよう求める声は一段と高まっている。トランプ氏は選挙戦中、北朝鮮が米国を射程に入れる核ミサイルを開発するリスクについて「起こらない」とツイッターで断言していた。

  トランプ大統領の北朝鮮を巡る発言に市場は動揺。S&P500種株価指数は0.2%安で終了。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は、米東部時間午後3時半(日本時間9日午前4時半)前に11%上昇した。米10年債利回りは上昇、ニューヨーク原油先物は前日比22セント安の1バレル=49.17ドルで終えた。

  北朝鮮には他の技術上のハードルがまだあるものの、同国の兵器プログラムは米情報機関の予測を上回る速さで進展しているようだ。米シンクタンク、大西洋評議会 のブレント・スコウクロフト国際安全保障センターの非常勤上級研究員、マシュー・クローニグ氏は、「これで北朝鮮はロシアと中国に次いで、米国に核戦争の脅しをかけられる能力を持った3番目の相手国になった」と語った。

  ヘリテージ財団の上級研究員、ブルース・クリングナー氏は、「必要なのは圧力を強めると同時に、外交の扉を開いておくことだ」と述べた上で、「この先の道のりは長い。われわれは北朝鮮の計画変更を促す圧力を維持する必要がある」と指摘した。

原題:Trump Vows ‘Fire and Fury’ If North Korea Threatens the U.S. (1)(抜粋)


 


 

米爆撃機が日韓と訓練、対北朝鮮で連携 

http://s2.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170809&t=2&i=1196309245&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED7803H

[東京 9日 ロイター] - 防衛省は9日、航空自衛隊のF2戦闘機2機と米空軍のB−1B戦略爆撃機2機が、九州周辺で8日に共同訓練を行ったと発表した。米軍機はその後に韓国空軍とも訓練を実施。北朝鮮を巡って緊張が続く中、日米韓の緊密な連携を示すのが狙い。

B−1Bは、米領グアムのアンダーセン基地から飛来。朝鮮人民軍戦略軍の報道官は9日、国営の朝鮮中央通信社(KCNA)を通じ、同基地を含むグアム周辺へのミサイル攻撃を「慎重に検討している」との声明を出した。
http://jp.reuters.com/article/us-japan-military-training-idJPKBN1AP051

 

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コメント
 
1. 2017年8月09日 11:43:01 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[720]
http://diamond.jp/articles/-/136255
2017年8月9日 佐藤智恵 :作家/コンサルタント
ハーバードで白熱議論「長崎への原爆投下は必要だったのか」
サンドラ・サッチャー教授に聞く(2)

原爆投下を決断したトルーマンは、第二次世界大戦中、日本人のことを「野獣」(Beast)と呼んでいたことはよく知られている。ところが、ハーバードビジネススクールで「トルーマンと原爆」について教えるサンドラ・サッチャー教授は、トルーマンは日本人のことを人間として見ていた、という。トルーマンはどこが人道的で、どこが非人道的だったのか。サッチャー教授インタビュー全3回の第2回。(2017年4月21日、ハーバードビジネススクールにてインタビュー)
>>第1回を読む
「人道的リーダーシップ」とは何か
佐藤 「モラル・リーダー」の授業で、学生は「原爆投下を実行したトルーマンを支持するか、支持しないか」、どちらかに手を上げなくてはならないそうですが、「支持する」という学生はいましたか。
サッチャー それほど多くはありませんでしたが何人かいました。私の授業では毎回、同じ質問をしますが、今の学生は皆、原爆投下がもたらした被害を知っているため、多くが「反対」を表明します。しかし「賛成」を表明する学生は必ずいるので、授業では少数派の意見を聞くことから始めます。「なぜトルーマンが原爆投下を決断したのは正しかったと思うのですか」と。
佐藤 それに対してのコメントで印象深かった発言はありましたか。
サッチャー 中国人の学生のコメントが印象に残っています。彼は、中国人の視点から、この戦争がどんな戦争だったか、中国人が日本人の軍人からどのような扱いを受けたか、を語りました。私の授業には毎回、日本人学生や、広島を訪れたことのある学生がいて、興味深いコメントをしてくれるのですが、中国人の学生がこのような発言をしたのははじめてだったと思います。
佐藤 どのような発言だったのでしょうか。
サッチャー 彼はアメリカで育った中国人でしたが、「戦時中の日本軍の残虐行為について、アメリカの学校の教科書にはきちんと記述されていない」と指摘していました。おそらくアメリカ人学生はこの事実を知らないだろうと思って発言したのだと思いますが、彼の発言に他の学生たちは大変驚いていました。ハーバードの学生はナチスドイツ軍についてはよく知っていますが、日本軍についてはあまりよく知らないからです。彼が語った日本軍の行為は、ナチスドイツ軍の行為ととても似ていました。ただし彼は「自分は日本や日本の国民を非難するつもりはなく、日本の軍人が残虐行為を行った事実を伝えたいだけだ」と言っていました。
 彼が原爆投下を支持したのは、どんな手段を使っても戦争を早く終結させるべきだと思ったからです。彼にとってトルーマンの決断は中国の国民を救う決断であり、原爆投下は正当化されるべき行為でした。
トルーマンにとっての「道徳」は何だったか
佐藤 授業では、「トルーマンの決断は人道的であったか」をテーマに、議論を深めていきます。サッチャー教授は、不正行為を重ねる人の「道徳離脱」についても研究されていますが、トルーマンが原爆投下を決断したとき、脳内で「道徳離脱」を起こしていなかったのでしょうか。
サンドラ・サッチャー(Sandra J. Sucher)教授
サッチャー 道徳離脱とは、「小さな不正行為からひどい残虐行為まで、無意識のうちに人間を悪い行動へと導く精神的なプロセス」(*1)のことです。道徳離脱を起こしている人は、自分が他人に害を与えているとか、悪いことをしているといった意識はありません。
 戦時中に道徳離脱を起こす人は、敵をアウトグループ(外集団)とみなし、「彼らは自分たちと同じ人間ではないのだから人間として扱う価値はない」「人道的かどうかを検討する必要などない」と考える傾向にあります。つまり相手を自分と同じ人間として見ないのです。
 私はトルーマンに関する記録を多数読みましたが、トルーマンは道徳離脱を起こしていなかったと思います。トルーマンは日本人を同じ人間として見ていました。
 トルーマンは、「アメリカ国民を守り、アメリカに有利な条件で戦争を終結させることが自分の責任であり、そのために自分ができることは原爆投下を決断することだ」と認識していました。私が思うに、トルーマン自身は、「この状況下で最も人道的な決断を下した」と信じていたのではないでしょうか。
佐藤智恵氏
佐藤 トルーマンは、日本人を同じ人間として見ていた、とのことですが、彼は、日本人のことを「野獣」(Beast)と呼んでいました。本当に人間として見ていたのでしょうか。
サッチャー その事実を物語る記録があります。トルーマンは、広島への原爆投下後、ジョージア州の上院議員から、「日本にできるだけ多くの原子爆弾を落としてください。アメリカ国民は皆、日本人が完全に降伏するまで日本を攻撃するべきだと考えています」という電報を受け取っています。これに対してトルーマンは次のように返信しています。
「我々の交戦相手である日本はひどく残虐で野蛮な国だが、日本人は野獣なのだから、同じように我々も野獣のようにふるまうべきだ、という考えには同意できない。日本の一部のリーダーが『頑固に』降伏しないがゆえに、日本の全国民を殲滅しなければならないことを残念に思う。念のために言っておくが、絶対的に必要であるという状況でない限り、私はこれ以上の原爆投下を許可しない。ソ連が参戦すれば、日本は早晩、降伏するだろう。私の目的はできるだけ多くのアメリカ人の命を救うことだ。しかしながら私は日本の女性、子どもに対しても人間的な感情を抱いている。」(*2)
佐藤 ということは、トルーマンの良心は麻痺していなかったということですか。
サッチャー そうです。少なくともルールを守ろうとしていたことは確かです。トルーマンの自伝には次のようにも書かれています。
「原爆投下を決断する前に、私は原爆が戦時国際法に定められているルールにのっとって使用されるのかどうかを確認したかった。つまり私は、原爆を軍事施設のみに投下することを望んでいた。そこで私はスティムソン(陸軍長官)に、『原爆投下のターゲットは、日本軍にとって最も重要な軍需生産拠点に限定すべきである』と念を押した」(*3)
 広島と長崎は候補としていくつか上がっていたターゲットのうちの2つでした。京都も候補にあがっていましたが、スティムソンが「京都は日本の文化的、宗教的な中心地だ」(*4)と主張し、候補からはずされました。
 広島と長崎の市民に事前に警告しなかったことは、非道徳的行為だと思います。しかし、トルーマンと周りの助言者は、自分たちなりの論理で原爆投下を正当化し、「原爆投下をすれば早く戦争を終結できるのだから、これは人道的な行為だ」と本気で思っていたのです。またトルーマンは、原爆の威力についてはほとんど何も知らなかったというのが実情で、「これまでの爆弾よりもかなり破壊的な威力があるらしい」ぐらいの知識しかありませんでした。
佐藤 これは授業でも議論されている質問ですが、長崎にも原爆を投下する必要性はあったのでしょうか。
ハーバードビジネススクールの教科書「モラルリーダー」
サッチャー 2つめの長崎への原爆投下は、日本に心理的なダメージを与えるためでした。トルーマンは、「戦争を終わらせるためには、アメリカが無数の原子爆弾を持っていることを日本人に知らしめる必要がある」と考えました。それには、日本が降伏するまで落とし続けるしかない、だから、広島のあとにももう1つ落としておこうという発想です。
 トルーマン自身は「日本政府に終戦の決断を促すためだった」と説明していますが、私が問題だと思っているのは、広島への原爆投下後、2日しか猶予を与えずに、長崎へ原爆を投下したことです。なぜ2日ではなく、1週間ぐらい待つことができなかったのでしょうか。これは人道的な見地からみても説明がつかないと思います。
佐藤 日本の大学生や大学院生に「トルーマンと原爆」をテーマに授業をするとしたら、どのような授業にしたいですか。
サッチャー ハーバードの授業とは少し変えて、2回にわけて教えたいですね。最初のセッションは、日本人の学生がおそらく知らないであろうと思われる内容を含めた第二次世界大戦についての授業。日本の小・中学校では「日本は戦争の犠牲者である」ことは教えているけれども、「日本が加害者であった」ことはそれほど詳しく教えていないと聞いています。この認識だと、「私たち日本人は戦争の犠牲者です。原爆を投下するなんて間違っている」という議論で終わってしまいますから、まずは日本の学生に世界的な視野から戦争を見つめ直してもらいたいと思います。
 2回目のセッションでは、ハーバードと同じ形式で進行していきたいです。学生同士で「トルーマンの決断は是か非か」「昭和天皇はどのような役割を果たしたか」などについて、ハーバードの学生に負けないぐらい活発に議論してほしいですね。
>>第3回は8月15日(火)公開予定です。
*1:Sandra J. Sucher and Celia Moore, “A Note on Moral Disengagement,” Harvard Business Pubishing 612-043, Revised 2012, p. 1.
*2:https://www.trumanlibrary.org/whistlestop/study_collections/bomb/large/documents/fulltext.php?fulltextid=22
*3:Harry S. Truman, Memoirs by Harry S. Truman, Vol. 1: Year of Decisions (Garden City, NY., Doubleday & Company 1955.
*4:Ibid.
サンドラ・サッチャー(Sandra J. Sucher)
ハーバードビジネススクール教授。専門はジェネラル・マネジメント。MBAプログラムにて必修科目「リーダーシップと企業倫理」、選択科目「モラル・リーダー」を教える。現在の研究分野は、世界経済における企業の信用の構築。大手デパート、フィデリティ・インベストメンツ社などで25年間に渡って要職を務めた後、現職。リーダーシップや倫理的ジレンマを主題とした教材を多数執筆。著書に“Teaching The Moral Leader A Literature-based Leadership Course: A Guide for Instructors” (Routledge 2007), “The Moral Leader: Challenges, Tools, and Insights” (Routledge 2008). 現在、「企業と信用」をテーマに著書を執筆中。
佐藤智恵(さとう・ちえ)
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。報道番組や音楽番組のディレクターとして7年間勤務した後、2000年退局。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。コロンビア大学経営大学院入学面接官、TBSテレビ番組審議会委員、日本ユニシス株式会社社外取締役。主な著者に『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)、『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、「スタンフォードでいちばん人気の授業」(幻冬舎)。佐藤智恵オフィシャルサイトはこちら


2. 2017年8月09日 15:48:33 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[726]
米朝の敵対的関係、今後を占う上で押さえておくべき要点−Q&A
Isabel Reynolds、Enda Curran
2017年8月9日 15:04 JST


北朝鮮の核弾頭搭載ICBM開発を阻止する手だてが急速に失われつつある現在、北朝鮮ウオッチャーはトランプ米大統領が取り得る軍事上の選択肢の分析に取り掛かっている。トランプ大統領は8日、北朝鮮が脅しを続けるなら、「炎と怒り」に見舞われるだろうと発言した。国連安保理でかつてなく厳しい制裁決議が採択されたことを受け、北朝鮮は米国の侵略阻止に核兵器プログラムは不可欠だとの立場を繰り返し示している。トランプ大統領と米国にとって、安易に取り得る選択肢は残っていない。

1.米国は局地的攻撃を試せないか?

  局地的攻撃は恐らく十分な効果を得られないだろう。北朝鮮のミサイル・核施設は山間部に分散し、隠されている。このため、一挙に全ての施設を破壊できなければ、通常兵器ないし核ミサイルでの反撃を招き、ソウルや東京都市圏といった人口密集地域のほか、北東アジアの数万人規模の米軍も生命の危機にさらされる恐れがある。米国が全施設の壊滅に成功したとしても、ソウルが砲撃を受ける可能性がある。

2.金委員長はなぜ核武装するのか?

  米国が「限定的な攻撃」を行った場合でも、「北朝鮮がはるかに大規模な攻撃の始まりだと考えて、核兵器使用を選ぶ可能性がある」と、ミドルベリー国際大学院の東アジア核不拡散プログラムディレクター、ジェフリー・ルイス氏は指摘する。従って、米国は北朝鮮および同国の主要貿易相手国で同盟国でもある中国に対し、局地的攻撃は限定されたものであり、核兵器による報復は避けるべきだと伝達する必要があるという。

3.北朝鮮体制の交代は選択肢の一つか?

  新体制に代えたとしても、北朝鮮指導が必ずしも新しい考え方をするとは限らない。現在の金正恩朝鮮労働党委員長も権力の座に就く前は、スイスへの留学経験や米欧の価値に親しんでいたことから、経済改革や国の開放に乗り出すのではないかとの期待も一部あったが、実際は全く違った。また金委員長が何らかの手段で排除の標的となれば、側近も丸ごと取り除かれ、多数が粛清されることになる。中国は危機的な難民流入や中朝国境の米軍配備を回避するため、現体制を支える可能性が高い。
4.それでは全面戦争が米国にとって最善の選択肢か?
  北朝鮮のミサイル・核施設に加え、砲撃能力を迅速に失わせるためには本格的な侵攻が必要になるだろう。しかし、米軍の火力増強や韓国軍の動員、朝鮮半島からの米国市民の避難など、北朝鮮攻撃が差し迫っている兆候が認められれば、北朝鮮は先制攻撃に踏み切る恐れがある。中国とロシアも説得される可能性がある。

5.攻撃を受けた場合に北朝鮮はどう反撃するか?

  最初の反撃はソウルおよびその周辺への大規模砲撃になる可能性が高い。国境付近に配備されている砲撃能力は、空軍や海軍、そして朝鮮半島や日本や米軍の基地などが標的になり得る大型弾道ミサイルよりも早く攻撃態勢に入れる。北朝鮮が米国本土の都市を核弾頭搭載ICBMで攻撃できるかどうかは不明であり、これらの国はミサイル防衛システムを配備しているが、すべてのミサイルを防げるかどうかも明らかではなく、米国民の不安は高まっている。

6.開戦した場合の経済的損失の規模は?

  韓国は世界全体の国内総生産(GDP)の約1.9%を占め、サムスン電子や現代自動車など世界的企業を有する。朝鮮半島で戦争がぼっぱつし、経済活動が著しく低下すれば、地域と世界に大きな影響が及び得る。世界金融市場も短期的に甚大なショックを受け、金やドル、スイス・フランなどの安全資産への資金逃避の動きが起こるだろう。

7.現在どのような選択肢が残っているか?

  多くのアナリストは、状況が悪化しないよう、今こそ協議を開始するべきだと指摘する。ミドルベリー国際大学院のルイス氏は、北朝鮮が熱核反応兵器ないしさらに高度の固体燃料ミサイルの完成を阻止することが、目指す価値のある目標であり、そのためには、受け入れにくいかもしれないが、北朝鮮に見返りをちらつかせて交渉のテーブルに就ける必要があると指摘する。同氏は北朝鮮を念頭に置いた米国主導の軍事演習の規模を縮小することが見返りの一つになり得ると主張する。ソウルの延世大学のジョン・デラリー准教授は「国民や議会、北朝鮮と議論すべきなのは戦争のシナリオに関する空想事ではなく」、北朝鮮に何を提示できるかという問題だと指摘。「現実的な選択肢は事態進展の速度を落とすという外交的選択肢だ。これには多くの協議が必要になろう」と語った。  

原題:What U.S.-North Korea Hostilities Might Look Like: QuickTake Q&A(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-09/OUEJ356TTDS401w.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-08/OTOOU36JTSE801

 


北朝鮮による米本土攻撃の脅威は本物か

Andray Abrahamian

[2日 ロイター] - 北朝鮮のミサイル実験は大局的な見地から眺める必要がある。憂慮すべき事態には違いないが、米国本土に危険が差し迫っているわけではない。

私は過去2回、緊張の最中に北朝鮮国内にいたことがある。同国が核実験を行って制裁を受けた2013年春と、16年春だ。私は北朝鮮の人々が「やり過ぎだ。もうおしまいにしよう」と言うのを2度耳にした。この悲痛な声から分かるのは、北朝鮮がいかに国民の臨戦モードを維持しているかだ。

過去の「ミニ危機」の際、私は韓国にもいたことがあるが、国民の関心はさほど高くなかった。

韓国人がテレビ画面の前に集まり、北朝鮮によるミサイル・核実験のニュースを見守る写真をご覧になったことがあるだろうか。あれらはほぼ決まってソウル駅で撮られた写真で、人々は画面に食い入ってはおらず、単に電車を待っているだけだ。

ところが米国人はピリピリしている。北朝鮮は7月4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射実験を行い、専門家はミサイルがアラスカやハワイに届きかねないと話した。3週間後の再発射実験では米国本土が射程圏内に入るとされた。明らかに、北朝鮮は米国に核攻撃を仕掛ける能力の獲得に近付きつつある。

だから、ロサンゼルスの人に会うたびに「金正恩(あるいは、『ほら、なんとかって言う人』)はLAに核爆弾を落とそうとでもしているのか」と聞かれるのも無理はない。

私は今年、ほとんどの時間をカリフォルニアで過ごしている。ニュースは常に北朝鮮のミサイル実験を報じ、テレビに出る識者はこの問題をとうとうと語り、米大統領はツイッターに投稿している。私が北朝鮮を訪れていると聞いて人々は意見を求めてくるが、私は「心配するな」と答えている。

北朝鮮は実際に戦争を引き起こさないよう、非常にうまく計算して挑発行動を行っている。指導部はこれまでも、衝突が起これば間違いなく体制が崩壊することを重々承知していた。専門家によると、北朝鮮の核兵器保有は主に抑止力を狙ったものだ。2013年に成立した法律、その他の公告では、先制ではなく報復用の兵器を開発していることが明示されている。

実態として、金正恩氏は米国に先制攻撃を仕掛ける能力を持っていない。米国に核攻撃を行って撃破されずに済むほどの軍事力を備えておらず、今後も備えられないであろうことを指導部は自覚している。

とはいえ、北朝鮮の軍事開発によって新たな脅威が頭をもたげているのも事実だ。

北朝鮮は米国が真に受けないよう、もっと慎重な物言いをする必要がある。米国の軍事演習が「危険な頂上決戦」を引き起こすとか、米国が「レッドラインを越えた」などと、正気で言っているのだろうか。正気なら、どんな行動をとる用意があるのか。米国が真意を理解してくれなければ、その代償は高くつく。

私に質問をぶつけてくるロサンゼルスの人々は、北朝鮮の脅し文句にたいてい「もし」あるいは「そうなれば」という但し書きが付いていることも理解すべきだ。例えば先週は、「もし米国が金正恩氏の打倒を試みるなら、北朝鮮は米国本土を攻撃する」と宣言した。米国を「焦土」に化すといった脅しには、通常こうした条件がついている。

国境や陸海において、限定的な小競り合いはこれまでもあり、全面戦争に発展する可能性も常に存在した。しかし現在が過去と違うのは、ミサイル攻撃が米本土に及ぶ可能性が出てきたことだ。怖いのは、米国が先手を打とうと従来より素早く行動を起こし、北朝鮮は全面戦争や体制転覆に発展し始めたと考え、「(核兵器を)使わなければ負けるまで」だと追い詰められる可能性だ。

もう1つ心配なのは、緊張が高まった時に惨劇につながるような技術的、あるいは人的エラーが起こる恐れである。旧ソ連では1983年9月26日、米国がミサイルを発射したとする早期警戒システムの誤警報を軍将校が見抜いたが、形式通り指導部に報告していれば報復攻撃は避けられないところだった。今日、似たようなシステムの間違いが起こった場合、北朝鮮の兵士らはこの将校ほど柔軟に考えられず、違った行動をとるだろう。

朗報もある。64年間対立し続けてきた北朝鮮と米国は、全面戦争を避けることが上手になっている。しかも米国には他に選択肢がある。この地域に適切な軍事力を維持することもその1つだが、そうした防衛姿勢を北朝鮮のほか、同盟国の韓国と日本に対してきちんと伝えることも重要だ。同盟諸国との良好な政治・経済関係を維持することも必要になる。

どの対応にもある程度のリスクはつきまとう。米国が北朝鮮の軍事開発を遅らせるために二次的な制裁を強化する場合、北朝鮮軍との関係が疑われる中国の企業や銀行を調査することになり、中国との摩擦が起こりかねない。米国が軍事演習で譲歩する代わりに北朝鮮が開発を中止するという合意を結べば、政治的にも戦略的にもリスクが生じる。

米国はまた、北朝鮮の経済と社会の改善を支えることにより、長い目で見て同国の行動が改善するよう働きかけることもできる。しかしこれは北朝鮮との交流や結び付きを強めることになり、制裁との両立が難しい。

どの選択肢にも手っ取り早い解決策はないだろう。しかし少なくとも当面カリフォルニア市民は、今にも北朝鮮のミサイルが飛んでくるのではないかと脅える必要はない。

*筆者は豪マコーリー大学の名誉フェローで、北朝鮮の人々に経済政策や企業家精神について訓練を施す非営利組織、チョソン・エクスチェンジに協力してきました。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


北朝鮮のICBM、米国の拡大抑止揺るがす=川上・拓大教授
米韓、対北朝鮮で取り組み強化 脅威には「圧倒的な対応」
米CIA長官、北朝鮮の核ミサイルの脅威「近づく」
http://jp.reuters.com/article/north-korea-missile-idJPKBN1AJ0D8?sp=true


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