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北朝鮮の大陸間弾道ミサイル、届くのは「アラスカ」まで。それでも脅威な理由とは?(HARBOR BUSINESS)
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/595.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 7 月 14 日 09:25:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

鮮中央テレビが放送した大陸間弾道ミサイル「火星14型」の写真 Image Credit: KCTV


北朝鮮の大陸間弾道ミサイル、届くのは「アラスカ」まで。それでも脅威な理由とは?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170714-00146179-hbolz-soci
HARBOR BUSINESS Online 7/14(金) 8:50配信


 北朝鮮は7月4日9時39分(日本時間)ごろ、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、1発の弾道ミサイルを発射した。日米韓などによる追跡の結果、ミサイルは約37分間にわたって飛行し、高度約2800kmに到達。飛距離は約900kmにも達し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

 そして同日15時30分、北朝鮮の朝鮮中央テレビは「特別重大報道」を放送し、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の『火星14型』の発射試験に成功した」と発表した。

 この火星14型は、たしかにICBMと呼べるだけの性能はもっているかもしれないが、兵器としてはまだ不十分で、米国にとって危急かつ明確な脅威ではないかもしれない。それでも、北朝鮮のミサイル技術が着実に進歩し続けていることは間違いない。

◆5月に発射された「火星12型」の派生型か

 公開された写真や映像を見るに、火星14型は、今年5月に初めて発射された中距離弾道ミサイル「火星12型」を改造し、ICBMにしたものだと考えられる(参照:『北朝鮮、新型ミサイル「火星12」型を発射――その正体と実力を読み解く』)。

 火星12型は単段式といって、ミサイルが発射時と同じ、そのままの形でずっと飛んでいき、所定の高度に達したところで弾頭部分を切り離す、という仕組みをしている。

 単段式はシンプルなので、造りやすく、運用もしやすいものの、空になったタンクをそのまま抱えて飛び続けるようなものなので、ミサイルの性能が限られてしまう。火星12型の最大射程は約4000〜5000kmと考えられているが、もしそれをもっと伸ばして、射程5500km以上のICBMにしようとした際、最も手っ取り早い方法は、その機体の上に小さなロケットを追加で載せて、2段式のミサイルにすることである。

 この場合、ミサイルはまず1段目のエンジンで上昇し、やがて空中で分離。続いて2段目のエンジンに点火して飛行を続ける。こうすることで、効率よく弾頭を加速させ、遠くまで飛ばすことができる。ちなみに人工衛星を飛ばす宇宙ロケットも、同じ理屈で2段式、あるいは3段式を採用している。

 ただ、写真を見たところ、火星14型の第1段は、火星12型より全長が短くなっている。おそらく単に火星12型の上に第2段を載せただけでは、全体の効率が悪くなるためか、あるいは重くなりすぎてエンジンの推力が足らなくなるためだろう。

 この2段目については、北朝鮮は今回の発表の中で「新開発の高比推力エンジンを使用した」としている(比推力というのは燃費とほぼ同じ意味)。また6月には衛星写真から、北朝鮮のロケット試験場で、小規模なエンジンの燃焼試験が行われたことが判明しており、おそらくこのとき試験されたエンジンと同型のものが、今回発射された火星14型の2段目に搭載された可能性が高い。ただ、エンジンの形など詳細はわからない。

 さらに弾頭部分にも変化があり、先端に弾頭を剥き出しで搭載していた火星12型とは違い、火星14型ではフェアリング(カバー)のような部品がついており、その中に弾頭が入っているものと考えらえる。

 なぜ火星12型のように剥き出しで搭載しなかったのかは不明だが、火星12型に積んでいた弾頭に問題があったなどの理由で、形状や仕組みなどを変えてフェアリングの内部に収めるようにしたか、あるいは今回は弾頭は積まず、ダミー・ウェイト(重り)を積んだため、ということが考えられる。

◆火星14型はたしかにICBM、けれども……

 当初、米太平洋軍はこの火星14型を「中距離弾道ミサイル(射程3000〜5500km)」であると分類していたが、その後、米政府高官が「ICBMである」と発言したことを米メディアが報じ、さらにその後、国防総省やティラーソン国務長官がICBMであることを発表するなど、やや混乱がみられた。

 あるミサイルが「ICBMか否か」という定義は、今のところ「射程が5500kmを超えるか否か」ということだけによって定められている。これは冷戦中、ソ連と米国本土(この場合の本土とは、アラスカやハワイを除く、ワシントンD.C.やニューヨークのある、いわゆるCONUSのこと)をまたいだ距離から定義されたもので、そのまま他のミサイルにもこの定義を当てはめて論じるのは、やや問題がある。

 北朝鮮は火星14型を、もはやおなじみとなった「ロフテッド軌道(ロフテッド・トラジェクトリィ)」という、通常より上向きの角度で飛ばすことで、高い高度まで飛ぶ代わりに、飛行距離を短く抑えられる撃ち方で発射した。つまり標準的な角度で発射した場合の飛行距離、つまりミサイルとしての実際の射程は、それよりも長い。

 憂慮する科学者同盟(UCS)のDavid Wright氏の分析では、火星14型を標準的な角度で発射した場合の射程は、約6700kmになるという。つまり前述した定義上のICBMではあるものの、届くのはせいぜいアラスカまでで、米国本土には届かない。北朝鮮からワシントンD.C.までの距離は約1万kmを超えるので、火星14型の約2倍の射程が必要になる。

 たしかにアラスカは米国の領土であるし、ユーラシア大陸から北米大陸の“大陸間”を渡ることができるので、火星14型をICBMと言ってもよいことには違いないだろうが、しかし、ロシアや中国などがもつICBMと同等の能力を手に入れた、ということにはならない。

 この、アラスカまでしか届かないICBMというのは、おそらく北朝鮮にとってはぎりぎりのラインを攻めたものだろう。つまり射程5500kmを超える能力をもったミサイルを撃ってみせることで、他ならぬ米国が定めた定義上のICBMを発射した、と主張することができる。ただし、米国本土に到達する能力はないし、また米国がそう分析することは織り込み済みだろうから、直接的に刺激する意図はない、というメッセージにもなる。

 実際、今のところ米国は、これまで行ってきたこと以上の行動は起こさないようである。定義上はICBMだとしても、米国本土までは飛んでこないため、危急の問題ではないという認識なのだろう。ただ、それは単に受け止め方の問題なので、今後これまで以上の行動、たとえば軍事行動を起こす場合には、その理由づけのひとつになる可能性はある。

◆北朝鮮がICBM”級”のミサイルを発射したのは初めてではない

 実のところ、北朝鮮がICBM“級”のミサイルを発射したのは、これが初めてではない。

 北朝鮮は2012年に「銀河3号」ロケットを、2016年にその改良型とされる「光明星」ロケットを打ち上げ、小型の人工衛星を地球をまわる軌道に投入することに成功している(衛星そのものは故障したか、あるいはただの重りだったためか、機能していないようである)。人工衛星が打ち上げられるということは、米国に届くだけのミサイルも造れるということを示していた。

 ただ、銀河3号も光明星も、地上に建設された固定式の発射台で、何日もかけて組み立てや整備をしなければ発射できない。つまり事前に、偵察衛星などで察知されやすく、また実際に察知されており、米軍がその気になれば先制攻撃もできた。したがって、性能はともかく、ミサイルとしては実用的ではないと見なされていた。

 しかし同時に、米国まで届くミサイルの技術があることはたしかであり、このままではいつか名実ともにICBMと呼べる、つまり隠れて発射準備ができ、その兆候がつかまれにくい、移動式発射台から撃てるミサイルが開発できることは、誰の目から見ても明らかだった。

 そしてその危惧が具現化したのが、今回の火星14型だった。

◆着実に進歩する北朝鮮のミサイル技術

 もちろん、火星14型はまだ、米国の態度を一変させるほどの脅威ではないだろう。火星14型はたしかに移動式発射台から撃てるが、今回の発射の前に、弾道ミサイルを追跡できる米空軍の偵察機「コブラ・ボール」が日本から飛び立っていたことがわかっており、米国は事前に発射の兆候をつかんでいた可能性はある。

 また、そもそも本土には届かないし、もし万が一、アラスカに向かって飛んできたとしても、アラスカにある米軍基地には「GMD」という迎撃ミサイルが配備されているので、何発も同時に飛来しない限りは対処することができる。(参照:『米国、大陸間弾道ミサイルの迎撃試験に初めて成功。米国本土を守る迎撃ミサイルの実力』)

 しかし、火星12型や14型に使われているエンジンは、より推力の大きなエンジンにできる可能性ももっている(参照:『脅威増す北朝鮮のロケット技術――「新型ロケット・エンジン」の実力を読み解く』)。エンジンの性能が上がれば、米国本土に届くだけの性能をもったミサイルも開発できるかもしれない。

 おまけに北朝鮮は並行して、固体推進剤を用いたミサイルの開発も行っている。固体推進剤は液体推進剤よりも、はるかにミサイルに適した特性をもっているため、火星14型よりも実戦的なICBMを開発できる可能性がある。実際、今年5月に開かれた軍事パレードでは、固体のICBMのように見える新型ミサイルが登場している(参照:『ハリボテか? それとも脅威か? 北朝鮮が披露した新型「大陸間弾道ミサイル」の正体』)。また2016年に試験に成功している潜水艦発射型の弾道ミサイル技術も進歩すれば、さらに厄介な問題となる(参照:『北朝鮮、潜水艦発射弾道ミサイルの発射に成功。大きな脅威となりうる技術習得の可能性も』)。

 もっとも、実際に核ミサイルとして実戦配備するためには、ミサイルの射程だけでなく、ミサイルに積めるだけの小ささの核兵器の開発、そしてその核兵器を積み、大気圏への再突入に耐え、なおかつ狙った場所に正確に落とすことができる弾頭の開発が必要になる。

 この小型核兵器と弾頭の2つの開発について、米国などは北朝鮮にはまだそれだけの技術はないと見ているようだが、ここ数年で驚異的な進歩をはたしたミサイル開発と同様に、それらを手にするのも時間の問題かもしれない。

<文/鳥嶋真也>

とりしま・しんや●宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。

Webサイト: http://kosmograd.info/

Twitter: @Kosmograd_Info(https://twitter.com/Kosmograd_Info

【参考】

・防衛省・自衛隊:北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(第2報)(http://www.mod.go.jp/j/press/news/2017/07/04b.html

・U.S. Pacific Command detects, tracks North Korean missile launch > United States Forces Korea > Press Releases(http://www.usfk.mil/Media/Press-Releases/Article/1236848/us-pacific-command-detects-tracks-north-korean-missile-launch/

・U.S. Condemns North Korean Missile Launch > U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE > Article(https://www.defense.gov/News/Article/Article/1236993/us-condemns-north-korean-missile-launch/

・North Korea Appears to Launch Missile with 6,700 km Range – Union of Concerned Scientists(http://allthingsnuclear.org/dwright/north-korea-appears-to-launch-missile-with-6700-km-range

・What is True and Not True About North Korea’s Hwasong-14 ICBM: A Technical Evaluation | 38 North: Informed Analysis of North Korea(http://www.38north.org/2017/07/jschilling071017/

ハーバー・ビジネス・オンライン


 

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