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ハンブルグのG20サミットの頃に米軍がシリア政府軍に対する本格的な戦争を始めるという噂
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201706290000/
2017.06.30 03:16:45 櫻井ジャーナル
7月10日前後にシリアでアメリカ軍が大規模な軍事作戦を始めるという見方がある。6月26日にホワイトハウスの広報担当、シーン・スパイサーはシリア政府が化学兵器を計画している可能性があるとしたうえで、もし攻撃したなら報復すると発言したが、いつものように証拠や根拠の類いは示されていない。シリアを攻撃するという脅しにしては唐突で、何者からか攻撃命令が出たのかもしれない。
7月7日から8日にかけてドイツのハンブルグで開かれるG20サミットでドナルド・トランプ米大統領がウラジミル・プーチン露大統領に最後通牒を突きつけ、それが不調に終われば戦争になるとも予想されているが、そうした脅しにシリアやロシアが屈するとは考え難く、バラク・オバマ政権が2013年に計画した侵攻作戦を実行するのではないかと懸念されている。
トランプ政権は4月6日夜、駆逐艦のポーターとロスから巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射させ、少なくとも数機は目標へ到達したと言われている。これが次の攻撃をトランプにさせる仕掛けだったと考える人もいる。
この攻撃は4月4日にシリア政府軍が化学兵器を使ったという口実で実行されたのだが、現地の様子を撮影した映像を見て嘘だと考えた人は少なくない。理由のひとつは、現場にいる人物が防護服を着ていないことだ。そもそもシリア政府に化学兵器を使う理由がない。
ジャーナリストのロバート・パリーは攻撃の直後、4月6日の早朝にドナルド・トランプ大統領がマイク・ポンペオCIA長官からシリア政府軍による化学兵器の使用を否定する説明を受けていたとする内部情報を伝えている。
6月25日にはジャーナリストのシーモア・ハーシュが同じ内容の記事をドイツのメディアに書いた。ハーシュによると、4月4日に聖戦主義者の幹部が会議を開くという情報をつかんだロシアとシリアは攻撃計画を立て、その内容をアメリカ側へ伝えている。CIAにも直接、ロシアから攻撃に関する情報が伝えられていた。攻撃の前からアメリカ側はロシアから情報を知らされ、監視していた。
ハーシュの記事が出た翌日、スパイサーの荒唐無稽な話が飛び出したのだが、こうした動きを察知してハーシュへ国家安全保障の事情に精通した人物からリークがあった可能性も否定できない。
これまでネオコンは自分たちに都合の良い展開を予想して仕掛けてきたが、いずれも失敗している。見込み違いだ。プーチンはネオコンが願うようには動いてこなかった。もしアメリカ軍がシリア政府軍に対する本格的な戦争を始めたなら、同じ運命が待っているだろう。ただ、その結果は深刻なものになる。
アメリカは早い段階から特殊部隊をシリアへ潜入させてきた。2016年9月にはバラク・オバマ政権は特殊部隊をシリア北部にある7つの基地へ派遣したと伝えられ、クルド軍とラッカへ入ったともいう。
当初はトルコが拠点だったが、そのトルコがアメリカ、サウジアラビア、イスラエルの3国同盟から離れたことから北の兵站線が細り、ヨルダンにアメリカはイギリスと拠点を築いている。そこからシリア政府の承認をえないまま特殊部隊をシリア南部、バグダッドとダマスカスを結ぶ幹線が通るアル・タンフへ侵入させた。
そこで反シリア政府軍、つまり新ダーイッシュを訓練しているのだが、そこへ近づいているとしてアメリカ主導軍の航空機が5月18日に政府軍のT-62戦車2輌を破壊、6名の兵士を殺害、何人かを負傷させている。さらに6月6日と8日に同じくアル・タンフでシリア政府軍を攻撃、6月18日にはシリアの要衝、ラッカ近くでシリア政府軍のSasyuracom-22戦闘爆撃機をアメリカ主導軍のF/A-18E戦闘機が撃墜、19日には米軍のF-15戦闘機がシリア政府軍のドローンを撃ち落としている。アル・タンフにはHIMARS(高機動ロケット砲システム)を持ち込んでシリア政府軍との戦闘に備えている。
このほか、シリア北部には今年に入り、第11海兵遠征部隊が戦闘態勢を整えたと報道され、アレッポのマンビジにはアメリカ陸軍の第75歩兵連隊の車列が入ったとも伝えられている。
実は、ロシア側も特殊部隊をシリア領内で活動させはじめている。特殊部隊に限らず、ロシア軍は強い。これを示したのは2008年にジョージア(グルジア)が南オセチアに対して行った奇襲攻撃。ジョージアはイスラエル軍から武器/兵器を提供され、将兵を訓練され、おそらく作戦も提供されていた。そのジョージア軍がロシア軍に惨敗しているのだ。そうしたことを考えると、アメリカの地上部隊が苦しめられることは間違いない。
航空兵力を比較すると、アメリカ軍が恐れるロシアの最新鋭戦闘機は10機程度であるのに対し、アメリカ側はステルス戦闘機のほか数十機のF-15、F-16といった戦闘機、さらにB-1やB-52といった爆撃機を配備している。戦力的にはアメリカ軍が圧倒しているというように見える。
しかし、こうした戦闘機はロシアが配備したS-300、S-400、パーンツィリ-S1に苦しめられることになる。スペンサーが攻撃予告する3日前、ロシア軍は地中海の東側にいる2フリゲート艦と潜水艦から6機の巡航ミサイル、カリバルを発射、侵略部隊の司令部や兵器庫を破壊している。このミサイルは超音速で飛行することができ、命中精度が高く、アメリカ軍がシリア領内で勝手に建設した基地がターゲットになる可能性がある。状況によってはカスピ海の艦船から巡航ミサイルを発射したり、マッハ6から7で飛行する弾道ミサイルのイスカンダルが使われることもありえるだろう。
ハーシュの記事によると、アメリカ軍はロシア軍が張り子の虎ではなく、反撃してくることを認識しているが、トランプ政権、つまりネオコンは本当に理解していない可能性がある。サウジアラビアやイスラエルの動きもきな臭い。
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